思想学部⑯

準備はOK

リベシン高校の思想学部では、模擬練習が行われていた。

「今日もなえとかよ。」

ひていはすこしイライラしながら言った。

部長は「俺とするか?」とよる。

「いや、いいですよ。」

「なんで、この部活、4人しか居ないんですか。俺はもっと色んなやつと対戦したい」

「作った時期が部活募集とは離れてるから仕方ないでしょ。高校生にもなってワガママ?」

なえは鋭い目つきでにらむ。

「それに練習試合もあったでしょ」

「練習試合?俺はすすむとやれてない。あいつとやりたいんだ。」

すると、なえが言った「前に負けたのよね?どうせあなたじゃ、また負けるだけよ。」

面白くなさそうに「とにかく、なえとばっかりはもううんざりだ。」

「うみは対戦せず見てるだけ。しかも、それを許してる」

「部長に文句を言うのは、私に勝ってからにしたら?」

ひていは面白くなさそうに「じゃあな。春休みは来ない」と言って、帰っていった。

すると、勉強していたあゆみが「うるさくて勉強できない」と言って立ち上がる。

そして、そのまま、道具を片付けて帰ってしまう。

それを追うように、うみも帰っていった。

「みんな勝手。特にひていのあの態度はなんなの…?」

部長は彼女の様子を見ていった。

「悩む必要はない。」

「ありがとうございます」と微笑む。

なえは思った。部長は、私のために…なんて優しい人なの…?

2人きりのその空間が、とても幸せに感じていたのだった─────

「あゆみちゃん!」

あゆみはその声に振り返ってみると、うみがいた。

「なんですか?」

「少しお話しませんか?」

そう言ってうみは微笑む。

「いいけど、うみさんとは1度も話したことないよね。何を話すの?」

「友達のこととか!あゆみちゃん、友達と離れ離れになってしまったんですよね…」

「どうしてそれを知ってるの?」

「風の噂です」

笑顔であゆみを見つめた

「実は私も友達と離れ離れになってしまったんだ…。」

「そうなんだ。」

「はい。本当は一緒に居たいはずなのに…。」

「でも、気持ちが、環境がそれを許さない。本当はずっと一緒に居たかった…。」

あゆみは真剣にその話を聞いていた。

うみはそれを見て、「ふふっ」と笑う。

「あゆみちゃん、お話聞いてくれてありがとう。」

「うみさんこそ、お話ありがとう。」

あゆみはそのまま帰ろうとする。

「あの!」

あゆみは足をとめた。

「今日は私ばっかり話しちゃったから、またいつか、あゆみさんの話を聞かせてね!」

彼女は何も言わず、そのまま歩いて行ってしまった。

うみはそれを見てにっこり笑う────────

「部長…?」

「どうした?」

「私と部長がいれば、他の部員はいりません…。どんな相手が来ても勝てると思います」

「そうかもしれないな。」

なえは微笑んで部長の顔をうっとりとみつめる。

「だが、来年には、集まることになるだろう。」

「そうですか…」

「しかし、ぬかりはない。この否定という武器があれば」

「えぇ…。どんな相手でも…。」

部長は思った。

最強の武器に、情報もある。これにより、勝利はより磐石なものとなったのだ。

これからが楽しみだよ

───────

僕はくしゃみが出た。

この時期だから、風邪をひいたのかもしれない。

しかし、それよりも目の前の状況に驚いていた

すすむくんの前にあおのくんが立って、対戦を申し込んでいた。

最近、すすむくんが元気になったと思ったら今度は…。

「僕はもう少しで卒業する。だから、思想学部にはもう来られない。」

あおのくんは下を向いて、残念そうに言った。

「しよう!歓迎する!」

その言葉に、あおのはすすむと出会った頃を思い出す。

「ありがとう。じゃあ、はじめようか。」

そして、開始された。

「まずは僕からはじめるよ」

「了解。」

「僕の思想、それは、絵本、童話が最高の学問だということ」

あおのは続けて話した

「それは、多くの人がはじめに通る道。だからこそ、大事なんだ。」

すすむを見て「すすむくんの思想は?」と笑いかける。

「あおのくんの考え、とてもいいと思う!

