<h3>嬉しい発見</h3>
「ところで、何かあったの?」
「えっとね、これ見つけたんだ。」
何か紙のようなもの。広げてみると、それはこの国の地図だった。
「ベーアさん、これ!」
「うん。」
僕はまた地図に目をうつす。
小さく、名前が書かれている。
「これは‥。」
「その名前なんだろうね‥?」
「さっき、日記で見たんだ。もしかしたら、そこへ行ったら何かわかるかもしれない。」
これからのこととか‥。
「どうしてそう思うの?」
「わからないけど‥。」
「まぁ、いいけど!」
「ありがとう。」
それから二人はまた適当な本を読んだ。
名前は『一冊の本』。
この世界には一つ本があります。
めくってもめくっても、最後が見れない本。
そこにはとても多くのことが書かれていました。
少年はその本を見つけるために出かけました。
でも、世界はとても広くて、それがどこにあるのかわかりません。
少年は探すのを辞めてしまいました。
帰ってる最中、空を見上げると大きな雲があります。
いつのまにかあたりは暗くなっていました。
とても暗い‥悲しい‥。
少年は目を閉じます。
すると、さらに真っ暗になりました。
だけど‥何かがうっすらとあらわれてきます。
僕はめをあけます。
すると、僕が探していた、本が見つかりました。
こんなところにあったんだ。
僕はその本をとってめくっていきます。
やっぱり、最後が見れない本です。
だけど‥。ずっと進んでいくと、白紙なページが出てきました。
そこから先はずっと白紙です。
「なんでだろう‥?」
少年はわかりませんでした。
とりあえず、家に帰ったのです。
お母さんは聞きました。
「どこへ行ってたの?」
「ほしい本を探してた。」
「見つからなかったのね。」
「ううん、見つかった!」
「でも、あなた‥。」
それからお母さんと話した後、自分の部屋に行きました。
夢は絶対に叶うんだ!
僕はそう思って、とても喜びます。
───────
僕は読み終わって考える。
この本‥シソウが子供の時に読んでたとされる、『ほかのせかい』かと思った。
何故だろうか‥。
<h3>数字ヒーロー①</h3>
数字差別の声を聞き、現れる5人のヒーローが居た。
彼らを人はゴペンターと呼ぶ。
受験の会場でのこと‥。
テストがくばられ、時間を待つ。
そして、始まった。
いっせいにテスト用紙をひらいて、マークシートを取り出す。
その時だった‥。
「テトラフォビア‥!」
そう言って、数人の生徒が倒れる。
今度は「ぎゃー、トリスカイデカフォビア」と倒れた。
試験監督は生徒にかけよる。
「し‥失神している。」
テスト中だが、倒れなかった生徒達の視線が、そこに集まった。
「え‥、どういうこと‥?」
まわりの人と話し合う。
「もしかして‥あの数字のせい‥?」
そう、一人が言ったとき、ゴペンターが現れた。
「みんな、大丈夫?」
倒れてない子達に、女性であったナンバー2がたずねる。
「何があったの?」
ナンバー5はそれに続いた。
「聞きなれない単語を言って、倒れたんです。」
ナンバー1はテストをとる。
そこには4択の問題、4問目、13問目などがあった。
「もしかして‥あの集団が‥?」
声が聞こえてくる。
「ははは。よく気付いたな、ゴペンター。」
窓の外に、アダムスキー型の円盤が現れた。
ナンバー5がナンバー1に言う。「生徒さんたちは、私達4人に任せて!」
「分かった。ありがとう、みんな!」
それから、また円盤の方を見た。
「君たちは何者なんだ!」
「気付いてなかったようだな。仕方ない、教えよう。」
「我らはナンバー・ヘイトゥ星からやってきた。」
「ナンバー・ヘイトゥ星?」
「そうだ。我らの国は、数字によっていつも苦しめられている。」
「4と6、13という数字達に。」
4を聞いて、死だ‥と叫ぶナンバー星の人。
13を聞いて、裏切りに怯える人達。
6を聞いて悪魔をおもう。
ナンバー星人は握りこぶしを作って言った。
「だから、この世から消すために行動しているのだ。」
「数字は悪い意味だけじゃない!」
「なんだと!」
「一つ一つには意味があるんだ!なくてはならない!」
