その一言が聞きたくて⑦

Better world

この世界は、争いあい、傷付けあって今があります。

相手の苦しみは、知らないものには理解ができません。

自分の苦しみばかりに囚われてしまうのだから。

その声にはっとした。また僕は忘れていたんだ。

理想の世界、それは、争いあって得られるものじゃない。人を傷付けて、得られる平和なんてこの世に存在しないんだ。

僕は、向かう皆を追い越していき、先頭に立った。

そして、全員立ち止まる。

ホープさん達がどうしたの?と不安そうに見つめる中言った。

「戦いには行かせない。」

ホープさんは驚いた表情でみる。

「あいつらを倒すんだ!邪魔をするな」

内部の強硬派思想が強い人が怒って言った。

「これでは、何も変わらない。」

僕はそう言うと、心を落ち着かせ続ける。当たりはその声に、静まり返った。

「今まで、苦しいことが沢山あったはずだ。僕らは多くの困難に立ち向かっていった。」

「だけど、今、手を取り合って倒すべきは、誰か特定の敵じゃない。」

「一人一人の心、もっといえば、誰かを悪いと決めつけて、排除しようとするその心だ!」

ナイトさんが前に出る

「では、お前はどうするというんだ?」

僕は涙を浮かべながら、笑った。

「話し合おう。そして、皆で、初心者の人とやるとこんなに楽しいんだって知ってもらおうよ。」

───────

僕とホープさんは、彼らのところへ2人で向かった。

そこには、大勢に囲まれたミストさんの姿がある。

隣には、目を伏せためんさんの姿が。

「2人で何しにきたんですか?」

僕らを見て、ニタニタとミストさんは笑う。

「まさか、この大勢を2人で倒しにきたんじゃないでしょうね?」

更に笑みが深くなる。

僕は言った。

「僕らは話し合いに来たんだ!」

ミストさんは、思わず声がもれた。

「何を言うかと思えば。」

彼は大きく笑う。

「あなた達は、一方的に殲滅される運命にあるんです。」

しかし、この余裕はなんなのか…?僕がそう思った時だった。

「どれだけ居ようとも、私には武器があります。」

そう言うと、剣に女性の姿がうつりだす。コネクトさんだ。

周りには、ミストさんの仲間がついている。

Reversal of position

僕はそれに思わず、冷静さを失って言った

「コネクトさんをどうしたんだ!」

ミストさんは、それに笑って答える

「ただ、捕らえてるだけですよ。これから彼女は、私の妻となるのです。」

隣で聞いていためんさんは、それにとても驚いて、「どういうことだ!」と叫ぶ。

「生きているだけありがたいと思いなさい。もし、追及しようと言うのなら、あの女はどうなるか?」

そう言って、また彼は笑っていた。

めんさんは俯いて、絶望したような顔をしていた。

「コネクトさんを返せ!」

僕は剣を彼に向けようとするが、周りのミストさんの仲間によって、防がれてしまう。

「話し合いをするんじゃなかったんですか?

