その一言が聞きたくて⑥

Person disadvantage

今日は、ホープさんを連れず、1人でイモータルに向かった。

昨日の人が気になったからだ。
もう1人を含めなかったのはどうしてだろうか?

そんな疑問もあったし、ビギンさんのように、辞めてくれる可能性もでてきたからだ。

なので、まだ希望がある。

数回、部屋を探し回ると、ようやくのところでその人を発見した。

僕は出発前にすぐ接触し、NLOでの待ち合わせにこぎつける。

今回も変わらず、その人のプレイは目立たないながらも、とても活躍していた──────

NLOに到着すると、その人は色々なことを話してくれた。

自分も、そのグループの一員だと言うこと、そして、そのグループの名前はATW。

全ての弱いものをこの世界から追い出す。それこそがATWなのだと。

何故、このことを教えてくれたのかとたずねると、その人は実は女性で何度もディストラストさんと喧嘩し、別れるも、彼の恐怖から逃げられなくなっているのだと言う。

しかし、彼は昔は優しかった。だから、ETWをする前の彼に戻って欲しい…そんな願いを語っていた。

メンバーは、彼ともう1人と自分だけで、この2人は特に弱い人達を憎しみとも思えるほど嫌って、イモータルで暴れているという。

残りは2人だけ…。それを聞いて、少し疑問が湧いてきた。

もし、その2人が弱い人を嫌ってるなら、前に対戦できたのはどうしてだろうか?

