その一言が聞きたくて⑤

Night assailant

何度もイモータルに通ってると、よく見る人を段々意識するようになる。

僕と同じくらいの強さ、見た目は中性で、決まった武器、防具をローテーションで使って、勇猛果敢に挑む。

あれから強くなったはずだったが、それでも、イモータルは難しく、勝ったり負けたりが繰り返された。

しかし、それでも、どこか楽しさがあった。

交流は無かったが、小耳に挟んだ話では、名前をイモティコンと言うらしい。

また一緒にしたいなぁ。

そんなことを浮かべていた。

────

夜が耽ける。しかし、イモータルは相変わらず活気ずいていた。

比較的熟練した冒険者が多く縛りを好む。

眠れない夜は、こうして熟練者とともに縛りプレイに興じる。

武器、防具種類も少ないが、それでも出発できた。


対戦中は一抹の不安が過ぎっていた。

それは、熟練者達のこと。縛りをするからには、排他的でなければならない。

強い武器、防具で無双する冒険者は勿論、強くない人達すらも一緒に行ってはくれないだろう。

そして、あんまり出発しないと段々イライラが募って、常連達は強硬手段に出るかもしれない。

それはNLOに繋がって、最終的には、悲惨な未来に向かう。

その後も僕は対戦を楽しみながら、色々なことを考えた。

──────

他の部屋では、出発前挨拶が交わされる。

冒険者のレベルはバラバラで、強い人からはじめたばかりの人までさまざま居た。

その中に影が1つ。

人数が集まると出発される。

強い人が前線で戦い、はじめたばかりの人は見ている構図になった。

だが、1人、熟練者の黒い男が遠くで見物していた。そして時を待つと、そっと剣を抜く。

その剣先は敵ではない他の方向へと─────

僕は対戦を終える頃には、1つ案が浮かんでいた。

他に誰でも楽しめ、その延長上にメダル報酬があれば、イモータル以外に分散できるのではないか…?

常連者の中には、やる事がないからとイモータルで刺激を求めるものがいる。

初心者だけでなく、常連者もそっちにいかせられる。

だが、問題があった。それが実装されたとして、また同じような状況になってしまえばどうだろう?

僕は一旦それを片隅に置いた。

Victims and actions

丁度その頃、イモータルで負けた冒険者が運び込まれる。

人数が揃ってなく、あの機能を知らない人が一定数居たらしい。

その中の1人に聞いてみると、戦線は良好だったと言う。

だが、いつの間にかやられたと。

それを聞いてふと思い出す。

これは何かの予兆なのでは?

すぐにイモータルへ向かって探し回った。もしかしたら、知ってるぼうけんしゃがあれをやっているのかもしれない。

そう思うと、居てもたってもいられなくなった。

色々回るがどこにも見当たらない。アベリに聞くが矢張り居ないと言う。

仕方ないと何度もイモータルで行くメンバーを探し回った。

そして、いつの間にか夜がふける。

──────

あの人が求めるもの。それは強さと悪。

全てを壊す。それが今の俺の使命だ。

男は暗闇の中、剣をそっと味方の方へ向けた。

そして走って勢いよく剣を!