僕の思想、それは…どんな人の考えも全て素晴らしいもの!」

あおのくんは「そう。」と言った。

「君の考えもとてもいいと思う。」

外から見ていた僕は思った。これでは決着がつかないのでは…?

すると、あおのくんが「僕の負けだ。君の考えにはかなわないよ。」と笑う。

「君なら…君たちなら、きっとこれからも大丈夫。」

そう言ってすすむくんの肩を叩くと、荷物を持って帰ろうとしていた。

すすむくんは「待って」と言って、自分の荷物の中から、絵本を取り出した。

「これ読んだ。とても良かった。」

そう言い、本を返そうとするが、「それは君にあげた本だから」と受け取ろうとはしない。

「大切な本、だけど、今必要としている人が持ってる方がいい。」

「それに、僕はこれから作っていこうと思うんだ。自分の大切なもの」

そういい笑いかける。

すすむは「分かった!大切にする」と本をかかげる。

「ありがとう。」

あおのは「あと…。今日で思想学部に来るのは最後になる。1年間ありがとう。」と笑った。

──────────

卒業式①

とうとうこの日がやってきた。

2年後、僕はここに立つ。未来の僕はどんな思いでのぞむのだろうか…?

すると、昔のことが沢山浮かんできた。

色々あったな…。

あおのくんが現れて、思想学部で絵本を持ってきてくれたこと。

『真ん中のうさぎ』という絵本を見せてくれた。

あれから色々な考えが浮かんだんだ…。

それからもさりげなく助けてくれた

直後、僕は我に返る。

今日は僕の卒業式じゃない。

ほとんど知ってる人は居ない…。

だけど、みんなそれぞれ色々な今までを歩んできた。

それはとても比べられるものではなく、大切な時間。

今日は精一杯、みんなを…と思った。

───────

少し前のある日のこと。

雛恵は話し声が聞こえて、その方に向かってみると、生徒会長と前生徒会長が話し合っていた。

「生徒会長」

平玉は言った

「僕はもう生徒会長じゃない」

「僕にとってあなたは今でも生徒会長です。」

平玉は笑って答える

「なるほど」

「ところで、この半年、頑張ったな。僕は獅王くんに任せて良かったと思ってるよ」

「ありがとうございます。」

「これからも、この学校のこと任せる。」

「これからも、自分にできることをしていくだけです」

平玉は窓によって言った

「僕はこの学校で、生徒会長になり、一人一人が安全で楽しく暮らせる未来を夢に見た。」

「叶ってたのかは分からない。しかし、人一倍、この学校を思っていたつもりだ。」

獅王は「平玉さん…」と言った。

「じゃあ。」

そう言って去っていく。

獅王が出ようとした時、人影があってその方向を見る。

そこには、女性がいた。

「雛恵さん」

「生徒会長。」

「さっきの話聞いてたかい?」

「はい。立ち聞きすみません」

「いいんだ。」

生徒会長は寂しそうだった。

「平玉さん。尊敬していた。もう会えなくなるのか…」

「今まで何度も経験してきて…けど、中々なれませんよね。」

「うん。もし、僕が居なくなった時、この学校は大丈夫だろうか?」

雛恵の頭には、きょうかとすいぞうの2人の顔が浮かんだ。

「すいぞうくんはアグレッシブなところはあるけど仲間思い。きょうかちゃんはとても真面目な子。」

「きっと大丈夫ですよ」

そう言って微笑んだ。

「そうだな」

────────

