その先に待つもの(番外編)

1日記の中の物語
魔王の城を探す途中コタロー達は廃村に立ち寄った。

「今日はここで休むか。」

「それにしてもここは酷えな。」

家はボロボロで窓を開けていないのにも関わらず夜風がふいてくる。

雨などが降ってきたら雨漏りどころでは済まない屋根。

しかしもう夜遅いのでここで寝る事にした。

朝早く起きたコタローは下に日記帳が落ちているのに気がついた。

昨日暗かったから気付かなかったんだな。

皆が起きるまで暇だったのでなんとなくページをめくった。

5月9日

今日、運命の人と出会いました。

いつものようにお買い物に行っているときの事です。

帰る途中変わった服装の男性達が宿に入っていくのを見て怪しいと思った私はこっそりと後をつけていきました。

彼らは自分達を旅芸人と名乗り奇妙な術を使いものを消してみせたりしています。

そして私は調べていくうちにその中の一人の男性の事ばかりを考えるようになってしまったのです。

家事中もぼーっとしてしまっていた私はその男性に話しかけてみる事にしたのです。

「あの、私エイコっていうんですが」

「どうしたんだい?」

「…」
顔が赤面して声がでない。

「あっ、あのあなたのお名前はなんていうんですか?」

勇気を振り絞って声を出す

「俺の名前はエントだよ。」

「ここにはいつまで滞在する予定ですか?」

「当分いるつもりだよ。ここはとても気に入っている場所だからね。」

「あのっ、また会ってくれますか?」

「あぁ、こちらこそだよ。」

男性と話すのが苦手だったのだけどその男性とどんどんと打ち解けていった。

楽しい、この時間が永遠であればいいのにと思っていた。

しかし、現実はそうもいかずとうとう別れの時が来てしまった。

「嫌っ、行かないで。」

「ゴメンよ。俺にはやらなければならない使命があるんだ。」

「じゃぁ、それが終わったら戻ってくる?」

泣きそうになりながらエントの顔を見つめる。

「あぁ、約束するよ。」

「じゃあ、またな。」

そして、私は村から去っていくずエント達の背中を見つめていた。

それからというもの毎日外に出てはエントが帰ってくるのを待った。

いつか彼が帰ってくると信じて。

雨の日も夏の暑い日も─。



もうどれくらい経ったのだろう。

彼の事ばかり考えて水も喉を通らない。

私は痩せ細っていた。

そして、いつものように彼の帰りを待つ為に外に出ようとしたときの事だった。

ドンドンとドアを叩く音がする。

開けるとそこにはずっと待っていた彼の姿があった。

私は彼を見るやいなや彼に抱きついた。

そして、水すら殆ど飲めずにいた私の目から大量の涙がこぼれる

「ありがとう。約束を守ってくれて。」

「すまないが、今はこんな事をしている場合ではないんだ。」

彼は何かとても焦っているようにみえた。

「どうしたの?」

「ここに魔王の軍が迫ってきている。君だけでも逃したいと思って来たんだ。後約束を守るためにな。」

彼の語る一言一言に私は驚きを隠せない。

「実は君と一緒にいる時間がとても幸せだった。これからもずっと一緒に居てください。」

「えぇ。でもちょっと待って。最後に日記をつけたいの。」

私達の物語はこれからどうなるのでしょうか。彼と永遠に幸せに暮らしハッピーエンドをむかえられるのでしょうか。

もう、日記をつける事は出来ない。

どんな事でも信じて待っていれば、いつかきっと必ず叶うと思うの。

いままでありがとう日記さん。

書き終わったエイコはエントと村を出た。

村では魔王の兵たちが村人達を殺戮してゆく。

「やつをさがせー!」

2人がその後どうなったのかは分からない。でも幸せになれたのであろうと思う読者であった。

日記の最後のページにはそう書かれていた。

コタローは自分以外にも読んだ人間がいる事を知り面白がって次のページに何かを書いた。

寝室で音がした。皆が起きてきたらしい。

「あれっ、読むのに夢中になってこんなに時間が立っちまった。まぁいいか。」

「行くぞ、皆はやく魔王倒してこの世界を平和にするぞ!」

「お前今日やけに元気だな~」

今日もコタローは魔王の城へ向かい歩き続ける。

残った日記の最後のページには“俺が全部救ってやる”

