ある日の事です。私は何もない世界でおじいちゃんと退屈に過ごしていました。上にはとても眩しい太陽が照らし、下にはとーっても大きな世界が広がっています。
そこで私にはふとした疑問がうまれたんです。
「おじいちゃん。下界ってどんなところなの?」
「フォッフォッフォ。いいところじゃよ。皆楽しく手をつないで遊んでおる。」
そう言いながらおじいちゃんは私の頭を撫でてくれた。
「じゃあ、大きくなったら下界に行く!」
「ヘッ?」
驚いたような顔で私を見る。
「しかしのぉ、下界はのぉ、嫌という程沢山の勉強をしなければ行けんのじゃ。だからのぉ…」
「うん、分かった!勉強頑張る!」
「ホゲ~…。」
─
それから幾年もの月日が経った。
私はその期間おじいちゃんに許可を貰うため、必死に頑張ってついに…
行っても大丈夫なくらいの知識を蓄えたのです!これで、後はおじいちゃんに許可を貰うだけッ。
私は胸高らかにおじいちゃんの元へ!
すると…
「駄目じゃ、絶対に!」
おじいちゃんはプンスカぷんぷんでいつもより不機嫌です。私のどうしても行きたいと、心より願っていた下界への道は閉ざされてしまったのでしょうか?
「おじいちゃん、昔言っていたじゃない。勉強したら行ってもいいって…。」
「そんな事は一言も言っておらん!」
「それじゃあ私、今日からおじいちゃんの事嫌いになっちゃうよ!」
すると、おじいちゃんは動揺したのか、私の顔色をうかがいだしたのです。
「そんな事を言わんでくれ…。ワシはお前がかわいいから…。」
「じゃあ、行ってもいい?」
「うぅ…。実はな、お前の母さんは昔下界に行ったっきり帰って来ないのじゃ。きっと、ひどい目にあっているに違いないのじゃ!だから行かない方がいい!」
私はその言葉に驚きを隠せませんでした。それはずっとおじいちゃんと二人で暮らしていたため、自分にお母さんがいた事を知らなかったからです。
「お母さんいるの?」
私の目は、嬉しさで星のようにキラキラがとまりません。
それにやられたのかおじいちゃんは苦渋の決断をしたかのように目をつぶったのです。
「分かった、行ってもいい。じゃがな、一つだけ約束しておくれ。」
「なになに?絶対に守るよ!」
「下界が嫌になったらスグ帰ってくること!分かったかい?」
「うん!」
ここから私の下界でのラブリーな日常生活がチクタクと時計の針を刻み始める事になったのでした!
2
おじいちゃんとの約束の後私は目の前にさん然広がる世界へと旅立ちました。
上にはあんなに近くに見えていた太陽がどんどんと遠くへ行ってしまうように見えます。
私の心はドキドキとわくわくの連続で止まりません。だって、あんなにもがんばって、待ち望んだ世界が今私の目前に近づいているのですから─
一方、一人取り残されたおじいさんは彼女の事で頭の中が不安でいっぱいでした。
「もしかしたら、悪い男に襲われてしまうのではないだろうか…。」
おじいさんがそう考えた瞬間、頭の中に悪い想像がよぎったのです。
悪い男達に囲まれるエンジェール。
「やめてっ、」
「うへへ、お前のファーストキスをフォーチュンゲットだぜ。」
彼女がさけぶ声はむなしく、男達はジリジリと迫ってきます。一体どうなる事でしょう。
すると、そこへ一人の男性が現れました。
「やめろー!」
「なっ、何だきさまはっ!?」
男達の目線は突如現れたその男性に釘付けです。
「俺はただの通すがりのしがないリトルプリンスさ。」
「ふざけやがってー!」
男達は怒りをあらわにして男性を襲います。しかし男性は、それらをものともしないとてつもない力でバッタバッタとなぎ倒していったのです。
「大丈夫だったかい、リトルプリンセス。」
その男性の魅力に思わずエンジェールは声をもらしてしまいました。
「カッ…カッコイイ。」
「それ程でもないさっ、これからマイキャッスルに戻るんだけど君もどうかな?」
彼女の目はハートに変わり彼から目が離せません。
「好き、どこまでも連れて行って。」
エンジェールはその男性に思わず体を預けます。
そして、男性が手を上げると突如、空から羽のはえた馬が雲の上から現れました。
「さぁ、あれに乗って向かおう。」
「えぇ、どこまでも。」
そして後日、おじいさんの元へ一通の手紙が届いたのです。
そこには
大切な人ができました♪毎日私の王子様と楽しく暮らしてます。良かったらおじいちゃんも遊びに来てね。
と書いてありましたとさ。
─
「それはいかーん!」
おじいさんは悪夢を見たようにうなり声をあげました。その声は誰もいない空間に響き渡ります。
少しして、ふと名案を思いつきました。
「そうじゃ、こうすれば…フォッフォッフォ…」
おじいさんはそう言い、大きいビー玉を取り出し、何かを唱えはじめました。
さて、彼女の運命はどうなる事でしょう?
