過去からの手紙⑨

<h3>得てきたもの</h3>

「じゃあ、今から見に行くの‥?」

「まだだ。少し話してから行く。」

「分かった。」

「いくつか聞きたいこともあるんだ。」

「何でも行ってほしい。」

「創作学の存在意義とはなんだ?」

「存在意義‥?」

「俺は今まで君と一緒に居たから、理解している。創作学は他のものでも代替可能で、不完全なものだと。」

僕は心の中で、確かに‥と思った。

エーテさんの顔が浮かぶ。

「もう一度聞こう、何故、創作学が必要なのか?長く居た君なら分かるだろう。」

「僕はいくつかあると思うんだ。一つが優しさ。」

「優しさ‥?

それは学問にもある。知ることによって、それを人に与えてくれる。」

「うん。学問にも優しさはある。そして、創作にも優しさがある。」

「何がいいたい。」

「悲しい時、支えてくれる。」

「確かに学問にはないかもしれないな。しかし、もしそうだったとしても作ればいい。」

「そうかもしれないね。」

僕は頷くと続けた。

「次に平等があると思うんだ。」

「学問にもそれはある。学びの前での平等。」

「確かに平等あるね。創作にも平等がある。」

「創作をすることで、一人一人は特別な人になれる。誰とも比べなくてもよくて‥。」

「例えるなら、神様と人の関係。」

「神様と人の関係‥?」

「学問が神様とするなら、人はその学問の前で平等な存在になる。」

「だけど、創作の場合は逆転すると思うんだ。一人一人が特別な存在、つまり神様になれる。」

「確かに全ての人間が神なら、それは平等と言えるかもしれないな。」

「しかし、成り立たないだろう。」

「そうかもしれないね。」

「そして、次に与えること‥。」

「創作は、夢や、希望を与えてくれる。どんなものでも、この中では叶うし、叶わないことなんて一つもない。」

「ふはははっ。それがエビ、君が今まで得てきたものか。」

「面白い。だが、足りないものがある。」

「何かな?」

「これから進んでいくための力だよ。俺は今までを変え、元通りにするんだ。」

「恨まれる覚悟もある。望む世界にするため、前に進んで行く。」

「それは多分、僕が得てきた、4つ目のものだと思う‥。」

<h3>重要なこと‥</h3>

「4つ目‥?それは何だと言うんだ。」

「純粋な心。」

「子供に戻りたいってことか?」

「それもあるかもしれないね。だけど、それは大人になっても変わらずあると思うんだ。」

「今、僕は、明るい希望を持っている。」

「何故?」

「今、こうして、君と話せてる。」

「前だってそうだ。ゲデーさんや、リアル派のみんなと話せたこと。」

「僕は特に何か酷く否定されることもなく、こうしていられるのもそう。」

「奇跡だと思うんだ。もしかしたら、シソウの思いが、ここまで連れてきてくれたのかもしれない。」

「矢張り、君は変わってるな。」

「そうかな。ありがとう。」

「希望がある。そう思えるんだ。」

「それが純粋な心ってやつか。」

「分からない‥。だけど、そう思ってる。」

「とりあえず、仲間が、相応しいと思った訳は分かった。」

「しかし、思いだけではいけない。必要なのは行動だ。」

「これから、大きな変革をおこす。言葉や思いだけではどうにもできない。」

「だからこそ‥最後の一つ。創作学の本質である“許す”ことが大事になると思うんだ。」

「許す?昔に自由と聞いた記憶があるが。」

「うん。自由も大事だけど、本当に重要なのは“許す”ということだと思うんだ。」

「これがあれば‥きっとどこまでだって、前に進める。」

シソウは何をもって許すと書いたのか‥

それは分からない‥。

だけど、確実にわかってることがある。シソウは理想を目指していたということ。

それだけは‥。

「これ以上、話を聞いても、気持ちを変えることはできないな。」

「エビの、シソウ、そして、創作学への思いは分かった。」

「だからこそ、今、行こう。」

「分かった。どんな結果であっても、僕は理想を目指すから‥。」

ワズィくんは地下に続く階段を降りていった。

僕はそのあとを追う。

シソウの歴史‥。

本当に分かるんだろうか‥?