と書かれていた。

2死の淵の記憶
 意識がとびそうになる。

誰かにいきなり殴られたらしい。

俺はそいつの足を掴んだが結局何も出来なかった。

それが俺とあいつの出会いだった。


目を覚ますとさっきの男がいた。

知らない場所に運び込まれたらしい。

「あれ、ここは?俺は何をしていたんだ」

「ははっ、お前弱すぎないか?図体デカイ割にパンチ一発で伸びちゃうんだもんな。」

そうだ俺はしつこく喧嘩をうってくる奴がいたからビビらせようとして返り討ちにあったんだ。

「お前名前は?」

「俺はタケヲ」

「まんまな名前だな。俺はマージだ。ロードバトラーをやっている。」

「ロードバトラー?」

「歩いている奴ら全員に喧嘩売る男の事だ!お前も一緒にやらないか?強くなれるぜ。」

「あぁ」

急に殴りかかってくる奴だし断ったら何されるかわからないからとその時は軽く考えていた。

だが、この時断っていればあんな事にはならなかっただろう。悔やんでも悔やみきれない。


「あぁ、そうか。ならついて来い」

彼の後をついていくと何か薄汚い部屋についた。

「よぉ。マージそいつ誰だ?」

「新しく入ったやつ。タケヲって言うんだってよ。」

「そうか、よろしくなタケヲ。俺はヴィンスだ。」

二人は握手を交わし、これから何をするのか話し合った。

どうやらメンバーを集めているらしい。

その時何故集めているのかは聞かなかった─


そして、長い歳月が経った。

タケヲはまだマージの元から抜け出せずにいた。

「やっと20人ちょっとか」

「それにしても20人随分多く集まったな。今更だけどこれからどうするつもりなんだ?」

「それは、決まってんだろ、この世界をブチ壊すんだよ!」

その言葉に耳を疑った。

「お前そんな事を考えてたのか! 悪いが俺はお前のその脳内お花畑みたいな考えには付き合いきれない!」

「抜けることは絶対に許さねぇ!」

タケヲの目の前が真っ暗になる─。



目を覚ますと隣にマージが倒れていた。

「おいどうしたんだよ!」

ここは何処だ?と言う疑問を浮かべながらまわりを見渡すとマージの他に見知った顔の4人が倒れている。

「確かマージに殴られて気絶しちまったんだよな…」

「それから何があったんだ?」

暫くしてマージ達が目を覚ました。

「おい、ここは何処なんだ!」

「取り敢えず人を探してみないか。、」

暫く歩き村につく。

そこでここは異世界だと知る。

勇者として魔王を倒す事になった。



時には喧嘩し仲間割れをしたが無事誰もかける事がなく魔王の城についた。

「やっとか、村人の話では魔王を倒せば元の世界へ帰れるんだよな。」

タケヲははやく帰りたい気持ちで一杯だった。

「元の世界へ帰れなくていい。ここはとっても居心地がいいからな。」

マージはそう言いタケヲの体を刀で貫いた。

「どうして…?」

意識が遠のいていく─。


目を覚ますと暗闇の中にいた。

「あれっ、俺は確かマージに剣で刺されたのでは?」

しかし、体からは血がでていない。

「何があったんだ?」

すると声が聞こえてくる。

「タケヲよ。タケヲよ。」

自分の名前を呼ぶ聞き覚えのない声。

目の前には人の形をした何かがいる。

「誰だ。」

「私に名前はない。
しかし多くの人間からは魔王と呼ばれている。」

「お前は魔物として蘇った。私を狙う新たな勇者を殲滅させるのだ!」

暗闇に目が慣れてくる。

目の前には鬼のような形相をし、マントをたなびかせている化物がいた。

タケヲは足がすくみ声が出なくなる。

彼は言われるがままに勇者を倒しに向かうのであった─

3ニック


 僕は後悔している事がある。

友達と喧嘩をしてそれ以来一度も会っていない。

