<h3>大事なこと</h3>
「選別‥?」
「あぁ。君たちはシソウ派なんだろう?」
「そうですけど‥。」
「なら、聞かせてくれ。考えを。」
「いいですけど、その前にいくつか聞いていいですか‥?」
「いいだろう。言えることは話す。」
「今、ここに居るんですか‥?」
「いいや。ここには居ない。数日後、彼はやってくる。」
「俺はその間、ここを見張ってるんだ。」
「そうだったんですか‥。何故、調べないんですか‥?」
「これはリアルとシソウが話し合ってからずっとだ。理由として、リアルの弟が言ったこと。」
「ここはリアルが亡くなった場所。無闇に近付いてはならない。」
「その教えを守り、リアル派は一度も過去を知るためにこの場を調べることはなかった。」
「ただ、俺の仲間は言った。自分こそがリアルの思想を受け継いだ人間だ。」
「そうなんですか‥。」
「あぁ。リアル派というものはそもそも、リアルの弟が作った派閥。」
「リアル派はリアルの弟の考えによく従う。だが、あの男はリアルの弟ではなく、リアル自身を深く信仰している。」
「彼がリアル派の代表的人物達と話し合い、実際にしていいと許可をもらった。」
僕は思った。その人は多分、強い気持ちを‥。
「時間は決められているがな。」
「その人の名前を教えてもらえませんか‥?」
「実際にあってたしかめればいい。」
「確かにそうですね。」
「もういいか?」
「はい。教えていただいてありがとうございます。」
「では、早速、はじめてくれ。」
一瞬思った。
何を話せばいいんだろう‥。
だけど、1つ心の中に決まってる。
進もう。
「今まで色々な人の考えを聞いてきた。そして、今、僕はここにいる。」
「自分が心から求める純粋な気持ち、それを信じて未来を行きたい。」
「なるほど。いいだろう。」
「どういうことですか‥?」
「君はみたしていたってことだ。」
結局、彼の言ってることがわからず、あっさり終わった。
その人は日時を告げ、今日は帰ること言う。
僕らはそのとおりに帰っていった。
<h3>今まで</h3>
「ペールさん。」
「ユエか。どうした?」
「聞いた話だと、リアル派の子孫のあの人とあわせたらしいですね。」
「何かあったんですか?」
「ござがな。」
「あの男が?
何故、ずっとあの男をそばに‥。裏切られるのはわかってたはずでしょう。」
「小さい頃からの付き合いなんだ。」
「それでも‥。」
「あいつは昔からリアル派なんてとか言ってた。しかし、いいところを見ると、リアル派につく。」
「せわしないやつなんだ。」
「しかし、逆にそのおかげで、間違えずにすんだこともある。自分が正しい方向に進んでいるのか。」
ユエは頷いた。
「あいつは今も、ペー村に居る。」
「ペールさんが見逃すなら、今はそっとしておくとしましょう。しかし‥」
「あぁ。分かってる。」
「あと、話しがあるんだ。ゲデーさんが言ってたんだが。」
──────
僕らは家に到着した。
中に入ると、ねのさんのものと、知らない靴が。
「誰か来たんだろうか‥?」
僕らはそのまま入っていった。
「おかえりなさい。エビさん。」
「久しぶり!」
この人は‥。
「ちつ!覚えてる?