それに、あの女は今日より、もう私のものです。しつこいって書いて、失恋って読むんですよ。」

彼はそう言ってまた勝ち誇ったように笑った。

「それはどうかな?」

僕の近くから声が聞こえた。

「勝ち負けと言うものは、最後の最後までどうなるか分からない」

ATWの仲間だと思っていたその人達は、それとともにパッと消えて、アベリの声が聞こえてくる。

「あれは全て僕の魔法だったんだ。」

突然消えた仲間達にミストは驚きを隠せず、焦りが襲ってきた。

「どういうことだ。これは…。私の崇高なる計画が、全て幻だったというのか…?」

アベリは言った。

「コネクトさんはここに居る。」

そう言うと、パッと僕の腕の中に、コネクトさんが倒れて現れる。

彼女はうっすらと目を開けた。「また助けてもらいましたね…」

その声に僕は涙が零れてきた。

ミストさんは、どこからかする声にあっちへこっちへと慌てふためいている。

「誰だ。姿を表せ!」

しかし、見つからなかった。

「裏切るのですか?」

ミストさんは、探すのを辞めて、振り向いた。

その目線の方には、めんさんが居る。「お前だけは許さない。」

睨んで、ミストさんを追い詰めていく。剣に手をかけるが、めんさんの剣によって、飛んでいく。

いけないと思い、お姫様抱っこをしていたコネクトさんを、ホープさんに任せて、間に入りめんさんを止めた。

「何故…止めるんだ…?」とめんさんは言う。

「悲しみは繰り返しちゃいけないんだ」

僕は思い切って言った。

すると、その間に、ミストさんは居なくなっていた。

めんさんは「そう。」とだけ言って、疲れて地面に崩れ落ちる。

ホープさんと、意識が完全に戻ったコネクトさんが駆け寄ってきて、めんさんを連れて戻った。

僕は1人ここに残って、ミストさんを追うことを考えた。

しかし、次の瞬間、あべりの声が僕の行く手を阻んだ。

────────

Inaudible voice

「ミストさんを追う前に、いくつか話しておきたいことがあるんだ。」

アベリはそう言って、話を続けた。

「めんさんは、コネクトさんのことが好きみたいだ。一緒に話していて、惹かれていたらしい。」

僕は「うん。」と頷く

「ミストさんには、それがいい餌だったんだ。NLOには、よく出かけていたため、彼女を見つけるのは容易。

見つけて捕らえてしまったんだ。」

僕は「それで、めんさんは彼の言うことを聞くしかなかったのか…。」と言うと、

アベリは「うん」と言って続ける。

「アベリは、それを止めるために、魔法を使ったんだ。幻の人を作り出す魔法。

そうすれば、一時的に、ATWを防げると思った。」

「そして、自分の使った人達で、イモータルのはじめたばかりの人達の部屋を占領したり、噂を流したりで、ATWを起こらせない空間を作ろうと思ったんだ。」

少し沈んだトーンでアベリは続けた。

「しかし、その計画は反故になったのさ。人数を増やすこと、それはホープさん達への抑止力にもなっていた。」

「けれども、彼らも人数を増やして、乗り込んでくる計画をたてたんだよ。ミストさんも、自分の仲間が増えたことで、有頂天になっていたからね…」

僕は「そうだったのか…」と頷いた。

「でも、この魔法はもう使えないから、いずれダメになる運命だったんだよ…」

アベリの声が段々小さく消えていくのを感じる。

「何かあったの?」

僕がそう言うと答えた。

「今、君と話しているのは、魔法の力なんだ…。でも、今までのことで使いすぎたんだよ…。もう君とはお話できないかもしれない…。」

すると、今までのアベリとの記憶が脳裏に浮かび上がってきた。

いつもずっとそばに居た謎の声。けれども、とてもあたたかくて、この世界に居て安心感があったそれをもう感じられない…。

そう思ったらとても寂しくなってきた。

「どうして、魔法を使ったのか…?」

そう言うと、消えそうな声で言った。

「アベリが存在している理由、それは、君とコネクトさんを守るため。これは運命だったんだよ」

僕の目から涙があふれてくる。

「もう君と話せないけれど、とても楽しかったよ。かけがえのない時間だった…。」

どんどんと消えてなくなりそうな声に僕はその方角に手を伸ばした。

「行かないで…」

すると、「アベリも話せなくなるのは寂しいよ。けれども、アベリはいつも君のそばに居る。ずっと傍で見守っているから…

君なら大丈夫。この世界をどうか…す…く……て………」

それを最後に、アベリの声は聞こえなくなった。

ずっとそばに居て気付かなかった大切な存在。失ってはじめて気付いた…。

だからこそ、周りにいる人を大切にしよう。そう思うんだ…。

辺りは静寂につつまれていたが、僕の心には、とても明るい何かがキラキラと輝いていた──────

What was passed

僕は、ミストさんの元に行く前に、ホープさん達が居る場所に戻った。

彼は僕を見ると、イモータルを託した。

ETWをする人が居なくならない限り、この世界に平和はない。

ここで、全員で、ミストさんを倒しても、またLBさんのように、繰り返されることになるかもしれない。

期待がのしかかった。僕は一言だけ
「大丈夫。」とその場を離れる。

その後、めんさんの元へ向かった。

何をしてるのかと聞くと、自分と彼女は合わないのだと言った。

とてもひきつった顔をしている。本当は彼女のことが好きなのに。

彼は「俺は悪いことをしすぎたから…」と言って別れる。

その直後に、コネクトさんがやってきた。

2人きりになるのは久しぶりだ。しかし、彼女はとても美しかった。とてもキラキラしてて眩しい。

「2人きりになれましたね。

あの…」

彼女から話しかけてきた。

「どうしたんですか?」

「あなたのお名前を…」

そういえば、ずっと言ってなかった。そして、自分の名前がなんなのかすら分からない。

僕はなんとなくで思いついた言葉を彼女に言った。

「フューチャーです。」

彼女はニッコリと微笑んで、「いいお名前ですね」と。

自分の悪いものを全て浄化してくれるようだった。とても眩しい光に、いつの間にか僕は倒れていた。

「大丈夫ですか?」

彼女はかけよる。

いつ倒れたのかも分からない。痛みを感じなかったのだ。もしかしたら、これは夢…?

