過去からの手紙⑤

<h3>絵本①</h3>

「一応、ワズィくんも、授業には出てなかったけど創作学について調べてたらしいから。」

「そうだったんだ‥。」

「ワズィくんで思い出したけど、絵本の物語聞かせてほしいな。あんまりよくわかってなかったし。」

「『王子様との旅』だよね。それぞれ異なった見方で絵本が書かれてるんだ。」

「私の興味あるもので教えるね。」

「ありがとう。」


わたしはある日、旅に出ました。

私の好きなおうじさま‥そして、3人の友達と‥。

これからまいにちいっしょにいられる。

わたしはうれしくてすきっぷしました。

さいしょにみんなといったのは小さな村でした。

特に何もないけど、新鮮。

今までそばでは見たことない人たち。

たびにでたんだって気持ちになりました。

だけど‥

かなしいことがおきました。

いっしょにいたともだちがはなればなれになってしまったのです。

私の王子様は「探して、話し合ってくる。」と言って、わたしをふくめて三人をのこして行ってしまいました。

ここにくるまえは、そんなことかんがえてなかったのに‥。

いっしょにいた女の子が言いました。

「もどってこなかったらどうしよう‥」

とてもこえがふるえてます。

「きっとだいじょうぶ!」

もう一人の女の子はえがおで言いました。

それから、すこしして、かなしく思ってた女の子は病気になってしまいました。

軽い病気‥。でも、くすりが必要かも‥。

わたしひとりでいってこよう。

そうおもって、病気の女の子には内緒ででかけました。

時間はかかりましたが、くすりを手に入れて帰ってきます。

けれど‥

女の子はとても悲しそうにしてます。

私が居なくなったことがとても悲しかったのでしょう‥。

くすりをわたしたけれど、女の子の気持ちは変わりませんでした。

その子を考えて動いたはずなのに、どうしてこんなに悪い気持ちになるのでしょうか‥?