それからナンバー1は数字について語っていった。
<h3>数字ヒーロー②</h3>
ナンバー1は、宇宙人と分かりあった。
そして‥
ナンバー1達は、宇宙船ナンバー号に乗って、ナンバー・ヘイトゥ星へ向かう。
ナンバー1は、ナンバー5の元へ。
「ナンバー星人の親玉の時、助かったよ。」
「こちらこそ、私を仲間に入れてくれてありがとう。」
ナンバー1はナンバー星人達とのことを浮かべる。
「君が親玉か!」
仲間や、ナンバー星人たちを後ろにつれて親玉と話す。
「お前たち、裏切ったのか。」
「我らは数字が悪いことしか知らなかった。いいところもあるなんて‥。」
「そんなことは聞いてない。」
ナンバー1はたずねた。
「何故、4や、6、13などの数字を嫌うの?」
「4や、6は悪い数字だからだ。それに‥。」
「それに?」
「この数字達は、私の大切な数字を挟んでいる。」
「もしかして‥」
「そうだ。5を4と6は挟んでいる。この二つがなければ‥。」
すると、ナンバー5は言った。
「私はナンバー4のこと、悪いと思ってない!他の数字と同じくらい大切だと思ってる。」
「それはナンバー6が入ってきても変わらない!」
「な、なんだと‥!?悪い数字に囲まれながら、大切と思えるなんて‥。」
親玉の仲間のナンバー星人達は「数字差別反対!」と何度も言う。
今まで、私は5を愛してきた。
この、5の幸せを願って‥
4と6から解放されれば、5は幸せになれる。そう信じてきた。
しかし‥
「分かった。差別することを辞めよう。」
みんなは喜ぶ。ナンバー星人達も一緒に。
「だが‥。」
それから親玉は言った。
「私が差別を辞めても、まだ続くだろう。」
ナンバー1はグッと握りこぶしを作る。
「大丈夫?」
ナンバー2は心配そうにみる。
「うん、大丈夫。ありがとうナンバー2。」
「なら良かった‥。」
ナンバー2はこの中で、1番付き合いが長い。
人のことをよく見ている。
ナンバー1は思った。
いい仲間に出会えたな‥と。
「これで最後になるかもしれない。」
「これで数字界の平和を取り戻せるんですね!」
ナンバー3は嬉しそうに言う。
「これでようやく‥」
ナンバー4は涙を目に。
「ナンバー・ヘイトゥ星の王、君とわかり合ってみせる!」
ナンバー1は強くそう思ったのだった───────
<h3>情報交換</h3>
そして、次の日になった。
ベーアさんと僕は、昨日見つけた、地図に書かれていた名前の場所に行くことにした。
10くらいはあったが、ヘイヴァさん、ちつさんだけは日記に名前が書かれてたのを見ている。
なので、まずはヘイヴァさんのところから行くことに。
「エビ、昨日、床で寝てたけど‥痛くなかった?」
「うん。慣れてるから。」
「そう、ちょっと安心した!」
「ありがとう。ところで、昨日の本のことだけど‥どんなものがあった?」
「えっとね‥。ワズィくんが好きだって言ってた物語知ってる?」
「あぁ‥『王子様との旅』だっけ?」
「それを見てたよ。」
「確か、僕らの国で親しまれてる物語じゃないか。ここにあったの?」
「うん。絵本だったけどね。」
「他にも、ちょっと悪いけど、私も日記見ちゃった。」
「そうなんだ。」
「その『王子様との旅』って物語、実は読んだことないんだ。どんな話なの?」
「そっちなんだ‥。」
僕は首をかしげる。
「王子様と呼ばれてる人と、数人の仲間が旅をするって話なんだけどね。」
「面白そうだね。」
「うん。昔読んでたし‥。愛着があるよ。」
「ちなみにその物語はね、実在した人の日記が、モデルになったとされてるの。」
「なるほど。」
「ワズィくんは日記まで読んだことあるって言ってたよ。」
「そうだったんだ。それは知らなかった。流石、当時の歴史が好きなワズィくん。」
「ね!」
「昔の仕事の仲間のこと考えると‥セーデくんや、エーテさんのこと思い出すな‥。」
「たしかにね。二人とも、今はどうしてるのかな‥。」
「セーデくん元気だといいね‥。」
僕は頷いた。
そして、話しているうちに、目的地の場所に到着する。
鉄でできてるとはっきり分かるような家。
シルバーでコーティングされてるだけなのか‥?
