<h3>歩んできた道の途中で②</h3>
ただ、あたりが暗くて見れない。
すると、木の方から声がした。
「夢の世界にようこそ。」
聞き覚えがある声‥。さっきまでそばにいた男の子だと思う‥。
しかし、名前が出て来なかった。
僕はその場に寝た状態でたずねる。
「君は‥だれ‥?」
「ぼくか‥。僕は例えるなら木だ。」
「木‥?」
「うん。根をはりいつも世界と繋がってる。」
「そして、気持ちが弱ければ消えてしまうし、強ければあり続けられるそんな存在だよ。」
「よく分からないな‥。」
「ところで、その君が、僕に何か用‥?」
「うん。用はあるよ。たずねたいことがある。」
「何かな‥?」
「あなたはこれからどこに進んでいくの?」
「僕は‥リアル派とわかりあいたい。未来、お互い苦しまず、楽しく進んでいくために。」
「なるほど。
それをどうしてしたいの?」
「どうして‥?」
「僕はシソウの考えとずっと一緒に居たから、彼の理想の世界を、目指したいと思ったんだ。」
「それはあなたが本当に望んでいる世界?」
自分が望んでいる‥?
僕は考えた。
ずっと、友人だと、彼の世界を自由な世界をと思って来たが、それが本当に自分が望んでいるのか‥
改めて考えると‥。
「分からない‥。」
「そうなんだ。じゃあ、君の今まで進んできた道を教えてほしい。」
今まで進んできた道‥。
僕はメモ帳を拾い、学校を過ごし、そこで色々な出会いがあった。
特に大きかったのは、ベーアさんや3人との出会い‥。
それから、ここに来ても沢山の出会いがあった。
今までは肯定的な人と関わってきたけど、それについて悲しいふうに思ってる人もいる。
ディフくんや、ちつさん‥。
でも、中にはねのさんみたいな人もいて‥。
ラーミーくんや、ヘイヴァくんみたいに自分のしたいことに真剣に向き合ってる人も居たんだ‥。
「僕は‥。」
「うん。」
「向き合いたい。」
「分かった。」
「え‥?」
「もう一度、シソウって人と向き合ってみて欲しいんだ。」
「でも、暗くてメモ帳が見れない。」
「君の中に彼は居るんでしょ?」
「うん‥居るよ。」
<h3>シソウの歴史①</h3>
僕がうまれたときのこと。
それは全く記憶にない。
しかし、残っているものは一つある。
何歳の頃だったかに読んだ物語の世界。
僕はもしかしたら、そこから始まったのかもしれない。
そこから、多くの物語と触れ合ってきた。
いつか、これらをうみだしたあの場所に行ってみたい。
そう思った。
しかし‥事は起こった。
いきなりの事で戸惑ったが、悪いことばかりじゃない。
求めてる場所に行けたし、そこで、色々な出会いがあった。
そして、帰って決意する。
何かを変えたい‥と。
最初は絶対に無理だと、状況で思ったが、そうでもないかもしれない。
まだ可能性はある‥。
友達の女性と話しながら、少しでも考えを深めていくことにした。
それから、また例の、出会いの多かった初終島に行く。
久しぶりだったが、彼らは変わってなかった。
目に見えるところは沢山変わったかもしれない。
しかし、安心できる何かがそこにはあったんだ。
そして、新しい出会いがあった。
自由に考えることが大事だと。
創作学を作ろうと決意した。
国に帰って、創作と話し合った。
答えのない問い。
そんなものをずっと考えていた。
そしてようやく完成する。
僕は早速、友達の女の子に聞いた。
「創作学を作ったんだ。」
「どんなものなの‥?」
「優しい学問。」
「普通のと、どんな感じで違うのかな‥?」
「一番は自由ってことかな。色々考えて、自分だけの特別なものを作れるみたいな。」
「あのときの部活みたいだね。」
「気付いたかな!意識してるんだ。」
「もちろん。」
「私はシソウの背中を押すよ!」
「ありがとう」
そうして、僕は、自分の作った創作学を信頼できそうなもう一人の友達に話した。
しかし‥。
「君の考えはいいと思う。だけど‥。」
彼は創作学に対し、少し悲観的だった。
何が駄目なのか分からなかったので、僕は色々話を聞いてみることにする。
規制緩和されていたこともあり、落ち着いて話を聞いてもらえる。
数人聞いたが、優しいのがいいと言われた。
やっぱり、いいんじゃないかな‥。
僕には、友達が悲観になっていた理由が、そのときは分からなかった
<h3>シソウの歴史②</h3>
しかし、最後に、リアルの取り巻きをしていた男にあった。
ぼくは思い切って聞いてみた。
「創作学って言うの作ったんだけどどう思う?」