でも、いいことがおこりました。

その日、王子様がともだちをつれてかえってきたのです。

ぶじでよかった‥

そして、もう一度会えたこと‥それがとても嬉しかったのです。

<h3>絵本②</h3>

それから王子様は看病してた女の子の元にいきます。

とても仲良く話す二人‥。

だけど、悲しい気持ちがありました‥。

やっぱり‥。

だけど、それから話を終えると、今度は私の元にやってきました。

「待ってくれてありがとう。」

わたしはとても嬉しかったのです。

そして、また私とすこし話して、今度は病気してた女の子のところへ。

相変わらず、元気がなくて、悲しそうな顔をしてる‥。

王子様は言いました。

「待たせてごめん。」

「居なくなった‥。」

「俺はここにいる。君が満足するまでずっと。」

王子様は自分の言ったことを守って、ずっと女の子のそばにいました。

女の子は「ありがとう」と少し元気を取り戻します。

その後、わたしはいなくなった男の子に何があったのかききました。

ほかの人からいっしょに来ないかと誘われて、断わろうとしたらしいのです。

しかし、うまく断れず、困っていたところを王子様が助けてくれたのです。

ずっとついていきたい。男の子はそう言って笑いました。

わたしのすきな王子様、それはみんなに優しくて、真剣に一人一人に向き合う。

そんなとってもすごい人。

これは、私と王子様‥。

いいえ、私とみんなと王子様の旅。


「なるほど。教えてくれてありがとう。」

「ううん。大丈夫。」

「ちなみにね、それぞれその絵本を書いてる人によって見方が違うんだ。」

「大きな組織と話し合おうとしてるところで終わったりね。」

「そうなんだ。」

「この話の中では、ここまでだけど。」

「ワズィくんはこの話が好きなのかな?」

「分からない‥。やっぱり、種類が多いから。」

「なるほど。でも、見え方が沢山あるって面白いね。創作学の世界みたいだ。」

「たしかに!一つの物語なのに見ようと思えばどんなものにも姿を変える。」

「私にとってやっぱり、創作は優しい世界なんだ‥。」

「僕もそう思うよ。」

「なくなって欲しくない‥。」

「そうだね。」

そのまま歩いてるうちに、町に到着した。

これからどんなことが待ち受けているか‥

それはわからない。だからこそ、創作性がある。

僕は未来が楽しみなんだ。

<h3>える町</h3>

町の中に入っていくと、何か移動用の機械にのった人たちがそこら中に居た。

僕は一人に話しかける。

「こんにちは。」

「あぁ。旅人さんかな。える町にようこそ。」

「ここって‥」

「驚いたかな。ここはね、機械と共存する町。」

「える町だよ。」

「そうなんですね。」

「現防実衛9のヘイヴァさん達のおかげでこうして暮らせてる。」

ヘイヴァさん‥前にあった‥。

「いい人達ですね。」

「あぁ‥でも‥。」

とても暗い顔になった。

「何かあったんですか‥?」

「彼らの先祖様に、悲しい事があったらしいんだ。」

「シソウ派っていうグループに住んでる場所を追われてここに来たって。」

「そうだったんですね‥。」

「彼らには沢山恩がある。できることはしたいんだけどね。」

僕は何も言えなかった。

ベーアさんはそれを見てか話す。

「それってヘイヴァさんが‥?」

「いいや、この町を守ってくれてる現防実衛9のペールさんにだよ。」

「ペールさん‥?どんな方なんですか?」

「治安を守ってくれてるんだ。」

男の人は上を見た。何かとびながらあたりを見る機械のようなものが。

「ほら、ああいった機械を使って、町の人が被害にあわないようにね。」

「そうなんですか‥。」

「旅の人、ゆっくりしていってくださいね。」

男の人は機械にのって去っていく。

僕とベーアさんは一旦、町の外に出た。

「どうする‥?」

「僕はリアル派の人と話し合いたい。一人一人理解したいんだ。」

「なるほど、いいと思うけど‥」

「僕は悪いことをしようとは思ってない。だからこそ、この町で色々情報を得ようと思うんだ。」

「危ないかもしれないから、ベーアさんは帰ってもいいよ。」

「そうよね‥。私も行く!」

「分かった!行こう!」

───────

「なぁ、大衆を操るにはどうしたらいいと思う?」

「求めることをするとかですか?」

「それでも人は集まるかもしれないが、それは違う。」

「じゃあ、何を‥?」

「一つの悪を作り出せばいい。」

男は「ふはははっ。」と笑った。

<h3>仲間</h3>

「ここに居たか、ござ。」

「あ、ペール。」

「何を話してたんだ?」

「ござさんが、大衆を集めるには、一つの悪を作り出せばいいって。」

「そうか。変わらないな。」

「何しに来たんだよ?」

「シソウ派がこの島に来たらしい。」

