思想学部⑥

過去④

僕は勉強が好きだ。

小さい頃からずっと、難しい話を聞き育ってきた。

知識を得ると、世界がどんどん広がっていく。

何かを得たという喜びもあり、知らないことをもっと知りたいと新しいものを求める。

そうして今まで生きてきた。

今でもそれは変わらない。

ところで僕の親、それは、この国に於いて、とても重要な地位に居る。

僕も歳を重ねていけば、その後を継ぐことになる。

周りからとても期待されているが、自分の気持ちとしては、勉強を続けていきたい気持ちもあった。

全く未知の楽しい知識に触れることはできるのだろうか…。

その不安もあった。

ある日のこと。

夏休みの課題、それを発表することになる。

何も変わったことはなく、一人一人それなりに楽しそうなものを発表していった。

それをただ見ていると、ある男子生徒の番になる。

彼は何も持っていなかった。

何を発表するのか。

少し心を動かされる。

そして、彼は、はなし始めた。

内容は、どこかで聞いたことのあるもので埋め尽くされた。

哲学の万物の根源について、火からうまれたが正しいとした時の世界や天動説。

今ではもう、間違いや否定されているような考えに対し、もし、そうだったら…と考えると、とても物語的で楽しいものだと言った。

彼は考えに対し、自分の創った物語をまじえ語っていく。

僕は何故かそれに聞き入っていた。

その多くは、間違いや、そうはならない非現実的なものも多かった。

今まで得てきた知識がそれをものがたる。

彼は話をし終わると、最後にこう言った。

「僕は万物の根源は物語だと思う」と言ってしめた。

彼の話、それになんだか心を動かれた自分がいる。

定まっているといった、学問的なものではない。

しかし、そこには、生きた何かがあった。

彼はそれから、友達を増やしていった。その友達は、勉強ができるといった訳では無い。

彼の話す物語というものに惹かれた。

正しさを求める学問に対し、対極的な位置にいる物語というもの。

それが新鮮であり、正しさを求めすぎる反感からそれに変わった。

それから、少しして、お偉方の物語というものに対しての見え方が、否定的なものに変わる。

その理由が、デマというものの存在。

これは規制しなければ…。その権力者の多くが規制推進派となった。

物語というものにハマる人達の成績自体が、悪くなる傾向にあり、実生活に影響がある。などの指摘もあった。

デマを肯定してしまう、物語というもの。そして、悪いことが公然と行えるその環境は、正に実害を与える産物であるのは確か。

後半の理由で、僕の父は、「反面教師は度を超えれば同様に」と発信し、規制では生ぬるいとの指摘で、物語徹底排除政策をうちたてる。

君はどうする。

僕は空を見上げてそう思った。

彼の物語はこの事により、いずれつくれなくなってしまう。

僕の心には、こうなることそれは自明の理だった。と思いながらも、寂しさが少しあった────────

部活の思想

クラスに男子生徒と女子生徒が居ました。そして、何かを楽しそうに喋ってます。

「おとねさん!調べてきた?」

「うんっ!色々な用語があって楽しかった!」

「おっけー!じゃあ始めようか。」

「まずは私から行くね!

お手玉!」

「なるほど!プレイボール!」

──────

「やった!私の勝ち!」

女生徒は、トランプを机の上に落とし、手を挙げて喜びました。

「勝負はまだまだこれからだよ!