前はごめんね。」
「ちつさんいつものしてしまったんですか‥。」
「そうなの。」
ベーアさんは言った。
「持病大丈夫なんですか‥?」
「うん。遠くに出かけるときは、カスタネットとメモ帳持ってるから。」
心の中で、それでいいのか‥。と思った。
「でも、どうしてここに‥?」
「シソウ派の人達、ここに居るかなって。やっぱりねのちゃんみたいだったけど。」
「僕達に用があったんですか。」
「うん、そうなの。今はシソウ派のことは悪く言わないよ。」
「だけど、考えは今は変えないから。」
「なにがあったんですか‥?」
「うん。それなんだけど‥。詳しいことは外で待ってる男の子に聞いて。」
「わかりました。」
僕はベーアさんとエーテさんを家に残し、外に出た。
帰るときにはだれも居なかったけど‥。
ぼくはそばを見渡した。
そして言った。
「誰か居ませんか?」
すると、一人、男が森の中から出てくる。
君は‥。
<h3>何を信じるか‥</h3>
「久しぶりだな。」
「君は‥ユヴェくん。どうしてここに‥?」
「ちつさんに聞いてきたんだ。ここに居るだろうってな」
「用なんだが、ゲデーさんに聞いた。あの男と真実を知るらしいな。」
「あの男‥?」
「エビが探してる男のことだ。」
「その人なんだけど‥誰も教えてくれなくて‥。」
「エビも知ってる男だよ。」
「もしかして、セーデくん‥?」
「どうだろうな。」
「じゃあ、1つ教えて欲しいんだ‥。」
「セーデくんと、どうして友達になったの?」
「昔、シソウ派の国に行ったことがあってな。」
「その時、助けられたんだ。」
「そうだったんだ‥。」
それを聞いて安心した。
「深くは言わないがな。ただ、ついでに言っておこう。」
「探してる男は、エビと同じ国に住んでいる。創作にも精通し、ここに来たのは大学生の時らしい。」
まだ可能性があるってことか‥。
「何を信じるかは任せる。ただ、相手は、エビのことを気にしてる。」
「どういうふうに‥?」
「ゲデーさんの話では、一番手強い相手だと。」
「長く一緒に居たなら、ショックなこともあるかもな。」
そう言い、去ろうとする。
「まだ聞いてないことがあるんだ。」
「何だ?」
「どうしてここに来てくれて、話してくれたの?」
「シソウと、リアルが話し合った歴史はリアル派ではとても重要な出来事なんだ。」
「君は行くんだろう?」
「うん。」
そして、ユヴェくんは去っていった。
僕は彼の背中を見えなくなるまでおった。
それから、家に戻る。
「おかえり!」
最初に言ったのはちつさん。
「二人とも悪い子じゃないじゃん!とってもいい人!」
「うん。ベーアさんとエーテさんいい人だよね。」
「うん。シソウ派が嫌いなのは変わらないけど、そこは認める!」
「ありがとう。」
「あと、すごいね。前にユヴェくんと話し合って無事だったの。」
「しかも、友達だったんでしょ?」
「うん。偶然ね‥。」
そうだ‥。僕はここに来てから、ずっと偶然が続いてる‥。
ちつさんは「これからのこと、応援してあげるね。頑張って!」と微笑む。
それから時間が経って、ちつさんは帰る。
<h3>未来へ繋がる道の途中で①</h3>
当日になった。
今日が本当に最後になるかもしれない。
僕はねのさんにまたしばらくの別れをいい、二人を連れて家を後にした。
向かう途中のこと‥。
僕らは会話をしていた。
すると、前から‥
「お姉ちゃん!久しぶり!」
ベーアさんの元に少女がかけよった。
「久しぶり。名前は‥。」
「なし!」
「なしちゃんって言うんだ。可愛い名前。」
「ありがとう。」
「今日はどうしたの?」
「お兄ちゃんと一緒に居てね。」
後ろから男の子が。
「久しぶり!」
「あ‥君はゆうくん。あのあと何処へいってたの?」
「気持ちよさそうにねてたから、そっとしておきたいなって!」
心の中で思った。
大人なところがあるんだな‥
「それで今日は?一緒に遊ぶの?」
「これから行くんでしょ。」
「うん‥。知ってたんだ。」
「今の考えを聞かせて欲しいんだ。これからどうしたい?」
「僕は‥」
考えは決まってる。
「リアル派、シソウ派ともに歩いていきたい。」
「嬉しい事実も、悲しい事実も、嘘だって全て信じる。前に進むために。」
「それが受け継いだ、君の考え‥。」
「僕は応援する。君ならきっと大丈夫。」
「ありがとう‥。」
その時、何故か、ゆうくんの姿が大きく感じた。