そう考えているうちに、ワズィくんは見えなくなっていた。

余程気になるのだろう。

急ぎ足で、あとを追うと、ワズィくんは地面に足をついていた。

「何があったの?」

<h3>過去からの手紙①</h3>

彼の前には2つのお墓があった。

よく見てみると、右はシソウと左はリアルと書いてある。

「何故、二人の墓がそばに‥」

リアルとシソウは敵同士だった。

この状況は明らかにおかしい‥。

「墓があるとは聞いていたが、まさか隣にあるとは‥」

「しかし、何も情報がない。歴史は永遠に闇の中ということかな。」

ワズィくんはそう言い、そのまま地面に座ってリアルの墓の前に居た。

僕は何かないかと、探し回った。

けれど、何もない。

しかし探そうと色々あたりをまわってみる。

ワズィくんはその様子にみかねたのか言った。

「無駄だ。地下には、この墓と、シソウを閉じ込めていた檻があるくらいしかない。」

「歴史はもう知ることができないんだよ。リアルの弟は、このことを残していない。」

「シソウを閉じ込めていた檻?」

僕はすぐに探して、そこを見つけた。

そして、がむしゃらに穴をほっていく。

「君は何をしている。」

「シソウは‥いつもメモ帳を肌身離さず持っていた。」

「創作を作るためでもあるし、あのメモ帳みたいに、何が起きたのか書いてあるかもしれない。」

ワズィくんは少し悲しそうに「もう無駄だよ。」とつぶやいた。

ただ、何か‥。

そう言われても、突き動かすものがあった。

そして、僕は手を止めた。

「見つけたよ‥。」

「何だって。」

ワズィくんは僕の方に走ってくる。

「多分、これがシソウのメモ帳‥。」

土でとても汚れていた。

だけど、残り続けて居たんだ‥。

僕はそれをひらく。

1ページ目‥

前に書いていたメモ帳が無くなった。

少し、メモ帳がどうなったか気がかりなところはある。

でも、創作の恩人がメモ帳を無くし、それがより良い使われ方をしていた。

その可能性も物語的にあり得るから、僕は希望を込める。

そして、これは続きのこと。

リアルくんと話し合う前日、よく一緒にいてくれた友達が後押ししてくれた。

僕はどんな結果になろうと、創作のように理想を目指そうと思った。

これが最後の話し合いになるだろう‥。

<h3>過去からの手紙②</h3>

僕は直談判して、リアルと話し合いを頼んだ。

彼は「いずれ、しなければならなかっだろう。」と言って受けてくれた。

思えば、彼とは、一度も話したことがなかった。

話には何度も、聞いたし、真面目でいつも勉強してるような、ある意味、僕とは正反対の人。

そして、建物に入った。

「シソウくんだったよね。」

「うん。」

「君のことは学生時代、少し気になってたよ。」

「そうだったんだね。」

「うん。それで、創作の話だよね。」

僕は気を引き締める。

「そうだよ。」

「僕は父から、“任せる”と言われた。君の話を聞かせて欲しいんだ。」

「君が考えてる創作とはどんなものなの?」

「創作は理想だよ。一人一人が進みたい方向に進んでいける。」

「そんなものだと考えてる。」

「なるほど。」

「シソウくんは、それがどうしたらできると考えてるの?」

「学問は“制限”、創作は“自由”って立ち位置にしたい。」

「でも、ここで言う自由は、囚われないことにあって。」

「真逆の感情も取り入れるのが自由だと思うんだ。」

「そっか。それも良さそうだね。」

僕はその言葉に少し驚いた。

「否定しないんだね。」

「知るって楽しいから。」

彼はそう言い笑う。

「それでなんだけど、創作学って言うのを作りたいんだ。」

「良いと思うよ。」

「本当にいいの?」 

「創作から新しい言葉を知れたり、考え方を学んだりもできるし。」

「お父さんは?」

それが僕の不安要素だった‥

「父は悩んでいてね。真実を知ったって言ってた。」

「真実‥?」

「うん。それをどうするかって困ったらしくてね‥。」

「創作禁止はその流れで‥。」

「自分はどうもできなかったけど、僕にはどうするか任せるって。」

「そうだったんだ。」

「うん。」

「君は創作をどう思ってるの?」

「昔からずっとしてたから好きかな‥。」

「そっか。僕も勉強するのが好き。」

「君は言葉でも進みたい方にって言ってたし、実際に進んでるところを見てたからね。」