今日も終わらせた。男がそう思った時だった。

刀が止まって動かない。
すぐに後ずさりし、状況を把握する。

「やっぱり君だったのか。」

僕はあの後も色々探したが、見つからなかったので諦めようとしたその時、彼を見つけた。

こっそりとメンバーに入って、様子を伺うと確信した。

暗闇の中で視界が段々慣れてくる。

そこにはナイトの姿があった。暗闇に紛れて、冒険者を倒してたようだ。

「何故、そんなことをするんだ。」

僕がそう言うも、何も答えず、ゆらゆらと視界から外れて襲いかかってくる。

僕は必死に応戦しながら話した。

「もうこの世界は平和になったんだ。なのにどうして、争いを、悲しみを繰り返そうとするんだ…」

それに少し鼻についたようで言い返す。

「あの人は帰ってこない。何も平和にはなっていない。

俺はあの人の遺志を継いで、冒険者達を倒すのだ」

そう言い、ナイトが力んだところで、剣を上に払い除けた。

剣は飛んでいき、ナイトは地面に腰をつく。

そして、剣をナイトに向けた。

「魔王は生きている。今はもう魔物じゃない。

今は自分のした過ちから旅に出たんだ…。」

ナイトの目から涙が溢れる。

「彼は自分のしたことを誰かに求めてなんか居ないんだ…。」

──────

From darkness to light

あれからナイトの噂をあまり聞かなくなった。NLOと言う匿名組織でも、少し話題になったが、数日経って話す人すら居なくなったのだ。

これでもう大丈夫か?と思っていたが、再び、話題は人物からグループへと変わっていた。

このグループとの争いは、避けられないだろう…。

僕にとっての原点、何かを与えてくれたもの。しかし、それら全てを自らの手で壊してしまった。暗闇の深さから…。

彼らにETWを辞めさせなければいけない。

僕ははじめたばかりの人の部屋をいくつも訪れた。しかし、中々それらしい人は居ない。

彼らはどこにいるのだろうか?少し考えていると、ふと思いつく。

「まだ、この世界では、その人達会っていなかった。」

アベリが見せてくれたあの世界も、断片的で、彼らの顔、姿もあまり見えなかった。

どうしようとも、彼らが分からないのでは仕方がない。

少し項垂れると、一念発起した。

「分からないなら仕方がない。」

沢山、何度も何度も探して、彼らを見つけるしかない。

僕は予感していた。

ここの勝負こそが、この世界での、僕にとっての最後の戦いであることを────

イモータルに入って、何度も何度も終わるまで対戦した。

目的設定があのグループを見つけることだったため、大変さを隠せない。汗がびっしょりだった。

しかし、いつも変わらず夜はぐっすりと眠れた。

───────

皮肉なことに、疲れた後に眠るシーツは気持ちいい。僕は、中々、朝ベッドから出れなかった。

しかし、ETWのことが浮かんで、飛び起きた。過去の決着をつけなければいけない。

過ちと後悔、そして、理想の世界のために…

道中、ナイトと出会った。

少し話をした。

最近は、イモータルにあんまり行かないという。

目的ができたらしく、遠くの方をみつめた。

あの人のところへ行き、ともに、未来を見つめたい。

それが、彼の願いだった。しかし、彼の消息はつかめないままTOBAEへ戻ってきた。

求めているものは、中々手に入らない…。その時、少し悲しい表情をしていた。

ところで、彼はさっきイモータルに行っていたようで、情報を伝えてくれた。

勝てないような強さで挑む主人の部屋にお邪魔した時、黒い影を感じ、身構える。

特に味方の方に注意を向けていた。

対戦からは、少し離れ、近くに2人固まってるところがあったのだ。

それに注意を向けていると、案の定、自らの剣を振り上げた。

彼はすぐにそこへ向かい、剣で受け止めた。

まさか、敵を目の前にして味方グループとされるメンバーと戦うことになるとは思わなかったが──────

Fight for the future

剣を受け止められたその男は、少し驚いていた。しかし、それには気にせずもう一度、振り上げておそう。

ナイトは、それも剣で受け止めた。そして、逃げるように促すと、1vs1の状況に転じた。

まずは、ナイトから動き出す。

飛び上がって、剣を思い切り振りかぶり、その男の頭上におりていった。

倒した…。そう思った直後、その男はいなくなる。

ナイトは、辺りを見回した。しかし、どこかに潜んでいる気配もない。

やつは、もうはじめたばかりの人を倒せないと踏んで、リタイアしたんだ…。

それから、イモータルは、その男以外欠けることなくなんとかクリアしたという。

────────

僕はその話を聞いてナイトと別れると、すぐにイモータルへ行った。

もしかしたら、彼らと会えるかもしれない。これ以上の犠牲者を、未然に防ぐことができるかもしれない…。

そう思うと、いても立っても居られなくなったのだ。

しかし、着いてみると、何度やっても出会うことはなかった。

存在の有無さえ、疑いはじめる。

自分は、居ないものを必死に追いかけていたのかもしれない…。

事実、そのメンバーの、顔や、名前、特徴すら分かってないのだ。だからこそ、存在しないものを追いかけていたとしても、不思議ではない…。

いいや、そんなことはない。

僕は心の中で、雑念を払った。きっと信じて探せば出会える。

レベルの高い人から、はじめたばかりの人の部屋まで何度も何度も行った。

全く戦果がなかった訳では無い。イモータルの楽しさは健在であり、更に段々、よくあう人は名前や、顔を覚えて浮かんでくるようになった。

なので、彼らに接触して、あのメンバー特徴を聞いたり、協力を募ることだってできる。

ただ、接触は難しい。NLOに言われた、そのメンバーの一員、加入したいのだと要注意人物にあげられる可能性だってある。

だからこそ、もっと対戦して、安全だと認識される必要がある。

今のところ、イモータル繋がりなのは、ナイトだけ。これから少しずつでも、イモータルの常連者と関係をもたなければ…

───────

その後、どうするかを考えたところ、僕は協力を頼むことにした。今は、彼を待つところだ。

久しぶりに会うが、どうだろうか…?

そうして少し不安になっていると、ようやく彼の姿が見えたのでここに居ると僕は手を振って言った。

「バルラさん久しぶり」

彼を呼んだのは、これから何かが起こることの予兆だったのか それとも、全ての希望へのはじまりを告げるものだったのか?

