後悔と小舟⑤

惹きつける光

討議は続く。

“aaaaランク使用も、エターナルでは迷惑だ。現最強キャラのハレーション、パラダイムでさえエターナルでは足を引っ張りかねない。火力だけでは、攻略出来ない。補助や回復をしてくれるaaランクの方が役に立つんだ! 匿名”

“確かに、私はaaaaランク使用してました。しかし、それは常連の内輪の話ですよね?部屋を自分で作っていた私には関係ありません。

私はただsが憎いだけです。やつに部屋荒らされてから怖くて、エターナルに行くことはなくなりました。今でもたまに、行きたいとは思うんですが…。
だからこのプレイヤーだけは、野放しにしてはいけない。許してはいけないと思い、このスレを作りました。作ったことに関して後悔は全くありません。

ところで、他に何かありますか?スパゲッティさん。
  マリモ ”

僕にはマリモがどんなプレイヤーだったか記憶にないが、生意気で少し調子にのっている感じがしたプレイヤーには、否応なしに荒らしていた。
今までしたことは反省している。だが、それとこれとは別だ。 
 
僕は記名で、匿名の反論を手伝った。自分ではどうすることも出来ない、そんなことはとうの昔から分かっていたから─

投稿後、他スレに向かった。りかさんは以前にも増して、自分を押し切らずに投稿していた。
途中ゲームの進行状況が停滞したようで、攻略法をたずねていた。

だが、彼女に教えようとする者が見当たらない。しょうがないと僕は、なるべく優しい文面で簡潔に答えた。

ゲームに戻ると、りかさんから手紙が届いた。僕と同様に返ってきた手紙は、返さなければならない律儀な面もあるのだろう。

手紙を返すと、サイキさんからもきていることに気がついた。

“それは許せませんね!因みにどんな手紙を送ったんですか?”

心配してくれてのことだろうか─。

彼女は掲示板で偏見を植え付けられてしまった。だから僕はそれについて、自分は荒らしではないと、挨拶とともに話しただけ。

僕は冷静になった。こんなことを言っても、支離滅裂(しりめつれつ)で結局のところ、自分が悪いと言っているようなもの。荒らしをしていたのは事実なのだから─。

その後、掲示板に向かった。


喜び

そして良スレに向かう。

“ありがとうございます~、と~っても優しい名無しさんです!”

荒らしフレンドが僕にやってくれたことを、ただ彼女にやっただけだ。それなのに何故、彼女は、僕にこんなにも嬉しいことを言ってくれるのだろうか。

僕はこの喜びを受けていい、相応しい人間ではない。荒らしをしてもその償い、贖罪(しょくざい)は一切していないのだから─。

自分スレに戻ると、やけに投稿が多いのに気がついた。

“スパゲッティって、晒されて当然のやつだな。さっきもエターナル荒らしてたぞ”

冤罪(えんざい)だ。僕はそう思うも、匿名激しさは増していく。

“あいつは絶対に許しちゃいけないやつだな。毎日更新して、スレ埋もれないようにしようぜw”

今までのことでよく分かった。何を言っても、僕の言うことを聞いてはくれない。
一面が僕に対する批判の声で、賑わっていた。

ゲームに戻り、りかさんに手紙を送った。
匿名で優しいと言った相手は、自分だと。

自分が何故言おうと思ったのか、分からなかった。無意識のことだった。自分は彼女の言葉を渇望していたのかもしれない。掲示板を必死に忘れようとしていたのかもしれない。
その時の僕は、ただひたすらに何かを欲していた。

その後、コモンセンスに適当な手紙を送った。コモンセンスと言う名前は、好きなアイドルの曲名と言う。彼はつくづくそのアイドルグループが好きなのだと思い知ったのだった。

ところで、最近エターナルで何かあったかを聞くと、新しいフレンドが出来たと言う。“エンペラー弱”さんと言うようだ。

僕も一度フレンド申請し、フレンドなったがほとんどせずに、切ったプレイヤーだった。コメントで、自分は引き弱い~などと書いておいて、サポートやエターナルでの使用キャラで豊富なaaaaランクを見せた。そしてこの上位ランク等の強キャラは合成されてはなかったため、無課金の可能性もある。