獅王は思った。

遂に今日が平玉さんと会える最後の日になるかもしれない。

グッと握りこぶしを作った


クラスが違うのですすむくんと離れ離れだが、彼の姿はすぐに見つかる。

だが、あおのくんの姿が中々見えない。

今日が最後の日かもしれないのに。

そのまま探していたが、始まるまでに結局見つかることはなかった。

色々あり、最初は在校生の言葉から。

生徒会長が心のこもった文章を一つ一つ読んでいく。

最後まで緩めることはなかった。

先生も同様。

3年間、とても長い時間、ともに過ごしてきた。

もう会えないと思うと、悲しいのだろう。とても心のこもった言葉を送った。

今日が最後の日なんだ…。

みんなもとても真剣に彼らを送り出そうとしている。

僕もできる限り頑張ろう。

歌をうたった。

すると、自然と、過去の記憶が蘇ってくるよう。

あおのくんと過ごした日々。思想学部はとても助けられたんだ

最後に来てくれたのはあおのくんだった。勉強が忙しいのに部活にいてくれる。

思想学部そして、部長であるすすむくんをはげました。

思い出から、離れると、そっと隙間から、あおのくんの姿がみえる。

彼は少し泣いていた。

小学校でも、中学校でも。別れや旅立ちは辛い…。

大切な人とも別れるかもしれない。

僕はそっと、「今までありがとう」と呟いた

────────

卒業式は進む。

3年生代表の言葉として、平玉さんとが出てきた。

生徒会長と同じで、一つ一つ真剣に考えられた文章を読んでいく。

そして、最後に、この学校に入って良かった。と全てを出し切ったように言う。

最後は校長先生の話で、卒業式は終わった。

一瞬のように感じられる。

みんなの強い思いが、夢中にさせた。

この日がとても大事な日…。

卒業式が終わって、少しすすむくんの元に行った。

「これからどうなるんだろうね」

「分からない。だけど、いいものにしよう」

すすむくんは相変わらず元気に笑った

─────

寒い冬が過ぎ、春がやってきた。

始業式が過ぎ、思想学部はいつもどおりみんな揃う。

だが、思想学部には問題があった。

人数が4人ということ。

最低でも5人居なければ大会には参加出来ない。

「すすむくん、どうする?」

すすむくんは腕組みをして考えていた。

そして、その場を立ち上がる。

「部活紹介の時、凄いのをやろう!」

考えていたわりには、とても曖昧だった。

しかし、元気に自信満々な彼がそこにある。

「部活紹介、やっぱりそこでアクションするのがいいよね」

「そうしましょう。」みちかさんは微笑んだ。

ところで、僕のクラス、意外なことに思想学部のメンバー全員が揃っていた。

おとねさんは残念ながら居なかったが…。

これからどんな日々が送れるのだろう?

「そういえば知ってる?」

しずくさんは笑顔で言った

「留学生が2人、私たちの学年にいるらしいよ。」

そういえば…始業式の時、知らない人が居たような…

「仲良くなれるかな…?」

すすむくんは「きっと仲良くなれる!」と笑った。

「うんっ!」

それから、1年生の時と同じように、授業がはじまる。

すすむくんはどうしてるだろう…?

ちらりと見てみると、すすむくんは真剣にノートを書いている。

案外真面目だ。

しかし、ずっと見ていると、すすむくんは黒板を全く見ず、ひたすらにノートと向き合っていた。

何をしてるんだろう…?