「行こう!」
ゆうくんとなしちゃんは僕らの前を歩いた。
「この先に何が待っていようと、目に見える光が大きければ世界はいつも明るい!」
そうして、ゆうくんとなしちゃんはたちどまる。
そして、僕の背中に優しく触れる。
「なんでだろう。僕は今の今までそうだったんだ。」
「目の前が明るくて、楽しくて。どこまでだって進んでいけるって。」
ゆうくんはそう言うと「またね」と。
なしちゃんも続けて「お姉ちゃん、お兄ちゃんまたね!」と。
ベーアさんとエーテさんも同じく言って、僕は小さな声で「ありがとう。」と続けた。
今日から新しい未来が始まるんだ。
その時、心の中では落ち着きがあり、あつい何かもあり‥。
「進もう。」
───────
<h3>集結</h3>
そして、歩いて、例の場所に到着した。
前にいた、男の人‥。そして、もう一人一緒に居て‥
ゲデーって人だ。
「久しぶりだな。」
「どうしてここに‥?」
「話は聞いてるだろう。ここはリアル派にとって重要な場所。」
「一応のリアル派トップである、私がここに来ることが条件。」
「そうだったんですね。」
「あぁ。身を引いた先輩達も、それで承諾した。」
すると、もう一人の男が「中で待ってる男が居る。」と。
僕ら3人は、その建物に入っていく。
ゲデーは呟く。
「シソウ派か‥。」
───────
建物の中には、色々部屋があって、下に続く階段も見えた。
「どこに行けばいいんだろう‥?」
「とりあえず色々探してみる?」
「そうしようか。」
すると、「今はまだ大丈夫。」と。
この声聞いたことがある‥。何度もそばで聞いてた‥
「セーデくん!」
「久しぶり、エビくん、エーテさん、ベーアさん。」
嬉しさがあったが、ただ少し‥
「どうしてここに‥?」
「これで最後だから‥かな。」
「聞きたいことが沢山あるんだ‥。」
「そうだよね‥。ずっと、連絡しなくてごめん。」
「寂しかったです‥。」
「エーテさんもごめん‥。」
「話は色々あるかもしれないけど‥。そろそろ、彼も来る頃かも。」
丁度、その時、ワズィくんが建物の中に入ってきた。
「ワズィくんも。みんな揃ったね。」
ワズィくんは言った。
「エビくん、みんなも久しぶり。」
「久しぶり。嬉しいな。もう会えないかと思ってたし‥。」
「でも、リアル派の代表になったって人はどうしたんだろう?」
「それは俺だよ。」
「え‥?」
僕はワズィくんを見た。
「どういうこと‥?」
「リアルの思想を受け継いだ。無念を晴らすため、エビくん。君と話し合う。」
「そして、シソウ派をこの世からなくし、リアル派の世界を。」
「でも、僕と話し合うことでどうしてそれができるの‥?」
「セーデくん、そうだろう?」
「うん‥。実は、僕は君に謝らないといけない。」
「どういうこと、セーデくん。」
「君がシソウ派を捨てるなら、僕はシソウ派をなくす話をすると約束した。」
<h3>自分のすること</h3>
僕は戸惑った。
ワズィくんは言う。
「それより、セーデくん、大事なことを言ってないぞ。」
「君はシソウの子孫。シソウ派にとって重要な位置にいる。そうだろう?」
シソウの子孫が、セーデくん‥?
「うん、そうなんだ。シソウは子供はいないんだけど、先祖はシソウのいとこで。」
「シソウとは繋がりがあってね‥。」
ゲデーさんと似てる。
だけど、二人とも、リアル派の子孫、シソウ派の子孫であることは変わらない。
「ずっと隠しててごめん。」
「ううん。久しぶりにあえて、謝ってばっかりだね。」
「エビくんは今まで頑張ってきた。本当だったら、僕がやればいいことを‥。」
「僕はシソウの創作学が好きだから。大丈夫だよ!」
「ありがとう‥。」
「僕は君なら大丈夫だと思ってた‥。ここまで来たのも、思いが強かったからだよね。」
「わからないけど、そうかもね。」
「僕はシソウ派の思いを君に託す。」
「わかった。」
「色々あるようだが、エビくん、話すか。」
「話そう。」
僕はじっと、ワズィくんの目を見た。
「俺は絵本が好きだ。」
「『王子様との旅』だっけ‥?」
「あぁ。矛盾してるようだが、これは事実を元に書かれている。」
「ここに登場する主要人物は巨大な敵と戦い、勝利した。」
僕は頷いた。
「今、この状況もそう。しかし、残念ながらその巨大な敵とは何か調べても分からなかったがな。」
「そうなんだ‥。」
「あぁ。」
「全員集まって悪いが、3人は出ててもらえないか?」