どんな理由で喧嘩したのかと言うと今考えるととても些細で馬鹿らしいことだ。


あの時僕はいつものように学校で仲の良い2人と遊んでいた。

「なぁ、今やってる戦隊物カッコいいよな!」

「うん。とってもカッコいいよ!」

2人はとても盛り上がっている。

だが、僕はその話題には入れなかった。

「おい、ニックはどのキャラクターが好き?」

僕に話しかける友達

僕はしょうがなく応えた。

「ヒロインのエネミかな。」

「えっ、マジかよー敵キャラだぜ?ないわー」

その時僕の堪忍袋の緒が切れた。

「暴力で世界を救うヒーローなんてっ…」

僕はそれ以上言うのをやめた。

そして、2人に「友達をやめよう。」と告げ
それからもう二人と話もしていない。


僕がヒーローを嫌っている理由は
母がいつも言ってくれる言葉だ。

「どんな理由があろうとも人を(暴力等で)傷をつける大人になってしまってはだめよ。」

その言葉はヒーローものだろうと同じだ。

僕はそう心の中で思った。



それから数年経ち、僕は16歳になった。

「あいつら何しているかなー。」

僕は窓の外に見える遠くの空をぼーっと眺めた。

まだ立ち直れてないんだ。

僕はそう思いながら机の上に伏せる。

そして昔の思い出にふけった。


「そういえば3人で昔何か埋めたんだよね…」

僕は思い出したように立ち上がった。

「よしっ、仲直りしよう!」

するとまわりから笑い声が聞こえた。

まわりを見ると先生が教卓の後ろに立ち、生徒が全員席について、微笑みながらこちらを見ている。

僕は頬を人差し指でかきながら

「あっ、すみませんでした。」と言った。

そして僕は照れながら席についた。

放課後あいつらの家行ってみるか

僕はそう思い、今は授業に集中する事にした。



学校が終わり僕は2人の家に向かう。

「えっ⁉ 〇〇〇〇君行方不明なんですか?」

「えぇ。捜索を出しているのだけれどずっと帰ってきてないの。」

失踪するようなやつではないのに。どうしたことだろう。

「あと、他にも同時期にいなくなった子が4人もいるみたいなのよ…。」

「えっ、その中に〇〇君もいますか⁉」

「えぇ。そうよ」

最悪だ。もっとはやく仲直りしていれば、こんな事には…

悔しい気持ちで頭が一杯になる。


「あの、もしよければこれもらってくれない?」

〇〇〇〇君の母の手を見るとゲームのディスクがある。


「悪いんですが、僕ゲーム苦手なんで持ってないんです…」

「でもあの子がとてもハマっていたみたいだから…」

「そうだったんですか!」

僕はそう言いそのディスク貰い家に帰る事にした。


家に帰ったら機械買って、やろう。

君の代わりに全部クリアしてやるからな。

僕はそう思っていた。



うぅ。

目を開けると僕は知らないところにいた。

そこから僕のストーリーが動き始めた。

その時の僕には、これからどんな事がおきようとしているのか予想も出来なかっただろう─


4歴戦の記憶

 僕は皆に使われるだけのただの道具だ。

ある人達から命を受けてこの世界にうまれた。

彼らにこの世界で僕にしか出来ない事をやってみせると

「素晴らしい、最高だ」

僕は最初そんな賛辞を沢山貰った。

それのおかげで僕はどんどん強さ自由さその他いろいろ成長していった。

でもあの人達最近は僕の事を殆ど見てくれないんだ。

だから僕はこの世界を支配しているのは誰か思い知らせてやろうと思った。

「やめてくれ!」

そう僕に懇願してくる人を皆殺しにした。

あの時はとても楽しかったよ。

それを見たあの人達は僕から目を離さないようになった。

とても嬉しい。

僕は彼らに感謝の気持ちとして人を操って殺し合いをさせるショーを見せた。

喜んでくれたかな?