初期組からは、このゲームはガチャ確率絞(しぼ)りすぎだと不満を漏らす声も聞いていたため、あのコメントには思うところがあった。

過去と仲間

そのまま続けると、彼が課金をしていることを知った。そこから漏れた不満があのコメントらしい。それなら大丈夫だと思った僕は、エターナルへ向かい、エンペラー弱さんに再度フレンド申請を送った。

寛容なのか、すぐにエンペラー弱さんは申請を承諾してくれた。続いてエターナルをプレイしている途中、サイキさんがプレイヤー名を変えて、特定のプレイヤーを攻撃しているのを見かけた。

何をしているのかと、手紙で問い掛けると、以前仲間の女性といざこざがあり、亀裂(きれつ)が生じたと言う。

ちょっとした恋愛関係でもあったようだ。その人とは、フレンドではなかったが、plの低い方に煽られていたのを覚えている。確か、“deep”さんが、“seco”にやられていた。

だが、その時は煽りと思っていたが、意味は時が経つにつれて理解した。
内容は、“deepのサブです”と言うもの。サブと言うのは複数ゲームをやる者にとって、メインでなく、遊びでやる方を指す。

ゲームの楽しみ方はそれぞれで、1日に出来るやり込み要素が今のところ少ない。そういった楽しみ方も、面白いのだろう。

エターナルに向かうと、コモンセンスがいた。僕は嬉しいを済ませると、適当なキャラ選で待機した。

人を待っていると、名前の最後尾に“w”がついたプレイヤーが入ってくる。低ランクキャラで、ひたすらに困ったと嬉しいを連打する。キャラ名はよくあるような、僕のやっていた低俗な煽りなどではなかったが、少し不快にさせるものだと思った。

少し前に考えていた、誰かのサブ垢だと直感した。僕は、まだ元に戻していなかった煽り名キャラに変え、反撃した。

しかし、何分経ってもキャラを変える気配も、抜ける気配もない。ひたすらに困った嬉しいを交互に連打するだけだ。

それはさながら、自分が今までやってきた低レベル荒らしを予感させた。僕は仕方なしに、部屋を抜けた。

そして、コモンセンスに確認の手紙を送ると、全く知らない人だと返ってきた─。


冗談

話していると、あることを思い出した。掲示板は、攻略サイトからでなくても調べればでてくる。ゲーム名とともに検索すれば、自分叩きのスレもでてくる可能性がある。

エゴサーチをすると、やはりでてきた。まだ一つで印象に残りにくいだろうが、この汚名は苦痛だ。無意味かもしれないが、もう一度名前を変える必要性を感じた。

このことをコモンセンスに告げると、すぐに検索をかけたようで落胆の手紙が返ってきた。

“最悪だわ 俺は名前入力しただけでてきた。”

続けて彼は、自分よりもアイドルの心配をした文を連ねた。

立てられたスレの数は5以上にものぼる。それを見ると、ちょっとした安心感があった。

再度掲示板に向かい、自分スレの中身を確認する。だが以前とは全く変わってはいなかった。

はやくスレマックスまで投稿して、終わらせてしまいたい。その気持ちが強くあった。だが何をすればいいのか、すぐに分かる答えは浮かばなかった。

良スレに向かうと、不快投稿が沢山散らばっているのが見えた。前投稿を見ていくと、パースレのように自分は大学生だと言ったようだ。本当だと信じてもらうため、学生証を提示した。

知名度が高いようで、嘘だと主張するものが多々いたが、匿名内での会話投稿を重ねるにつれ、段々と納得していった。

スクロールしてくと、そのことに関しては信じきったらしく、今度は女性に対して言うべきではない、あるまじき卑猥な文や、彼女の文を見ていく内に恋をしてしまった。だから自分と付き合ってほしい、結婚してほしいを匂わせるようなレスが増えていった。

僕にはネット上で付き合うことは、やはり理解出来なかった。だがそんなことよりも、匿名が最低な単語等で彼女を不愉快にさせる投稿を黙って見ているのはやるせなかった。

メリリンに手紙を送ると、
“すごい言われてるねー。”

誰かが叩かれていることに関しては全く無関心のようで、もっと何かあるだろうと僕の心の中につっかえたものを感じた。

“あの不快文の投稿をやめさせたら、君のこと好きになるかもよ。”

