思想学部⑰

<h3>みんなの考え</h3>

仕切り直して、今度は、一緒にいた留学生の女の子が言うことになった。

けれど困っている。

小さな声で留学生の2人は少し話していた

「あとの方が良かったんじゃない?」

トモさんは首をふる

「でも、後になっちゃうと、言えなくなっちゃうから…」

そう言って決意したようにまわりをみた。

「私の名前はトモで、思想はまだありません。これから作っていけたらと思います!」

シソウのそばに行って「どうしよう…。」と不安そうにする。

すすむが「それでもいいと思う」と笑う

「いつでも作れてまた作り直せる。それには期限はないから」

女の子はその言葉に落ち着いたようだった。

「次は誰が言う?」

すると、あさかさんが「部長である私が!」と出てくる

「じゃあ、お願いします!」

すすむくんの言葉にドヤ顔で「今、言った通り、この部活の部長!名前はあさかよ!」

「そして、私も思想はないわ!」と言った。

部長なのに…!?

僕は心の中で驚きで一杯になった。彼女はどうして思想学部に来て、部長になりたいと言ったのか…

その疑問も浮かんできた。

直後、あさかさんの後ろから「私もなーい」ときせきさんが彼女を抱きしめた。

「わ!きせきちゃん!」

「うん、きせきだよー!あと、思想だけじゃなくて昔の記憶もない!」

そう言ってえへへと笑う。

すると、1年生の紹介をみてきた女の子がフラフラと前に出てくる。
 
「私も言って大丈夫ですかー?」

声もどこかふらついている。

「もちろん!」

満面の笑みですすむくんは頷いた

「1年のふらです!私も思想はないです!」

4人も思想がないのか…。

そう思っていると、「あっ!」と少し大きな声できせきが叫んだ。

「きせきさんどうしたの?」

僕は思わず聞くと、「私、記憶を戻したい!だから、思想はそれかも…」と。

すすむくんも入ってきて「いい思想だ!」そういい笑う。

しかし、他の人ももしかしたら、ないかもしれない。

こんな偏るとは思わなかった…。これでは部活として成り立つのだろうか…?

そう思っていると、1年生の男の子が出てくる

「かっこいい僕から先に聞かないなんて、君たちは恥ずかしがりだね。」

「ごめん。なるべく、言いたい人から順番にしようと思ってた。

君の思想は何?」

すると、男の子は「僕の思想か…。それは自分がカッコよすぎること…」とポケットにあった鏡をとりだしそれに見とれていた。

そして、「がと今日もかっこいいよ」と呟く。

がとが彼の名前なのだろう。

次は少し体格のいい男の子が前に出てくる

「僕の名前はねお。思想学部が、僕にとって今必要なものだと思って入った」

すすむくんは「おぉ!そうなんだ。ありがとう」と頷く。

「はい。そして、僕の思想は根性について…。これからそれを深めていきたいです。」

みんな自分の名前、思想を言って、最後の1人になった。

僕のクラスに、可愛いお姉ちゃんを探しにきた女の子。

すすむくんは変わらず「君の思想は?」とたずねる。

「それはもちろん…私の中で決まってます!」と笑顔に。

「私の思想…!それは!」

「それは…?」

視線が彼女に集まる

彼女はポケットに手を入れて何かを取り出した。

そして、その手を大きく上にあげた。

「この世は美しいもの、可愛いものでできてる!美しいもの可愛いものしか勝たん!」

手の中には小さなぬいぐるみがある。

僕は驚きつつも、昔に1度、これを聞いた事がある気がした。

デジャヴ…?