肩車!」

「肩車!?」

女の子は困ってしまいました

「分かんないよ…!肩に座るやつじゃないの…?」

「うん!答え言う?」

「お願い!」

「柔道で、それまで!でした!」

「なるほど…!」

「トランプでは負けたけど、全体としては僕の勝ちだね!」

「ううん!」

女の子は男の子をじーっと見つめます。

「分かったよ…!今回は引き分けだね」

そう話していると、向こうから数人やってきました。

「みんな、集まってるね!」

「間くん達!」

そう言ってすすむくんは立ち上がった。

そうして、話し合う。

以前から、他の部活について話し合っていた通り、これがいいとすすむくんと意見が合致した。

ボウリング部、勝てないことで悩んでいるらしい。

そんなに強いところではなく部員も少ない。

最近、段々減っている事もあり、廃部になってしまうかもしれないようだ。

部活として認められたい僕達としても、共感できること。

「すすむくんは初の部活動!」と言って、とても楽しそうにする。

受験勉強などで居なかった青野くん以外、みんな彼について行った─────

ボウリング部、今年は一勝だけでもしたい。

それが僕の調査での求めていること。

しかし、僕達は思想学部。ボウリングを強くするには?なんてこと教えられるはずはない。

どうしたものか…

僕は道中考えた。

そして到着する。

体育館の中で集まっているらしい。

入る前、すすむくんはおとねさんを見る。

「行くよ!クリスマスツリー!」

すると、すすむくんはポケットから取り出し、その小さな緑色の旗を上にあげた。

「ゲームスタート!」

──────

ボウリング部は体育館の片隅で、何をするでもなく、話し合っていた。

そこへ「ボウリング部のみんな助けに来ました!」と言って登場したのが僕達思想学部。

すすむくんは「何か困ってることはありませんか?」と聞く。

「それは沢山あるよ。部活存続できないから、体育館にボウリング場を作りたいとか」

1人がそう言ったので「じゃあ、作りましょう!」とすすむくんは笑顔で答えた。

そうして、先生の元へ。

僕は少し考えた。

「どうして作りたいの?」

「ボウリング部で一勝してみたいからだよ。」

「なるほど。じゃあ、勝つとどうなるの?」

「嬉しいし、部員も増えて存続できるかもしれない。

まぁ、ここに居るみんなストライク、スペアすら取った事ないんけどね。」

僕はそれらを聞いて、深く考えた。考えがまとまったので話す。

「別に作らなくてもいいんじゃないかな?」

「どうして?」

「勝つことを目的にしても、もし、相手が強い学校だったら…?」

「弱いところと当たる可能性もあるよ!」

「でも、運が絡むでしょ?」

「そうだけど…じゃあ、どうすればいいと?」

「勝つことを目的にするのではなく、他の、楽しむこと、ストライクをとることとか別のことを目的にするのがいいんじゃないかと僕は思うんだ!」

「なるほど…。僕達は勝つことばっかり目標にしてたけど、それもいいかもね!

だけど、部員のことも考えないと…」

「僕はね、部活の人数は、強さ以外にも、楽しいかどうかも関係すると思うんだ。

部活だからといって無理して大会出る必要はなく、どうしたら、楽しくボウリング部ができるかを考えたりね!楽しくなればきっと大丈夫だよ!」

色々話した結果、ボウリング部の人から感謝をもらう。

一応解決したのだろう。

そういえば、思想学部の人は…?と思って、周りを見渡す。

すると、おとねさんたちは、みんなで仲良く料理などの話をしていました。

ちょうどその時に、すすむくんが帰ってきて「頼んだけど、ダメだった!他の方法を考えよう」と言います。

僕はそれに笑って言いました。

「もう解決したよ。」

「お!そうなんだ。ありがとう。」

────────

体育館をみんなで出ると、すすむくんはすぐに「チーズケーキ」と言いました。

するとおとねさんはポケットから小さな赤い旗を取り出して上にあげる。

気になっていたので、僕が聞くと、すすむくんが考えたゲームだと言う。

スポーツの用語を言ってそれのはじまりを言いゲームをはじめる。最後も同様。

説明は難しいが、ターンオーバーのはじまりはティップオフノックオンの終わりはノーサイドといったような感じだ。

その後、それが何故かボウリング部で少しブームになった。

──────

校長先生と教頭先生が話し合っていた。

「あの部活…。」

校長先生はそう言って考える──────

過去⑤

子供の頃、自分を知って、相手を知れば負けない。

その言葉を知って、それは真理だと思った。

相手とはきっと、人以外でもそう…。

周りの子供たちは、みんな、有名人になりたい。きらきらしたい凄い人になりたい。

そう言う人ばかりだった。

けれども、僕は違った。

平凡な職業につきたい。

内容と理由はよく覚えていないが、そう思っていた。

それから、それを後押しするように、理由が追随してくる。

理想の人間関係とはなんだろうか…?

