2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

1話物語⑩

秋の日の夜この寂しい夜に私は1人きりだ。外ではコオロギがないて、霜の振る寒い晩であるのに、誰もいないこの家の中で1人で寝るのだろうか。私はそう思いながら、むしろを下にひいて、横になった。片袖を敷いて、私はただ、寂しさが募っていた。こんなに外…

1話物語⑨

鳥の声と月それは私が散歩している時のこと。鳥の声がとてもうっすらときこえてきた気がしたので、その方角を見てみた。すると、その姿は無かった。私の経験から考えるとあれは、ほととぎすの鳴き声だろう。しかし、あたりは、すっかりと朝の明るさを失い、…

1話物語⑧

美しい夕方今日は前に自分の家のかわりとして作った宿に泊まる。仮だったため、粗末なものとなっている。ススキに似た植物を屋根に。雑なものとなったが、なんとか完成した。辺りを見回すと、もう日が暮れている。今日は自然の美しいものが見れるかもしれな…

1話物語⑦

綺麗な花昔、都に咲いた花は、こうして引っ越した今でも変わらず綺麗に咲いている。美しい花達が一面を彩らせ、春のおとずれを感じさせる。なんといい景色なのだろう。いずれ散ってしまう花達だが、この一瞬をとても喜びたい。この時が幸せであるのだから。…

1話物語⑥

この気持ち私はあなたのことを思っている。口に出して、何度言ったことだろう。しかし、伝わらない。この大きな気持ちは。燃えるような思い、あなたのことを考えて、このあつくなった心を一度の言葉で語り尽くすことはできないでしょう。簡単な言葉であって…

1話物語⑤

友達になりたい思いずっと近くに居た人。だけど、関係は何も無く、ただそばに居るだけのその人は、なんだか私の心に残り続けていた。そうして、誰にも分からないよう口に出さずにおいたその感情が、何故か、周りのみんなに広まっていった。その人と友達にな…

1話物語④

あの雪私は朝早く目を覚ました。太陽が眩しく輝いている。昨日の地に降り注いでいた雪はなくなり、それが降り積もる。すると、ふと、私の目にうっすらと光が差し込んだ。それは近くの里の方から見えた。あれは有明の月か。私はそっと目を細めて、そこをじっ…

1話物語③

月のぼる夜に今日、私は、憧れの人を待っている。あの人は女性の中で、1番輝いてる人で、影で多くの女性が憧れ、とても慕っている。私もあの方をお慕い、おそばに居たいと思ってます。今日、「今すぐにも行く」とあの人は言った。私は喜びのあまり、この9月…

1話物語②

妻への伝言男は君主である王様の命に従わなかった。色々なものを取り入れるために、海外へ勉強に出る旅の途中のこと。船に乗ろうとする最中、男はどうしてもこの船が信用ならず、乗らないと決め、王様の言いつけを無視した。それに、ご立腹の王様は、彼に流…

1話物語①

あなたと私の別れ「これから、旅に出ようと思います。」私はそう言って、大切な人に別れを告げた。あの人はただ、何も言わずに私を見送る。道中呟いた「あの人は私のことを信じている。だからこそ、何も言わずに見送ってくれた。」その優しさを思うと、私の…