「この町にも来てるのか?」

「知らない。ただ、現防実衛9の一人が接触し、にがしたそうだ。」

「ゲデーさんが言っていた。」 

「あの人か‥しかし、逃したのか。厄介だな。」

「える町には伝えた。この町も気を付けておくことだ。」

───────

「あの!ペールさんのことについて教えてもらえませんか?」
 
「ペールさんのこと‥?あなたはこの町の方でないのですね。」

「はい。」

「わかりました。教えます。」

「ペールさんは10以上の町や村を守る優しい人。」

「なんでも、仲間の方々がシソウ派へ向かったとき、彼らは行かず、町を守ることを最優先させたそうなんです。」

「敵を前にしても、僕らを考えてくれる。素晴らしいお方なんです。」

僕らは他の人にも話を聞いてみた。

「ペールさん?
その人のことはよく知らないが、彼の仲間の人はすごかったな‥。」

「何があったんですか?」

「生き物の大群がこの町に来たとき、彼らを町にいれずかえしたんだ。」

「僕は彼らがしてたこと、はっきり見たんだ。」

「何をしてたんですか‥?」

「相手をよく理解して、求めているものを与えたんだ。つまり、好物を与え、かえしたんだよ。」

「動物達はお腹を好かせていたんだろうな。」

彼は「凄い」とつぶやき、頷き行ってしまう。

「みんなペールさんのこと、よく思ってるみたいだね。」

「うん、それは嬉しい。」

「だけど‥。この話も聞いておきたい。」

最後に気になってるところにも、話を聞くことにした。

「シソウ派について何か知ってることはありませんか?」

「何故、そんなことを‥?」

「何があったのか知りたいんです。」

しかし、その人は教えてくれなかった。

分かったのはペールさん達のこと。

彼らは優しさを持っている。

<h3>守るもの</h3>

シソウ派のことを一応聞いたので、僕とベーアさんはこの町から先に行こうと思った。

しかし‥。

一人の男が接触してくる。

「帰るのかい?」

「はい。」

「悪いけど、それはだめだ。ただではかえさない。」

僕は驚いて、彼を見た。

「君は‥?」

「俺か?俺は‥ユエだ。」

「この町を、ペールから任せられた。」

「つまり、リアル派ってこと‥?」

「あぁ、そうなるだろうな。」

「僕は君と‥君たちと話し合いたい。」

「そして、シソウ派に引き込むってことか?」

「ううん、お互いいれる道を探りたい。どちらかがいなくならないとなんて悲しいから。」

「そんなことはできない。昔からの因縁だからな。」

「君はシソウ派についてどう思ってるの?」

「侵略者。リアル派が逃げてきた、この場所も侵略しに来たのだろう?」

「俺達の居場所を奪わせない。」

彼がそういった時、後ろから男達が現れた。

そして‥

僕とベーアさんは彼らにつれて行かれる。

───────

「ここは‥?」

近くにはベーアさんがいる。

「目がさめたか。」

声の方を見る。

「君は‥?」

「ペール‥と聞けば分かるかな。」

「ペールさん‥!?」

「あぁ、そうだ。」

彼は続けて言う。

「二人は自由にしてある。」

「どうして‥?」

「二人が話し合いで解決しようとしてたこと。それは分かってる。」

「ユヴェが無事に帰ってきたしな。話し合ったんだろう?」

「うん。」

「あの男はタカ派の中でも1、2をあらそう急進派だ。」

「シソウ派としてあり続けたのは凄いこと。

しかし、ここまでだ。」

「俺がさせない。
ゲデーさんのため、ご先祖様達のため。」

「ゲデーさんってリアル派のトップの‥?」

「そうだ。」

「彼の居る場所を知ってるの?」

「あぁ。しってる。」

「教えてほしい。」

彼と話し合えば‥僕には強い思いがあった。

「まずは話し合おうか。その後に考える。」

「分かった‥。」

「創作学とはなんだ?」

「創作学‥?」

「それがシソウ派のバイブルなのだろう?」

「あぁ‥確かに、創作学はシソウが残した唯一のもの。」

<h3>なくした夢</h3>

「創作学は自由なもの。人に夢を与えてくれるものでもある。」

「人それぞれに平等に価値があって、優しさを与えてくれるものでもある。」

「沢山あるな。そんな曖昧なものなのか?」

「うん。だからこそ、いいってシソウは言ってる。人それぞれ考えることが違う。」

「自分の欲しい言葉を、与えてくれるのは、もしかしたら、既存のものじゃないかもしれない。だからこそいいんだ。」

「そうか。ただ、君の言ってた、考えの中の夢については理解できない。」

「どうして?」

「俺達、そして、先祖様達は夢をシソウ派によって奪われたからだ。」

「歴史のこと‥?」

「あぁ、そうだ。エル村に行ってどう思った?」

「機械と共存してる‥?」

「本当だったら、こうなるのはあの国の方だった。」