少なくとも1人はそう思われる人物は居たはず。

すると、彼女は教えてくれた。自分は1人ではなく3人居ると。

どういうことなのか聞くと、後ろから同時に2つの手が僕の肩をふれた。

こういうこと。と、後ろの2人が話しかけてきた。

僕は少ししてようやく理解する。3人は同じ人間なのだ───

そして、残りの2人の話になった。

彼らの仲はあまり良くなく、目的が同じだからだと。

彼らの仲が悪くなったのは、ディストラストさんでないもう1人が、防具や、武器をいいものばかり手に入れて見せびらかしたことが原因だと言う。

その人の名前はフォグ。いつもは、ディストラストさんのように名前を変えていると言う。

ちなみにディストラストさんは、ミストが名前と聞いた。

彼女はもうETWはしないし、彼らには近付かないとNLOをあとにした。

あと2人…。どちらも一筋縄では行かないかもしれない、しかし、僕の中には言葉に出来ないような希望の光が灯っていた──────

Malice and the past①

私は、2人の過去を知っている。

とても悲しい過去を─────

その子は、両親を知らなかった。元から居なかったのかもしれない。そんなことは誰にも分からなかった。

彼をあわれむ人はいない。魔物が襲ってきても、見て見ぬふりをされて、その子は必死になってボロボロに逃げた。

もしかしたら、2人に会えるかもしれない。

その希望が目の前に大きくあって、それを掴もうと伸ばすと、いつの間にかそこから消えてしまって、どうしてなんだろうと少年はいつも悲しくなる。

それから、数年経って、ある男に出会う。それは、とても優しい人だった。

いつも笑顔で、気さくで、少年はどんどんとひかれていった。

その時まで──────

彼は、ある日、こういった

「そろそろいいかな。」と。

それから度々、怪しい連中と話していた。

少年はこっそりと、話の内容を聞く。若かった彼は一つだけしっかりと2つの言葉が耳に入った「人身売買」と「少年…売る」と。

少年は絶望した。この世界に希望はないのだと。

そこから彼は、全く人とあわず、強くなることを決めた。

────────

数年が経って、あの男のもとに新しい少年がついていた。

その少年はとてもキラキラと目を輝かせている。

それを気に入らない目でじっとうかがうものがいた。

男は何か異変に気付いて、まわりを見渡す。

すると、昔の少年の姿があった。男は懐かしそうに彼をみる。

「大きくなったな…」と。

しかし、その直後に血を流してその場に倒れた。

あの時の少年だった男が持っていた剣が、彼の体を貫いたのだ。

近くで小さい子供がこちらを見て、おびえていた。

男はすぐに気が付いた。新しく売られる予定の少年だと。

しかし、助けようとは思わなかった。弱いものは、皆、悪だ───────

それから男はすることがなくなった。いいや、目的なんてもの、昔から持っていなかった。

あてもなくさまようと、近くの街にたどりつく。

そこは、TOBAEだった。

少し調べていくうちに、この町にはイモータルという模擬戦闘があり、多くの人が集まっていることを知った。

男はすぐに1度クリアする。つまらないと喜びはない。

だが、そこにとどまり続けた。

ここには、弱いぼうけんしゃが沢山いる。弱いものは淘汰されるべきなのだ─────

そこからが彼の始まり。

ここから先はまた今度話しましょう。

Liar and honesty

あの2人とは別に、NLOにはある人物の話題で持ち切りになっていた。

それは、めんさんという人物だ。

その人はなんでも、有名になりたいと、NLOを荒らし回っているという。

イモータルとは関係なく、NLOだけを荒らして、自分は強いと思っているそうだ。

僕らは、一旦こっちに向かって、その人を止めようとなった。

彼の情報としては、NLO以外でも、めんという名前で居るが、イモータルでは実力がないので、NLOでそれを発散していきがっているという。

NLOに着くと、僕はさっそく聞き回ろうと思ったが、その必要もなく、めんという人物が中心に立って、主張していた。

それは全て、NLOマジョリティによって非難されている。

彼もそれらに一つ一つ応戦していくが、多vs一。一方的だった。

荒れてきたと出ていく人物が多く少しすきができたので、僕はめんを連れて、誰も居ないところへ逃げこんだ。

──────

誰もいないことを確認すると、彼に何があったのか聞いた。

彼は包み隠さずありのままに言った

「俺は荒らしに憧れている」と。

それは、何故なのか?

自分の近くにとても色々な人に認知されてる有名な人物が居て、その人が、荒らしだったので、知ってもらいたいからこそ、自分も荒らしになるのだと言う。

最近、ETWに関わって、メンバーに入れてもらったと。

最近、メンバーの証として、1人の名前を教えてくれた。

その人の名前はバルラさん。彼はメンバーの証だとして、NLOでその名前を使って、自分が本当にETWグループの一員だと証明しようとしたのだ。

しかし、逆に、いいようにつかわれてしまった。バルラさんは、ETWグループのメンバーではない。

僕はとてももどかしい気持ちになった。彼にバルラさんは関係ない。と言っても、信じてくれるだろうか…?

いいや、グループに入れた喜びから、聞いてはくれないかもしれない。

NLOで散々言われたんだ。そう簡単に変われるはずがない。

彼は今は、いいように使われてるだけ、無理に辞めさせようとすると、逆に深い関係になり、後で酷く辛い思いをするかもしれない。

そして、否定してる人間は、絶対に辞めろなど言ってるはずだ。もし、ここで言ってしまえば、彼らと変わらない。だからこそ、反発してくるだろう。

その時は様子を見ることにした。

New companion

数日経った。
あの後、ATWの人達はどうしたんだろうか?

最近はあまり見なくなった。もしかしたら、新しいメンバーを増やして、更にイモータルを脅威に晒そうとしているのかもしれない。

僕はそんなことを考えながら、1人で怯えていた。

自分のしていたこと、それに気付いて、正しいことをしよう。そう思ってくれてたらいいなぁと希望的観測に浸ったりもした。

そして、ふと思い出す。

そういえば、ETWのあの女性は今、どうしているのだろうか?