二人がその場に立ってると、一人の男がその家からでてきた。
「あれ‥、君たちは‥?」
「こんにちは。僕達は、ヘイヴァさんに会いに来たんですけど‥。」
「ヘイヴァは僕です。」
この島に来て、また出会いがあった───────
<h3>物作り</h3>
「あなたがヘイヴァさん‥?」
「はい、そうです。」
「話があって来たんですけど、良ければ、少しどうですか?」
「わかりました、入ってください。」
そして、家に入れてもらった。
「話ってなんですか?」
「それなんですけど、リアル派をご存知ですか?」
「はい、知ってます。」
「現防実衛9とかもですか?」
「僕も現防実衛9の一人と言われてます。」
「え‥⁉」
「現防実衛9って、集団の中で有力視されてる人物がなるんですけど。」
「僕ら機械とか、物作りしてる人達は、それぞれしたいことを自由にすることをモットーとしてて。」
「個人プレイがメインなんです。」
「そうなんですね。でも、なんで、現防実衛9に‥?」
「分かりません。もしかしたら誰でも良かったのかも。」
「ただ、個人プレイとは言え、参加メンバーが心躍る目標をたてた時は‥」
「意味はちょっと違いますが、呉越同舟のような感じです。そのときは心強い仲間です。」
「仲間いいですね。」
「はい。ところで、現防実衛9がどうしたんですか?」
僕は少し言いづらい気持ちがあったが、仕方ないと割り切る。
「実は僕、シソウ派なんですけど‥。」
「シソウ派‥?」
少し驚いた表情を見せる。
「現在のリアル派のトップと話し合いたいんです。」
「それは無理です。」
やっぱりか‥と思った。
「ちなみに、何故、会いたいんですか?」
「話し合いたい。お互い分かり合いたいんです。」
「そうですか‥。」
「実は僕はリアル派のトップがどんな人か、どこに住んでるのか知らないんです。」
「なので、どうやっても‥」
その反応に僕は驚いた。
「知ってたら教えてくれたってことですか?」
「その場合は分かりませんけど、してた可能性もあったかも‥。」
「思えば、僕がシソウ派って知っても否定しませんでしたよね。」
「僕は穏健派で、他の物づくりしてる人もそういうのは多いかもしれませんが。」
「物づくりができればいいんです。他のことにはあまり興味がない。」
「なるほど‥。」
「ただ、それを壊そうとするなら‥。強く反発するでしょう。」
真剣な目で僕の目を見る。
<h3>一人の女性</h3>
「ところで、他の現防実衛9のことについて知ってますか?」
「残念ながら‥。僕は自分に関係があって、興味のあることしか学ばないので。」
「どうして、自分が現防実衛9だと‥?」
「それは知り合いの女性から聞いたんです。名前は知尽(ちつ)さんって言うんですけど。」
「質問ばっかりしてすみません。」
「いえ、大丈夫です。僕、抜けてるところがあるので、知ってることはついつい話してしまうんですよね。」
「そうなんですか。」
「はい。ちなみに、ちつさんはとてもいい女性ですよ。音楽が好きでずっと机に向かって勉強してるんです。」
「僕とは分野が違いますが、とても共感してます。」
「なるほど。ちつさんいい人なんですね。」
「そうだ。色々詳しいみたいでしたし、彼女に聞いたら、何か分かるかもしれませんよ。」
「何か、ごめんなさい。」
「どうして謝るんですか?」
「もらってばっかりだったので。」
「いいえ。あなたは仲良くしたいと思ってるんですよね?」
「はい、そうです。」
「僕は個人的に、それが嬉しくて。頑張ってください。」
「ありがとうございます。」
────────
ねのさんの話は出さなかった。
しかし、彼はとてもフランクに関わってくれた。
「エビくん‥?」
「あ、ごめん。ベーアさん。考え事してた‥。」
「ううん、大丈夫だよ。ところで何かあったの?」
「ずっと隣で聞いてたんだけど‥。ちつさんって、もしかしてここに元から居た人‥?」
「確かに、名前はねのさんと雰囲気が似てる気がする‥。どうしてなんだろうね。」
ただ、これから話せば分かるかもしれない。
その人のこと‥。
一人の女性が「るんるん」と鼻歌歌いながら、花に水をあげていた。
「今日は良い天気。お花も元気に咲いてる。」
「もしかしたら、何かあるかもね。」
