悪者と正義

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悪役はいつも不幸に、正義は不幸の上の幸運を。その両極端しかない。どちらをとっても不幸になるジレンマに苛まれながらも、自らの本質を考えた。

その先に待つものとは…?
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僕は悪役だ。最終的に不幸になるのは僕一人だけ。

皆と仲良くしたい。その思いはあるが、曇りが心を覆い尽くす。

その雲は中々に払えるものではない。

いつからだったのだろうか?

僕は昔から自責の念に苛まれていた。

嘘、無の叱咤、道具。それらが矛先をアダムのリンゴを掠めた。

何もしていないはずだった。しかし、容赦なく襲いかかる。

その度、黒い塊が化け物のように形成され、外へとふき出させる。

これによってデカい化け物は浄化されるが、根本的な問題の原因解決には至らない。

僕は嘘に塗り固められていった。自分は何も言わない方がいいのではないだろうか?

そこからは物語が構築され、存在が決定づけられた。

僕はそのまま、暗闇の中にずっと居た。

ある日の事だった。

ポツンと光る何かがとまる。

最初は薄らとだけ見えたが、会っていくうちに段々と大きな光へと変わっていった。

それに無視が出来なくなる。

とても明るく、僕はそれに惹かれていった。

ある日の事だ、その光と繋がりを顕在化させたいと考えた。

2人で同じブレスレットをする。光はとても嬉しそうにそれを望んだ。

とてもいい…。これは正しく僕の……の光だ。

数日後、これが自分だけでなく、全てを照らす光となって欲しい。

そう願い、僕は動き回った。いい事を流せば、それがどんどんと広がっていき最終的には望んだ通りになってくれるだろうと…

ところで、この光と僕には共通の趣味があった。

長く沢山やっていたため、とても自信があった。

それがとても尊敬の念を与えたらしい。どうしたらそうなれるのかとたずねてきた。

とにかく前よりも強くを意識したからと伝えると、次に見た時、勢いは僕のようだった。

まだ回数が少ないからか、僕より失敗も多い。

しかし、何度も何度も挑戦する。

幾度もそれを目にした。

また時は経ち、光を見かけた。その時には最早、僕の目の前に立ち、同等、それ以上の力を誇る。

それを見ずにはいられなくなった。

追い抜かれてしまった…。僕は少し悔しさや、嫉妬に塗れる。

だが、自分はこれだけではないと心の中で言い訳しながら、必死に安寧に努めた。

だが、それを完全には無視できない事態へと転化していく。

それは突然だった。私情で少し趣味から離れて、戻った時、光の態度が変化したのだ。

それは些細な事だったのかもしれない。

ブレスレットをしなくなった。繋がりとも言えるそれを…僕は不安に襲われた。

自分も途中何度も取ったり外したりを繰り返したことがある。

だから、後でまた戻してくれるだろうとその時は思った。

しかし、どれだけ経とうともしてはくれなかった。

それだけでなく、さらに光は実体化されていった。

あの光が…人に!?

そこからは悲惨な有様だった。

違う男の人と関わると、それに影響を受け、言葉使いが悪くなり、その強さから弟子をとりお揃いのバンダナをする。

ただひたすらにそれが憎かった。あれだけ強く放っていた光が、 今はもう見る影もないのだと。

ある日のこと、この状態から少しでも抜け出そうとやりたいことを聞いた。

すると、イベントに出たいと言う。それは、自分のできる範囲を超えたものだ。

しかし、やり遂げたかった。前のように自分の方に来てくれるような気がして────

そのイベントの主催者は偶然繋がりがあり、申し込むも、今は無理だとして押し返された。

しかし、まだ募集していると言う。

自分では無理なのか…?

そう思い、光の元へ。すると場所が違うと言う。

だが、すぐに参加は無理だとしてその次に開かれる予定の場所にした。

そして、その間、イベントに向けての別の大会を開こうとなる。

光側も色々考えた。

絶対に楽しい…その時は、そう思っていた。

だが、1回、2回とやった時、楽しさより、不安と疲労がネガティブな心をあらわした。

きっかけとなったのは、矢張り他者との繋がりだった。それを見て、自分が想像していた夢物語が消えたのだ。

僕は縁を切った。

そのつもりだった。元通りにならなかったら、そのままにしようと。

しかし、自分の心は脆かった。簡単にその考えを覆し、復縁しようとするが無理だった。

もう終わってしまったのか?