───────

また、私はイモータルで、対戦をしてしまっている。

ミストさんともう一度会うかもしれない。それがとても怖いはずなのに、いつの間にか、ここで何度も飽きずに対戦している。

理由なんて分からない。

ただ─────

今日も私はイモータルに居た。でも、ミストさんには1度も会うことはなかった。

ATWのメンバーとは装備を変えて挑んでいる。形だけでも、抜けたことを示すために。

誰かに認められたいのだろうか?そんなことは分からない。でも、彼らがやってることは違う。

私はそう思っていた。会った時からずっと心の片隅に。

待っている間、色々考えていると、その部屋に「めん」と名乗る冒険者が入ってきた。

とても騒がしい。

出発もままならない状況だった。

私は抜けようかと考えた。

しかし、その瞬間部屋の主人は、多少強引に出発を決行する。

─────────

私はやむを得なく、魔物と戦ったが、メンバーが頼りなかったので、自信はなかった。

すると、後ろの方がやけに騒がしかったのでその方角へ向く。

そこには「めん」が、メンバーが倒れている前に立っていた。

そして、こちらをみると、一直線に向かってくる。

私は敵と戦うのがやっとで、「めん」からの攻撃をさけられなかった。

───────

私は自分に攻撃をしてきたあの人が許せなかった。復讐したい。その思いにかられる。

もう一度会った時に必ず…

そう思った。

その時、私の中には、ミストさんと出会った時のことが浮かんでいた───

Malice and the past②

それは、ある日突然だった。

私がイモータルに行くと、ミストさんと、フォグさんが居た。

彼らは2人で、初心者狩りと称し虐めている。

私は関わりをもたないようにと、すぐに抜けたが、数度、それを見かけたもので、ついに私は一緒に行くことを決心する。

それは、とても酷い有様だった。周りお構い無しに、同じ言葉を何度も何度も言って、初心者とその部屋に居た冒険者全員を倒していった。

その言葉というのが「初心者は要らない」だ。

それが何度も何度も頭の中を駆け巡って、自然と、彼らとともに、ETWを行うようになった。

そして、ミストさん、フォグさんとの関わりも強くなっていった。

ミストさんは「弱いものは淘汰されるのがこの世の摂理であり、強いものだけが全てを支配する」と言う。

そして、自分の過去のことをたまに呟いた。

なんの気まぐれかは分からなかった。

でも、懐かしそうに、嬉しかったあの日のことを思い出している。

あの頃は───と。

しかし、ある日から彼は変わった。

ホープという人物が、ETWは間違っていると反抗してきたのだ。

彼の怒りはMAXになって、ホープをもうイモータルに来れなくなるまで、完膚なきまでに倒すと言った。

そこから、段々と暴力的になって、私にも酷い態度をとってくる。

そして、自分より弱いものはダメだと、高圧的になった。

私はそれから少し距離をとって、ATWから抜けるにいたる。

その前後、フォグさんが私に接触してきた。

抜けることを辞めさせようと言うのかと思いきや、彼は「ミスト」さんについて、過去の話をしてきた。

恨みがあるのだと。

それが、師匠をあの男に殺されてしまった事だという。

私は、はっとした。

これからどうなるのか。それが少し怖くなった。

その後、今に到る。

「師匠のことは、もう憎んでいない。しかし…」そう言っていた彼の目は、ミストさんの方へ強く何かの感情を向けていた。

「これからどんどんと、落ちていくあいつを思うと笑えてきて仕方がない」

フォグさんは、とても悲しんでいるのかもしれない。それを彼が落ちていく形ではらそうとしているのかも…。