そうつぶやいて、眩しい太陽を見上げた
─────────
<h3>数字ヒーロー③</h3>
僕らはナンバー・ヘイトゥ星に到着した。
そして、王の元へ‥。
「君がナンバー・ヘイトゥ星の王だね?」
「そうだ。私がこの国の王だ。」
「そして‥。この世のすべての数字を憎むものである。」
王は言った。
「1は孤独、2は地味、3はどうしようもない。」
そう言い、10くらいまでその数字が持つ悪いところを言っていく。
すると、ナンバー1は負けじと「1は特別、2は友情、愛、3は知恵。」と言って、10まで良さそうな意味を。
「ここまで来ただけのことはある。ゴペンターよ、褒めてやろう。」
「だが、私の憎しみは、そんなものでは消えない。」
「どうして君は数字を憎んでいるんだ?」
「では、その理由を教えよう。これにより、ゴペンターが私をどうしようもできないと知るだろうがな。」
私はいつも数字の書かれた枕を腕にだいて寝ていた。
今日は1、今日は2‥9と。
しかし‥私はある日悩んだ。
これでは、なんでもいいみたいではないか‥。
頭をかかえた。
そうして、悩み続けた結果、いつの間にか数字に対して負の感情をいだくようになっていたのだ。
そして思った。この悩みは数字排除によって消える‥と。
「どうだ、ナンバーマン。もう、言い返すことはできないだろう?」
「つまり、君は数字を愛していたんだね?」
「あぁ、だが、もうその気持ちはない。今あるのは憎しみだけだ。」
「数字は本当に君が悩むことを望んでいるのか‥?」
「何だと?」
「僕は数字を友達だと思ってる。一つ一つが役目を持ってそこにある。」
「それはかけてはいけない。かけがえのないものなんだ。」
王は口を閉じた。
「君はきっと、思いが強すぎたから‥苦しくなってしまったんだよね‥。」
「数字は誰かに悲しんで欲しいとは思ってないと思うんだ‥。」
「だから、大丈夫。君は数字のために悲しまないで」
王の周りに色々な数字達が現れる。
そうだ‥数字達はみんな輝いていたんだ‥。
私は大事にしようとして‥結局ダメで‥。
ただ、王の周りの数字達は笑ってるように見えた。
「そうか‥ありがとう‥。」
────────
そして、ゴペンターは長い戦いに勝利した。
これでもう数字差別するものはいない。
しかし、彼らの使命はまだ終わらない。
それは数字を友達として、愛し続けることだ。
負けるな、ゴペンター!
<h3>独り暮らし</h3>
それから僕達は、一軒の家にたどり着いた。
「ここに住んでるのかな‥?」
ただ、誰もいないよう‥。
しかし、良かったことはあった。
まさか、偶然ヘイヴァさんや、この女性の名前を発見して‥
さらに何か情報がつかめるかもしれない。
僕は今、とてもいい状況にある。
それから待ってる間、ベーアさんと話していた。
時間が経って、一人の女性が僕らのもとにやってくる。
「あれ‥。あなた達誰?」
「もしかして、ちつさん‥?」
「どうして名前を‥。それよりも‥」
ちつさんは苦しそうにした。
「はやく‥しないと‥。」
「どうしたんですか?」
そばによろうとすると、それを振り払うように急いで家の中に入っていった。
僕とベーアさんも後についていく。
家の中で彼女はノートに向き合っていた。
のぞいてみると、音楽に関係する用語が沢山書かれてる。
そして、完成すると、ピアノの前にいって弾いていた。
僕達はただ、弾き終わるまで待っていた。
「ふぅ‥。なんとか今日もやったよ‥。」
「あの!」
「あれ‥。あなた達は?」
「僕はエビで、こっちはベーアさんです。」
「そうなんだ。私はちつ。二人はどうしてここに来たの?」
「ヘイヴァさんに聞いて。」
「ヘイヴァくんね。」
「さっき、とても苦しそうでしたけど、大丈夫ですか?」
「あ‥あれね、私の持病なの。子供の時からずっとそう‥。」
「苦しい時はあんな感じで音楽の勉強だったり、ピアノ弾いたりしないとなの‥。だからあんまり遠くは行けなくて‥」
心の中で思う。変わった病気‥
「大変ですね‥。」
「ううん。そうでもないよ。今日もお花に水やったり、音楽も楽しいし。」
「毎日が幸せなんだ。」
僕は心の中で思った。いい人そう‥。
彼女なら大丈夫かも。
「シソウ派って知ってますか?」
「シソウハ‥?」
「はい。創作学のシソウ派。」