「発展していき、この村も、そして、世界は変わっていたはずだった。」

確かに、僕達の国でも、機械はあるが、この町程ではなかった‥。

「それなら、今から一緒に歩いていくことはできないかな?」

「一緒に歩くだと、それができると思うのか?」

「難しいかもしれない。だけど、もし、それがご先祖様の思いなら叶えたいんだ。」

「過去は変えられないかもしれないけど、未来は創作的で可能性はいくらだってある。」

「それも、シソウの言葉か?」

「うん。そうだよ。」

「過去に生きていた苦しみを無視し、協力することができると思うのか?」

「難しいかもしれない。ただ、僕は苦しみをただ苦しみのままにしておくのは悲しいことだと思うんだ。」

「なんで嫌なことに嫌な気分にならなきゃいけないの?どうして、相手ではなく自分がいつも損をするの‥?」

「つまり、負を自分の中に持つものはいつも損をしているということか?」

「うん。嫌な人がいるなら、楽しくあった方がそのことを考えなくてすむ。」

「夢を思うことが、君達や、先祖の方々の幸せに繋がる。僕はそう思うんだよ。」

「だが、それなら、シソウ派とリアル派が結びつく必要はない。」

「確かに、そうだね‥。」

<h3>乱入</h3>

「それで終わりか?」

「じゃあ、聞かせて欲しい。」

「なんだ。」
 
「これで僕がひいたとして、君はシソウ派をどうするの?」

「ここに来たシソウ派を、リアル派に変える。」

「何故‥?」
  
「それが先祖様の夢だから。」

「もう一度、リアル派の世界を取り戻す。シソウ派を少しずつリアル派に変えていく。」

「現防実衛9の半数はその目的のために動いてる。」

「それは君の意思‥?」

「リアル派の意思だ。」

「そこには君の意思はあるの‥?」

ペールは思った。

この男は何を言ってる。学問に誰かの意思が入る、それはあってはならない。


その時、一人の男が二人の前に現れた。

「よ。ペール聞いたぞ。シソウ派捕まえたんだってな。」

「ござ何故ここにいる?町はどうした。」

「他のやつに任せたさ。しかし、ペール。シソウ派のやつに洗脳されてないよな?」

「当たり前だ。俺はリアル派を受け継いでるからな。」

僕は小さな声で言った。

「君は‥?」

「俺はござだ。お前が例のシソウ派か。」

「うん‥そうだけど‥。」

「俺達の町を壊しに来たんだろう。」

「僕は‥わかり合うためにきた。」

「そんなことはできない。町中のやつらは、シソウ派のことが嫌いだからな。」

「それなら‥。」

ござはにやけた。

「一つだけ言いたい。シソウ派のために悲しまないでほしい。」

「悲しませてるのはお前たちのせいだろ?」

「なんで苦しんでるの?悲しみを受けたなら、僕らより幸せにならないと‥。」

「本当に復讐なんてできないんじゃないかな‥?」

ござはその言葉に口を閉じる。

「理想主義の詭弁だ。」

「シソウ派から攻撃を逸らすため。そうだろう?」

ペールはござのそばにより、エビを見る。

「じゃあ、シソウ派聞かせてくれ。」

「お前たちは何がしたい。町をすべて変えるのか?シソウ派の考えに引き込むのか?」

「僕は‥一人一人が自分の望む世界を‥ただ前に進めるようにしたい。」

「それは、何かを大きく変える必要はなくて、今がいいならそれでもいい。」

「だけど、一人一人が特別なものとして自覚できるような‥。」

<h3>変わり者</h3>

「曖昧だな。」

「だからこそいいんだ‥。シソウが言ってた。」

「曖昧なもの程、優しいそれにできるって‥。」

「分かった。」

「え‥?」

「何もするつもりがないならいい。」

ござは続けて言った。

「名前はなんていうんだ?」

「僕はエビ。」

「今はエビの味方になろう。」

「ござ、何を言ってる?」

僕とペールさんは状況に戸惑った。

「ペール覚えてるか?」

「何をだ。」

「俺に変わり者って言ったよな。」

「あぁ、ござは普通じゃない。」

「普通じゃないから、敵になるんだ。」

「やっぱり、意味が分からないやつだな。」

「昔からの付き合いとはいえ、町を任せたのは間違いだったか。」

「そうか?大正解だったと俺は思うぜ。」

そして僕を見る。

「エビ、何か一つだけ叶えてやるよ。何がしたい?」

「僕は‥現リアル派トップのゲデーさんに会いたい。」

「だってよ、ペール。」

「あのお方にシソウ派をあわせるとでも?」

「俺には武器があるんだよ。」

「なんだ?」

「印象操作。」

「何をするつもりだ。」

「ペールがおさめる、10の町や、村にシソウ派に対する偏見や、嘘だったことを言う。」

「先祖とは言え、事実とは異なること言ってただろ?」

「それをすれば、ござもただではすまないぞ。」

「いいさ。もの作ってるやつらは何かをくれても、何も求めなかった。」