「これはシソウとリアル、お互いの考えを受け継いだ二人の会話。」
セーデくんは「分かった」と頷いた。
「エーテさん、ベーアさんも大丈夫かな?」
「うん。それでいいよ。」
「私もです‥。」
そして、エーテさんとセーデくんは出ていった。
ベーアさんは残って話しかける。
「二人とまたできたら‥」
「なんでもない。」
そして二人を追っていく。
「ようやく二人になれたな。」
「うん。」
「これでようやく成就する‥。」
リアルの、そして俺の‥。
<h3>過去①</h3>
俺が子供の頃ことは色々覚えている。
しかし、その中で、たまにあったこと。
それは今の悲観だった。
俺の親はどちらかというと、リアル派で、現状を完全には受け入れられないそれであった。
その中で、一つ、感動するものがあった。
一冊の絵本。
幼いながら、強い感銘や、何かの光を感じていたのを覚えている。
それから、その絵本について色々知りたいと思った。
そして、もう一つ。
歴史にはまった。
過去にどんなことがあったか、そして、どうして今があるのか。
それらにとても強い関心があった。
ときには歴史を知るためだけに遠くに出かけ、話を聞いて回ったこともある。
その積み重ねにより、思いが強くなった。
リアル派を‥あの頃を、もう一度と‥。
そのついでとして、絵本についても調べていた。
それから時が経ち、大学生になる。
その歴史の授業では、俺が調べきることができなかったものにも触れられた。
あとで聞いた話だと、そこの先生はリアルを信仰する、リアル派だということが分かる。
俺は思った。
そうか‥もしかしたら、あの絵本と歴史は同じ方向に進んでいたのかもしれない。
未来、リアル派が返り咲くための。
俺は歴史の先生と、少しずつコンタクトをとっていった。
授業ではやらない、リアルの弟が残した言葉も教えてくれた。
激しさはあったが、それは、前に進む後押しになる。
しかし‥
いいことばかりではなかった。
それと同時期に出会った男。
シソウをとても尊敬していた。
真反対の立ち位置にいる。
ただ、持っていたメモ帳に関心よせられた。
シソウのメモ帳。
もしかしたら、また知られていないリアルの歴史がわかるかもしれない。
そんな思いで、彼にも近付いていった。
それから、歴史の先生と話していくうちに認められる。
「あなたはもしかしたら、何かを変える人になるかもしれない。」
そう言って、長い休みのとき、島に連れていった。
そこでも、ずっと歴史を調べた。
そうして、多くのことは知れたが、肝心な部分はわからないまま。
シソウとリアルが話し合った、そこだけは‥。
<h3>過去②</h3>
そして、人に話を聞くうちに分かった。
リアル派はずっと行動して来なかった。
話は出ていたが、行動しようと声は出るが、その行動まではいかない。
今まで続いてきた、悲しい過去。
俺が起爆剤になろう。
そこから少しずつ計画をねった。
帰って俺は、少し考えを持った。
シソウ派をなくそう。
俺にとってのその一歩が、メモ帳の男と、創作者になること。
その間にも、例の島に何度か行った。
そこでは、特に行動を起こしたいと考えているものを探した。
一定数いて、探すのも苦でない。
しかし、その者達は、思ってはいるが実際に何をすればいいかわかってないものが多かった。
その時、偶然、俺は創作者をしていた。
どうすればいいか、彼らに教えていく。
“相手が悪い気にならないよう、自分の方に引き込めばいい”
その考えのもと、辻創作者狩りが少しずつ増えていった。
創作者でも、メモ帳の内容は分からないが、そばにいたことで分かったことも多かった。
もう必要ないか‥。
そう思ったが、偶然、新しいことを一つ知った。
創作者の中に、シソウ派の子孫がいること。
裏で彼と話した。
「シソウ派の子孫なんだろう?」
「そうだよ。」
「今、創作者狩りが流行ってるのを知ってるか?」
「そうみたい‥。」
「君が自分の正体を明かし、シソウの創作学を否定するんだ。そうすればもうこんなことは起こらない。」
「悪いけど‥それは無理だよ‥。」
「そばでみてきたでしょ。」
「彼のことか。」
「うん。」
「多分、僕より彼の方が、シソウのことを強く思ってる。」
「僕じゃないんだよ‥。シソウ派の中心になるのはきっと彼だ‥。」
「つまり、俺と立場が同じということか。」
「え‥。どういうことかな‥?」