「あぁ‥。知ってるよ。」
少し元気がなさそうだった。
「リアル派の人たちとわかり合いたいんです。何か知ってませんか‥?」
「また昔みたいに‥?」
「え‥?」
<h3>シソウ派とリアル派の過去</h3>
「昔みたいにってどういうことですか‥?」
彼女は僕を見て睨んだ。
「リアル派の人たちはね、昔、シソウ派の人たちに追い出されたの。居場所を。」
「でも、学問は続いてますよ。」
「そうだね。リアル派のチェーシャさんも先生してるもんね。」
「え⁉」
ベーアさんはとても驚いていた。
僕も何度も聞いたし、話したことが何度もある人‥。
「歴史の先生がどうして‥」
「追い出されたリアル派を、もう一度元に戻すためだよ。」
「チェーシャさんはね、内部から改革を試みようと先生になったの。ゆっくりとね‥」
「でも‥。」
「リアル派が過激に‥?」
「風の噂ではそう‥。」
「何故、リアル派はそうなったんですか?」
「最近はあまり関わってないから分からないけど‥。」
「チェーシャさんが昔言ってた。」
後にリアル派と呼ばれる人たちは国にいれなくなった。
創作学のこと、ずっと否定してたからね。
一時期、学問にも、あたりが酷くなったことがあって‥。
その時にも、要られなくなった人達は島に渡り、シソウ派に憎しみが向かうようになったの。
勿論、リアル派は、何もしなかったんだけど、気持ちは言葉として残り続けた。
「ディフさんが言ってた、リアルの弟が残した言葉ですか‥?」
「そうかも。でもね、これは理性の歴史。チェーシャさんが今まで見てきた歴史から、中立的な立場で言ったもの。」
「本当の歴史とは言えないって。」
「じゃあ、本当の歴史ってなんですか‥?」
「簒奪したの‥。」
「え‥?」
「そもそもが、創作と学問。絶対に交わるはずがなかった‥。」
「シソウが‥」
確かに、メモ帳には、途中までしか書いてなかった‥。
リアルと話し合う。きっと分かり合える。
そんな希望を残し、メモ帳は止まっていた。
「どうしてそれが真実だと‥?」
「歴史の一番近くに居た、チェーシャさんがそれを言ってるの‥。」
「まだ有力な説ってだけらしいんだけど、リアルの弟もその悲しみと交えて本を残してる‥。」
「私の兄、リアルはシソウによって‥亡きものとされてしまった。って‥。」
<h3>変わらないもの</h3>
「そうなんですか‥。そうじゃない可能性は‥?」
「なんでリアルの弟が嘘をつく必要があるの?」
「確かに‥。大事なお兄さんが亡くなってしまったのでは‥。」
「シソウ派のこと、憎いと思ってるけどね‥。真実は完全に分かってないから‥。」
「何も言わないでおくね‥。」
「分かりました‥」
「あなたも、シソウ派に居るより、リアル派に入った方がいいよ。これからのことを考えて。」
「ありがとうございます。ただ、僕は真実が知りたい。」
「どんな結末であれ、二人はどうしてそうなってしまったのか‥。僕はそのことを知るその時まで、信じていたい。」
ちつさんは目をそらした。
「そう‥なら、それでもいいんじゃない‥。」
そう言うと、彼女は僕の目をじーっと見つめる。
「ひとつだけあなたに行って欲しい場所があるの。」
「なんですか?」
「リアル派の中で、結構、過激って言われてるグループのところ。」
「彼らと話せば分かると思うよ。特にチェーシャさんと同じく、現防実衛9って言われてる人とはね‥。」
それから、僕とベーアさんは彼女の家を去った。
途中でベーアさんは言う。
「ごめんね、私、聞いてることしかできなかった。」
「ううん。仕方ないよ。」
「でも、これから進む場所が分かった。彼女に教えてもらったし。」
「大丈夫なの‥?」
「分からない。だけど、話し合いたいんだ。」
「私は聞いてることしかできないけど‥。」
「大丈夫。ベーアさんが居ることで安心するんだ。」
「ありがとう。」
残ったちつは、鼻歌歌った。
「ちょっと暗い気持ちになっちゃったけど、いっか。」
「こんなときは、お花さんに会いに行こっ!」
スキップしながら、気分良さそうにお花の元に向かう。
そして、家の外に出ると、夕方だった。
「いつも変わらない景色。だけど‥安心するな!」
「えへへっ!」
そうして、またスキップで、目的の場所に向かったのだった─────