そうしていると、きせきが前に出てきて「わあ!大賛成」とぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んだ。

彼女は「良ければ皆さんも一緒に!可愛いものしか勝たん!」と言った。

続けてきせきも「可愛いものしか勝たん」と言う。

2人はハイタッチして、とても仲が良さそうだ。

あさかさんができて言う

「あなた、名前はなんて言うの?」

「あ、忘れてました!」

そう言って笑うと言った

「私の名前は、美しいに愛と書いてみおって言います!」

すすむくんが「いい名前だね。」と言った。

「ありがとうございます!皆さん、これからよろしくお願いします!」

─────────

そして、部活は一人一人の自己紹介でそのまま終わる。

次からは、練習などをするのだろう。

これからどうなるか全く未知。

僕は少し楽しみでもあった。

ところで、向こうを見ると、きせきさんが元気に「みんなまたねー!」と笑って手を振っていた。

僕もそろそろ帰ろうか。

そう思って荷物を持った。


きせきが廊下に出ると、向こうから誰かが歩いてきた。

そして、立ち止まる。

きせきはそっとその人の顔を見た。

すると、その人の方から話しかけてくる。

「なんで思想学部に…?」

きせきは何もかえせずにいた。

「俺の名前はすいぞうだ。何度か会ったことがあるだろう。」

「覚えてない…」

「そうか、記憶喪失だったな。俺はある人に頼まれて…」


僕は外に出ると、きせきさんが立っていた。

「どうしたの?」と話しかけようとすると、近くに男がいる。

すいぞうって人だ。

彼は僕を見るとその場から去っていった。

「何かあったの?」

きせきさんに話しかけると、「分からない」と首を振る

──────

<h3>大会に向けて</h3>

今日は新しい人を含めての部活。

はじめてなので、これからどうなるか緊張した。

そして、いつもよりはやく学校に到着する。

まだ6時30分を少し過ぎたくらいだ。

誰も来ていないだろう。

そう思っていると、「おはようございます!」と話しかけてきた。

その方を見てみると、みおさんだった。

「おはようございます!もう来てたんだ。はやいですね。」

「6時について待ってました!」

それははやすぎる!心の中で叫んだ。

「いつも何時に起きてるの?」

彼女は「えーっと」と上を見上げる。

「4時、5時ですよ!」

そう言って微笑んだ。

─────

「いなし先生!」

「どうしたんですか?あわて先生。」

「2年生になったことで、ようやく解放されましたよ。」

そう言って喜んでいた。

「そうなんですか」

いなし先生は落ち着いていた

「次に彼のクラスの先生になる人は大変ですね。確か2組だったはず…」

すると、いなし先生をみた。

「たしか、2組って、いなし先生のクラスじゃあ…?」

「えぇ。そうですよ。」

「すみません。彼のクラス担当するなんて災難でしたね。

しかも、同じ部活の生徒が沢山居るなんて」

すると、いなし先生は言う。

「確か…。秋以降は、何も無かったですよね。」

「確かに無かったです。でも、気が気でならなかったですよ。」

「いつ問題おこすか分からないですから。」

「何も無かったのなら、いいじゃないですか。」

そういい微笑んだ。