「今、この状況になってるのは、俺が仕組んだことだ。」
その日から、セーデは職場に来なくなった。
それから、変わらず、数ヶ月以上続けていたが、俺はそろそろと考える。
メモ帳の男が居ないところで、一旦辞めようと話を出した。
しかし、その後、彼はやってきた。
<h3>過去③</h3>
解散してから、一人女性がついてきた。
「どうして来るんだ。」
「セーデくんが居なくて‥」
「エビくんとベーアさんはいただろう」
「そうだけど、私はしてないから‥。」
「だからと言って、何かするような二人じゃないだろう。」
「確かに‥。」
そう言い、下を見る。
「少し一緒に居ていい。しかし、その後は、島にでも行くといい。」
「エビがいるだろうから。」
「ありがとう‥。」
数日して、エーテさんと別れ、ようやく一人になった。
創作者だったあの時、島に行って一つ知った。
国でのことは任せ、俺は歴史を知ることに注力しよう。
そして、島に向かおうとしてた時。
「ワズィくん。」
「その声はセーデくんか。」
「うん。」
「ずっと顔を出さず、どこへ行っていた。」
「今はエビくんに会えない。そして、僕にはすることがあると思うから‥。」
「すること?創作学は間違ってると、言う気になったのか。」
「僕はかけるよ。もし、これを成し遂げたら‥君の言う通りにしよう。」
「それはなんだ。」
「エビくん。彼がシソウ、そして、創作学を捨てると言うなら僕は間違ってると君の言う通り話そう。」
「何故、エビを信じる。」
「エビくんはね。今まで関わった人の中で、一番シソウ、そして創作学を思ってる‥」
「そう感じたんだ。僕よりずっと‥。」
「もし、彼が捨てるって言うなら、もう止められないと思うから‥。」
「ふっ。そうか。」
けりをつけないといけないか‥。
「ただ、少し待ってほしいんだ。」
「なんのために?」
「彼が自分と向き合うこと‥。」
「分かった。ただ、けりをつける場所は俺が指定する。」
シソウとリアルが話し合った場所。
しかし、そこにたどり着けなければ、永遠に話すことはないがな。
俺は心の中で、セーデが言わなくても、このままでシソウ派は居なくなるだろうと思っていた。
ただ、あいつは来た。
しかも、俺の仲間に話し合うに相応しいと認められて。
矢張り、けりをつけなければいけない。
これからの未来のために
<h3>リアル</h3>
「その前に、少しリアルの話をしよう。」
「うん。」
「リアルは真面目だった。学校のテストでは毎回のようにトップをとった。」
「家でも、学校でも勉強に取り組み、それは彼の父から位を譲られる時も、そうだった。」
「なるほど‥。」
「つまり、忠実だったんだよ。俺と同じだ。」
「俺はリアルを信じ、リアルは自分の父を信じた。」
僕はふと、分かり合えることはないと言われた時のことを思い出した。
彼は続けて言う。
「リアルとシソウが話し合う前のこと、知ってるか?」
「シソウはわかり合うためにリアルと話そうと考えていた。向かう場所が、この島だった。」
「そこまでしか‥。」
「そうか。なら教えよう。」
「シソウは確かにわかり合おうと、リアルと話し合った。」
「しかし、無理だった。だからこそ、リアルを消すことで全てを解決させようとしたのだ。」
「本当にそうなの‥?」
「歴史を見れば分かる。リアルは忠実であった。リアルの父は創作を嫌っている。」
「わかり合うことは絶対にあり得ない。」
「でも、可能性はあるんだよね‥?」
「確かにあるだろうな。」
「ただ、その先の歴史、今シソウ派の時代になっている理由だ。」
僕は頷いた。
「リアルはシソウに消された。それをリアルの弟が言う。」
「彼はいくつも残している。兄が亡くなって悲しかったのだろうな。」
「確かに‥弟が嘘なんてつくかな‥。」
「彼は国にも、そのことを伝えた。」
「しかし、シソウ派に毒された国は、その事実をないものとした。」
「歴史の授業ではならわなかったよね‥。」
「あぁ。そこで、リアルの弟は悲しみからリアル派を作った。」
「ここは兄が亡くなった重要な場、荒らされたくなかったのだろう。」
「なるほど‥。でも、じゃあ、どうして君はここを‥?」
「歴史を知ることは重要だからだ。創作学を完全にこの世からなくすためには、真実を明らかにし、誤っているものだと大勢に教えなければいけない。」
「真実は目をそらすものではないんだよ。」