3
とある市場での事。
色とりどりの店が並ぶ中、一つだけポツーンと怪しい店があったのです。そこで、男性がおばあさんに何かを問いつめています。
「バアさん、俺の恋愛運はどうなってるんすか?」
「若者よ、あせりなさるな。今からこの水晶玉で確かめる。」
すると、何かをブツブツと唱えはじめました。
そして少し時間が経った後、何かを悟ったように目を見開きます。
「まさか…そんな事が。ありえん…。」
男性はおばあさんの表情についポロリと笑みがこぼれます。
「それってもしかして、俺の未来は安たいってことっすか?」
「いや。今日、神様からの使者がこの世界にまい降りるとお告げがくだったんじゃ。これは…一大スクープじゃよ…。」
「えっ、俺の占いは?」
「そんなもん、知らんわい。そんなことよりも記者にこのことを伝えるのじゃ。そして、その使者を手厚くもてなすための準備をしなければ…」
「俺の明るい未来が~」
そう言いながら男性は地面にヘナヘナと座り込みました。
ところで、この事を知らない彼女はもうとっくに到着していたのです。
「本当におじいちゃん以外に沢山の人がいる。」
そう、私は生まれてこの方あの世界からでたことがありませんでした。なので、ここに来てからおどろきの連続なのです。
しかし、困ったことがおこりました。来れたのはいいものの、行くあてがありません。途方に暮れていると、自分と同い年くらいの男の子が向こうからやってきました。
彼はもの珍しそうに私の顔をジロジロと見つめてきます。
「お前、見たことない顔だな。」
「あのっ、私家を飛び出してきたんだけど、寝るところがないの。だから…」
すると彼は、何も言わず私の手をギューッと握り歩きだしました。
「どこへ行くの?」
しかし、何もこたえません。私これからどうなるのーっ。
一方おじいさんはこの状況を見ていました。そう、全てを見渡せる目を持っていたのです。
「わしの孫はお前にやれん!ついていくのではない。」
そうは言ってもおじいさんにはどうすることも出来ません。テレパシーのような力や、千里眼のようなものは使えますが、何かにかんしょうすることは出来ないのです。
おじいさんは頭を悩ませますがそれ以上何もできないので、ぼう然と立ち尽くすばかりでした。
4
その後私は、初めて知り合った男の子に一晩止めてもらえることになったのです。そこで、とーってもラブリーな情報得ました。
それは、ここには学校と言うものがあるらしいんです。昔お勉強したとき、知ったこと!学校とは同い年の男の子と女の子が仲良く笑いながら楽しく過ごす空間だって!
これから私の幸せでラブリーなハッピーニューライフが開幕するのです!
「エンジェールちゃん。お願いがあるんだけども、たかしを起こしてきてくれないかね。」
一晩泊めてくれたお母さん、笑顔がとてもキンピカで美しいです!私のお母さんも優しい人なのかなぁ…。
私はうなずき、昨日の男の子を起こしに行ったのです。
「たかしくん、起きてる?」
すると、ベッドの中から声が聞こえてきました。
「起きてないよ。」
起きてないですって、どうしましょう…。私の声が聞こえたらスグに起きると思っていた私はどんぱっちんなのです。
その後、ゆさゆさと布団を揺らしますが一向に彼は起きる気配がありません。
うぅ、どうすればいいのっ…。辛くなったときです。ゆらゆらと私の体が揺れるのを感じました。
それと同時に彼は飛び起き、ベッドの下で震えだしました。
「どうしたの?」
「地震怖いよ~。」
彼は今にも泣き出しそうです。
それを見て私は窓を開き遠くの方へ大声で叫びました。
「おじいちゃん大好きー!」
すると地震は、その声と共に段々とおさまっていきました。
「たかしくん、やっと起きたね、学校行こう!」
「嫌だ!行きたくない。」
どうしてなのでしょう?家にあった本には学校はとても楽しいところと書いてあったのですが。
「ねー、行こうよー。」
私は彼の腕を引っ張ります。すると、
メモ──────────────────
神様は過保護でした
年には年を入れておかんとのぉ。
男性が怪しい風貌のおばあさんと話をしている。その女の人は水晶玉に手をかざし何かを見ている。照れながら頬をかく。「俺の今後ってどうなるんすか?」
「おぉ、見えます。見えます。」
「なんと!神様からのお告げがっ⁉これは今日使いが訪れると!!」
はあっ!?何言ってんだテメェ。金返せババァ!