思想学部⑱

<h3>君の話</h3>

午後、みんなは部活に集まる。

少し前に色々あって、部活でねおくんが浮いている。

今日も2人ずつにわかれ、思想を話し合うことになった。

しかし、ねおくんは誰かとできそうにない。

しずくさんに話しかけて、泣かせてしまっていた。

仕方ない。僕がまた一緒に…

そう思って、近付いていくと、誰かにぶつかった。

前を見てみると、そこにはみおさんがいる。

「どうしたの?」

「私がねおくんとしようと思って」

ねおくんの方を見てみると、すすむくんが彼の前にいた。

「ねおくん、僕としない?」

「いいですよ。」

周りを見ると、留学生2人はそのまま、みちかさんときせきさんが決まっていた。

しずくさんとふらさんが一緒にすることになる。

残ったのは僕とみおさんと、あさかさん。

みおさんが「良ければ一緒にしませんか?」と微笑む。

「大丈夫ですよ。」

しかし、あさかさんがじーっとこっちを見ていた。

「良ければ3人でしましょう!」

その一言で、ここだけ3人になった。すすむくんたちの様子が気になっていたのもある。

僕は彼女達の話を聞きながら、すきあらば、すすむくんたちの様子をみた。

あさかさんはみおさんにたずねる。

「みおちゃんは確か、美しいものと可愛いものって言ってたよね。」

「どんなものなの?」

「小さい頃からずっと、お花や、ぬいぐるみが好きで!」

彼女の話を聞いて、ふと去年のショーを思い出した。

「そういえば!」

2人は僕の方を見て「どうしたの?」と言った。

「去年、ダイバースショーに行って」

「今、それが浮かんだんだ」

あさかさんは驚く。

「わあ!私も去年行きました!」

みおさんは喜ぶ。

「それでどうしたの?」あさかさんは首を傾げる。

「確か、後半の方で、知ってる人が居たなって思って。」

みおは「そうだったんですか~。私、最初の方で帰っちゃったんですよね。」と言った。

「私、行ってない!関係ないことより、話を戻しましょう。」

そのままみおさんが自分の考えを話していた。

ところで、すすむくんはどうしているだろう。

ちらりと見ると、すすむくんが話していた。

「僕の思想、それは肯定すること。」

付和雷同ってことですか?」

「どう見てもらってもいいよ。これから分かる。」

「君の思想を教えて欲しい」

すすむはそう言うと、ねおくんは言う

「俺の思想は、根性だ。なんでも頑張らなきゃいけない。」

「できないやつはダメだ」

すすむくんは「なるほど」と頷いた。

「君の考えはいいと思う。」

「そうですか。」

すると、すすむは続けた。

「それと同時に、頑張らないこともいい考えだと思うよ」

ねおは面を食らう。

「俺の考えを否定しないのでは?」

「君の考えもいいものだと思う。他の人も、みんなの考えも同様だ。」

「1人が考えたそれを僕は肯定したいから」

僕は思った。前は相手の考えの肯定。

しかし、今回は他の考えも同時に肯定する。新しいものになった。

思想は成長するのかもしれない。

そう思っていると、あさかさんが「あいだくん聞いてる?」と肩をたたく。

いつの間にか、みおさんの話は終わっていたようだ。

今度は、あさかさんが話すらしい。

「私の番ね!」

すすむくんの様子が知りたいと思いながらも、彼女の話を聞いていた。

「私はリーダーに相応しいと思うのよね。」

そこから始まり、ずっと、自分の相応しいと思う理由など色々話していた。

とても夢中になっていたので、僕はこっそりとすすむくん達の様子を見る。

「スポーツの大会では、1人、1つのグループの優れた人間を決める。

2つ以上が1位になってはいけないんだ」

すすむくんは落ち着いている。

「それと同様に、スポーツでは認め合いの精神というものもある。」

ねおくんは口を閉じた。

彼は相手の考えと反対のものも肯定することで、彼の強すぎる考えの思いを抑えさせた。

彼の肯定は全てを包括してしまうもの。

もしかしたら、彼は試しているのかもしれない。新しい肯定の形を...。