そう思って直ぐに立とうとするが、頭がズキズキして思うように立てない。

彼女が心配そうな表情で見つめる中、フラフラと立ち上がって、親指をたてた。

「大丈夫です!」

「無理しないでください」と肩を貸された。

コネクトさんは優しい。と思っていたが、彼女を見るとふと、ミストさんのことが何度も何度も思い出される。

そして、次にめんさんの悔しそうな顔が浮かんできた。その中で、めんさんは、ミストさんを頼む…。と言っていた。

「どうかされたんですか…?」

彼女は少し寂しそうな顔で僕を見つめた。

「僕は、これから行かないと行けない場所があって。」

すると、彼女は目をつぶって言った

「分かりました。私は…あなたの帰りを待っています。」

僕はすぐに、その場を後にした────────

Strategies and failures

ところで、ミストは、思い通りのいかなさに頭をかかえていた。

「なぜ、弱者を排除しようとしないのだ。やつらは、共通の敵ではないか」

そう呟き、昨日のことが今ここでされているかのように浮かんでくる。

それに苦しんだ。

「なぜだ…なぜだ…」そう何度も連呼する。

「なぜだろうな。」

ミストは、その声に振り向いた。

「フォグ…!!」

表情が、悩みから、怒りへと変わった。すぐに剣を引き抜いて、フォグの方へむける。

「ミストォ、久しぶりだなぁ。」

その言い方に更に怒りを爆発させる。

「お前、生きて帰れると思うな」

そう言って、ミストは剣を振り抜いて、それで貫こうとする。

しかし、フォグの持っていた剣先が彼の体に当たって、フラフラとミストはその場に倒れ込んだ。

「もうおしまいだよ。」

フォグはそう言って、剣をミストの方へ向けている。

「冷静さを失った。それがお前の敗因だ。」

剣を振り下ろす瞬間、それを斬撃が阻んだ。

「何者だ!?」

フォグは驚いていると、その顔が段々と見えてきた。

「僕の名はフューチャー。イモータル、そして、この世界の平和を取り戻すためにやってきた。」

フォグは落ち着きを取り戻して言う。

ホープの仲間か。

こいつは、ATWの主犯だ。こいつを倒せば、世界は平和になる。止める理由もないだろう。」

そう言って、また彼に向かっていった。

「ダメだ。誰であろうと、もう失ってはいけない。」

そうしていると、ミストさんが意識を取り戻す。

「何故、俺を守るんだ。」

「守ることに、理由なんて要らない。はやく逃げて…!」

ミストさんは、背を向けて、走って逃げていった。

「お前は…どうして…?」

フォグは失望したように言った。

「どれだけ酷いことをした人でも、きっと、優しくなれるから。

僕はそれを信じたいんだよ。」

「詭弁だなぁ。悪人は永遠に悪人のまま、その罪は許されてはいけない。」

そう言って、僕を睨みつけた。

「死して償わなければいけないんだ。」

僕はその圧におされて、後ろに足をひくも、膝を思い切り握って、震える足を前に進めた。

彼が、なんでそこまで、ミストさんのことを憎んでいるのか、その理由は分からない。

けれども、ここで引く訳にはいかない。