その時は自分のことに戻って忘れた。


終わって聞いてみると、ずっと部活紹介どうするか考えていたと。

「凄い熱意だね!」

その時、「あの!」と女の子の声がした。

その方向を見てみると、1年生だと思われる人が。

「どうしたの?」

僕がそう言うと、「人を探してて…!」と言った。

「誰かな?」

「可愛い人です!」

「ごめん…!名前を教えて欲しい!」

「可愛い私のお姉ちゃんのような方!名前は内緒です!」

そして、クラスの中を見回すと、「ここには居ないみたい」と呟いた。

そこへすすむくんも混ざってくる。

「良ければ部活に入らない?」

「なんて言う部活ですか?」

「思想学部!」

「思想学部…?いいですよ!」

彼女は微笑んだ。

「本当に…?」

「はい!思想学部に入ろうと思ってましたし!」

どういうこと…?心の中で疑問が尽きなかったが、これでとりあえず5人になった。

「放課後に集まるから!その時に!」

彼女は「はいっ!」と元気に言った。

それから授業が終わって、すすむくん達と一緒に部活動している部屋へ向かう。

「同じクラスだから集まりやすくなったね」

「そうだねー」

なんでもない会話をしていて、部室にさしかかったとき、僕はふと思った。

「ところで、部長はすすむくんだけど、副部長は誰なの?」

「えっと…僕はあ…」

その瞬間、「すすむくんが副部長よ!」と女性の声がした。

知らない人が部屋に。

「あなたは…?」

「私は朝花!今日から思想学部の部長になります!」

「え!?」

状況がつかめないまま、彼女は続けた。

「あと、こっちは新しい部員。」

手をその人の方へ向けた。

そこには知っている女の子が。

「思想学部さんまたよろしくねー!」

「きせきさん!どうしてまた?」

「私、あの後、記憶力は少し良くなったんだけど相変わらずギリギリで…。」

きせきさんはえへへと頬をかいた。

「楽器ひけないのはそのままだったから、吹奏楽部辞めることにしたの!」

「それで…記憶が少し戻った思想学部のみんなと一緒に居たいな…って!」

「そうだったんだ!」

僕が頷くとすすむくんは「歓迎する!」と笑顔で言う。

「わーありがとう!」

きせきさんは両手をあわせて喜ぶ。

僕は小声で「ところで、部長の件は…?」と言った。

「僕は誰が部長でも構わないよ」すすむくんは笑う。

直後、部室にまた新しい人がやってくる。

「先輩!来ました!」

さっきの女の子だ。

「先輩方、これからよろしくお願いします!」

僕は周りをみて思った。女性が多い。

僕はすすむくんの肩に手をのせる。

すると、すすむくんは分かってると言いたげに頷く。

「あいだくん、部員が集まって嬉しいんだよね。」

心の中でそうじゃないよ…と思った。

「7人になったけど、変わらず、部活紹介はする!どんどん部員を増やしていこう!」

僕は心の中でまぁいいかと思った。

すすむくん、彼の目はとても希望に満ち溢れている

────────

リベシン高校では、ひていが呟いた。

「計画通りだ。」

「先輩どうしたんですか?」

「なんでもない。ただ、これから、俺の時代がはじまるんだよ。」

「さすが先輩!かっこいい!」

ひていは「ははは」と笑った

───────

シソウと部活①

「シソウ!」

僕の名前を呼んだのはトモさん。

「なんの用?いつも僕の近く来るけど…トモさん友達作ったら?」

「まだあんまりここの言語話せないの…。最低限は覚えてきたけど。

シソウは話せるでしょ?」

「まぁ、小さい頃から、この国の創作沢山見てきたからね。」

「創作ね…。そういえば、禁止令出てたから、シソウ、ここに来た時の反面凄かったね」

彼女は笑いながら言った。

「うるさいな…」

そう…。僕はここに来て期待があった。

しかし、それは一瞬にして、幻想と変わる。

ここに住む人は、とても大きな利点であるはずの創作を、恥ずかしいものだと見てる。

来たばかりの僕が、それに熱中するのを見て、引かれてしまった。

正直なところ、もうどこにも僕の創作への愛を認めてくれる場所はないのかもしれない…。

すると、彼女は言った。

「とにかく私は、シソウのこと頼りにしてるからね!」

「分かったよ。」

彼女は僕がここへ来るきっかけをくれた人でもある。

一応、恩は返したい。

「そういえば、シソウはこの国に来てどう?」

「どうって?」

「楽しいとか、何かないかなって!

私は少し楽になった気がするよ!」

「僕も少し楽になった。」

どんな形であれ、創作が自由にできて、何かされる心配もないから。

「そっか、良かった」

彼女は微笑んだ。

「ところで、同じクラスになったね。」

「同じ2組!まぁ、私が先生に頼んだんだけど」

「そうだったんだ。」

「うん。まだ上手く話せないから大変だったけど、シソウが傍に居て欲しいから」

もしかしたら、彼女には心を許していいのかも…?