私はそんなことを考えながらも、もう関わることはないのだと忘れて、めんを探した。

しかし、見つからなかったので忘れてイモータルからまた去ることにした

───────

Nostalgic love

ATWメンバーとは膠着状態のまま、僕は、頻繁にNLOに向かっていた。

最近、めんさんもETWに加わったと聞く。しかし、いずれ、そうなることは心のどこかで分かっていた。

しかし、僕の心は、違うもので一杯になっていたため、ETWから離れていた。

気になる人ができたのだ。名前をコネクトさんといって、彼女はどこか引き寄せる力があった。

僕は過去に考えていたことを思い出し、彼女から少し離れたところに居た。

もし、あれの通りならば、悲しいことがおこるかもしれない。自分はいつも欲に負けているから…。

すると、彼女の方から接触があった。

「どうされたんですか?」

僕がチラチラと彼女の方を見ていたので、気になったのだろう。

「なんでもないです…。」

口ではそう言うが、僕の心は、正直だった。

彼女の手を引っ張って、NLOをでる。

「あの!どこへ…?」

そう言う彼女に、「少しここから離れた場所へ」と呟いた。

そして、人気がないところで、僕は思い切って言った。

「ありがとう!」

彼女は驚いたようで、すぐに「どうしたんですか?」と聞いた。

「あなたが元気に居ることが嬉しくて。」

すると、口を隠してふふっと笑って、「変わった人ですね」と言う。

その時間がとても嬉しかった。

「また会えますか…?」

彼女は笑顔で言った

「はい。大丈夫ですよ!」

太陽の光に照らされて彼女はとてもキラキラ輝いている。

僕にとって、彼女はとても眩しい存在なんだ─────

それから、彼女を頻繁にNLOで見かけるようになった。イモータルで遊ぶらしい。

なるべく、ETWのメンバー達と彼女を関わらせたくない。

だからはやく辞めさせなければ…。

僕は少しあせりがあった。頻繁にイモータルに出入りした。

不仲からか、フォグさんは見られず、毎回ディストラストさん一人で、防ぐのは容易だ。

しかし、彼はETWを辞めるつもりは全然なく、その後も度々襲ってくる。

だが、脅威ではなかった────

僕はふと思った。

そういえば、めんさんはどうしているのだろうか?

NLOでは多く話されているが、姿を見るのは少なくなった。

僕はふと思って、ホープさんにディストラストさんのことを任せてNLOに向かう。

すると、そこには、めんさんが居た。久しぶりに見たが、何をしているのだろうか?

よく目を凝らしてみると、コネクトさんと数人が、仲良くめんさんと話して集まっている。

どうしたものか…。少し悩んでいたが、僕はすぐに決めて彼らの近くによったのだった────

Speak happily

そこで話されていたのは、イモータルでの話、日常の中の一コマ、さまざまだった。

それをとても楽しそうに話す彼らが居た。

コネクトさんも同様に楽しんでいる。その姿をとても羨ましく思った。

だが、それでいいんだ。彼女が楽しく遊んでいてくれたら、それで…。

それ以上を求める資格なんて、自分にはない。

嬉しそうでいいじゃないか。本当に彼女の幸せを願うのなら、本当に好きなら、彼女のことを第一に考えるべきなんだ。

僕はそっとその場から離れた。

しかし、一抹の不安が、心の片隅にあった。

───────

イモータルでは、ミストさんの対戦をいつものようにかわして、全員クリアを成功させる。

もうATWメンバーは実質1人のようなもの。怖くない。

しかし、さっきのめんさんのことがどうしても気になった。

今はどうなっているだろうか…?