「創作学を作ろうよ。」

リアルくんは笑った。

無理かもしれない‥そう思っていたが、案外そうではないかもしれない。

僕の中に、強い希望がわいてきた。

<h3>過去からの手紙③</h3>

「ありがとう。」

「こちらこそ。だけど、作るなら、より良いものにして欲しいんだ。」

「分かった。頑張るよ。」

すると、そこに一人の男性がやってきた。

「リアル、それはどういうことか。」

彼はリアルくんの弟だった。

「創作学を作ろうって。」

「いいや、そんなことじゃない。父の考えを裏切るのか。」

「そうなってしまうね‥。だけど、僕は託されたんだ。」

「今の状況、シソウくん側に多くの人がついてる。彼らの話も取り入れることが大事だって。」

「そんなことではいけない。創作は誤ったものも教える悪い考えで、正しさだけを求める学問を信仰しなければいけない。」

リアルくんの弟は、僕とリアルくんを檻にいれる。

二人とも無抵抗だったから、弟はたやすくできた。

「ここで反省することだ。ご飯は持ってくる。」

「リアルは創作は間違ってると認めること、創作の男は仲間に自分の考えが間違ってると話すこと。」

「それが条件だ。」

リアルくんの弟は忘れずに毎回、ご飯をくれた。

彼がいないときは、よくリアルくんと話す。


途中で、ワズィくんは言った。

「それはシソウが作った物語じゃないか?」

「その可能性はあるね‥。文章は全部、シソウの字だよ‥。」

「しかし‥。あの二つの墓‥。それをどう説明するのか‥。」

そこに誰かの影が‥

「それは多分、真実だよ。」

「セーデくんか。」

「ワズィくん、シソウ派の身内の中ではずっと受け継がれてきたんだ。」

「リアルの弟が言った、シソウがリアルをあやめたこと。それは嘘ではないかと。」

「何故、それが言える。」

「リアルの弟しか言ってなかったこと、シソウ自身はそういう行動力がある人間じゃなかったこと。」

「そして、リアル派がリアルをなくしてしまったにも関わらず、行動しなかったこと。」

「なるほど。確かにな。リアル派は今までずっと行動して来なかった。」

「リアルの弟が存命中にもそれができたはずなのに。」

「周りに行動に移す人間が居なかったから。それを一つの仮設として持っていたが、それなら納得がいく。」

<h3>過去からの手紙④</h3>

「しかし、随分、現実的じゃないか。逆に俺が創作的に思えて来たよ。」

「これもまた創作に過ぎないから。事実は分からない。」

「だからこそ、身内の中で留まっていたと言えるんじゃないかな。」

セーデくんは続けて言った。

「さぁ、続きを聞かせてくれないかな。」

「分かった。」

僕はメモ帳を読んだ。

檻の中は案外、快適だった。

話せる友達が居て、創作にも集中できる。

もう何かをする必要はないから気楽にね。

ただ、散歩が狭いのが残念だけど。

ある日、リアルくんは言った

「弟は父の考えを真剣に思ってる。彼のほうが僕よりあとを継ぐのに相応しかっただろう‥。」

「確かにそうかもね‥。でも、僕は、リアルくんもいいと思うけど‥。」

そのことについてはそれ以上、話さなかった。

ある日のこと、リアルくんの弟は少し怒りながら僕らのもとに来た。

「僕の兄、リアル‥どうして創作を否定しない。」

「そうすれば出してやるのに‥。」

「僕は好きなものを否定されるのは、悲しいことだと思うんだ。」

「これ以上、あなたを僕の手で苦しめさせないでくれ‥。」

そして、リアルの弟は僕の前に来る。

「兄を洗脳したのか。」

「ううん。僕はしてないよ‥。」

「じゃあ、どうして」

そう呟き、顔に片手をあてた。

弟は続けて言った。

「あぁ、言ってなかったが、創作学の男。」

「君は兄をなきものとしたあと、自分の手で命をたったと伝えてる。」

「そうなんだ‥。」

「出たところで、二人とも帰るところはない。もし、出たいなら場所は作るがな。」

「優しいね‥。」

「うん、弟はいいところが沢山あるんだよ。」

弟はそのまま何も言わず行ってしまう。

リアルくんは聞いた。

「君はどうしたいの?」

「僕は‥。ここでいいかなって思ってるよ。」

「そっか。じゃあ、君に付き合うよ。」

「傍で、話を聞かせてほしい。」

その時、話を作った。

この世界は一人の創作者によりつくられている。