僕は少しおちゃらけを交えながら、助けるよう促した。

“マジでか⁉ よし”

僕は投稿後すぐに、良スレに向かった。


無意味な助け舟

あれはほんの冗談のつもりだった。だが、コモンセンスは真摯(しんし)に受け取ったようで、やめるようにと文を並べていった。

止まることを知らない。彼女の投稿はそれ程までに、無名の群集の心を惑わせるものだった。

すると、彼が割り込んでくることで、状況が悪化することを恐れた匿名の一人が、やめるよう説得した。

最早、りかさんは掲示板を見ていないだろう。この状況で平然と見ていられたら、不愉快に思っていないことになる。なので結局のところ、見ていようが見ていまいが、彼の投稿で彼女が好きになってくれる筈がないのだ。

冷静になったのか、コモンセンスは投稿をやめた。幾許もなく匿名投稿の不快投稿も途絶えたのだった。

僕は、彼を騙してしまった罪悪感から誰も投稿していない、見ていないであろう時間帯にひっそりと1つの投稿に勤しんだ。

これを聞けば、匿名達も叩くのをやめてくれる。いや、やめてほしい。僕は、願うことしか出来なかったのだった─。

次の日。良スレに向かうとりかさんは、何事もなかったように投稿していた。元気なそれは、僕に大きな安心感をくれた。

すると、また困ったようで誰かに教えてほしいと投稿した。それを見るや否やすかさず、教える文を書いた。名前には、分かりやいように優しいななしさんといれる。

自分がどういう人間なのか、伝わるように─。

自分叩きのスレは、まだ賑わっていた。
目に毒のため、もう見ない方がいい。そのことは分かっていた。だが、僕の衝動が抑えきれなかった。

あることを思い付く。
投稿を限界まで埋めてしまえばいいのだ。

僕はすぐに取り掛かった。言葉はなんでもいい。投稿出来る最少で、繰り返す。

これが無ければ、エターナルで新しく平穏の日々が送れるのだ。そう思い、僕はひたすらに頑張った。

しかし、投稿数は300程度だったため、残りの700を一人で埋めるのは容易ではなかった。

200程埋めた時、疲れがでてくる。僕は一旦やめ、エターナルへ向かったのだった─。

心を刺激するもの

エターナルで、適当な高ランクプレイヤーの部屋に入った。主は不満があると困ったを連打し、抜けるよう示す。

満足した面子やキャラクターが揃うまで時間がかかるが、常連はそれを厭(いと)わない。

そして出発した─

終えると、エターナルはとても楽しいものだと再確認した。スレ埋めのモチベーションにもなった。

再びスレ埋めに取り掛かろうとすると、りかさんの投稿があるのに気付く。

“スパゲッティさんはそんな人じゃないのに…”

僕にとってはとても苦しい言葉だ。スレを埋めていく途中、彼女に“ごめんね”とだけ告げ、続けた。

今の僕の中には苦しさしかない。これが終われば、きっと新しい僕がはじまるのだと今は信じるしか出来なかった。


どのくらい経っただろうか。僕は埋めるのに夢中になって、投稿数を見ていなかった。しかし手をとめる訳にいかず、僕はひたすらに投稿する。

すると、今日もゲームの不満を僕に対しての雑言などで晴らそうと、数人が集まってきたようで僕を非難する投稿がでてきた。

“お前は普通ではない。精神に異常をきたしている。”

“ごめんな。フレンドが嫌がるから、もう俺の部屋入って来ないでくれ。”

それらを見た時、僕は投稿をやめた。
そして、投稿数を確認すると残り200までになっていた。

ここが正念場だ。
僕はそう思いながらも、体が投稿するのを拒んでいた。ここにきて気兼ねしている。

本当にこれをやり切れば、僕の楽しいゲーム内での日々が始まるのだろうか。荒らしは荒らしのまま、その汚名を持ち続けなければならないのでは。僕は自分の考えに対し、疑心暗鬼に陥っていた。

これ以上考えていても仕方がないと思った僕は、前よりも少ないがレスを重ねていった。幾度となく、僕を否定する返信がくる。
その都度、心に傷がつくのを感じた。

途中でコモンセンスが割り込んでくる。何をしようと思ってるのか、少し気にしながら続けた。

“俺も手伝おか?”