そう思いながらも、苦しさが心の中を循環した。最初は良かった。

どうして変わってしまったんだ。そして、どうして自分は…

もどかしい思いが気持ちが募った。

たまたま元光を見ることがあり、ボソッと話した言葉があった。

辞めるかもしれないと。

僕は求めた。しかし、どうやっても届かない。

大っぴらに彼女の名前を書いた。すると、謝りとともに元に戻った。

もう1回、あのイベントに向けて頑張ろう、僕はその気持ちで一杯になる。

だが、それは長くは続かなかった。

ネガティブ感情が消えなかったのだ。まだ関係は続けていた。

それを嫉妬した。気持ちが消えなかったのだ。

それがどうなっていてもいいだろう。自由であっていいだろう。

しかし、自信のなさが否定した。

もっと違うものがいいだろうと、性格を変え、前のペアのブレスレットから新しいものへと変える。

そして、最初から嘘をついていたと告白した。

返答は淡白に感じた。

そして、最後に自分を頼って欲しいと伝える。

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その前に問題があった。その嘘を知ったら、酷く傷付くかもしれない人が居たのだ。

それを知った光は問題視した。穏便にさせるため、宥めるが少しの怒りと同時に大人しくなったと思いきや、最近は完全に実力が上だった事を言い、適当さを責めた。

それに困ってしまった僕は何も言えなくなる。

それに嫌気をさしたのか、今度は逆に縁を切られる。

こちらからアプローチする事はない。そう思いながらも、人を介して言葉を伝えた。

だが、これで良かったのかもしれない。僕はイベントのための特訓をはじめる。

これを達成すれば、絶対に皆のためになるし、いい活躍ができる。

その確信があった。しかし、もう遅いのかもしれない…。

その思いが少しあった。時がきたらとは言われたが、無理なのではないか…。

不安がどんどんと募っていった

弱さから、人を介しての方へ伝言を。

ところで、光が決めたイベントがあった。

僕はそれに参加した。3回やったが、1回目は光が出られなくなり自分だけ。2回目は切られ光だけ。

3回目は一緒にしたいと思った。だが、一緒に居ると嫌だろう、そして関係が切られている。

僕は変装して、光が募集してるところへ。最初は2大巨頭だったが、4つに分割された大会に。

その分、1人あたりの人数も少なくなったが。

大会にでてみると、強豪が集まっていた。光は全く自分とは掛け離れた位置にいるような気がした。

自分とは釣り合いが取れないほど前に。

そして、弱くなっていることを実感した。

そして、数回やり最初は勝てた、しかし、他は落とした。

役に立てないことを痛感したのだ。

終わったあと、僕は光に自分が誰か告白した。今までのこと全部伝える。

もう一度、元に戻ってやり直したい。一緒にイベントに出たい。その思いを必死で堪えながら。

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それから、突然、辞めるといいだすものがあらわれる。

僕は特に何も言わないでいたが、時が悪かった。

悪評が出回ったときた。そして、その人を見て僕も辞めることに。

しかし、それは建前で、違う人としてもう一度やり直す。

それを予定していた。まだイベントを諦めきれてないのだ。

光と一緒にやりたい。その想いが強かった。

だが、もうできないことは分かっている。

もう二度と会えないのだ。

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違う人間として戻ると、繋がりを再び求めた。

しかし、全く関わったことのない人間より、少しでも関わったことのある人を求めた。

繋がりを求めると、すぐに自分が誰か気付いたようだ。

そして、辞めた人間がまた復帰した事を伝えてくれた。

その人は自分のせいで辞めたんじゃないかと不安になっていたようだ。

その人と再び繋がると、僕は最近の不満を暴露した。

すると、その人は辛いとして再び辞めた。

そして偶然光とも出会った。

どうしきたのか。それを聞いた。

まずは何も言わず、じっくりと言っていこう。そう思った。

しかし、それでは遅かった。

光は暗闇にのまれてしまったのだ。

もう居なくなったそこで、僕はイベントを、もう一度したいんだと心の内を伝えた。

しかし、顔を上げてみるとそこには何も無かった。

もぬけの殻だった。

だが、まだ可能性はある。それを信じた。

僕はもう一度走り出した。その先には何も無いと分かっていながら。

だが、心の中には希望を持っていた。達成すればもう一度君と出会える。

君は希望の光、そう僕の希望の星だ────

悪役は不幸な結末しかむかえない。望みは絶対に叶わないのだ。

今日も悪役は進む。この先には、必ずもう一度君と、皆と楽しい世界が待っているのだと信じて─────