思えば、出会った最初の方に、創作が好きというマイナス面を持つ僕に、それに否定したり引かないで居てくれた。

傍にいる人に、背負わせることはできない。そこから、創作の話は一切しなくなったがもしかしたら…?

そう思いつつも、自分が内向的であるのを忘れていた。

「ところで!」

彼女は少し大きな声で、僕が頭の中で夢中になるのを逸らした。

「どうしたの?」

「部活のことなんだけど…そこも一緒がいいなと思って」

「部活?帰宅部でいいんじゃないの?」

「体育祭に部活種目があるから、所属しておいた方がいいって。」

「確かに、見てるだけになる…」

僕の頭に、その時の想像が浮かんでくる。

とても暑い中、1人で、部活種目を見ている。

向こうでは、傘をさしながら、日光をさける彼女。

暑くて仕方ない。その時、創作のキャラが言っていた言葉を思い出す。

心頭滅却すれば…なんとやら

そのままその場に倒れ込んでしまう。

周りから、「キャー!シソウくんが熱中症で倒れた」との声が。

それはまずい。体育祭だし、休んだら休んだで、また困ることがあるのだろう…。


「部活入ろう!」

「おぉ!やったー!
どこにするっ?」

「この学校、何があるんだろう…?なるべくはスポーツ系じゃなく、室内の…」

「1年生に部活紹介するみたい!だから、そこで決めない?」

「なるほど。それもいいかもしれない。」

───────

そして、時が経ち、部活紹介の日になった。

思想学部では、すすむくんが頑張って、結局、どうするかや、練習は何もしていない。

僕は少し不安に思いながら、いつも通り過ごしていた。

そして、部活のメンバーが集まった時、朝花さんが言う。

「今日、1年生に部活紹介があるみたいね。部長であるこの私に任せなさい。」

僕は「だけど、朝花さん、部活入ってあまり経たないですよね」と少し困って言った。

「確かにそうだけど、私は部長だから!」

すると、すすむくんがやってくる

「今まで、考えてきたから、僕に任せて欲しい。」

「ただ、朝花さんもやりたいのなら一緒にする?」

少し慌てて朝花さんは「じゃあ、それなら!すすむくんにまかせるね!」と言った。

すすむくんは周りを見て「他に僕と一緒に出たい人は言って欲しい。」と。

僕は傍に行ってたずねた。

「1人で大丈夫なの?」

多分、ここで来ないのは自明の理。

「うん。大丈夫!僕に任せて!」

とても自信満々だった。いつもながら凄い…。

しかし、今までずっと、授業中も考えてたことがあるから、信頼できるだろう。

「誰か来るのかな。」

「うん、きっと来るさ。」

────────

そして、部活紹介がはじまる。

「楽しみだね!」

トモさんは嬉しそうに言った。

「まぁ、確かに、運動部だけだろうけど、どんなものがあるのか気になるかな」

この部活紹介は1年生向けだが、入っていない人、部活変えたい人も来ていいらしい。

そして、2年生の生徒会の女性が、部活名を読み上げる。

それから、規定の時間、どんな部活かアピールしていく。

最初は比喩部が呼ばれる。

僕はその言葉にドキッとした。

これは楽しみかもしれない

───────

シソウと部活②

部活紹介が終わっても、その印象は変わらなかった。

「比喩部は候補から外れるかな。」

トモさんは少し暗いトーンで言った

「え!?どうして?」

驚きで一杯。

「私にはあわないよ。」

「僕は第一候補だけどな」

最初から意見がわれてしまう。

しかし、もしかしたら、他にもいいのがあるかもしれない。

僕は期待で一杯になる。

だが、スポーツが続いて、トモさんがとても元気そう。

「あれとか、あれとか、ボウリング部もいい!」

「スポーツは…ちょっと…」

「ボウリング部は?あんまり試合勝ってないそうだし、室内するものだよ!」

「でも、スポーツじゃないか…。」

「運動になるよ!」