とてもありがたい提案だ。僕は彼に頼みのレスをいれ、残りの投稿数に臨んだのだった─

繰り返す

コモンセンスは画像を貼り、埋まるペースが倍以上になった。再びアンチ達が不満をぶつけに来ても、誰かが自分と共にいる安心感で、苦しみを感じず続けられた。

それが災いしてか、
“sのやつ 全然懲りてないぞ”

“これはもう一度、スレ立てた方がいいですね。マリモ”

それを見た時、まさか…そんなはずはない。と
思いながらも少し気にしていた。
パースレでも、コメント全て埋まった後に再びスレが立てられた。

パーは掲示板で叩かれた後も、エターナルで荒らし紛いの嫌がらせしていたのを覚えている。
彼には原因があった。しかし僕は、名前をスパゲッティにしてから、荒らしは一切していない。したとしても常連と同じような、満足出来ないパーティーなら待ち続けるか、すぐに解散しただけだ。

理由がない。僕は、考えながらも投稿する。きっとあれは僕を不安にさせる嘘だ。心の中で、必死に自分にそう言い聞かせた。

そして、コモンセンスに協力を頼んだ甲斐(かい)あって、残りは50までにせまった。

それと同時に、アンチ達にも拍車がかかった。

“無駄な努力だったなw新しいスレ立ったぞ”

“自業自得だ。終わったら、次はあっちのスレで頼むな。
それでおまいら、埋まったらまた立てろよ”

立てたのは、またマリモだろう。だが、そんなことよりも今の自分には、このスレを完結させることが第一だった。
コモンセンスの手伝いを苦痛にさせないため、僕は必死に投稿を続けた─。

終盤10のところでは、最早コモンセンスの独壇場になる。好きなアイドルの画像を貼り付け、文字書きの僕とは、ペースが比較にならない。

スレが全て埋まった時には、一面がコモンセンス所持の画像で一杯になっていた。

終わるとすぐに、他の掲示板を確認した。コモンセンスがおかしな画像埋めでスレを荒らしたと、アンチ達が新しいスレを立て騒ぎたてる中、

“s=スパゲッティって何ですかpart2”
スレが立っていた。

スレ主はやはりマリモだった。だが、最早それをどうこうしようという気力は、僕にはもう残っていなかった─

小雨

次の日。自スレを確認すると、コモンセンスの投稿があった。
“ここは放置でいいか”

流石にもう一度はじめからスレ埋めをやり直す気にはならなかったのだろう。そして昨日の頑張りの甲斐か、スレに投稿する人も少なかった。

だが、僕はやつが相変わらず気に入らなかった。多分やつは繰り返す、だから一度後悔させる必要がある。ついでに仕返しもしようと、匿名でマリモのスレを立てゲームに戻った。

そろそろ変える時だ。そう思いサイキさんに手紙を送った。
返信はすぐにきて、何気ない会話がはじまった。その中で新しい名前を考えてもらえないか頼んだ。了解したようで、明日まで待って欲しいときた。

エターナルへ向かうとパーに会う。味方に確率であたる技持ちのキャラでメンバーを待つと、パーティーが気に入ったらしく、まともなキャラに変更し、出発した。

常連と似通ったプレイだったが、それなりのテクニックが感じ取れた。掲示板では荒らしと揶揄(やゆ)されていたが、プレイ中は一切それを見せなかったのだった─。

フレンド申請を送ると、枠を逐一確認する。そこで、りかさんのコメント欄をちらりと見た。どうしても攻略出来ない一人ステージがあるらしい。僕が何度も失敗し、やっとの思いでクリアしたところだった。

そのまま待つと承認された。僕は挨拶の手紙と同時に、掲示板に巣食うアンチ達の批判を書き込んだ。

次にりかさんへ手紙を送る。自分のは、殆どが攻略サイトの受け売りだったが、彼女からの手紙が欲しかったので、構わず送った。

以前から彼女の手紙には、他とは違う何かがあった。僕はそれを知りたかった。掲示板で唯一叩かれる理由がないこの女性について─

コモンセンスと会話しにいくと、りかさんの話題になった。彼も彼女の魅力に惹かれていたようで、“いいよね”ときた。

前のことで少し感じていたが、りかさんは何か持っているのかもしれない。僕の知りたい欲求が高まった気がした。

これが掲示板で植え付けられた感情か、本当の自分の気持ちか僕には分からなかった─

スレ立て

戻ると、2通手紙が届いているのに気がついた。りかさんとパーからだ。

僕はすぐに、りかさんの手紙から確認した。
“ありがとうございます~。でも、手紙ではちょっと分かりづらいので、出来れば掲示板でお願いします。”