───────

NLOでは、コネクトさんが、悪い男達に「ちょっと遊びに行くだけだよ」と無理に手を引かれて困っている。

これはいけないと思った僕は思い切って、「彼女は僕の知人です。これから用事があって…」と言う。

それと、同時に、隣から「辞めろー!」という声が響いた。

僕はその声に隣をむくと、その人も同時にこちらをむいた。

その声の主はめんさんだ。

彼女を助けるために…?僕は少し驚いていたが、すぐにコネクトさんの方へいった。

すると、男達は、「何するんだ」と止めようとしてくる。

しかし、めんさんがそこに立ちはだかった。イモータルでATWがみせるような、攻撃で、どんどんと彼らを追い払っていく。

その隙に僕はコネクトさんを連れ出した。

─────

NLOから遠く離れたところで、立ち止まった。

「あの…ありがとうございます!お優しいんですね」

コネクトさんはニッコリと微笑んだ。

「感謝するのはめんさんにしてください。僕は何もしてないですから」

そう言うと、彼女は「いいえ、2人が居てくれたから私は悲しい思いをしなくてすんだんです。」

とても眩しい笑顔だ。

僕はその太陽に目をやられてしまった。

ずっと一緒に居たい…そんな欲求さえ顔をだす。

僕は必死にそれを押し込んで、平静を保った。

彼女には、悲しい思いをさせたくない。ただ楽しく暮らして欲しい。

僕はより一層、イモータルを平和にしようという気が強くなった。そして、NLOで、彼女が楽しく居られるように…。

Lies and friendship

数日が経って、コネクトさんとは少しの間、距離をとっていた。

イモータルをより良くするために、変わらないといけないそう思ったからだ。

コネクトさんを連れて逃げた後、めんさんと合流して、彼女は大丈夫だと告げると、彼は喜んでいた。

もしかしたら、彼も彼女のことが好きなのかもしれない。

どんなことをしていても、彼も人間なのだ。

その後、イモータルで何度も何度も、ミストさんの攻撃を退け、今日に至った。

コネクトさんは安全なところに居るため、もう気にする必要はない。

しかし、どうしたら、はじめたばかりの人に対する差別を取り除けるのか?その方向性はまだ定まっていなかった。

そうして、今日も入ると、ミストさんが居た。

彼は「あなた達しつこいですね。」と睨む。

僕は「君がETWを辞めるまで終わらない」と言った。

すると、彼は大きく笑って「辞めるわけないでしょう。正しいことをしているんだから。」と。

作った人物は、最後の1人を待っているが、中々やってこない。

その間、睨み合いが続いた。

すると、ふっと最後の1人が埋まった。

僕は少し驚く。めんさんがやってきたのだ。

彼はどっちの立ち位置か分からない。しかし、嬉しい気持ちも多かった。

彼も、一緒にETWを止めてくれるのかもしれない。

そう思ったから。

僕は少し接触をとった。

すると、僕の方を見てにこやかに笑う。

その時、心の片隅に、友情のようなものを僕は感じていた──────

対戦がはじまると、ホープさんに敵とはじめたばかりの人を任せて、ミストさんの方へ向かう。

今回も止めてやる。そう思った矢先、ホープさんの声が聞こえた。

僕ははっとする。

その方向を見ると、ホープさんがやられていたのだ。

その近くには、めんさんが剣を持って立っていた。

「よそ見はいけませんね。」と嘲笑うように言い、僕の体には、ミストさんの剣があたっている。

プロテクトと言う機能、それを使うのを忘れていた。

もうダメなのか…?

そう考えると、この世界で仲が良かった人物達の顔がどんどんと僕の目の前に現れる。

「守れなくて…ごめん…」

そう言って、僕は目を閉じた。

しかし、最後の最後に、浮かんでいたのは、めんさんの顔だった────

Reality and past

「めんさんよくやりました。」

ミストはそう言って高らかに笑った。

しかし、めんに嬉しそうな表情はなく曇っている。

「手伝えば、戻してくれるんだろう?」

めんは思い切って言った。

すると、ミストは「ホープを仕留めそこなって、挙句の果て、弱者を放置して逃がしたんです。」

「まだまだあなたには、働いてもらいますよ。」

そう言って、またミストは笑いだした。

めんは悔しくてたまらない気持ちを押し殺す。

ATWに憧れていたが、もう彼らとではなく、みんなと楽しい時間を過ごしたいと考えていた。

しかし、彼によって…

─────────

目を覚ますと、僕はまたあの暗闇の中にいた。

はやく戻りたい。そう思っても、どうしたらいいのか分からない。

アベリは言った。あの世界は夢ではなく、現実なのだと。

では、この世界はなんなのか?僕は自分の体をつねってみた。

すると、痛みを体がはしって、「痛い」と声がでてしまう。

ここも現実なのか…?