直後、すすむくんは言った。

「少し方向性を変えよう。」

彼がそう言った瞬間、あさかさんが僕の名前を呼んだ。

振り返ると、2人は僕の方を見ている。 

「どうしたの?」

僕がそう言うとあさかさんは言う。

「もしかして、さっきの私の話聞いてなったの?」

みおさんが続けて話す。

「あさか先輩の話が終わったので、あいだ先輩の番です!」

「そうなんだ。」

その後、僕は2人に自分の思想について話す。

話し終わって、思想について深めることになったが、僕はチラチラとすすむくんの方に目をやる。

しかし、もう終わってしまったようだった。

他の2人組も大体完了したようだったので、僕達の方も終わることになった。

彼がどんなふうに今思っているのか気になるが、今後、分かることになるだろう

そっと心の中で納得した

─────

<h3>過去物語❷</h3>

私の目標、それは小学校の時に決まった。

困ってる人を助けられるリーダーになりたい。

それから、学級委員になった。

まだ助けられる人は少ないけど、自分にできることを頑張ろう!

私は心の中でそう意気込んだ。

最初は順調に行っていた。

だけど…。

ある日のこと。

私が昼休みに歩いてると、向こうからふらふら歩いてくる女の子が居た。

私はすぐに駆け寄って、「何か困っていることはない?」とたずねた。

すると、彼女は首をふる。

「ふらふらしてたから…保健室に行く?」

周りにいた子が笑いながら言う。

「その子はいつもそうだよ。ふらふらしてる。」

他の子も続けて言った

「困ってない人を助けようとするのって、ぎぜんって言うんじゃないの?」

彼女の方に目を向けると、少し困った顔をしている。

そこで分かった。

私のした事が、結果的に相手を困らせてしまったのだと…。

私がしたかったのは相手を助ける。困らせることじゃない…。

私は悲しくなった。

このことを友達などに話すと、困ってるって相談してきた人を助けたらいいのかも。と話した。

それから、中学校に入る。

そこでも学級委員をつとめた

昼休みのこと。

クラスは1部の人で、とてもうるさくなっていた。

周りを見ると、嫌な顔をしている人がいる。

もしかしたら…。心の中でそう思ったけど、小学校の時を思い出した。

本当に困ってるのは私だけ…。

図書室に行こう。

心の中でそう思って、クラスから離れた。

アビリーンのパラドックスは嘘だと思うの。

───────

そして、私は高校生になった。

相談してくれた時、頑張ろうと思う。大きくなったけど、そこは変わってない。

ところで、周りで、騒がしい人が現れた。

その人は今まで誰かがしたことないようなことを。

先生に注意を受けていた。

だけど、彼の様子は、それに全然懲りてないよう。

私も1度注意した方が…

そう思いつつも、委員長のなどの仕事はそれとは関係ない。

与えられた仕事をこなしていればそれでいい…。

私は心の中でそう思いながら、1つだけ引っかかってることがあった。

私は何のためにリーダーになりたいんだっけ…?

とりあえず、昔からの目標だから、生徒会に入った。

2年生になったら、生徒会長になろうと思った。

だけど、そのためには、私以外になろうと思ってる人のことを知らないといけない。

生徒会の中に、同じ年齢の人は1人だけいる。

この人だけではないけれど、2年生になったら、ライバルになるかもしれない

彼は私を見て言った。

「影薄いな。気付かなかった」

攻撃的な言葉。どうして彼がなれたんだろう…。

そういえば…

この人は、仲間という言葉を多用していた。

仲間のために頑張る。この学校を一種のグループとして見ていた。

でも…。

最近、ある人が問題おこしたことを生徒会のみんなに話してた。

リーダーになる人としては、少し乱暴者すぎる。

これから私が少しずつ重ねていけば、皆からこの人なら大丈夫だって…

少し経って、ある事が起こった。

生徒会長が、前問題起こした人が居た部活の張り紙を作って、1年生の廊下に貼っていた。

私が何をしてるんですか?