僕はその時頭痛がした。

頭の中で沢山の人間が嘆いている。

「やめろ、やめてくれ!」

僕はその苦痛から逃れるため

それを他のモノに押し付けた。

やっと自由だ。

そう思っていたがそれはすぐに戻ってきた。


僕はこの苦痛から開放されるためにあるゲームを思いついた。

僕を倒す勇者を違う世界から連れてきて、そいつ等に僕を倒させよう。

そう考えた。

でも皆弱すぎる。

僕に手も足も出ないのだから。


それに僕は快感を覚えはじめた。

だからもう少し遊んでみようと思うんだ─。



ある時この世界に7人やってきた。

僕はいつものように村人達にあるモノを渡すように指示をだす。

村人達が渡したモノで僕は彼らを観察した。

その男達は友達だの仲間だのくだらない結び付きに拘る愚か者共だった。

だが僕は何故だか彼らに興味を持つ。

僕達は多くの刺客を彼らに差し向けたそれを彼らは協力して倒していく。

心の中でこれは楽しみだ。とワクワクが止まらない。



「おいっ、大丈夫か?」

どうやら彼らの仲間の一人が負傷してしまったらしい。

「あぁ、何とか。」

「でもその状態じゃあ、先に進むのは無理かもしれないな…」

「君は次の村で休んでいてくれよ。俺達がすぐに魔王倒して戻るからさ!」

「分かった。でも悪いなぁ‥」

彼は申し訳そうな顔をして頷いた。


それから村につき彼を置き去りにして彼らは出発した。

僕は残った彼を見て心の中で笑った。



「はぁ、あいつ大丈夫かなぁ…」

6人は不安になっていた。

「魔物がもしあの町を攻めてきたらあいつは…」


「なら、はやく魔王を倒せばいい!」

その一言が6人の暗い雰囲気をかき消した。

「あぁ、そうだな!」

「あいつのために、前へ進もう!」



それからどのくらい経っただろう彼らは道中仲間を失い4人になっていた。

「やっと…魔王の城についた…。」


僕は喜んだ。

彼らがここまで来てくれた事に




「どういう事だよ」

そう言いそばで男が一人うつむいている。


僕は心の底から思った。
そうだよ、僕はそれが見たかったんだ。





それからどれくらい経っただろうか。

新たな勇者がやってくる。


いつものように村人達が勇者にあるものを渡させた。

がその時僕は何かを感じ取った。

「こいつじゃない…」

5自分は何?