それは避けられない話題。

噂によると、いきなり巨万の富を得た人は、人生の歯車をくるわせる

有名大学に入学できた人は、とてもそれに喜ぶと、入学後がダメになる。

有名人は嫉妬されたり、うらまれることも多くなるという。

逆もまたしかり。

マイナス面で偏ってる人は、虐められたり、避けられてしまう。

それらをノートに書いて続けた。

極端と中庸の2つ。その言葉を聞いて、すぐに中庸がいいものだと確信していた。

勿論、中庸がいいものとされるのが事実だろう。

僕は普通になりたいという自分のこと、そして、相手を知る。

その2つのことを駆使し、今まで生きてきた。

小学校の頃は、ノートを使わず、なるべく浮かないよう、小学生よりも普通の小学生を目指した。

自然とそれになっていたの方が正しいかもしれない。

そして、次に、中学生で、少しずつノートを使って、他の人を理解した。

見返すと、ビッシリと書かれている。我ながら頑張ったと思った。

そのおかげで、中学校は、普通の生活ができた。

高校はもっと早い段階で情報集めしようとその時思う。

ところで、僕には弟が居る。

弟は、僕の普通を目指す思想にとても強く賛成している。

しかし、僕よりも偏りが多くあった。それは、得意なことがいくつかあるからだ。

あくまで普通を目指す僕とは対照的。

僕は普通に対してとても強い熱意がある。心の底からなりたいと願う強い思いが。

統計の、この国、他の国、全ての国での普通を調べ、なるべくそれらにあわせる。

勉強も、落とせないところだけは確実に覚え、スポーツも平均を目指すため手加減したり。

だが、こんなことを誰かに求めるのはおかしい。

そんなことは分かっていたので、弟にそれを求めることはなかった。

しかし、普通を目指すこと、僕はそれがとても大事なことだと思っている。

中心極限定理、平均値、中央値。統計には普通を重視する言葉が多く、さっきのように、中庸という言葉、それ以外にも沢山ある普通であることを肯定するもの。

それらが、この道が正しいものだと後押しする。

統計とは、きっと、普通がいいものとされている場所では、最強の学問だろう。

しかし、僕は普通を目指しながら、唯一、普通だと思えない場所。

それがあり、どうしても消せなかった。

真理である場所、それが同時に足を引っ張ることになったのだ─────

ある時のこと。

教室に1冊のノートが置いてあった。

近くにいた人はなんだろうと傍に行ってみると、強い風が吹いた。

そうして、ノートが1枚1枚とめくられていく。

そこに書かれていたのは、学校の生徒、趣味、どんな性格かなど、色々な情報がビッシリと。

中には自分のことも書かれていた。

その人は窓を閉めて、ノートをとじると、荷物を持ってすぐに帰る。

僕は忘れ物をしたと、クラスに戻った。

すると、ノートはそこにあって、とりあえず安心した。

誰にも見られてないかなと、クラスの中を見渡すが、誰もいない。

これだけは見せられない。僕の中での武器であり、弱点。

唯一偏った場所だから────────

復活

またここに戻ってきた。

環境がどうなろうと、僕が本当に好きなものは変わらない。

捨てようと思っても、捨てることはできない。

言葉の自由は失われても、思考の自由は変わらずここにあるのだ。

ここから先は、誰かに思いついたことを話せない。

しかし、それは逆に、深く自分の好きなことに浸れるということ…。

自由に考えられるし、誰かに否定されたり笑われることもない。

はじめて創作を作った純粋な頃に戻れるのだ。

そう思うと、僕はとても嬉しくなった。

ところで、最近、僕は創作をおもいついている。

誰かに言えるようなものではないが、誰も居ないここでなら話せるだろう…。

僕は頭の中に思い浮かべる。

その断片的に続いていた絵を、物語のように繋げていく。

それはある1人の男が考える物語。

───────

ある日の朝、男は目を覚ます。その瞬間、ヒューと言うエオルス音とともに、この世の全てに通づる真理を発見した。