あるところではそれは神様と呼ぶのだろう。

主人公の男は、友達と一緒に居た。

<h3>過去からの手紙⑤</h3>

僕は相手の世界を作り、相手はこちらの世界を作る。

より良い世界を願い、文字や絵を書いていく。


僕は少し、読まず先にとばしていった。
 
すると、途中、シソウ以外の言葉が書かれているのに気が付いた。

ただ一つ、“ありがとう”と‥

そのまま僕は続けてとばしていった。

そして、ようやく、見つかった。

リアルが弟にお願いしている。

大丈夫なら、シソウくんのそばにと‥。

弟は「分かった」と言ったらしい。

これが一緒にあった理由なのかも‥。

それ以降も色々続いていたが、そこで僕は読むのを辞めた。


「リアル自身が‥」

「このメモ帳によると、そうみたいだね。」

「メモ帳は完全な証拠にならないが、あの墓とともにならなり得る‥。」

「俺は今まで‥。」

ワズィくんは地面に膝をつけて倒れ込んだ。

「創作に囚われていたのは俺の方だったな。」

セーデくんは彼のそばに行った。

「それは僕も同じだよ。真実なんて分からない。これも全部、創作だから‥。」

「でも、それなら、理想的に考えたい。シソウならそう言うんじゃないかな?」

彼は僕の方を見る。

「うん。シソウなら言いそうだね。」

ワズィくんは‥。

「ありがとう。」

そう言って、笑っていた。

「だが、もう俺は後戻りはできないんだ。」

「リアルの弟、そして、リアルの父、その思想を受け継ごう。」

「それはどういうこと‥?」

「創作学をなくす。この世界からな。」

必用なのは学問という真実だけでいい。それは話を聞いた上での判断だ。」

セーデくんは「それが君が望む答えなら否定はできない‥。」と。

「エビよ。話し合おう。」

「分かった。僕は君と向き合うよ。」

「でも、その前に。君はどうしてそう思うのか‥聞かせてほしいんだ。」

「現実に焦点をおいたもの、それ以外は、存在しない空虚な世界。学ぶ価値がない。」

「そうなんだ‥。」

「今度はこちらから聞こう。」

「創作するとは、現実から目をそらすことだ。この世界でない嘘の世界に。」

「無為に時を過ごす。それに何の価値がある。」

「僕はあると思う。終わった後、何もなかったけど、気持ちは変わってるよ!」

<h3>未来への手紙‥</h3>

「確かにな。しかし、そのメモ帳の中のシソウはどうだった?」

「シソウは‥。あの状況であっても、楽しく過ごしてたって。」

「現実から目をそらしていただけではないか。」

「彼を信じることは悪にしかならない。」

「助かる方法がありながら、居続けたのだからな。」

「僕は彼を信じてないし、信じてる。」

「本当に信じてると言えば創作学だ。」

「変わらないな。

なら、創作学を信じるとはどういうことか。俺に教えてくれないか?」

「うん。教えるよ。だけど、創作学にとって教えることは悪いことだから‥その前提の元に話す。」

「僕は創作学は自由にあると思ってた。反対のものも同時に存在するような‥。」

「だけど、そのもっと奥にもあった‥。それは許すこと。」

「同時に存在していい‥制限を加えてもいい、制限をなくしてもいい。許すと言う優しさにあったのだと思うんだ。」

「許す‥?」

「うん。そう。」

僕は笑って、ワズィくんを見た。

その時、ワズィはふと、昔のことが浮かんだ。

───────

ここに来たとき、俺は紹介で、退いた年齢上のリアル派の方達と会う。

今まで知ってきた歴史、ここで知ったことすべてをあわせ、そこにいた全員の前で話した。

そして、最後に「シソウ派を廃し、リアル派の時代をもう一度取り戻す。」と。

期待の声をもらった。変えてくれるかもしれないと‥。

俺は成し遂げねばならない。心の中でそう誓った。

───────

「創作学的には悪いこと、だけど、僕は君に言うよ。」

「一緒に未来を歩いていかないかな。リアル派とシソウ派、もし共に歩けたら‥」

「きっといい世界を作れると思うんだ。」

「何の根拠があって言ってる。」

「何も根拠はないよ。だけど、僕は創作者だから!」

「はは。そうか‥。それは俺も同じだよ。」

「分かった。俺は出来る限りのことをしよう。」

「一緒により良い世界を。」

「ありがとう。」

偶然が偶然をよんで‥。

もしかしたら、シソウや、シソウ派の理想が‥後押ししてくれたのかもしれない。