とたずねると、あの部活、前から疑問に思っていた。

だから、本人に聞いてみることにする。

「少しやりすぎじゃ…?」

私がそう言うと、「生徒会に入った1年生。」

良かれ悪しかれ、彼も納得すると思うんだよ。」と。

それからあれがあった。

生徒会長は彼の様子に喜んでいた。

でも、その反対に、1年生の彼は不機嫌そう。

これから、あの部活が何かしない限り、こちらからは何もしないとなったから。

ある日、私は「どうしてあの部活のことを…?」と聞いてみた。

「この学校のことを思って言ってるんだ」

「あの部活も、この学校の仲間よね…?」

「いいや、あいつら…あいつは仲間じゃない。」

理由は結局分からなかった。

だけど、彼の普段の態度。良くなかった。

私はいつも通り、求められたら、できる限りのことをする。

自分で言った通り、それを実行した。

今のところ、難しくなさそう。

心の中に余裕があった。

ところで、生徒会長…。

1年生の彼の反対に、とてもいい姿勢をとってる。

聞いた事によると、彼は前生徒会長に、票をもらったらしいの。

私も、あの人にもらいたい…。

でも…今のところは大丈夫そう。

これからも、私は私のできることをしていく。

本当にこの学校のためになるのは誰か…。

行動で見せるの

私の心に昔の、優しいリーダーになりたいという思いが浮かんだ。

しかし、その中にうっすらと、ある部活がぼやけて現れる

───────

<h3>あなたは…?</h3>

私の隣に、男の子の影があった。

「俺の大切な幼なじみだ」

そう言って、笑いながら私を見る。

その直後、場面が変わる。

さっきとはうって変わって、とても困っている彼の姿があった。

私は小声でそっとつぶやく。

「あなたは誰…?」

きせきはそこで目を覚ます。

さっきまで近くに居た男の子はどこにも居なかった。

───────

放課後。

朝から、キセキさんが少し暗かった。

僕がそのことをすすむくんに伝えると、みんなの前にたつ。

そして言った。

「今日は部活のメンバーについて考えることにする!」

みんなが集まる。

「なんですか?」

きせきさんもその中に少し暗い表情でまざる。

「きせきさんの記憶が戻る手伝いをする!」

きせきさんは驚いたように顔をあげた。

「わーい!」

みおさんはとても喜ぶ。

あさかさんは「どうしてそんなに喜んでるの?」と聞いた。

「だって…!人助けだよ!こんなに嬉しいことはないよ!」

そう言って続けて喜んだ。

「全員でやるんですか?」ねおくんは首をかしげる

「うん!全員でやろう!」

僕はすかさず、「みんなでやる必要はないんじゃない?」と言った。

「こういうのは、進んでやりたいって人がやった方がいいと思うんだ。」

すすむくんは「分かった!そうしよう」と笑う。

「今日の部活は、きせきさんの記憶探しと自由行動で!」

残ったのは、ぼくとすすむくんとみおさんの3人だった。

みちかさんや、しずくさんがいないのはどうしてなのだろう?

そう思いつつ、用があったのだろうと心の中で納得する。

「最初はどこ行きますか?」

笑顔でみおさんが言った。

すすむくんは何も考えてなさそう…。

察して言った。

「じゃあ、まずは生徒会の人のところへ。前にみおさん記憶戻ったって。」

「そうだったんですね!もしかしたら、戻るかもしれませんね!」

みおさんは先導するように、スキップしながら生徒会の人の元へ。

庭野さんが居た。

しかし…。

「この時間はすいぞうくん、もう帰ってると思うよ。」

「そうなんですか?」

「えぇ。生徒会としての用がある時でも、帰ってしまうの。」

「なるほど…。ありがとうございます!」

僕は頭を下げた。

「いえ、こちらこそ。」

僕らがそのまま彼女を後にしようとした時。

庭野さんが、きせきさんの方へ。

「あのっ」

と言った。

「どうしたの?」

きせきさんはか細い声で話す。

庭野は心の中で思った。

困ってることはない…?