それは創作だった。

人生というもの、それは、正しく創作だ。

その人がどうやって生きて過ごしてきたのか、どんなことがあって、どんなことが起こったのか。

人格形成にも、起こったことが関係し、それによってその人は囚われたり、前向きに生きられる。

全ては物語的である。

一人一人の生きてきた道はとても大切で、比べようがないもの。

どれだけ、劣等感や、優越感があろうとも、その人生一つ一つは比べようがないものである。

人は自分の人生を代わりに生きることはできない。

今までまわりで起こったことなど、自分しか知らないことは沢山ある。

それはとても大切なもので、無意味なものではない。

そもそも、創作とは、無意味に思える瞬間すらも、とても素晴らしく貴重なものにかえてしまえる。

この中では、意味のないことなどひとつもない。

僕はこの思想で、世界の多くが意味のあることのように思えている。

しかし、時に現実逃避と呼ばれることもある。

現実逃避は悪い風に捉えられてしまうが、人を救うために必要なこと。

それこそ、現実逃避であると考えている。

もし、全世界の人が、この創作をすれば平和になる。

全ての真理は、創作にあると確信しているから。

ここでは、夢すらも叶ってしまう。

どれだけ偏ったものでも、どれだけ現実的で、困難なことでも、容易に叶ってしまう場所こそ、この創作の世界。

あぁ、なんて創作は素晴らしいのだろう。

しかし、元の場所に戻ってしまえば、その世界は無かったかのように消えてしまう。

だが、この一瞬は、素晴らしいその世界を味わっていたい。

ところで、夢に関して、人はどんなことを考えているのだろう。

夢をみるなんて現実的ではない、夢は叶えるものと言った色々な意見がある。

僕はこう思っている。

夢は叶えるものではなく、みるものだと。

目標をたてて、頑張ろうと思えども、多くの人は叶わない。

そして、夢の中が嘘の世界とは限らない。

この世界は自分にとって事実にできる。1度叶えてしまったことを、何度も達成させる気にはなれない。

創作であれば、どれだけ多くの夢だろうと叶ってしまう。

無理に叶える必要は無い。

ただ、もし、叶ったのなら、僕はそれを喜びたい。

起こったその現実を…。

創作は多くの人を救うもの。

だからこそ、僕は、創作を絶対的真理だと思っている。

もし、間違えているならば、変えればいいし、変えなくてもいい。

創作とは、抽象的でありながら、絶対的な存在である。

──────

僕はそこまでで考えるのを辞めた。

今日は、久しぶりに考えた。

あの事を聞いてから、封印しようと思っていたが、自分には創作しかない。

だから、誰がなんと言おうとも、心の中では続ける。

今回は物語調にはならず、主張ばかりになってしまった。

更に、今度はいつ、また創作ができるかは分からない。

けれども、必ず戻ってくる。

僕には創作しかないから。

勿論、今日考えること、これから考えることは誰にも言わないし、言えない。

この時代だからこそ…。

そう思うと、僕は考えるのを辞めて、元の場所に戻って行った───────

出来事

ボウリング部の件から少し経った。

その間、色々なことをする。

比喩部、フルーツ観察部など色々な部活を助けてきた。

いいや、今まで、思想学部は言葉しか使って来なかったので、何もしなかったとも言える。

しかし、何かが大きく変わったのは事実だった。

そうしてきた甲斐あってか、思想学部はようやく部活として認められる。

校長先生の了承らしい。

どんな理由はあれ、僕はすすむくんを凄いなと心の中で思った。

特に頑張ったのは、すすむくんで自分で書いた文章を、クラス回ったりして読んだ。

心に残ってる言葉がある。

「誰かを喜ばせるための恥なら、いくらだってかく。

思想学部のある目的は、活動の皆、そして、学校の全員を笑顔にするため。」

彼のその言葉にはとても強い何かがあった。

僕はそれに惹かれた。

ところで、こうして部活が認められたのは良かったが、未だに解決していないこともある。

