後悔と小舟⑯

足跡を辿る

メリリンは昔の名前にし、ランクは前の時点より低かった。
あの後、彼は辞めてしまったのだ。

新しいアカウントを作り直し今に至る。最近は僕と同じくやり込みゲーをやってるらしい。エターナルは飽きてしまったのか、ログインしても殆ど姿を見せない。

彼が来てから、今まで、ちょくちょく掲示板でスレ投稿していた。

近況報告や、日記として利用している。一つだけだったりしたが、少しずつでも、しっかりと足を踏み締め、続けていた──

エターナルに向かうと、やり込みゲー(忍耐の壁)のキャラクターで人を待っていた。

レベルMAXでなく、一体も合成していない。それなりに育成してあった僕は、その人の真似してキャラクターをだした。

すると、後から来た人も真似をした。前からエターナルであったこと。今でもこれは変わっていないのかと、嬉しさがあった。

ところで、あとの人のレベルを調べたところ、MAXになっていた。キャラクターのステータスは課金、ガチャ限に匹敵する程で、やり込む甲斐がある。

そう感じさせた。その後、数度忍耐の壁へ入る。
名前だけあり、1回やるだけでも疲労する。

最初は面白さもあったのだが、数度やると、それは徐々に苦痛へと変わっていった。

確定で手に入る訳ではないことそれが後を追随してくる。

そのまま辞めては続けるを何度も繰り返していた───

たまに寄る動画にはそのキャラが何度も使われ、必ずといっていい程MAXだった。
今更作ってもどうせ自分にはパーティーが作れないだろう。自分では、このキャラを上手く使えないだろうと弱気になっていた。

だが、少しずつ続けた──

ところで、僕は、エターナルで懐かしいプレイヤーにあっていた。カルトン@角馬会だ。

ランクが前よりも下がっていたが、時間も経って、アカウントに問題が出てきたのだろう。

昔と同じく、対戦を終えたあとフレンド申請をしてきた。彼とフレンドになるのは5回目ほどになる。

名前を変えていたから分からなくてもおかしくはない。どうするか迷ったが承認することにした。

初めてのチーム

フレンド承認すると、ほどなくて手紙が送られてきた。何度も見てきたカルトンのテンプレ挨拶。

その手紙を返すと、カルトンのメッセージが気になった。そこにはチーム募集してると書かれている。

そういえば、角馬会に入ったことはあるが、1度も彼のチームに行ったことは無かった。

この機会に行ってみるのもいいだろう。

角馬会と検索すると、複数出てきた。その中で1番人数が多いもの、それが、カルトンの部屋だった。@の後は強制してないらしく、数人が付け、レベルは以前の角馬会と比べると劣る。

知ってるプレイヤーも、カルトンただ1人だけだった───

誰でも大丈夫になっていたので、待つことなくチームに入るとすぐに挨拶する。

チャットは賑やかで、初めたばかりの頃のチームを思い出した。

だが、時間が経つに連れて、チャットも無くなっていく。その悲しみは今も残り続けていた───

カルトンはチームで、忍耐の壁、エターナル、対人戦と1つに拘らないプレイスタイルでエンジョイしている。

特に対人戦は前から好きだったようで、ちらほら動画を見かけた。テンプレとは異なった、カルトンさんらしいプレイングスタイルだった。

チームの中には、ノスタルジーを感じさせるプレイヤーがいたのだ。レベルは普通くらいで、純粋さをもっていた。

それは、まるで昔の───

カルトンは定期的に、チームのメンバーとエターナルをプレイした。カルトンがフレンド申請するプレイヤーは、殆どがエターナル繋がりだったため、チームの多くの人がその部屋に入っていく。たまに、少し遅れただけで満員で入れないなんてこと
もあった。

今、エターナルをするチームで1番活発なのは、このチームだろう。カルトンは、多分、リセット症候群と言うやつだ。

それがとても好都合なことに、この楽しいチームを作り出したのだ。

チャットが沢山交わされているこのチーム。僕はずっと抜けずにいることを考えていた。

直近で行った他のチームよりも、居心地が良かったのだ───

出来事

それから数週間経った後、耳寄りな情報が入ってきた。

なんでも、フリーさんが前から1人で付けていた、楽遊会のチームを作ったらしい。

彼はエターナルでは、とても顔が広い。楽しいチームなのだろうなと考えた。

だが、今のところ、このチームが気に入ってるためそのまま居続ける。

ある日のこと、カルトンが時間を設定して、エターナルで対戦する旨をメモに書かれていた。

その時間まで暇だった僕は、適当な話題で、チームの人と話していた。

時間になると、そろそろ出発かと胸躍らせた。しかし、中々部屋を作らなかったので、僕が部屋を作り、メンバーを呼んだ。

数分後、クリアし、チームに戻ろうとすると、違和感があった。チームが無くなっているのだ。

もしかしたら、自分は、チームから追い出されてしまったのではないか?その不安が過ぎった。

すぐに角馬会で検索をかけるが、チームが見つからない。
僕を追い出した後、メンバーは集めないに変えたのか?