光り輝く未来を掴むまでは、どんな時でも、前に進んでいくんだ。

────────

Past hatred

自分の子供の頃、それは、いつも1人だった。すれ違う中憐れむ人も居ない孤独な一本道を歩いていた。

けれども、その中で、1人だけ、違う男が居たんだよ。

それがキンド先生だった。先生は、一人ぼっちだった僕を連れて、色々な場所に連れて行ってくれた。

あの人が一緒にそばに居てくれたら、それで、何もいらない。そう思えた。

しかし、ある日知らない男に、お金を払って預けたんだ。

行きたくないと泣いた。キンド先生どうして…?と思ったよ。

けれども、その生活も悪くないもので、片隅に寂しさを感じながらおくっていた。

ある日、男に、キンド先生のことを聞いてみたのさ。

すると、彼はとてもいい人で、孤児を見つけては、旅につれていき、生活できるようにと自分が頼りにしている人物に子供を預けていることを聞いた。

何も言えない気分になった。

彼は自分のことを捨てたんじゃなかったのか…って。

しかし、その数日後に、訃報が飛び込んできたんだ。

キンド先生が亡くなったって。やったのは、ミスト、あいつだって知った時は、どうしてやろうかって。

しかし、一緒に居るうちに分かってきたんだ。あいつの心はとても弱い。ちょっとしたことでも、壊れてしまう。

繊細な心。

何もしなくても、あいつはおちていくんだ。それを遠くからみているのはとても…。

────────

フォグは、ふと浮かんだことに気を取られていた。

「隙だらけなのに、何もしないんだな」とフォグは言うと、「あぁ」と僕は頷いた。

ニヤリと笑って「目的がハッキリした。私の目的、それは、あいつが落ちていくところをみること。」

と言って、剣で薙ぎ払ってくる。僕はそれを必死で受け止めた。

「へぇ。これを受け止めるとは。」

まだまだ何かを隠し持っている、そんな余裕の表情を感じた。

僕は気を引き締めて、彼をじっとみつめる。

もし、集中が切れれば、やられてしまう。危機感が心の中にあった。

その頃、めんさんは、コネクトさんの近くに居た。

コネクトさんは彼をみて微笑んでいる

「ありがとう」

めんさんはそう言って、その場を離れた──────

Lies and truth

ミストは走った。

どこまでも、どこまでも。

しかし、ふっと、彼らのことが脳裏をよぎった時、彼は走るのを辞めた。

「やつは、私のことを弱い人間だと思ったんだ。」

それを何度も何度も繰り返した。哀れみの表情、弱さに対する憎しみ。それらが彼の目の前に現れる。

あの時、私を騙していた男が亡くなった時に一緒に居た少年が、目の前に浮かんできた。

「弱いものは消えていくんだ。強くなければ…。」

彼の表情をみて、ミストは言う。

「俺をみて哀れむな。」

ミストはとても大きな声で叫んだ

「俺の前から居なくなれ!!」

すると、段々、気持ちが楽になってきた。「不思議だ…」そう言って、彼の意識はなくなった。

───────

フォグさんを必死で足止めするが、この状況を挽回する方法が思いつかない。

どうすればいいのか…?