考えたって、その答えは分からなかった。僕は横になって、目をつぶる。

もしかしたら、あの世界にまた戻れる。そんな気がして仕方なかったから。

僕は念仏のように、戻りたい、戻りたいと頭の中で唱えた。

しかし、一向に眠れる気配はない。時間が過ぎていくばかりだった。

そのうち、目に光があたり、いつの間にか体を起こすと、朝がやってくる。

あれを考えていたうちに僕は寝ていた。しかし、あの世界には、戻れていなかったのだ。

次の日も、その次の日も、眠れはするものの、そこへは行くことは出来なかった。

時が過ぎるうちに、諦めが心の中にあらわれる。僕はその感情に従い、考えることがなくなっていった。

しかし、ある日のこと、夢に、アベリの声が現れた。

場所は暗闇でつつまれていたが、アベリの声だけはハッキリと。

「TOBAEはもうおしまいだよ。」

そう言って消えていった。

「それはどういう事?」そう言いながら、僕は必死に暗闇に消えていくアベリの声を追った。

だが、完全に消えていってしまう。

そこで僕は夢から目が覚めた。

居なくなってしまったこと、アベリの言ったことに悲しみはなく

「何度間違えても、僕が進む未来は変わらない。」

僕はそう言って、また眠りについた。

───────

From despair to hope

目を覚ますと、そこは、TOBAEだった。風景は変わらずのまま。

しかし、人は以前と変わっていた。辺りに1人も見えないのだ。

どこか他の場所に居るのだろうか?僕は少し歩いて探し回った。
しかし、見つかる気配はない。

イモータルに向かっても、人は居なかった。

どこに居るのだろうか?

NLOも見つからなかった。

少しガッカリしていると、人の話し声が聞こえてくる。

その声に近付いてみると、段々大きくなってはっきり耳に入ってきた

イモータルで、完全に、初心者を排除できた」

僕は驚きその場をすぐに離れる。

その声の主は、ミストさんや、めんさんではなかった。僕がいない間に、増えてしまったのかもしれない。

しかし、初心者を排除できたとはどういうことなのだろうか…?

僕は頭を抱えた。

もうダメなのか…?

そう考えていると、後ろから誰かの声が聞こえてきた。

そこには、ナイトさんが立っていた。

久しぶりに彼にあって、驚いていたが、その後ろに更に驚きの人物が。

「LB?」

ナイトはコクりと頷いた。

すると、向こうの方から「俺もいる!」という声がした。

「バルラさん!」

思わず大きな声でそう言うと、彼は笑う。

今度は僕の肩を叩く人が居た。振り返ってみると、沢山の人が居て、その一番前に、ホープさんの姿があった。

「久しぶりだね。」

嬉しさに僕は涙が出そうになる。

「ありがとう」小さい声でそう呟くと、彼は言った「こちらこそ。久しぶりに会えて嬉しいよ。」

にこりと笑うと、続けた。

「これから、ATWメンバーを倒すためアジトに乗り込む。」

その強硬姿勢に驚いたが、「うん」と頷いた。

彼らを野放しにしておくと、イモータルの平和は永遠に来ない。だから、今日、決着をつけるんだ。

彼らはそう言っていた。

そういえば。と。辺りを見回すが、アベリの声が聞こえてこない。

いつもそばに居てくれたのに、どうして…?

そんなことを考えているうちに、皆は出発していた。

アベリのことよりも、本当にこれでいいのか…?と言うことで一杯になっていた。

ETWメンバーが居なくなるなら、それでいいはずなのに、何度も何度もそれはいけないと心の奥で誰かが叫んでいる。

僕はそっとその声に耳をすませた─────