 「あなたは望まれて産まれて来たのよ。」

その言葉とともに僕は目を開けた。

そばで僕の生誕を喜ぶ二人。

父と母のようだ。

二人はまわりの流行り事などに敏感でその当時流行っていた、子供にこうなって欲しい事の反対の名前をつければいい人生が送れると

僕にセツナと名前をつけた。

その理由は単純で楽しい事が多い人生を送ってほしいと言うことだった。


僕は両親が望んだ通り悲しい事とは無縁で大きくなっていった。




ある日、歩いている私は誰かにいきなり殴られた。

目を覚ますとそこには見知らぬ男が一人私の前に立っている。

「俺の言う事を聞け」

私は立ち上がろうとすると動けない事に気がついた。

自分を見ると縄に縛られている。

「おい!ここは何処だ!」

「君はこんな事をしてただで済むと思っているのか?これは犯罪だぞ!」

男は殴ってきた。何度も何度も。

「わ、分かった。言う事を聞くから。だからもうやめてくれ。」

「そうか、それは良かった。」

彼はそう言い笑いながら私を見ていた。

この男から開放されたら、警察に通報しよう。
そう思っていたが、その日はもう来ない事を
その時の私には知る由もなかった。




月日がたち私はいつの間にか魔王を倒すと言う使命を持った勇者の一員になっていた。

どうしてこうなった。

私は何度も心の中でそう思う。




僕達はとある町へ寄った。

もし元の世界へ戻れないとしたらここに住むのもいいかも知れない。

そう思った僕は「いい町だ」
とつい声をもらしてしまった。

「お前こんなところに住みたいのかよ。」

私をここへ連れてきた(と思われる仲間)元凶が話しかけてきた。

「あぁ、別にいいだろう!」

俺は悔しさのあまり叫んでしまった。

「あぁ、前の世界よりはマシだな。」

私は彼のその返答に驚いた。

そして、この男は前の世界でとても辛い目にあってきたのだと勝手に納得した。

「悪かった。。」

私は小さい声でそう彼に謝っておいた。


「あのっ」

私達に話しかけてくる声の方に目を向けると男の子が困った表情をしてみている。

「どうしたんだい?」
  
「お願い僕達を助けて!魔物から村を開放して!」

少年の言葉に私は驚きを隠せなかった。

まわりの村人達を見てみると皆どこか暗い。

私はこの村を救うのを否定する仲間を丸め込み少年の頼みを聞いた。


そしてその夜の事、

「ふぅ、終った。」

「今回のも中々楽だったなぁ。」

魔物達を全滅させた。

私はあの男に夜が開ける前にでる事をすすめた。

「本当にいいんだな?」

「あぁ、これ以上私のワガママに君達を付き合わせる訳にはいかないからね。」


私は後ろから足音が向かってくるのをきいた。

あの少年だ。

私はさっき話していたことを包み隠すようににこやかでむかえた。

少年はあんなに苦しんでいたのに一夜でと、とても驚いている。

だが今は真夜中なので私はもう寝るようにと少年を家へ帰らせた。

私はこの町が平和になって良かった。と思いながらも不安をかかえていた。

それは魔物がまた、いつここを襲うかわからないからだ。

そして私は決意した魔王をはやく倒してこの村を守ってみせると。

少年の家に手紙を残し私は仲間と共に魔王の城へ向かった。



目を開けるとそこは暗闇の中。

「あれ、ここは何処だ…?」


「フッハッハッハ」

「誰だ!」


私はそう言い笑い声のする方を見て驚いた。


「お前は…魔王!?」

「すると私達は負けてしまったのか。」


「あぁ、そうだ。」

「お前はこれから新しく勇者を倒してくるのだ。」


「何を言っている!そんな命令を聞くと思うのか!」
「うっ…」

突如頭の中に声が響く。

「勇者を倒せ」と何度も


「くっ、何だっこれは!」


「お前は死んで魔物になったんだよ。だから私の命令には逆らえない。」

「やめろーー!」


それから私は魔王の命令に抗いながら城を離れた。


道中腰に差してあった剣に気付く。

「これはっ?」

すると声が聞こえてくる。

「フフフッ」

「なっ、誰だ!?」

まわりには誰もいない。

「ここだよ、ここ。」

声のする方を見る。

「おっ、お前はっ、もしや…⁉」


その後、私は謎の声からいろいろな事を聞いた。


「やっと…着いた。」

私は戻ってきた少年との約束を守るため─

「何故ここなのだい?」

謎の声が語りかける。

「ここの村のものを人質にとれば勇者はこちらに何も出来ないだろう?」

「そうか、中々魔物らしくなってきたではないか。」