フレンドを見てみると、矢張り、カルトンは居なくなっていた。丁度その頃、角馬会メンバーでフレンドになっていたプレイヤーが数人程度いたので、その人達も確認した。

すると、1人だけ名前が変わっている。僕は何があったのか聞いてみると、数分後、チームが無くなったと返ってきた。

カルトンはチームを解散したのだ。何があったのか分からないが、思うところがあって行動に至った。

カルトンの事だ。急に気分が変わって全てをリセットしたのだろう───

ところで、カルトンチームが無くなってしまったので、殆どのプレイヤーの居る場所が無くなった。

どうするか…?とフレンドと考えた結果、新しいチームを作って、そこに元カルトンチームのメンバーを誘うことに決めた。

だが、僕はすぐに入ろうと思っていなかった。

話したフレンドは、丁度リーダーになりたかったらしいので、その人に任せ、気になっていた楽遊会に向かう。

もしかしたら、今まであってきた常連、楽しい空間があるかもしれない。

そう思って───

拍子抜け

僕はその事を伝えると、後で来るからと付け加えておいた。

その後、僕は、楽遊会で検索した───

誰でもOKになっていたので、すぐに入ると、そこには驚きがあった。全体的にレベルが低く、メンバー数も少ないのだ。

どうして…?彼はエターナルをする多くの人に好かれているのではないのか?

現実と自分の想像上の彼とのギャップに戸惑いを隠せなかった。メンバーは特にこれといって、特段よく見るプレイヤーもない。

入ってから少し経つと、突然メンバーの1人が抜けると言い出した。

僕が入ったからか?少しの間じっとチャットの方を見ていた。

すると、彼は、メンバーが集まるまでチームにいる約束をしていたようなのだ。

もう、チームが実装されてから1年程経つ、なので、もう殆どのエターナル常連者が既存のチームに取られていき、今では集める人が殆どいないと言っても過言ではない。

だから、他チームに属しているプレイヤーに同情され、人が集まるまでいるよとなったようだ。

1人が抜けると、また1人、自分もそうだと人がどんどん居なくなっていく。

自分含め5人程度になってしまった。話すことも殆どなく、たまに昔の話をし出す。

それは、カニさんの事だった。昔なにかあったらしく、その話をすると、暗い雰囲気になった。

なので、一応、彼のことを擁護しておいた。カニさんはいい人だと。

だが、的外れでおかしな事を言ってしまったのか、フリーさんが慌てた。

だが、何事もなく、暗いまま会話は続いた。

雰囲気に耐えられなかった僕は、チームを抜けることを話す。

そして、返信を待たずに去った。このチームよりも、元あったチーム角馬会の副リーダー以下メンバーで構成した、新しいチームにいた方が楽しい。

そう思ったからだ───

向かう途中角馬会の事を思い出す。解散される前、チャットで話すプレイヤーには申請をしていた。

その中で、偶然同じくらいの年齢のプレイヤーがいた。それを見て、自分はどうして…?