そんなことないよね…。

「なんでもない。じゃあね。」


「次は前の部活に行ってみよう!」

そして、吹奏楽部に到着した。

しかし、思ったように、何か得られることはなかった。

おとねさんはとても元気そうにしている。

それが、1つのすくいだったかもしれない。

帰ろうとした時、吹奏楽部の1人が僕を呼び止めた。

「どうしたんですか?」

「実は…。きせきさんのことだけど…。」

僕は頷いた。

「記憶を失う前だと思うんだけど、ずっと音がしなかったの…。」

「そうなんですか?」

「はい。休むことも多かったし…。」

「この話は内緒にしてね。何か理由があったのかもしれないから…」

「はい、分かりました」

─────

その後も、いくつかまわったが、進展は見られない。

きせきさんは言った。

「もうわたしは大丈夫だよ!みんなに私のためで、気を遣わせちゃうのは悪いし…。」

すると、みおさんが言った。

「私は大丈夫ですよ!みんながハッピーだと、私も更にハッピー!」

にっこり笑いかける。

「もし、きせき先輩が、本当に記憶を戻したいって思うなら…。きっと戻ると思いますよ」

「みおちゃんありがとう。」

部室に戻ると、ノートが置かれていた。

「なんだろう?」

僕はそばによって開いてみると、それは、留学生の人達のノート。

記憶喪失だった人達がどうやって、元に戻ったかなどを2人で調べてくれたようだ。

しかし、残念なことに、試したことばっかり。

ただ…こんなに同じ部活に通ってるだけの人のために…。

行く前は、今日は用事があるので帰りますって言ってたのに。

ノートの隅には、シソウくん、こういうことは、影からやりたいらしくて。

私も彼が帰るなら、帰ろうと思ってたんだけど。

頑張るって言うから。悪いところも沢山あるけど、いい人なんだ。

僕は心の中でありがとう…と呟いた。

丁度、その時、誰かが部室にやってくる。

しずくさんと、みちかさんだった。

「どうして…?」

僕は思わず口に出して言う。

「これを買ってたんだ。」

しずくさんが、お守りをきせきさんに手渡した。

「記憶が戻ったらいいなって…2人でね…。」

「しずくさん…」

きせきさんはとても明るくなっていた。

「みんなありがとう!私、頑張ってみようと思う!」

「困ったことがあったら、また頼ってもいいかな…?」

すすむくんが「もちろん」と最初に言う。

それに、きせきさんは嬉しそうに「ありがとう」と微笑んだ───────

<h3>過去物語❸</h3>

あなたの名前は美しいものに目を向けて、それを愛する。

美愛(みお)。

これは私の物語。

子供の頃、おじいちゃんが沢山のぬいぐるみをくれました。

とっても嬉しくて、素敵な空間。

ある日、お父さんやお母さんがぬいぐるみを、他の人にあげるって言いました。

私は「どうしてなの?」とお母さんを見つめます

「可愛い人形さんや、ぬいぐるみさんをあげたら、みんな幸せになるからよ」

それを聞いて、私は思わず立ち上がりました。

「嬉しい…!みんな幸せだと、私もとっても嬉しい」


春の日、お花沢山咲いて綺麗。

夏の日、あたたかくて、海が綺麗。緑で一杯。

秋の日は、紅葉して美しい。

冬の日は、雪がつもって綺麗。

毎日が幸せだったのです。この世界にうまれてきたこと…。

良かったって思うのでした。

それから、毎日幸せに過ごしながら、時が経っていきます。  

中学校に入った時、出会いがありました。

部活何にしようかな?