僕の頭の中はそれで一杯になっていた。

すると、その様子を察知したフォグさんが、「戦闘中に考え事か?隙だらけだぞ!」と言って、僕の持っていた剣を吹き飛ばした。

うわっ。

僕は丸腰のまま、地面に腰を下ろしている。このままでは…。

ザッザッザッと彼は剣を携えて、僕の方へ歩いてくる。

「これで終わりだ。」

その直後、「待てー!」と向こうからめんさんの声が聞こえてきた。

「お前は…?」と彼に夢中になっている隙に、僕は剣を取りに行く。

「俺は、めんだ。お前に言いたいことがあって来た。」

「なんだ?」

なぜだか、彼をほっとけなかった。フォグは僕の方を一瞥もせずたずねる。

「キンド先生のことだ。」

それに、ミストは「なぜ、お前がその人の名前を…?」固まって動けなくなった。

「俺もあの先生のおかげで今があるから。」

そう言うと、過去のことを話し始めた。

彼が実は、キンド先生の死ぬ前に一緒にいた事を。

─────────

僕とフォグさんは、それに驚いて立ち尽くした。

それが本当なら、ミストさんは…?

フォグさんは、その場に座り込んだ。

「私はなんのためにミストを…?」

そう呟く彼に手を差し出した。もう誰かを憎まなくていいんだよ。

ともに、楽しい世界へ行かないかな?

────────

Around the world

TOBAEは、黒い雲に包まれた。

その異変に瞬時に気付いたホープと仲間達は、調査に出かける。

すると、すぐに暗い闇をその身にまとった男が立っているのを発見した。

「君、何をしているんだ。」

1人の仲間がそう言った瞬間、全員に斬撃が襲う。

全員が地面に転がって動けなくなった。

「ここには、イモータル常連や、とても強い腕自慢も沢山居るのに一撃で…。」

そう言ってホープは、気絶した。

その男が全員を片付けようと魔法を振りかざそうとした瞬間、雷が頭上からふりそそいだ。

しかし、無傷で魔法を使った者の方を見る。

そこには、LBが居た。

「これは、まさか魔王の力。自分の次に魔王になる男がでるとは…」

LBは彼の顔をみて驚いた。

「君は、ミスト君じゃないか…。

しかし、この力、手加減はできない。」

誰かにそっと謝ると、とても強大な魔法を使う。

ミストの下の地面だけがわれて、足場がなくなった。

しかし、冷静に、そっと下に手を置くと足場が復活する。

LBは驚きが隠せず「そんなことが…」と動揺した。

すると、また魔法を使った。石が鎖のようにLBの体を捕まえて、突風が彼を襲う。

それをかわせず、ボロボロになって、地面に倒れ込んだ。

辺りは、体を地につけたイモータル冒険者で一杯になっている。

その時、丁度、僕らが戻ってきた。

「こ、これはどういうこと…?」

その光景に、ガクガクと僕の足が震えた。

めんさんが言う。「あれは、ミストさんだ。」

まさか、皆を倒してしまったのか…?あんなに強い人だらけなのに、それをたった1人で…?

それが信じられなかった。

フォグさんと別れて、ここに来た。けれども、彼が一緒に居れば心強かったかもしれない。

僕は、ふっと考えることを辞めた。

今は彼をどうにかすることをかんがえなければ…。

すると、横から、めんさんが大きな声で彼に言った。

「ミストさん!俺はずっと言っていなかったけれど、希望もなかった子供の頃、あなたに連れてってもらっていたことがある!」

ミストはそれにピクっと動いた。

動揺してるのだろうか?僕はそっとそのまま成り行きを見守っていた。

「俺はあなたのことが好きだ。嫌なところも沢山あるけれど、尊敬してる。だから、もうやめて欲しい!」

そういった瞬間、突風がめんさんを襲った。ボロボロになってその場に倒れる。

動揺なんてしてなかったのか…?僕は身構えた。

しかし、何か攻撃してくる様子はない。どうしたのだろうか…?