掲示板に向かいスレを見ると、彼女が開設してるのを確認した。記名だったが、叩かれたのを気にしてか名前は少し変えていた。
僕は画像を貼り付け、クリア方法を書き連ねた。終えるとゲームに戻る。

パー手紙を確認すると、とても不快に思っていたようで、怨恨(えんこん)を感じさせる文が返ってきた。
その文末に、コモンセンスと僕の関係性を気遣ってか、フレンド申請が来たが、雑魚キャラ完了してきたのが気に食わなかったため、拒否したときた。

それは仕方がないと、気にしなくていいと返した。
終えると、再度、掲示板に向かう─。

掲示板では、コモンセンスとりかさんが話をしていた。ゲーム掲示板の筈が旅行の話で投稿を埋める。りかさんは〇〇へ行ったと証明するため、上部がぎりぎり写っていない写真を載せた。

すると、匿名投稿やコモンセンスがそれに目を奪われてか、少し不快に思わせるレスを連ねる。しかし記名変えていたため、完全には気付いてなかったらしく、その投稿は続かなかった。

僕の教えたキャラ設定ではクリア出来なかったのか、中々クリア画面を載せてはくれない。自分のではぎりぎり過ぎたか、攻略サイトを探せば載っているパーティーだからこそ、教える価値はなかったのだろうか。

クリアの手紙が来なければ来ない程、僕の心が不安になっていくのを感じた。続けて見ていくと、良スレ投稿の一人が攻略サイトにないような、安定しそうなパーティー画像を載せた。すぐ後に、クリア出来たと感謝の返信がいく。

それを見た僕には、もっと頑張らなければという意欲が湧いた気がした。今までaaランクキャラ育成にしか、一人プレイを使わず停滞していたが、感謝されたい気持ちが決意させた。
りかさんに、また何かあればなんでも言うようにと伝えたのだった─

飽きと古い出会い

コモンセンスと話していると、画像とともに、エターナルをやっていたら弱いプレイヤーが部屋を荒らしてきたときた。
技名を見て僕は直感した。誰かのサブ垢で、知っている人物だと。

コモンセンスは、メールを後にすると掲示板に向かう。そして、僕と話した時と同じ画像を貼り付け、この人有名になりたいらしいと書く。

スレ乱立によって、彼の名前が載るスレは2ページ以上にもわたる。自分から誰かへ気をそらすために、投稿したことはすぐに分かった。

彼がそう考えていなくても、それを予感させる。それに、マリモなどの記名以外では、匿名と終わりなき不毛な会話を続けていたから飽きたのだろう。

しかし、コモンセンスが叩かれる理由はエターナル荒らしだけでなく、性格や、掲示板への大量投稿にあった。

匿名達は少しその投稿にのりながらも、コモンセンス叩きをやめなかった。

ゲームに戻り手紙を確認する。サイキさんから返信が来てることに気がついた。前に頼んだのを考えてくれたようだ。

“jpnなんてどうですか?”

僕は肯定の手紙を返し、名前を変えるとエターナルに向かった。

メンバーを確認した。その中に、前回サイキさんに狙われ、雑言を吐きかけられていた人がいた。名前はtrashで、サイキさんに
“ゴ〇って意味ですよw”と嘲謔(ちょうぎゃく)されていたのを覚えている。

僕は彼女の事が気になった。以前一回だけフレンドになったことがあったのだが、時間が経つといつの間にかにフレ枠から消えていた。

同じキャラクターばかりを使っているようで、常連のようなaaaaランクaaaランク禁止に執着などはなかった。簡略化される事などどうでもいいのだろう。

そして、サイキさんも彼女と同じでaaaaランクキャラ待機していたので、低レベル駆除のメンバーと常連の違いを痛感した気がした。

あれやこれやを考えていると、いつの間にかにエターナルをクリアしていた。フレンド申請を送る。
その後、フレ枠とにらめっこした─