私は歩いていると、ある部屋にたどり着きます。

その中には、1人の女の子が座っていました。

とても集中して、本を読んでいます。

私はその様子に笑顔で見つめていました。

読み終わった時、私に気付いて、「わ!どうしたの?」と言いました。

「可愛いって思って!見てました」

私が近くに目を移すと、ポスターが貼ってあります。

「いろいろ部?」

「うん!そうだよ!ここは元々、いろいろ部の活動場所だったんだ。」

「もう私しか居ないけどね…」

下を向きます。

「良ければ私が入ろうか?」

彼女は顔を上げる。

「大丈夫!1人でここに居たいから」

「そうなんだ!分かった」

その時はそう言ったけど、気になってもう1回、この場所にやってきた。

あの子はいつもここで、1人で本を読んでる。

静かで、集中できる環境。

今日も、彼女を見つめていた。

「今日も来たんだね!」

「うん、来たっ!」

「なんの用かな?」

「あなたのことや、いろいろ部のこと、知りたいなって!」

「いいよー!なんでも聞いて」

「じゃあ、まずは…あなたの名前を教えて欲しい!」

「内緒!学年は2年生だよ!」

「わぁ!年上さんだったんだ。」

「年下さんだったんだ!」

「先輩!」

「後輩さん!」

「先輩というのに、後輩とはあんまり言わないですよね」

「確かに!どうしてなんだろう…」

それからそのまま少し話した。

「いろいろ部って何をするのですか?」

「なんでもしていい部活だよ!自由なんだ…!」

「そうなんですね。楽しそう!興味あります!」

私は目をキラキラさせて、先輩の顔を見る。

「良かった!」

「先輩はどんなことをしてたんですか?」

「本を読むことも多かったけど、他にもあるんだ!」

実際に見せて教えてくれた。

「わぁ!すごい!」

私はとても嬉しかった。

「そんなに喜んで貰えるなんて!」

「先輩の大切なもの!私にはそれがとってもお花のように綺麗なものだと思ったから…!」

「ありがとう…」

少しして、先輩が言う

「後輩さんは何かあるの?」

「私!もちろんあります!」

「なになに?」

「この世のもの全部美しい!美しいものしか勝たん!」

「そうなんだ…!いいと思う」

先輩は笑顔で私の顔を見た。

ところで、いつからか、気を許して私ととっても仲良くしてくれるようになった。

私はそれが嬉しくて仕方なかったのです。

夏休みには、私の家に招待しました。

「この人が私のお父さん、お母さん!そして、この人が優しい私のおじいちゃん!」

お姉ちゃんは、どんな時でも笑顔だったのです。

私はお姉ちゃんと一緒に居る時間がとっても幸せでした…。

それから、お姉ちゃんは中学3年生になります。

勉強のため、部活を辞めることになったのです。

だけど、辞めたあとも、一緒に集合して、勉強しました。

「みおちゃんと一緒に居ると、勉強がとっても捗る!」

帰る時に、お姉ちゃんは、いつもそう言って感謝します。

私もそれにいつもありがとうと笑顔で返します。

ある日、たずねてみました。

「高校どこに行くの?」

すると、お姉ちゃんは「決まってない…。」と言います

「決めなくちゃいけないんだけど…」

私は思い切って言いました

「全宝高校とかどうかなっ!」

「いい学校って聞いた事あるよ!」

私はとても嬉しくて「ありがとう」と笑います。

「ここに入ろうと思ってるの!お姉ちゃんも入ったら、更に楽しい時間が過ごせるなって!」

「うん!過ごせる!」

私は続けて言いました。

「実はこの学校には秘密があるの!」

「わ!なんだろう?」

「今は秘密!」

「名前内緒にしてたお返しされちゃった」

「お姉ちゃんの可愛い名前!私はとっても好き!」

「ありがとう!みおちゃん」

───────

<h3>それぞれの物語</h3>

いつも通り朝練をしていると、みちかさんの姿が目に入ってきた。

ずっと元気そう。優しさは健在で、そっと影から支えてくれる。

最近はきせきさんのこと、今は、しずくさんを助けてる。

心の中でいい人だな~と思った。


それから時間が経って、昼休みに。

偶然、ふらさんとすれ違った。

彼女は特に思想はないみたいだけど、どうして入ってくれたんだろう?