それが…。

「間、聞いたぜ。」

「かけるくん。」僕は彼の方を向く。

「思想学部っていい部活なんだってな。」

「うん、そうなってるみたいだね。」

「お前なんかが居たら、印象悪くなっちまうんじゃねーの?」

彼は嘲るように笑った。

「だよね。みんな個性的で、いい人達で凄いんだよ。

自慢の部さ。」

彼の方をみると、面白くなさそうにする。

「行かないといけないところがあるから。じゃあね。」

僕はそう言って、かけるくんの元から離れた。

そして、見えなくなると、ふうと息をつく。

彼はスポーツや、勉強がそれなりにできて人気があるが、性格が良くないらしい。

先生や、色々な面で、よく見られるからと言う理由で集まると聞いた。

けれども、僕に対してのヘイトは極端だ。

僕の人には、聞いた話によると、ここまでは酷くない。

何故、言われるのか、その理由は分からなかったが、一つだけ分かっていることがある。

人を嫌うと、苦しむのは自分だけだということ。

何はどうあれ、僕のために苦しまないでいて欲しい。

僕はそう思うと、彼のことを考えるのを辞めた。

そうして、部活動に向かった。

初日の午後の部活動、何をするのかと言うと、帰宅部と同じ家に帰ること。

おとねさんや、みちかさん、しずくさん達は、それぞれ遊ぶ約束や、用事がある。

更にはすすむくんは、最近、動きすぎて疲れて今日は休んだ。

残ったのは、受験を控える青野くんと、僕の2人。

最近、勉強で、殆ど顔を出さなかった彼とすれば、部活動できないのが自明の理だった。

僕がそう思って帰ろうとすると、青野くんが僕の元へとやってくる。

「やぁ。聞いたよ。部活動認められたんだってね」

「そうなんだ!すすむくんの頑張りのお陰だよ。」

「すすむくんって凄いよね。」

「うん。」

青野くんはそう顔を伏せると、打ち明けるように言った

「あのさ…!」

「どうしたの?」

「前の絵本のこと。君に渡そうと思って」

「そうなんだ。」

彼は僕に『真ん中のうさぎ』と書かれた本を手渡す。

「それだよ!」

僕は思わず大きな声で言った。

「うん。うさぎの話は沢山あったけど、前に持ってきた話の中なら、これかなって。」

僕は青野くんにありがとうを告げる。

今日はいいことがあった。悪いことの後にはいいことがある。

その噂は本当なのかもしれない。

心の中でそう思って、家に帰った。

あの絵本には、なんだか、真理が書かれている気がする。

自分の向かおうとしている先が…

そう思うと、家に帰ってはやく見たくて仕方がなかった。

とても長い時間のように感じた後、ようやく家に着く。

すると、弟がもう帰ってきたようで、僕に話しかけてきた。

「この漫画面白いよ!」

その手に握られていたのは、『スタンダード』という本だった。

僕は感謝を告げて、自分の部屋へ。

今日はいいことが多かった。

悪いことの後には、いいことがあるその言葉もあながち間違いではないと思った。

僕はとりあえず、真ん中のうさぎを見る。

すると、うさぎが橋の真ん中に居た。

そして、走りたくてうずうずしていたので、左側を見てみると、走れそうなスペースがある。

うさぎは左の方に行って、楽しく走り回った。

疲れてしまって、お腹が空いたうさぎが、元の橋の見てみると、橋の向こう側には、うさぎの好物の食事が置いてあった。

うさぎは向こう側に。

それを満足いくまで食べると、橋の真ん中に戻って行った。

ところで向こう側には猿が…

僕はそこまで読んで、絵本を閉じた。

最後まで読みたいところだったが、勉強がまずい。

最近、部活動のこともあり、平均を目指すことが大変になっている。

今日も少しずつ進めて、平均点近くを目指さなければ…。

その日は勉強を終えると、ゆっくり眠った───────

次の日、ある噂が耳に入ってきた。かけるくんが事故にあってしまったと。

僕はそれを聞いて驚く。

しかし、そっと心の中で、きっといつか良くなると言って、深く考えるのを辞めた────────