私は少年との約束の事を隠した。

本当は魔物からこの村を守るためなのだが─


私は村に家を建ててもらった。

「魔法と言うものは凄いな」

「あぁ、他に何かあればなんでも言ってくれ。」

「いや、もういい。」

そう言い私は家に入った。



そして夜になり私は散歩に出た。

「セツナ様」

「誰だっ」

私は後ろから聞こえてきた声に振り返る。

するとそこには大量の魔物達が

「なんだ、お前達は!魔王に私を殺すように言われたか!」

「いえいえ。ミィ達はセツナ様のお供になりたくて来たんでねぇ。」

「要らん、この村から出ていけ!全員殲滅させてしまうぞ!」

「そんな事を言われても、魔王様に命じられたんでねぇ。」

私はこの時思った。

私一人では村の者を守れないかもしれないと。

「分かった、だが村人には手を出すな。人質として有効利用するのだからな」

「へぇへぇ。分かりましたねぇ。」



ある日の事私はいつものように夜外に出る

そして、久しぶりに少年の顔が見たくなったので家の窓から中を覗いた

「なっ」

そこに少年がいなかった。


私はすぐさま魔物達に少年が村を出ていかなかったか聞いたが既に遅かった─



その数日後私は勇者達に倒された。

父さん母さん、果たして私は二人の望む通りに生きられただろうか─


6夢
 俺は親に捨てられ名前はない。

孤児院で育つ。

そこで俺は他の孤児をボコボコにしていた。

そんな事ばかりする俺を指導員達は厄介者扱いしコルソンと呼ぶようになった。

俺はその名を気に入りコルソンと名乗るようになった。

そう、あの時までは─


ある日、女性が孤児院にたずねて来た。

彼女は誰かを引き取りに来たらしい。

女性は俺の顔を見てよって来た。

「会いたかった。マージ、辛い思いさせてゴメンね。」

と涙を流しながらコルソンを抱きしめる。

俺はすぐに自分の本当の名前がマージでこの女が自分の産みの親である事に気がついた。

その時喜びは一切なかった。

そして俺はこの女と孤児院を後にする。

彼女と帰る途中話しかけてきた。

「ゴメンね。あなたのお父さんが…言ったのよ。」
「でももう別れたから大丈夫よ。2人でこれから仲良く暮らしましょ。」

その時の俺は自分に親がいると言う事に喜びはなくずっとモヤモヤとした今までに感じた事のない感情が心の奥底に見え隠れしていた。


家についた。

「今日からここがあなたの家よ。」

俺は何もないこの空間で長い間2人で過ごさなければならない。その時の俺には何故だか分からないがその確信があった。

心の奥底にあった感情が爆発する。

俺は包丁で彼女のお腹を突き刺した。

「今更、遅いんだよ…」


数日後、彼女の死体が見つかり俺は少年院に送られる─

務所の中で俺の頭の中に「マージ、マージ」と呼ぶ母の声。

「うるせー!やめろー!」

俺はその声が聞こえる度にそう必死に叫んだ。




どれくらいの年月が過ぎただろう。

俺は釈放された。

そして務所の中で溜まった鬱憤を晴らすため俺はそこらへんにいる適当な人間をボコボコにする事にした。

俺は背丈が、同じ男の肩を掴みグーで顔面を狙った。

「おっと。」

パンチが頬をカスる。

「なっ!?」

俺は驚きのあまり声が出てしまった。

それが奴との出会いだった。これは宿命だったのかもしれない。

そして、それ以来俺は何故かその男と親しくなっていった。



ある時のこと、俺はその男にある事をもちかけられた。

それは【一緒にこの世界を壊さないか?】と言う事だ

俺はこの世界に絶望していた。

だから自分と同じ心を持っていた人間がいた事を嬉しく思い、それに承諾する。


そして俺はメンバーをロードバトラーと称し勧誘をはじめた。

しかし、馬鹿らしいと断るもの、話を全く聞かないもの達ばかりで一向にメンバー集めは捗らない。


それに苛立ちを隠せなかった俺は暴力でねじ伏せ無理やり入れることにした。

そうしてからというものメンバーは面白いように集まった。

俺はその時確信した。

そうか人を支配するには暴力を使えばいいのだと─。





目を開けるとそこは見知らぬ風景。

「俺は何故寝ていたんだ?」

まわりを見ると今まで集めてきたやつが4人いた。

「お前らか!ここに俺を連れてきたのは!」

全員で今までの仕返しをするつもりだなと思った俺はファイティングポーズをとる。

するとヴィンスが止めてきた。

「やめろ、私達もここが何処か分からないんだ」