「激しい運動だと創作が浮かばないんだ。運動は散歩でじゅうぶんだよ。」

「じゃあ、比喩部にするってこと…?」

「今のところは。でも、もうこれで確定かな」

トモさんは「次のがはじまったよ」と前を向いた。

そこから色々あって、次が最後の部活に。

色々いいのもあったが、結局、比喩部かな…僕は心の中でそう思っていると、生徒会の人が言った。

「最後は思想学部です。お願いします。」

トモさんはそれを聞いて「ふふ。シソウだって!」と笑った。

「僕の名前だ!」

出てきたのは1人だけ。

思想学部は人数が全然居ないのか…?

そのまま続けて見ていた

「こんにちは。思想学部のすすむです。」

「あなたには何か思想がありますか?僕にはあります。」

「その人それぞれ違う考えを話し合ったり、深めあったりする。そんな部活です。」

トモはシソウの顔を見た。

すると、真剣に、内容を聞いている。

「どんな考えであろうと、僕は肯定する。」

「夏には大会があります。もし、興味をもった方は思想学部に来てください。

誰でも歓迎します」

そう言って思想学部の話は終わった。

僕はトモさんの方を見て「思想学部に入る」と言う。

しかし、今までのことから行くとダメだろうか…?

すると、意外な答えが返ってくる。

「うん、いいよ!」

どうして…?心の中でそう思ったが、ここに来た時のことを思い出す。

彼女は変わったことが好きだ。ここに来たのもそう。

僕は心の中で納得した。

「とりあえず、一緒の部活になれそう。一安心!」

トモさんは笑顔で言う。

しかし、その時の僕は、思想学部がどんな部活かの創作に夢中になっていた

────────

思想学部では…。

すすむくんと一緒に行くべきだったか…

居づらい空間にいた。

紅一点の反対の状況…。

楽しそうに話している中、僕はただ座って聞いているだけだった。

心の中で思う。

僕の思想的には、男性と女性の人数が同じであれば普通になる。

だからこの状況は偏ってる。

いいや、でも、僕の考えだと1人だけに適応される。それは違う可能性が…。

頭を悩ませていると、すすむくんが帰ってくる。

「ただいま!」

「あ!帰ってきた」

笑顔できせきさんが言った。

「どうだったの?」

朝花さんがすすむくんの前に出てきた。

「分からない!でも、やりきったよ!」

彼は明るく笑う。

「そう。」

すると、1年生の女の子が立ち上がった。

「先輩!思想学部はいつもお話なのですか?」

きせきは「うん!去年もこんな感じだったよー!」と笑う。

話し合いメインだから、間違ってはいないか…。

そこからまた女性陣が話を続けてその日は終わった

───────

次の日、部活に入りたいという人がやってくる。

驚いたことに5人いた。

留学に来た2人と、少し変わった男の子2人、それに女の子が1人。

すすむくんはそれを見て「来てくれてありがとう」と笑った。

そして、部員皆を集めて言った。

「これから、それぞれ名前と思想を言って自己紹介して行こう!

勿論、言いたくない人、ない人は言わなくてもOK」

最初はすすむくんから言うことになる。

「僕はすすむ。思想はみんなの笑顔かな!」

そして、前から居たみちかさんが優しさ。

僕は普通だと言って、次はしずくさんの番に。

「私は言いたくないな…」

すすむくんがOKを言った

次は新しい人達だ。

順番は自由なので、任せると、1番はじめに前に出てきたのは、留学生の男の人。

すすむくんが「自由に言ってね」と言った。

「僕の名前はシソウ。創作が素晴らしいものだと思ってる。」

最後に「これが僕の思想です」と付け足すと、周りを見る。

近くに居たもう1人の留学生が、周りを見て、慌ててシソウの傍によった。

「なんでもないです!ごめんなさい」と困っている。

直後、すすむくんが「いい思想だと思う」と笑った。

すると、シソウという男の子もなんだか嬉しそうにしていた───────