その時の僕はまだ知らなかった─────

Past and exploration

バルラさんは、LB戦の後、旅にでた。あてもない旅に。

多くのぼうけんしゃに出会って、そこで、いろいろな温かさに触れたという。

旅人の自分にご飯を恵んでくれる人、泊めてくれる人、世界には、悪い人間ばかりではなくいい人も沢山居るのだと…。

優しさに触れて、何度も涙をこぼした

────────

悲しみは繰り返してはならない。バルラさんは、絶対にETWを止め、いざこざなどを無くして、幸せな世界を作りたいと言った。

彼自身の過去のことを考えると、とても強く心に響いた───────

2人で手分けして探すことに決める。いつグルーブが来るか分からない。

バルラさんと別れると、僕はいつも通りの部屋を探した。

グループが一緒にいても勝てそうな部屋がベストだ。それを念頭においた。

僕自身が、まだ弱いので、あのグループと当たれば全滅を避けられない。

なるべく、強いひとが居ないと、勝つことは不可能になってしまう。

それだけは防ぎたかった。

しかし、何度部屋を探しても、メンバーは見つからない。

僕はふと思いついて、NLOを訪れた。ここは、皆が覆面をつけ声も変わる、完全匿名の組織。

しかし、普段とは同じや、違う名前で参加する事もできる。

しかし、匿名性を失うことで共に制限される、自由会話を減らしてまでする冒険者はほとんど居なかった。

僕自身も、匿名の1人として潜入した。

ここで、自分をバラしてしまえば、あのグループに警戒されて、接触することすら叶わないだろう。

そこで、少し情報を聞いてまわった。

結構経っているため、見た事のない冒険者は居ないと考えた。

そして、時間が経ち、ある程度手に入れたので、少しそれを整理していた。

構成人数は3~4人で、男性が3人、女性1人。

特徴があって、皆、防具はすぐに負けるものに必ず設定し、後々、魔物に襲われた時のためのようだ。

基本的には、数的優位にならないとそれをしないようで、何もせず早めに負けるために、つけてる理由もあるらしい。

僕はこの情報から、一人一人合致するのは居るか見ていった。

すると、偶然、それらしき人物がいたので、自分から接触していった。

その人の名前は、「ビギン」さんと言うらしい。

もしかしたら、彼と話せば、そのグループについて分かるのではないかとセッティングした。

まだなんの根拠もなかったが、僕の中では、何かが1歩近付いてる気がしたのだった──────

その後、バルラさんと合流して、ビギンさんと思われる人物と、もう1人がETWをしていたことを聞いて確信に変わる。

しかし、防具が弱くなっていたとはいえとても強くて止められなかったと言っていた。

バルラさんが…?
少しの不安を持ちながらも、やってやる…!と僕は握りこぶしを作った──────

The first one

それからバルラさんと別れて、すぐに、NLOに向かった。

というのも、ビギンさんと待ち合わせしていたからだ。

昨日出会って、タイミングがなかったため、ここで会おうとなった。

彼はここでは、ディナーという名前で活動しているらしい。

少し探していると、合流する。

僕は何度か彼に確認をした。

矢張り、ビギンさんと同一だと確認できると本題にはいった。

「ETWをしていますか?」

彼は少しして頷く。

それを見たあと、僕は、色々なことを聞いた。

それに、ほとんど答えてくれた。

グループに所属しているか?ということ。そこのリーダーは誰かなど。

彼の話では、リーダーと思われる人とは繋がりがあるが、所属はしていないという。

そして、名前は、偽名で本当のものとは違うらしいが教えてくれた。

ちなみにその名前は「ディストラスト」というらしい。

彼は自分よりとても強いと言った。

ところで、ビギンさんは、別にはじめたばかりの人が憎くてやっている訳では無いらしい。