言葉で表すなら‥そう。未来への手紙‥。

僕もこれから‥

<h3>ただいま</h3>

僕らは建物の外に出ていった。

すると、4人が待っていた。

ベーアさんが僕の方にかけよる。

「おかえりなさい!」

「ただいま。」

顔をみて優しく微笑んだ。

「良かった!」

「何かあったかな?」

「内緒!」


ゲデーは言った。

「シソウ派の子孫。」

「どうしたの?あと、僕の名前はセーデだよ。」

「そうだったか。覚えておこう。」

「決着したみたいだな。」

「うん。」

「誰も予想はしなかっただろうな。」

「でも、僕はこれで良かったと思うんだ。」

「そうか‥。」

「これからいい未来になれたらいいな。」

「あぁ。」


ワズィの元に仲間の男が‥。

「じゃあな。」

「あぁ。」

それから、ゲデーさんと、ワズィくんの仲間の男は色々話した後、先に帰った。


創作者としてやってきたメンバーで揃う。

セーデくんは前に出て言った。

「これからどうする?」

僕は言う。「もし、出来るなら、またみんなで創作者したいな。」

「エビ、それもいいね。だけど、その前にリアル派とシソウ派のこともあるから‥。」

「確かにそうだね。今、国はどうなってるんだろう‥。」

「そこは心配するな。俺がどうにかする。」

「何か方法があるの?」

「考えてることはあるが、ないのと変わらないかもしれないな。」

「期待せず、待っててくれ。」
 
「分かった。ワズィくんありがとう。」

「私も何か協力できることがあれば‥!」

「エーテさんありがとう。」

セーデくんは言う。

「僕はシソウ派の仲間に伝えてくるよ。」

「待たせちゃ悪いだろうし。」

「待たせる?」  

「うん。実は辻創作者狩りが始まってから、創作者のもとを回ってたんだ。」

「真実を知るその時まで、嘘だと言うのは待ってほしいって‥」

「だからいなかったんだね。」

「ごめんね。」

「ううん。ありがとう。」

僕は改めて思った。セーデくんはいい人だ。

それから、また一時的に、創作者メンバーは解散した。

もう一度来るかは分からないが、また一緒に活動できるときまで‥。

僕と、ベーアさんはとりあえず、二人で、ねのさんの居る家に向かっていった。

<h3>未来へ繋がる道の途中で②</h3>

ベーアさんは言った。

「これからどうする?」

「僕は‥」

みんなはそれぞれ、前に進もうとしてる。

僕は‥

「もし、できるなら、シソウのあとを継ぎたい。」

「え‥どういうこと?」

「創作学を理想的なものにしたいんだ。僕なりになってしまうけど‥シソウが願った理想の世界を!」

「いいと思うよ‥だけど、もう一度できるの‥?」

「うん。できるよ!」

「分かった!私もできたら付き合うよ!」

「ありがとう。」


「二人とも、こんにちは。」

目の前に居たのは、ゆうくんとなしちゃん。

「こんにちは。」

ベーアさんとなしちゃんは遊ぶ。


「世界は明るいね。」

ゆうくんはそう微笑んだ。

「だね。」

「僕は今、そして、未来が楽しみなんだ。」

彼の目はキラキラととても輝いていた。

「僕もだよ。」

「これからどこまでも歩いていける。そう思うんだ。」

もしかしたら‥。

シソウは彼のような子を見て‥。

「お兄ちゃん。」

「どうしたの、ゆうくん。」

「似てる。」

「何とかな?」

「なんだろう。忘れちゃった。」

「そっか。」

ねのさんの事が浮かんできた。

妖精さんか‥。

もしかしたら、そうなのかもね。

ベーアさんと僕は二人に別れを告げた。

そして、また話しながら、家に向かっていった

────────

「二人とも、おかえりなさい。」

そして、僕らが何も言わないうちに「私は信じてましたよ」と。

「二人が明るく帰ってくることを‥。」

───────

僕らは国に帰った。

色々あったが、ワズィくんや、一部のリアル派、セーデくんの行動ありで、シソウ派とリアル派は長いときを経て和解した。

全員が全員それを受け入れることはできなかったが、これは大きな一歩。

これから、苦しみを減らしていき、なるべく楽しくこの世界を‥。

それは創作学の夢だと思うし、僕の‥。

これからも少しずつ、前に進んでいこう。

その時、空にシソウとリアルの姿が見えた気がした

──────