だが、僕はすぐに、考えるのをやめて、近付いて攻めていった。

一方ミストさんは、過去のことを思い出していた。

ATWを作った理由、それは、消えていった少年がきっかけだったのだ。

罪悪感に襲われ、自分は悪くない。そう何度も言い聞かせた。

すると、ふと浮かんだ事があったのだ。弱いからいけないんだと。

弱いものは、全て排除しなければ、それがETWへと自分をかりたてたのだ。

弱いものの不幸が、自分の罪悪感を消してくれるように感じていた。

しかし、時間が経つと、襲ってくる頭痛に、彼らの悲痛の叫びが何度も聞こえてきた。

────────

Exclude the weak

どんどんと僕はミストさんの傍に近づいていた。「いける」 僕は心の中でそう呟いて、足を進めていった

──────

始まりはそう、あの日から。

優しいと思っていた男に裏切られた。その復讐のために、また私は彼に近付いたんだ。

キンド。彼は、僕を見て、面影が残っていたからか、少し嬉しそうな表情を浮かべていた。

しかし、近付こうとはしなかったのだ。

私が向けているそれを感じ取っていたのかもしれない。

1歩彼の方に前進した時に、彼は言った。

「待て。お前が私のことを恨んでいるのは分かっている。」

その時は、売ろうとしたことについて言っているのかと思っていた。

しかし…。

「皆をほったらかして誰かに預けようなんて、悪いことをしたよね…。」

そう言って涙を流したんだ。

そこで、気付いた。キンドはキンドのままなのだと。

しかし、長くに恨んでいた私の気持ちは止まらなかった。

そこで、彼は言った。

「自分の命を捨てるかわりに、この子を守ってくれ 。」と。

彼はそう言って、私に預けると自ら命をたった。最後の最後まで人に預けるのかとなんとも言えない気分になった。

あの人は優しいままだったのだと。

私はその少年を連れて旅に出た。キンドのように、色々な場所を巡って。

彼はとても笑顔で私のことを慕ってくれた。

表情や、態度には出さなかったが、心の中では、この時間が楽しいものであると思えて仕方なかった。

その時までは─────

私達は、寝る場所がなく、いつも野宿をしていた。あの日も、野宿をして、ぐっすり眠っている時に、魔物の群れがやってきたんだ。

私はそれに気が付かず、起きた時には、隣に少年は居なくなっていた。

その時、心が何かどす黒いものに侵食されるのを感じた。

周りにいた魔物をすぐに倒して、少年を追う。

しかし、どこにも見つからず、私は罪悪感に飲み込まれた。

「自分は悪くない」私は何度もそう呟いた。この罪悪感が消えるまで何度も度も。

すると、ふと、考えた。

なら、誰が悪いのだろうか?