「そうだったのか…それは悪かったな」


俺はこいつだけには気を許していた。

初めての理解者だったからだろう。



俺達は近くの村で、村人に話を聞いた

どうやらここは元いた場所ではないらしい。

そして、元の場所に戻るにはここの主を倒さなくてはならないらしい。


それから村人達に一本の剣を渡される。

俺はその剣をアザーズと名付けた。

これからきっと俺のために働くだろうと─


俺達は道中魔物達と遭遇した。

丁度いいと思いその魔物を試し切りに使った。

切った魔物から大量の血が吹き出す。

その時俺は最高に気分がハイになる。

「この世界いい、最高だ」

ニヤケが止まらない。

俺はずっとこの世界に居てもいいと思った─


それからいろいろな町を巡り魔物退治を引き受ける。


そればかりが続き俺は魔物を倒すのにあきた。

「魔物はもういい…違うものを…」

俺はその何かわからないものを渇望していた時謎の笑い声が聞こえてきた。

「へっへっへっ。」

「誰だっ!」

「オイラはテストって者ですよぉ。」

「そんなやつは知らねぇ。」

俺は刀をそいつに向ける。

「いやいや待ってくださいよぉ。あんた達違う世界から来たんでしょぉ?」

「なんでそれを知っているんだ?」

テストは笑いながら言った。

「オイラもそうなんですよぉ。」

「そうか。」

そう言い俺は刀をしまいその場から立ち去ろうとした。

「いやいや、待ってくださいよぉ、オイラも連れてってくださいよぉ。」

「お前のようなやつは要らん。」

「オイラこの世界のいい情報をもってるんですよぉ。」

「それは何だ?」

「へっへっへっ、オイラも連れてってくれるなら喜んで教えますよぉ。」

「あぁ、その話の内容で考えてやろう。」



それから俺はテストを仲間に紹介し、旅を再開する。







俺達は長い旅を終え魔王の城についた。

「ようやく…」

やっと帰れると他の連中は喜んでいる。

俺は仲間の一人を突き刺した。

「おいっ、何をしているんだよ!」

仲間達が突然の事で困惑している。


それを見て俺は笑いながら言った。

「お前らは絶対に帰れないんだよ。いや絶対に、帰らせねぇ。」


その一言でヴィンスとテスト以外逃げ出した。

「へっへっへっ。」

笑いながらテストが近づいてくる。

「」



















「」 

「残念だけど“君”じゃないんだ。」

それが俺の最後に聞いた言葉だ。


7
 私は、ヒーローではなかったのか。 

そう思う気持ちをおさえながら私は目の前に凛々しく立ち誇る男に辛い現実を突きつけた。


そして、消えゆく意識の中私は思った。これが死ぬと言う事なのかと─




「かっこいい」

僕はテレビの中に映る人を見てそう漏らした。

一人で戦い続けるヒーローに憧れ
僕もどんな困難にも立ち向かっていくそんなヒーローになりたいと。

それは、必ず叶う。
この時の僕には確信があった。


それから何年も経ったある日の事。

私はある男に出会った。

彼はムショ上がりで気が立っているらしい。

私は彼に一緒に同胞を集めこの世界を壊さないかと持ちかけてみた。

こんな馬鹿らしい事にのってくる筈がないと思っていたが彼は首を縦に振った。


そしてときは経ち、彼は多くの人間を集めてきた。

私はその期間ある考え事をしていた。

やつらを出しに使い本物のヒーローになろうと─。



うぅ。

私はいつの間にか寝てしまっていたらしい。

「ここは…?」

私は仲間と





























私は謎の倒れた男の前に立つ彼の姿を見た。

これは千載一遇のチャンスではと思った私は持っていた刀で彼を突き刺した。

「ようこそ、新しき者よ。」

それが、俺の新しい世界の始まりだった─

8おはなし

「いつも俺のために頑張ってくれてたんだよな…」

前回の事でコタローは今まで刀にしてきた事を謝った。

「前に捨てたりしてゴメンな…」

刀が言った。

「我は刀だ、謝るのはおかしいことなんじゃまいか。」

「いや、でも…」

「今、暗い気持ちになられては困る。本当は駄目なんだが、いい事を教えてやろ。」

「何かな?」

「魔王を倒せば死んだ仲間は全員生き返るり。」

「本当に⁉」

「あぁ、嘘はつかないでちょ。」

「ありがとう。」

そう言いハルオは嬉し涙を流した。



「一つお話をしてあげよう。」

「何の話?」

「かなしい人の物語じゃ。」





あるところに小さな村があった。