あわて先生はそれに何も言えなくなった

──────

それから、思想学部のみんなが集まる。

すすむくんが皆の前に立って、「ありがとう」を言った。

「今日は、思想学部の大会の対戦ルールなどを教える!その後、実際にやろうと思うんだ。」

説明後、メンバーを決めることになった。

見回してみると、誰か足りない。10人しか居なかった。

「すすむくん、2人足りないんじゃない?」

「あぁ…。出かける前、しずくさんから電話が来て。」

「夜に感動ドラマを見て、深夜に思い出してずっと涙で眠れなかったらしいんだ」

「そうだったんだ。」

「うん。もう一人は分かんない。」

すると、ふらさんがふらふらと前に出てきて「カッコイイさんだと思いますよ!」と言った。

「確かに、今日見てないね」

すすむくんはあたりを見回す。

ふらさんは「彼の名前は名前は確か…で…」と言いかけた。

その瞬間、あさかさんが「居ない人よりもはじめましょ!」と言った。

「おしゃべり会だっけ?」

すすむくんが言う。

「うん、そんな感じだよ!相手の考えを認めあったり、高めあったりするんだ」

「ふーん。」

あさかさんは頷く。

「今居るメンバーでやってみよう!」


僕は誰にするのかあたりを見回していた。

すると、向こうではふらさんの傍にみちかさんが、留学生2人が居て、する人が決まっている。

あさかさんはきせきさんの方を見ていた。

そして、「あの…!」と声をかけた直後、「みおちゃん一緒にしよー」と手をあげる。

「はい!先輩、お願いします!」

僕は心の中で、仕方ないかと思って、あさかさんの方に行こうとすると、後ろから誰かに引き止められた。

「良ければ一緒にしませんか?」

振り返ると、そこにはねおくんが居た。

「いいよ。しよう!」

「ありがとうございます」

向こうでは、あさかさんが寂しそうにしている。

すすむくんが「僕としない?」と言った。

あさかさんは「仕方ないね!」と少し嬉しそうに。

それから、対戦が始まった。

こういう場になったことで、相手のことを深く知るきっかけができる。

僕は心の中で少し嬉しさがあった。

「君の思想は、根性についてだったよね?」

「はい。覚えてもらって、ありがとうございます。」

「ちなみに敬語じゃなくてもいいよ!上下関係は思想学部にはなく、みんな気楽に楽しめたらって」

「そうですか。でも、大会があるんですよね。」

「それなら、きっちりと守った方がいいと思いますよ。」

「そうかな…?じゃあ、ねおくんの自由にしていいと思うよ!」

「ありがとうございます。ところで、あいださんの思想は、普通でしたね」

「うん、そうだよ。」

「それは、どういう考えなんですか?」

「その名前の通りだよ!普通がいいと思ってる」

それを聞いて、ねおくんは不機嫌な顔になる

「普通がいいだって?能力が高い人は悪いって言うんですか?」

「なんでもかんでもじゃないよ。」

話しているうちに、朝の部活が終わった。

丁度、その時に、眠そうにしながらしずくさんがやってくる。

「みんな来れなくてごめんね…」

ねおくんが「眠いからってだけで休むなんてどういうことですか?根性で来ましょうよ」と言った。

おとねさんはそれを聞いてうるうると泣き出してしまう。

みちかさんなどが慰めていた。

ねおくん…?