そのまま歩いていると、隠れてこちらを見ている人が居た。

近付いていくと、そこには、ねおくんが居た。

「何をしてるの?」

「先輩ですか。特に何も無いですよ。」

振り返ってみると、ふらさんの後ろ姿が。

「もしかして…?」

ねおくんは「そうですよ」と言った。

「彼女のことが気になるんです」

「何かあったの?」

「はい。きせき先輩の時…。帰ろうと思ってたら話しかけてきたんです」

ねおくんはそのまま語った。

───────

「ねおくん帰ってしまうの…?」

ねおは振り返った

「ふらさん。うん、帰る」

「こういうの頑張る人だと思ってたから…」

「前の自分だったら、頑張ってたろうな。」

「だけど、今、僕には問題がある。そんな俺が人を助けることなんてできない」

「そうなんだ…」

「うん。今は人助けよりも、自分を何とかする時だ。」

ふらはそっと話を聞いている。

「なんだか、ふらには、話せる気がする。」

「なんでも言って!」

「中学校の頃、団体競技に出てたんだ。とても頑張ってた。だけど…」

「だけど…?」  

「俺以外は全然頑張らないんだ。根性が大事なのに」

「うん」

「いつも根性が大事だって言ってたら、誰も一緒にやってくれなくなった。大会にも出れなくなった」

「そうなんだ…」

「うん。俺のやってたことが間違ってたのか?それとも、あいつらが間違ってたのか?」

「私には分からないよ…。だけど、ねおくんがいいと思う方向に進んだらいいと思うんだ。」

「分かった。」

ねおはその時思った。

すすむ先輩が言ってたこと。

僕は君を肯定する。

特に印象に残った言葉。

ただ、僕が間違っていたら、その時はどうする…?

そうならないって僕を信じてるってことか…?

その時は考えても分からなかった

──────

「そんなことがあったんだ」

「はい。」

僕はねおくんにかける言葉がなかった。

ねおくんは「でも、関係ないのかもしれませんね。こうして先輩に話してますし」と言ってその場を去っていく。


放課後、1人の男の子が廊下を歩いていた。

そこに、女の子がやってくる。

「ふらさん、どうしたの?ここで告白とか。カッコよすぎる罪な男…。」

「ううん。最近、部活来ないなって思って!」

「思想学部のこと?

朝は自分の顔にみとれてていけないんだ。午後もはやく帰らなくちゃいけない」

「そうなんだ…」

「うん。そもそも、所属だけしようと思ってただけだから」

そう言って男の子はその場を後にしようとする。

「待って!しゅごくん!」

「凄くカッコイイ?」

「うん、凄くかっこいいよ!」

「本当のことを言わないでくれよ。そんなに真正面に言われたら流石にてれる。」

「思想学部のみんな待ってると思うよ!」

しゅごはそれを聞いて落ち着いた。

「そうなんだ。まぁ、気が向いたら行くよ」

そう言って、その場を去った。

その最中、男の子の頭の中に声が浮かんでくる。

「どうして…僕はなんでこんなに無力なんだ…」

振り払った。

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「先生!勉強教えてくれてありがとうございます!」

「いえいえ。また困った時、いつでも言ってくださいね。」

トモさんは元気に言う。

「ところで…いつも2人は一緒に居るね。」

目線の先には、シソウさんの姿があった。

「はい。一緒に居ないと、困ることが多くて。」

「そうなんですね。顔見知りが居ると安心しますよね」

「はい!」

「ところで…。」

「何でしょう?」

「思想学部は今、どうしてるのかしら?」

シソウが答えた。

「普通ですよ。部活を真面目にやってます。」

「そう、それなら良かった。」

──────

シソウとトモは部活に向かう間、話をしていた。

「最近、何してるの?」

トモの顔を見る。

「特に…。

あー!私、ハマってることがあって。」

「何?」

「この国のこと調べたり、創作を見たりだよ!」

「創作?」

「うん!シソウがとてもハマってるみたいだったから。私も見てみたくなって」

「そうなんだ。面白いのあった?」

「うん、一杯!」

「それは良かった。だけど、帰ったら見れなくなるから。」

「分かってる!」

「ところでシソウ、あなたは最近何してるの?」

「そうそう、僕は最近考えてることがあって」

「なになに?」

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