周りの冒険者が、攻撃する人だった場合、それに合わせて自分もしているのだと言った。

周りの空気によって、自分もしなければとなるらしい。

以前僕が見た時は、その前に沢山ディストラストさんに出会ったため、自分も混ざらなければやられると思ったから、弱めの防具にしていたと。

皮肉なことに、彼らと同じことをすれば、よっぽどの事がない限り、敵と見なされることはないのだ…。

しかし、だからこそ、今するべきことが僕の念頭にあった。

僕は、1回、ビギンさんにイモータルで対戦することを求めた。

OKを貰うと、すぐに準備する。万全の状態になり彼を待つ。

するとやってきたので、他のメンバーを確認すると、出発した────

道中は、ビギンさんの見事なプレイで何度も助かった。ETWをしてるからと言って、プレイングがあまりな訳では無い。

ひょっとすると、「常連」と呼ばれる人たちに匹敵する力を持ってるかもしれない。

そう思う程だった。

「負けていられない!」

僕はそうボソリと呟くと、ビギンさんを後ろから狙っていた魔物を剣で追い払った。

彼は感謝をつげると、そのまま魔物と対峙する。

これこそが協力プレイの良さだ

僕は心の中でそう思った────

終わると、ビギンさんに接触していった。

彼はまた感謝を告げて、「また対戦したい」と笑う。

それが、とても大切な瞬間だと思った。

そして、同時に、ディストラストさんにも、この楽しさを知って欲しいと思った。

僕ならできる。

全く根拠が無かったが、今日のことで、強くそう思ったのだった────────

Second battle

今日は、自分が部屋を作ってみることにした。

いつでも来い。僕はその思いで、ETWグループを待った。

すると、見た事のある人物がやってきた。

ビギンさんだ。

前とは変わって、防具は全て対戦に備えたものでそろえていた。

それを見て、僕は少し嬉しくなった。

しかし、ほかのメンバーは、あまり強くない人だけが集まっている。

この戦いに勝てば、あの、ETWグループが居ても大丈夫かもしれない。

僕は心の中でそう思った─────

その後、ビギンさんは、何も不満に思わず対戦に参加してくれた。

数度、強くない人を狙われたが、2人の連携でなんとか乗り切り、ギリギリのところだったがクリアできたのだ。

とても苦しい戦いだったが、乗り越えたことで、自分の中になんとも言えない喜びがあふれた。

その後に、ビギンさんと話し合うと、彼は嬉しさを見せながら、「こういうのもいいものですね。」と言った。

それから数日が経つ。

相変わらず、彼らとは会えなかったが、情報は少しずつ手に入れた。

彼らは決まった時間に現れ、何人か引き連れて行うのだと。

そして、続いていい情報も入ってきた。

メンバーは2人ではないかと変わったのだ。

このまま少しずつ、ETWグループを減らして、誰も悲しまない方向へと…。

僕は心の中でそう思った。

だが、その時は、未来に起こることなど予想もつかなかっただろう───

今度は何度も部屋に入ったり抜けたりで、探すとようやく、そのプレイヤーらしき人と一緒になった。

顔を隠して、自分の特徴をさとらせない。接触しづらいが、行くしかないと思ったが、話しかけると、離れていった。

心なしか、似たような冒険者も増えて来た気がする。

そして、出発だ。

僕は初心者の人の方をじっと見つめていると、3人の冒険者が初心者を取り囲んだ。

そして、一斉に剣を初心者の人の方へ。

僕は叫んだ

「辞めろー!」と。

しかし、その声虚しく、初心者の人はやられて、その冒険者達も居なくなってしまった。

離脱したのだ。

残された僕は戦慄する。目の前で、大勢の冒険者達に、一瞬で奪われてしまった。

あのグループは、一筋縄ではいかない…。

その後、バルラさんと話し合った。

他にもメンバーが必要だと。1人ずつこちら側につかせていって、それをする人を居なくさせようと。