僕は心の中で、どうしてそんなに…と思った。

<h3>過去物語❶</h3>

小学校、中学校と僕は学級委員をつとめた。

彼なら任せられる。そんなふうに言われ、周りからの信頼を得ていた。

それは高校に入ってからも変わらない。

だが、1つだけ、今までとは異なることがあった。

尊敬する人ができたこと。

高校に入って間もなかったが、僕は生徒会長に立候補することにした。

しかし、周りからの評価も築いては居ず、受かるはずもなかった。

そして、もう1つ。

立候補する人物、それを見て悟る。

彼の方が向いていると。

生徒、先生からの評価が良く、行動力や、決断力もある。

問題に対し、真剣に考え取り組んでいく。

それははじめての事だった。

わいてくる感情。

僕は彼のことをとても尊敬する。

1年生の時は、傍で彼を見ていたい。

そう思った。

彼から学べること。沢山あるかもしれない。

そして、見ていく内に分かってきた。

彼は人からの評価に勝る、トップに相応しい人間だと思った

困っている人の話を向き合って聞く。

優しさもあり、逆に弱さもあった。

そして、半年が経ったある日のこと。

事件が起こる。

1人の生徒が放送室を乗っ取り、自分の部活の顧問を募集する。

先生や、生徒を不安にさせ、学校の秩序を乱した

廃部になるだろうと思っていた。

しかし、何もない。休みすら無かったらしく、そのまま野放しに。

生徒会長に話を聞くと、「先生が彼に注意するだろう。必要以上に言えば傷付けてしまうことにもなる」と言った。

ここでは優しさが出た。

しかし、彼のやったこと。

それは悪いことだったのではないか…。

心の中に残った。

それから、生徒会長選挙へ。

立候補する人物も1人以外居ず、僕が選ばれることになった。

もしかしたら、前生徒会長の振る舞いに、自信が無かったのかもしれない。

僕は引き締めた。

これから、自分がこの学校をより良く、安全で過ごしやすいものへと…。

心の中でそう思っていた時、立候補した女性が言った。

「私の方が向いてると思うのに!選ばれたんだから、生徒会長らしくね!」と。

その後、前生徒会長の元に行った。

「演説みたよ。とても良かった。」

「ありがとうございます」

「誰が来ても、君に入れようと最初から決めてた。君になら任せられる」

「これから頼む。」

「はい!」

そして、新しいメンバーではじまった。

新しく入った1年生、2年生、見知った顔もある。

1年生を見て思った。

これから少しずつ見る必要もあるだろう。

生徒会長に相応しい人物を…。

1年生は男子が1人、女子が1人だった。

ある日、男子の方が言った。

「思想学部、あれは野放しにしてはいけない」

「なにかあったのかい?」

「前にあったでしょう。放送の事件。また問題をおこすかもしれない」

「最近、他の部活に貢献していると聞いた。」

すると、彼は言う

「また悪いことをしてもいいように、顔色をうかがっているのかもしれない!」

考えすぎてはないか…?と思いつつも、あの時のもやもやを思い出す。

「1度、彼に真意を聞いてみよう。」

それは大勢の前でのことだった。

部活の仲間が守った。

そこで理解する。

部活の仲間から、よく思われているのかもしれない。

悪気がなかったのだろう。今は見逃しておくことにした。

今後、なにかするようならそこで…。

その時、前生徒会長の姿が浮かぶ。

彼は実際に彼と話して、どんな人物か分かっていたからこそ、何もしなかったのかもしれない

───────

そこから少し経っても、1年生の男は変わらなかった。

彼はいけない。この学校を脅かす存在になる。

真剣な目で僕をみた。

ほかの生徒会メンバーからは、暴れん坊と言われているらしい。

ただ、仲間思いなところがあって、それがから回ってしまっているのだろう。


それからある日のこと、僕は、実際に彼にあって話してもらおうと思った。

そうすれば、分かることがあるかもしれない。

しかし、何もせずに帰ってくる。

何があったのかと聞いても、彼は答えない。

とても深刻な顔をしていた。


それから色々あって、2年生となった。

今年で終わりだ。

これからのこと、頼める人は誰だろうか。

2人が浮かぶ。

1年生だった2人。男子の方は、少し排他的すぎる。

女子の方は評価も行動もいいが、積極性にかける。

もし、選ぶとしたら後者。

しかし、それでいいのかも分からない。

これからを見てじっくり決めていくこととしよう

───────

<h3>ところで</h3>

「結局、部員を集められたのは俺だけだったみたいだな」

ひていはそう言って笑った。

「流石、ひていさんです!」

1年生の男はそう言って称えた。

「しかし、これで5人って少なすぎるな。むりの影響力もこの程度ってことかな」

「ひてい!」

なえは大きな声で言う。

「いいよ。自由に言わせてやればいい。」

むりはなえをみて言った。

「でも…」

なえは心配そうに見つめる

「ただ、敵にまわるのなら、容赦はしない。」

むりはひていをにらんだ。

そこにうみも入ってくる

「沢山居なくても、試合はできますよね!」

「最低5人は必要だ。前までは4人しか居なかったから大会に参加はできなかった」

ひていは意気揚々とする。

「つまり、俺のおかげだ」

うみは笑顔で「そうかもですね」と言った。

ひていはその様子に少し驚きながら「お前らにプライドはねえのかよ」と。

「その通りだと思ったので正直に言っただけですよ」

うみは笑顔を絶やさなかった。

「それに…。もし、人が足りなかったら、私が足りない分だけ演じます!」

「うみ…。」

部長はその場を立った。

「とりあえず、目指すものは変わらない。今まで通り続け、ほかの学校ともたまに練習。」

「たとえ、今、敵だと心で思っていたとしても、呉越同舟だ。しようとする目的は同じ。」

なえは「部長…!」と目を輝かせる。

ひていは「まぁ、すすむはムカつからな」と言った。

───────

それは、ある日のことでした。

私が廊下で歩いていると、すいぞうくんを見かける。

誰かと話しているようで、ちらりとその人の顔を確認した。

「あれは確か…。1年生の頃、同じクラスだった…。名前はきせきさん」

2人は何をしているの…?