少しだけ悲しい気分に見舞われていた

過去への叱咤と終わり

常連の全くいない新しいエターナルチーム。

新しいもの、それは、懐かしさと同時に今のもう戻らないと言う苦しさを忘れさせてくれる、僅かながらも、自分を照らしてくれる眩しい眩しい光。

そこには、楽しい世界がある。それを思わせてくれるもの。

僕はまた再び会えたのだと歓喜した。とりあえず、名前を変え承認制でなかったので、すぐにチームに入ると、チャットは1つ、2つと点滅を現した。

開くと、ようこその文字が。少し喜びを感じながら、返信すると、僕が入る前に続いていた会話を続けた。

それは、とても急流で、挨拶が一瞬でなかったように消え去ってしまう程に。

その流れに入り込もうとするが、すぐに押し戻されてしまう。

リーダーはとても楽しそうにその流れに乗って活き活き進んでいく。

だが、自分は楽しくなかった。全員が好きなことを話して、リーダーがリーダーだけに、チームチャットが無法地帯と化している。

そう思えたからだ。

ふと、昔のことを考えた。自己中な動画貼りのせいでチャットが見えなくなっている。

振り返りが出来ない。だから、チームを抜けろと。

これには、少し詰まるものがあった。

そして、数日した後、何も言わずにチームを抜けた。

新しいチームに行く気力はもうない。行こうとしても、過去の記憶が横切り航路を邪魔する。

そんな中、フリーさんから手紙が届いた。あれからも少し話をしていた。

辞めてから少しして、メンバーがどんどんいなくなったので、チームを解散することにしたらしい。

彼のチームは少し期待していたので、少し残念な気持ちを心の片隅に置きながらも、そのまま続けた。

彼と話していると段々何故か申し訳ない気持ちに苛まれていく。

とある日の事。エターナルで彼のいい時にいいスタンプ連打、悪い時はその逆を最近、思うようになった。

あれは、見方を帰れば、嫌がらせとされるのではと。

そのことを話すと、矢張り、そんなつもりはないときた。

ただ、そんな話を繰り返していると、手紙が届いた。

今までとはどこか違う。僕はその手紙をながめた。

そこには、少し長めのさようならが書かれていた───

最後の挨拶と始まり

彼がフレ枠から居なくなっているのを確認すると、すぐに殆どのキャラクター名を変えた。

そして、すぐにエターナルへ向かう。その最中、僕の心の中には、少しの寂しさがあった───

フリーさんを見つけると、名前を変えた低ランクキャラでさようならを告げた。

彼はいつも言いっ放しで、返ってくるのを拒む。だから、最後に───

変えたキャラ全ては出せなかったが、辞める事と一緒にさようならを言った。

その後、今まで関わってきたフレンド殆どに謝罪と感謝し、1番初めに自分の作ったチームに戻った。

そして、コメントをさようならに変えると僕はそっと目を閉じたのだった────


舟は進んで行った。

ボロボロな船体のまま前に、懐かしい場所それを求めて。

すると、ようやく辿り着く。自分の心から求めて場所に…

だが、そこには、何もなかった。

欲しいものが、懐かしいあの風景はどこにも。

そこには、暗闇しか無かった。舟は元の場所へと戻った。

懐かしい人とは会える。だが、もうあの時の喜びはないのだ。

そのままひっそりと何もない場所へと舟は消えていったのだった───


あれから、どれだけの月日が過ぎただろうか?

僕は一つ終わらせた。すると、何かが変わった。真っ暗だった世界に大きな希望の光をみせたのだ。

だが、その光は、道を教えてはくれなかった。何処に行けばいいのか?

だから、僕は戻ることにした。あの暗闇へ。

もう一度、あの楽しい世界を呼び起こしたい。

そう願って───

だが、もう一度はじめることは出来なかった。その代わり、僕を苦しめてきた掲示板に行った。

そして投稿する。

それは、明らかに周りの雰囲気を無視した投稿で、すぐに反発を受けた。

僕はそれに負けず投稿を繰り返す。苦しみながら、不満を言いながら続ける、それは絶対に間違っていると。

だが、人数が増えると僕の心は弱っていった。

集団からの排除、それは、僕にとって恐ろしいことだった。

過去の記憶がフラッシュバックし、心臓が大きく波打つ。

その日は投稿を止め、捨て台詞を吐いてその場を去った───

荒れと恐怖の中の快楽

それと同時進行で、昔から見ていたあるサイトを巡回していた。

それは、ゲームとは全く無関係、僕は新しいものに出会ったのだ。

一つ足を踏み入れてみると、この上ない喜びが僕の心の中を駆け回った。

もう一度、その感情を味わいたい。そう思うと、数度に渡って投稿を繰り返していた。

一つ一つの投稿の質も落ちていたが、そんなことは気にせず、何度も何度も繰り返す。

自分の欲求がもっともっとと求めてくるのだ───

それから数日が経つと、掲示板が気になった。

前の自レススレを振り返ると、多くのプレイヤーが僕の投稿に対し、ネガティブに適応するのだと強要した。

その中には、サイキさんのような投稿もある。

一つ前に、運営に対してインフレ、コンテンツがつまらない、無能で使えないなど、いろいろと批判を発散していたので、そのプレイヤーに返信、反発した。

すると、急に煽りだす。
それはサイキさんのようだった。

僕はそれに反発し、何度も言い合った。すると、彼も負けじとし、最終的には僕の撤退で幕が下りる。

だが、それでも飽き足らず彼は居なくなったのをいい事に、批判者と結託して罵詈雑言を書き込んだ。

僕は違うアカウントで戻り、すぐに回答した。
すると、自投稿に対して擁護的だったのがすぐにバレ、再び不特定多数の煽りが始まった。

今、運営ではなく、自分に向かっているのだ───

もう1つのアカウントで向かうが、執拗に批判投稿をするプレイヤーが誰かには確信があった。

サイキさんだ。昔からやる事が変わらない。バレていることを分からせるため、サイキって名前のプレイヤーだったろとレスした。

だが、少し経って、申し訳なさが募った。自分は、プレイヤー名を晒されるのが嫌だったはずだ。

なのにこれでは、昔いたプレイヤーと変わらないではないか。

すぐに掲示板を埋めていった。誰かの目につく前に…はやく…

その最中、レスするプレイヤーが現れた。

どうしてこんな事をしているのか?