その頃、NLOでは、ETWグループへの不満が高まりつつあった。

そして、その一角では、それを聞いた1人の男が、強く歯を強く噛み締め、握りこぶしをググッと作った─────

New collaborator

バルラさんと僕は悩んでいた。どうすれば、協力者を募れるだろうか?と。

難しい問題で、あのグループが暴れてる中、彼らに反抗してる人を待つ訳にはいかない。

どうしたものか…と僕が頭を抱えると、隣で、バルラさんが思いついた。

「NLOで集めたらどうだろうか?」

なるほど…。心の中でそう思うが、否定的な考えが浮かんだ。もし、その協力者が彼らで、待ち合わせの際に襲ってきたらどうだろうか…。

実力差は見て取れる。圧倒的にこちら側が不利で、完全防備の体制を整えられてしまう。

だが、NLOで情報をとるのはいいので、1度そこへ行って色々聞きながら、作戦を練ろうと考える。

その後、一応バルラさんの考えに賛成し、NLOに着くと、2人で手分けをした。

──────

終わって、情報整理のため2人で何があったか話し合った

すると、毎回毎回、ある人の名前が対照的にだされる。

それは、ホープさんという人だ。

そこまでは強くないらしいが、いつもイモータルを楽しんでるため、上位者などから好かれ、正義感や親しみやすさがあって、さながら、ゆるキャラとアイドルの中間のような人格だと聞いた。

そして、あのグループを見かけると、辞めさせようと躍起になり、自分、もしくは他の人のところで、初心者が居ても寛容に最後までする優しさがあるという。

僕はこの人だ!と思った。

どうしたら会えるだろう?バルラさんと考えるが、中々思いつかない。

イモータルをやり込んで、上級者の方々と、より良い関係を築くか…?

しかし、そんな悠長なことはできない。

ETWで被害を受けている人が居ると思うとやるせない。

それなら、待つのではなく、諦めず、何度だって対峙して、戦った方がいいんだ。

すると、偶然、2人話してる人物が通り過ぎた。

その中で、片方の名前がよばれた時、ハッとする。

ホープさんだ。

僕はすぐさま彼に接触した。

─────

少し話していると、矢張り、彼もETWを許せないらしく、何度かグループに接触し、防ごうとしているらしい。

1人で果敢に挑む姿にやられ、上級者数人が彼の味方をして、協力してくれることもあるようだ。

いや、彼の楽しいプレイングや、性格に惹かれたのだろう。

彼らの情報を共有し、作戦を考えた。

あのグループは、ある特定の時間に1時間程あらわれる。

その時を中心に、探してまわり、見つけたら他に報告し、決して1人では戦わないこと。

それを取り決める。

ホープさんは、1人で行動してたらしく協力者は居ないようだった。

僕は心の中で、それでも仕方ないと思ったのだった─────────


Withdrawal and hope

2人で行動することにした。

最初は、ホープさんと僕で、バルラさんは捜索をしてもらい、見つけたら報告してもらう。

その時、決して、1人では戦わないこと。

それを約束し、バルラさんとは、少しの間別れた─────

そして、1度入ると、ドンピシャでETWの冒険者らしき人が居た。

出発前に接触する。

だが、彼は、ETWをしていたグループをみてまたもや、自分もしなければ…となった冒険者のようだった。

ホープさんの説得から、もうしないと言ってその部屋から抜けていった。

これは少しまずい…。

はやくグループのボスにETWを辞めさせなければ、悪い影響が広がって、イモータルが暗闇に閉ざされてしまう。

だが、それをみたホープさんは、優しく「大丈夫だよ。落ち着いていこう」と言ってくれた。

少し肩の荷がおりて楽になった。

──────

対戦が終わると、バルラさんのもとへ向かう。しかし、最初の場所には居なかった。

まだ対戦中だろうか...?