あの少年だ。

あの少年が弱いのが悪い。

そこから、私は何度も何度もイモータルに通って、初心者を見つけては、弱さという罪をさばいていった。

自分は正しいことをしている。それが、何度も自分の足をイモータルに向かせた

──────

あの少年がめんだと言うのか…?ミストさんはそう呟いて、こちらを見ていない。

いける。僕はそう呟いて、呪いをとく剣で、ミストさんを狙った。

すると、「そんなはずはない。」と言って、彼の周りから風が吹いてきた。

それに遠くまで吹き飛ばされてしまう。

もうダメなのか…?そう思った時、LBさんが近付いてきた。

とてもボロボロで、今にも、気を失ってしまいそうだ。

どうしたのかと聞くと、俺が最後の力を使って、彼の近くまで連れていく。と言った。

「最後の力…?」

その一言に引っかかる。

ふっと笑って言った「最後の力と言っても、今出せる最高の力だ。少し休めば元に戻る。」

そう言って、彼は魔法を僕の周りに張り巡らせた。

「君なら大丈夫だ」LBはそう言って、地面に倒れ込む。

すると、次の瞬間、ミストさんの目の前に移動した。

僕はすぐに剣を彼の体にあてた

───────

past and future

そんなはずはない…そんなはずはない。小さな声でそう呟いた。

すると、めんさんが目の前に現れる。

「俺は生きている。もう悲しまなくていいんだ。」

すると、世界がパーッと明るくなっていった。

目を覚ますと、地面に横たわっていた。

「ここは…?」

隣には、フォグさんとグレープさんが座っている。

フォグさんは「もう終わったんだよ」と言って夕日を眺めていた。

私は「そうか…」と言って涙をポロポロと流した。

「私は間違っていたんですね。」

フォグはそれに「さぁ、そんなことは分からない。ただ、それが、生きているってことなんじゃないか。」と言う。

──────

その後、めんさんと、少し話していた。

「あの人と別れたのは、ある日の夜の事だったんだ。

ミストさんが揺すっても起きなかったから、俺は怖くてその場から逃げ出した。」

「すると、魔物も追いかけてきて、もうダメか…と思った時に、通りすがりの冒険者に助けてもらったんだ」

「それは、良かった。」と僕は頷く。

「確か、名前は…。」

多分言われても知らないだろう、そう思って聞いていると

「リベラルさんって…。」

それに驚いた「LB!?」

僕は「少しごめん。」と言って、リベラルさんを探した。

けれども、彼はどこにも見つからない。

そんな時に、ナイトさんが話しかけてきた。

「もしかして、LBさんを探しているのか?」

それにこくりと頷くと、「彼は旅に出たよ。俺にそう告げて。」

ナイトは夕日を見つめる。

「俺も旅に出る。何度だって、リベラルさんの元へ。」

その時のお日様は、とても赤く燃えていた。

─────

「ただいま。」

僕がそう言うと、ニッコリと微笑んで彼女は「おかえりなさい」と言った。

あぁ。この時間がなんて幸せなんだろうと。喜びをかみしめる。

僕はついに、イモータルに平和を取り戻したんだ。

「ありがとう」と彼女に言った。

この幸せな時間をくれて感謝しかない。そう思った。

すると、ミストさんが僕とコネクトさんに話しかけてくる。

「そろそろ旅に出る。だから、最後に言っておきたいことがあって。」

僕らの表情を見ながら、「悪かった。」

そう言って、後ろへ振り返った。

僕は「待って」と呼び止めると、彼は立ち止まる

「最後に、イモータルをしようよ。」

──────

immortal

翌日、僕とミストさんは、2人で誰か来るのを待った。

中々来なくて、困っていると、ようやくのことで何人か一斉に入ってくる。

ほとんどが、1回攻撃をうければやられてしまいそうな人ばかりで、守らなければ、全員を連れて勝てそうにない。

最後の1枠があいていた。

そこには、ホープさんがやってくる。

彼は笑顔で、「今日もイモータルを楽しもう!」と言った。

──────

魔物達は、縦横無尽に、強くなさそうな相手を見つけて襲いかかった。

「これは、厳しい戦いになったぞ」

ホープさんはいつもになくネガティブなことを言う。

すると、守りから外れていた人に一斉に襲いかかった。

「まずい!」

僕がそういい、駆けつけようとするが、間に合わない。

すると、ミストさんが、その攻撃からかばった。

そして、すぐに倒していって、「大丈夫だったか?」と言う。

すると、「うん!守ってくれてありがとう」とニッコリ笑っていた。

ミストさんは、それを、めんさんの姿と重ねて照れる。