そして、前投稿を振り返り、これを言ったのはお前かと。

僕は、しらを切ってそのまま続けた────

1つの終わりと終わりなき日々

ラストスパートをかけると、僕の気持ちも段々変わっていった。

これをやっている理由、それは───

転嫁し、現実を嘆くプレイヤー達。もっと他にないのかと、楽しむ方法は無限にある。

僕は嘆きとともに、昔は楽しかった。その思いを1つ1つに書いていった。

すると、煽ってきたプレイヤーが戻ってきて、僕の投稿に負けじと煽り、黒い言葉で染めた。

少し反発するも、冷静になり、投稿を続け全てを埋めつくす────

それから少し経って、もう一度向かう。あの時とはいかないまでも、運営への雑言は辞めていて欲しいと。

だが、そんな望みは違った形で叶うこととなった。スレは掲示板運営者の仲間が僕がした投稿したのだと賑わっていた。

攻撃する対象が変わったのだ。僕と言う存在はゲーム内では辞めてしまった。だから、内で実在しているそのプレイヤーである方が都合がいい。

僕は適当なスレに入ると直ぐに煽りプレイヤーを攻撃した。

自分がやったことを隠しながら───

それから掲示板は荒れた。いろいろな交錯があり、最終的に皆同じではないかと帰結するも、新しく乱すものが現れ、悲惨な自体に陥る。

叩かれる存在として目立つもの、眩しい者など様々。

ここは変わらないのか…?

────

数日後、掲示板投稿は限定となっていた。運営者も流石にこの荒れが目についたらしい。

僕はその限定に入り、最後の投稿として、今までの感謝と希望を書き連ねた。

もう戻ることはない、そう思った───

だが、数日後、また元通りに戻っているのではと。

だが、限定を利用し、気に入らないプレイヤーを攻撃するプレイヤーが出てきた。

返信はしようと思わなかったが、あることに気が付く。限定すらも無くなっていたのだ。

この掲示板での物語も終わってしまったんだ…

僕は寂しさを心の内に置きながら、その場から離れた。

ここではない新しい場所へと。

後悔。それは、脳裏にへばりつき、障害となり自分を追い詰める。

だが、同時に楽しい思い出でもあった。いつもそれは、苦しみと共にある。

僕は新しい世界へと1歩足を進めたのだった───

僅かながらも必ずある楽しい時を求めて。

航海は続く

舟はその後、多くの島に流れつきながら船体が修復されていった。

それが幸運な事に、ボロボロになる前よりも、力強く前へ進める。

舟はどんどんと進んでいった。

昔、あの場所へ───

そこは強風が吹き荒れる。何度も押し戻されるが必死で前へ進んだ。

昔の人は戻っては来ないまた、あの幸せな時間はないのだと分かっていながら、苦しい波をかき分けながら前へ前へ。

すると、どうした事か波が止んだり、再び押し寄せるを繰り返した。

舟はそのまま進むが、ある時、もう頑張る必要が無くなった。

嵐を抜けたのだ。あれ程まで苦しかった時が一瞬で泡のように消えて無くなった。

そこには、少しの寂しさがあった。あの苦しみが舟を前に進ませてくれる原動力であったから。

ここには、もう、舟の居場所はない。

舟は他のどこかへ向かった。

何か大きい大きい光が、楽しいものがある気がして───

舟の向かう先はまた暗闇だった。船体が侵食されても進み続けた。

その先に確かな楽しい時間があると信じて───

すると、1つ懐かしいような、いや、それよりも、もっと大きな光が現れた。

舟はそれが無性に気に食わなかった。手に入らないことは分かっていたから。

見ないよう違う場所へと進むが、求めていないはずがいつも舟の近くに来たり、どこかへ消えてなくなる。

そして、いつの間にか、それは傍にいた。奥底で求めていたのだろうか?

とても幸せだった。

だが、その時間は一瞬で消える。しかし、前とは違い、時間が経つとまた現れる。

この先に何が待つのだろうか?

舟は知らない。

この幸せと時間を同じくして、段々と前と変わらぬ状態へと戻っていった。

楽しい時間が戻ったのだ。だが、それと同時に不安は変わらずあった。

この先に待つのは、苦痛だろうか それとも幸福か?

舟は前へ進み続ける。

航海は終わらないかもしれない、だが、それと同時に幸せは必ずある。

舟は今日も当てなき海路を進み続ける───