そう思った僕は、彼を待つ間、NLOに行って、何か新しい情報はないか調べようと考えた。

しかしそれは、求めていたものではなく、とても悲しい情報だったのだ。

ETWグループの1人の名前がバルラと言う。

耳を疑ったが、そう聞いた。姿の情報も本人そのものだ。

僕はすぐにNLOを後にし、バルラさんを探した。

すると、TOBAEをでるところだった。

「バルラさん、どこへ…?」

少し悲しい表情で言う。

自分は、僕たちの言ったことを無視して、彼らを止めようとした。

しかし、それが上手くいかず、宿屋送りに。

なぜ1人でなのか?

理由を聞くと、残り枠が1つで、自分が行くしかない、止めるしかないのだと思った。

しかし、その結果がこの有様で、裏切ってしまったので去ることにすると。

バルラさんがETWをしていると噂された、それを言おうか僕は迷った。しかし、それをそっとしまった。

「僕に任せて欲しい」

バルラさんは笑って言う。

「君なら大丈夫、知ってるから。

それに、ホープさんと言う、強い味方がついたんだ。これ程頼もしいことはない…」

そう言うと、最後に、見つけた人の特徴を教えてくれた。

複数人居たはずだったが、そのうちの2人が、行動が遅く似たような動きをみせていた。

もしかしたら、この2人は…

その後、僕は「ありがとう」と感謝をつげて、彼と別れた。

そこには寂しさがあり、ほおをしめらせる。

きっとやってみせるから──────

数日が経つと、バルラさんの噂は何もなかったかのように消えたのだった─────


Many versus two

彼の情報を元に、2人で探す。

すると、はじめて僕の前に、ディストラストさんが現れた。

ホープさんと行って、ようやく会えたのだ。

しかし、実際に会ったものの、接触できるような雰囲気ではない。彼はとても嫌そうな顔で、強くない人のことを見ていた。

それを、ホープさんは何もせず、ずっと観察している。

すると、彼が気付いたようで、ホープさんに近付いてきた。

そして、開始前だと言うのに、バチバチした雰囲気のまま、最初に言ったのは、ディストラストさんの方からだった。

「雑魚の肩をもつなんて、正義気取りですか?」

彼はフッと笑う。

しかし、ホープさんは何かを言い返そうとはしなかった。

ただ、黙って、じっとディストラストさんの方を見ていた。

「相変わらず、地蔵ですか。私の行いが正しいことはいずれ分かります。」

そういうと、彼は部屋から立ち去る。

重い空気がそこに立ち込めていた。

しかし、それを破ったのは、ホープさんだった。

「大丈夫かい?

彼は居なくなった。これからのんびり楽しく、イモータルができるよ!」

そう言って笑う。

彼は明るい、あんなことがあった後でも、自分を保っていられる。とても強い人間だと思った。

しかし、逆に、今回のことで、とても不安を感じていた。

二人の仲が悪いのでは、彼にETWを辞めてもらうことはできない。

僕はそう思ったが、強くそれらを振り払った。

たとえそうであろうと、やってやる。と。

悲しみは繰り返してはいけないんだ────

ところで、ディストラストさんとともに居た仲間らしき人物が数人、まだ残っていた。

僕はそちらをうかがいながら、対戦へと出発したのだった─────

ホープさんは、回復や補助に貢献して、ありがたく、とても安心感がある。

僕はあの疑いから、ちらちらとそちらをうかがって、戦いを進めていく。

しかし、その人達は、こちらに何かしようとはせず、敵と相対して、倒していった。

それを見て、少し安心して、僕らは最後まで誰一人欠けることなく終われたのだった──────

その後、ホープさんに話を聞く。

残っていたあの人は、ETWメンバーの1人だと。しかし、何故か分からないが、ディストラストさんが居ない時は、まともにすることもあると言う。

だが、前に見た時、ディストラストさんのように凶暴になって、弱いものは悪だとむき出しに、全てを倒して行ったらしい。

それを聞いて少し怖かったが、ETWのグループだからと言って、全員が全員そういう思想の持ち主だとは限らないことが分かった。

ETWメンバー一人一人を説得し、彼1人だけになれば、きっと、それを辞めるだろう。

希望が見えた─────