「しかし、俺らは多くを求めてきた。それが一つに、嘘だったり、他人が与えたものを利用することだった。」

「分かった。そのことは、俺自身も、考えてることがある。」

「ゲデーにあわせるか?」

ペールさんは頷く。

「ただし、一つだけ条件がある。」

───────

ベーアさんは目をさます。

「あれ‥エビ、どうしたの?その人は?」

「ござさんって人。ペールさんと話してた時、助けてくれて。」

「そうだったんですね。ありがとうございます。」

僕はたずねた。

「ところで、あの‥ペールさんのこと、いいんですか?」

「喧嘩は昔、よくしてたからな。」

それからござさんと話して、次の日がやってきた。

<h3>子孫</h3>

「ゲデーさんすみません‥。」

「どうした、ペール。」

「シソウ派をここにいれることになってしまいました。」

「そうか。いいんだ。」

「しかし、あなたはリアルの子孫‥。」

「何もせず、見ているだけでは、なんのためのトップであるか。」

「もう一度、リアル派の世界を作るため。それの一歩として、私はその者と話し合う。」

「良いのですか‥?」

「ペール、君のことは強く信頼してる。」

「私がシソウ派に屈すると思うのか?」

「思いません。私も、ゲデーさんのこと、信頼しています。」
 
───────

僕とベーアさんは、ゲデーさんのいる都市へ向かった。

そこには多くのリアル派が居るらしい。

「これで最後になるかもしれない。」

「ね。今まで、リアル派の人達に色々会ってきたね。」

「だね。ゲデーさんってどんな人なんだろう‥。」

そして、僕は弱音を言った。

「少し自信ないな‥。」

「ね‥。私も、エビの立場だったら、自信ないと思うの‥。」

ベーアさんは僕の目を見つめる。

「でもね、あなたはずっとシソウと向き合ってきた。小さい頃からそれを知ってる。」

「あなたならきっと大丈夫。どんな結果になってもね‥。」

「ありがとう‥。」

僕は人と話すたび、少しずつ、元気をなくしてた‥。

だけど、いつも、彼女がそばにいてくれたんだ。

僕は心の底から、ありがとうと思った。

そうして、少し歩いて元気が出てきたので彼女に話す。

「そういえば、シソウ派の子孫って居るのかな?」

「確かに‥知らないね‥。学校の先生とかになってたりかな‥?」

「分からない。僕のメモ帳も、シソウが生きてた時のことしか書かれてないし‥。」

「リアルの子孫は居るらしいし、シソウも居るんじゃないかな‥?」

「かもね‥。もし、本当に居たら、今のリアル派のこと、シソウ派のこと‥どう思ってるんだろうね‥。」

「それは気になるね。」

そして‥出会っていたら、その人と僕は仲良くなれたんだろうか‥?

シソウのメモ帳を持って、誰か知らない人と話す絵を頭に浮かべる。

<h3>最後の道の途中で‥?</h3>

僕はベーアさんとゆっくり話しながら向かった。

前よりも落ち着いてきて、気持ちが楽になってきた。

その中でのこと‥。

ベーアさんが何かを発見した。

「これ何かな‥?」

木に紙が貼られている。

読んでみると、“こっちこっち”と書かれ、下には矢印がある。

その矢印の方向に進んでいった。

森の中に入っていく。

すると、最後に下に向いた矢印にたどり着き、そこを探してみるとメモ帳が落ちていた。

「なんだろう‥これ‥。」

隅に黒いペンで“ゆう”と書かれている。

「落としたのかな‥?」

「でも、紙が沢山貼ってあったし‥。」

「ね。」

僕はそのメモ帳を開いて読んだ。

「それを見ると、エビが拾ったときもこんな感じだったのかなって‥。」

「そうかもしれないね。」

そうつぶやくと、そのまま、また読んでいく。

「何が書かれてるの‥?」

最初だけ読んでみるね。

昔、こんなことがありました。

一人の男の人が、メモ帳を落としたんです。

しかし、それを探さず、希望をこめました。

それを拾った子供は、人生の中で、希望を持って人と関わり、夢やそれらを与えていきました。

それから、そのメモ帳も、色々な人を渡って、最後に本人の孫の元にたどり着きます。

その人は自分の考えを強く持ち、さらにメモ帳を手にしたことで、自分のすると決めたことに向かっていったんです。

ただ、完全には叶いませんでした。

半分は叶い、半分はもどかしい結果に終わってしまったんです。

未来に希望を残して‥。

少し驚いた。

自分と同じことが起こってたかもしれない‥。

そして、僕が、今、これを拾ったことに‥。

「エビ‥?」

「うん。」

僕は次のページを開いた。

そこから先は“白紙”と書かれている。

「なにそれ‥?全ページに小さく白紙って‥。」

「どういうことなんだろう‥?」

しかし、僕はとりあえずメモ帳をしまっておいて、先に進むことにした。