すいぞうくんはなんだか、焦っているようで、きせきさんはとても困っているようだった。

助けに入った方がいいか…?

彼女が助けを呼ばないかぎり、私が出ていってはいけないと思った。

そっと、彼女の前を通り過ぎる。

この時に助けを求めれば、私はなるべくそれにこたえる。

しかし、彼女は私を呼び止めなかった。

もう仕方ないかな。

変わらず困った表情の彼女をちらりと見ると、そのまま廊下を進んで行った

その日から数日が経って、生徒会のメンバーで集まった。

すいぞうくんはずっとそわそわしている。

なにかあったのかな…?

そう思いつつも、勘違いかもしれないし、何も言わずにいた。

すると、生徒会長も気がついたようで、すいぞうくんに話しかける。

「なにかあった?」

しかし、すいぞうくんは首を横にふった。

その時、何故か、きせきさんの顔が浮かんだ────────

歩きながら夢中になって創作を頭の中に浮かべていた。

すると、後ろから誰かが「やぁ!」と。

振り返るとそこには見知った顔がある。

「あなたは思想学部の」

「すすむだよ!」

すすむさんはそう言って笑った

「すすむさん、何の用ですか?」

「特にない!」

自信満々に笑う。

「そうなんですね。」

「ところで、いつも少し元気が無さそうだけど何かあったの?」

僕はドキリとした。あの事を言うべきなのかどうか。

ふっと、昔のことが数日経って、考えたことで、消えてなくなった。

僕に気を許せる友達は居ない。

規制されてしまったあの場所を思えばそう。

自分の1番大切なものを奪われてしまった。僕にはもう何も無い。

ここで静かに暮らして行くことが、今の自分にあっている。

そんな時に彼は肩を叩いて言った。

「大丈夫だよ!」

ただ、そう言って笑っていた。

「なんでも言っていいんですか?」

「うん。」

「僕は犯罪者だ。住んでた国で、禁止されていることをしている。」

「そうなんだ。」

「これは辞められない。法律が違うから許されているだけ。」

「本当だったらいつ捕まってもおかしくはない。そんな人間だ。」

すすむさんは頷く。

「こうして、誰かと関わることすらも許されない人間なんだ…。」

目から涙が溢れてきた。

「たとえそうだったとしても、僕は何もされてない。

君は僕に悪いことを1つだってしてないんだ」

「だから僕は君を信じるよ。」

───────

少し経って、僕は顧問の先生のところに行った。

もしかしたら、部活を辞めようと思っていたのかもしれない。

夜な夜な、昔の、物語を禁止されていた頃の苦しみや、またされるのではないかという恐怖が襲ってきていた。

しかし、目の前にすると、何も言えなくなる。

「シソウくん何かあったんですか?」

先生はたずねる。

「部長さんは…」

「すすむくんのことですか?」

間違って、言葉が出てしまった。

「あの人はどんな人なんですか?」

「すすむくんか…。とても面白い人だよ。昔は、色々騒ぎを起こしたことがあったな」

「問題児だったんですか?」

「そんなつもりはなかっただろうけどね。」

「そうなんですか。」

「そういえば、面白いことを言ってたな。」

「なんですか?」

統計学が最強の学問なら、思想学は無敵の学問だ。って。」

先生は少し嬉しそうに言った。

「彼に任せられると思ってるよ。」

先生はそう言って天井を見上げる

────────

<h3>あの時のこと</h3>

小学校の頃、俺は同級生にいじれるやつが居ないか探した。

女子か男子、関係なく対象となればそれでいい。

悪いところを見つけて、言った時の相手の悲しそうな表情。