その後も何度も、体を張って守り、とうとう最後の敵が現れた。

「皆、最後だ。頑張ろう!」

ホープさんはそう言って、力を込めて、僕は「おー!」と言った。

ここまで誰一人としてかけることなくこれたんだ。最後まで、皆で勝ち残る。

握りこぶしを作って、対戦にのぞんだ

機械と魔法使いのような敵が不敵に笑って待ち構えている。

すると、次の瞬間、機械のビームと魔法が混ざりあって、とても強大な力になり僕らに向かってきた。

ミストさんは危ないと言って、風の魔法を使って、攻撃を必死でくいとめる。

しかし、押され気味で、ミストさんは、僕とホープさんに向かって言った。

後のことは任せる。彼は満面の笑みを浮かべていた。

それがとても嬉しかった。彼は、誰も信じていなかったのに、今では、僕らのことを、そして皆のことを信頼している。

その時、強く感じたんだ──

ホープさん行こう!」

2人で思い切り、敵の本へ走っていった。

協力プレイが心の底から大好きだって

──────

対戦が終わると、ミストさんは泣き出した。

イモータルがこんなに楽しいなんて知らなかった。」

それに、僕は嬉しくなる。

そうして、ミストさんは、遠くの方を見つめた。

「俺は守っていきたい。あの笑顔を。強い人も弱い人も楽しめる…そんな…」

──────

その後、ホープさんと2人きりになった。そこで沢山感謝を告げる。

すると、「僕の方こそ、君には感謝しかないよ」と言って笑った。

すると、前を誰かが通り過ぎていった。

「あ!イモティコンさんだ!」

ホープさんは「おーい!」と言って彼にかけよっていく。

それを見て僕は、心の中で幸せだなっ。と呟いて見送ったのだった

──────

Town of beginning and end

僕は、その後、色々な人に感謝を告げた。

イモータル、そして、世界が平和になったのは、みんなのおかげ。

とても眩しくて、あんなにも綺麗な青い空があるのはこの世界のおかげなんだ。

僕はこの幸せをかみしめていた。

これからどうするか?そんなこともすぐに忘れて、1歩1歩を幸せに感じた。

そして、僕は彼女のところへ向かう。

けれども、その途中、バラバラと地面が崩れ落ちる。

僕の周りは、光り輝く何かで眩しく照らされていた。

ここは…もしかして、はじめてこの世界に来た時の…?

そう思って辺りを見渡すと、懐かしいアベリの声が聞こえてきた。

「久しぶりだね。」

「もう話せないんじゃあ…?」僕は驚きと喜びで、涙が溢れる。

アベリは「ありがとう」と言った。

すると、段々、声の方から2人の姿が見えてきた。

男性と女性。

目を凝らしてみると、それは、僕とコネクトさんの姿だった。

「これは…?」

僕がそう言うと、コネクトさんが答える。

「これは、あなたの過去と未来。そして今。」

「それは…?」

僕には何がなんだか分からなかった。

それには、2人とも口を紡いだまま。

しかし、心の中には、寂しい心と、申し訳ない気持ちがいっぱいになっている。

「この感情は…?」

すると、アベリが見せてくれた過去をふと思い出した。

自分は過去の後悔を変えるためにここに来たんだと。それを思い出したんだ。

その大きなもの、それが彼女だった。自分を大きく変えてくれた存在。

そして、心の底から好きになった初めての人。

沢山のものを彼女に貰ったのに、自分は奪うだけで何も出来なかった。

すると、彼女は微笑んだ。

「そんなことないわ。あなたも沢山のものを与えたの。」

そう言うと、「もし、自分を責めてしまいそうになったら、こう思って。

今までの失敗やあやまちは、今、周りの皆を幸せにするためにしてきたんだって。」

そう言って彼女は、僕の背中を押した。

これが僕の作り出した都合のいい幻覚なのかは、分からない。けれども、この気持ちだけは本物なんだ。

彼女がくれたとても大きなもの。

「それは、希望だ。」

もう1人の僕は、何も言わず僕の手をひいて、どこか明るい世界へと向かった。

彼女は最後に「いつでも戻ってきていいの。あなたは、今を、そして、未来を生きていくのよ。

大丈夫、あなたならできるから。」

そう言って、彼女の姿は見えなくなった。

────────

目を覚ますと、真っ暗闇の中に僕は1人きり。

これが現実か…?僕はそうつぶやく。

しかし、心の奥底には、あたたかい何かを感じていた。

辺りをよくみると、

その暗闇は、いつもとは嘘のように、明るく感じ、

窓の外を見ると、とてもキラキラ輝く世界があった。

────────