それが好きだった。

特に居たのが、勉強ばかりしている女子。

テスト頑張らなくても、いい点はとれる。

それなのに、ずっとノートや教科書と向き合ってる姿を見て、おかしいと思った。

その理由がわかった時、笑いがこみあげた。

その女子は、他にできることがないから、ずっと勉強している。

ほかのことはてんで駄目。

それを見つけて、その女子に言った時の悲しそうな顔それがたまらなく嬉しくなった。

それから中学校に入ると、勉強も難しくなって、ついていくのが大変に。

面白くない。

俺はそう思って、仲良くなった年下の男と遊びに出かける。

その帰りのこと。

年上達に絡まれる。

そして、俺の欠点を沢山に言われた。

そうして、自分の姿を鼻で笑われると、そのまま行ってしまう。

俺はイライラした。

なんでこんな目にあわなければいけない。

すると、ふと、昔したことが浮かんだ。

そんなはずはない。

だが、ある時から、俺に運が向いてきた。

3年生になった時、防・剣の会に出会う。

最初はふざけた名前だと思っていたが、リーダーの話を聞いた時思った。

とてもいい否定だ。強い言葉に、人も沢山集まっている。

こいつと一緒に居れば、前に俺の欠点を言ってきたやつらにやり返せる。

俺は下に出て、リーダーの男に関わろうと考えた。

高校に入ってから、あの男の否定を真似て、弱そうなやつを見つけて言った。

そんな時に、ある男が現れる。

その男は、リーダーの思想の反対のことを言った。

共通の敵が居れば、更に仲が深まるかもしれない。

心の中でにやけが浮かんだ。

嫌なやつの苦しそうな顔が見れ、リーダーとの関係が深まる。

一石二鳥だ。

しかし、その時はリーダーは何もしなかった

また少しして、あいつが俺の通う学校にやってくる。

もしかしたら、目の前で見れるかもしれない。

そう思ったが、あてが外れる。

色々あって、部活をすることになった。

帰宅部だったメンバーで構成される。

その中で、副部長になったのが俺じゃないやつ。

しかも、態度が悪い。

なんでこいつが?と疑問に思いながら、その時はそのままだった。

しかし、部活をする中で、対戦することになり、いつも憎しみのこもった否定を何度も何度も言った。

部長も放置で、考え否定した男には何もしない。

よく見てみると、周りの人間も、尊敬している様子はなく、休んだりするやつも多かった。

俺はつくとこを間違えたのか。 

それから、2年生になって、中学校の時に仲の良かった後輩が入る。

俺は立場が逆転したと心の中で思った。

これからが楽しみだ

俺がトップに立って、ムカつくやつらを…

──────

あるところに、男の子と女の子が住んでいた。

「お姉ちゃん!」

「どうしたの?またナルシスト?」

「嫌だな。僕はお姉ちゃんも好きだよ」

「シスコン…?」

「お母さんも好き」

「エディプスコンプレックスかな?」

「お父さんも好きだ。家族はみんな好き。」

「お姉ちゃんはエレクトラコンプレックス?」

「そんな訳ないでしょ。

私はね、いつか会う王子様!その人だけが好きなの」

「王子様って僕のこと?」

「自意識過剰!そんな訳ないでしょ。」

「カッコよすぎる僕は、いつも噂されてるのさ。」

「ところでいつも、朝は鏡に向き合ったままよね。何してるの?」

「髪型整えたりだよ。だけど、1番長いのが…自分のカッコ良さに見蕩れることかな!」

「やっぱりそうだったんだ…。どうしたらそんなに自分に自信もてるんだか」

「自分を愛してるだけだよ。こうして欲しいって求めるんだ。

もちろん、好きな人の頼みも聞こうと思ってる。」

───────