「相変わらず、学問じゃなく物語に熱中してるみたいだね。」
「前に規制されてたのに。」
僕は彼の言葉に少し悲しくなる。
「でも、いいよ。どんなものか聞かせて。」
「ありがとう。創作学は自由なものなんだ。」
「何を考えてもね。許される優しいもの。」
期待があったのかもしれない‥。
彼は真剣に僕の目を見ていた。
「確かに部分的には優しいかもしれない。」
「だけど、その考えだと、悪いことも考えていいってことになると思うけど。」
確かに‥。心の中で思った。
「じゃあ‥少し制限を加えて‥。」
「自由だったんじゃないの?」
僕は言葉につまってしまった。
「創作なんかより、勉強の方がずっとためになる。」
彼は最後に「残念だよ。」と言って立ち去る。
それから数日経って‥
友達の女の子は言った。
「何かあったの?」
「うん。実は創作学に制限をつけようと思うんだ。」
「え‥?自由じゃないの‥?」
「確かにそうなんだけど‥考えることの中だけでは自由だと思うんだ。」
「どういうこと‥?」
「外側に求めないこと。悲しいことを考えても、表に出さなければ問題はないと思うんだ。」
「本当にそれでいいの‥?」
「分からない‥。」
その日は友達と別れた。
ルール作りに僕は専念する。
それから何日か経った。
僕はようやくの事で、ルールを完成させた。
僕は友達の男の子にどうかを聞く。
「なるほど。制限をいれたんだ。」
「いいと思うけど、自由はどうするの?」
「何度考えても、そこは分からないんだ‥。」
「そっか‥。ただ、僕は何か制限をつけるなら賛成なところもあるんだ。」
「そうなの‥?」
「うん。やっぱり、自由だと、マイナス面も気になるからね‥。」
「そうだよね‥」
僕はルールを何度も見る。
本当にこれでいいのか‥?
完成させたとはいえ、まだ完全ではない‥。
とりあえず、思いついたときに追加させていこう。
心の中でそう思った。
<h3>シソウの歴史③</h3>
今、創作学のルールとしてあるものはこの5つ。
・考えるのは自由
・相手の考えを否定しない。
・考えるときは中立さを持つこと
・共通認識があること。
・間違いであっても存在していい。
自分の中では、完成したと言えるが、何かもどかしさを感じている。
矢張り、自由さだった‥。
ルールをつけるということは、創作の良さである“自由”を潰してしまう‥。
ただ、創作が今の立ち位置にあるのはどうにももどかしい‥。
僕はその思いから、少しずつ、この創作学について話していった。
だが‥
“自由”という話になり、いつも僕は声をつまらせた。
そして、新しい協力者は得られなかったのだ。
それから、僕はまた、初終島に行く。
今度は一人で。
これで3回目だ‥。彼らといれば何か得られるかもしれない。
そう思っていたが、そうは行かなかった。
僕はその話をすると、いい部分を見つめいい考えだと言ってくれる。
しかし、自由についての問題になると、みんな口を閉じて悩んでいた。
矢張り、創作の“自由”という個性を消してしまう、ルールはない方がいいのだろうか‥?
僕は彼らに謝った。自分でちゃんと向き合ってみると‥。
すると、彼は優しくて、「また何かあったら言って欲しい。僕にできることがあれば協力するよ。」と言ってくれた。
他のひとも同様に‥。
もう少しだけ、帰る前に、色々行ってみよう。
そう思ったのは覚えてる。
そこで誰かと会って、その人は、大事なものを渡してくれた‥。
それにとても衝撃をうけて、嬉しくて、悲しい気持ちもあって‥。
その時の僕は、ただ、とても夢中になったことを覚えている。
その大事なものとは、メモ帳‥。
僕に物語の世界にはまるきっかけをくれた、その人のメモ帳だった。
よく色々な言葉を聞いて、そのメモ帳にいれている。
ちゃんと、用語の意味も書いて。
意味も完全には分からないが、小さい頃とか今まで使ってきた。
懐かしいな‥。
自然と、その時の僕は目に涙が浮かんでいた。
それから、帰るときに、そのメモ帳を僕はザーッと読んでいった
─────────
<h3>シソウの歴史④</h3>
更に読んでいくと、途中で途切れていた。
白紙のページ。
ここまで書いたんだ‥。
僕はそのまま進んでいくと、最後の1ページに何か書いていた。
思うままに考えること。私は何よりもそれが一番大事だと思うよ。
そう、母国語で書かれていた。
そして、涙が服にこぼれる。
「ありがとう‥。」
きっかけをくれた人‥。
今もこうして助けられてる。
僕はあの人が導いてくれたこの世界を‥
そして、みんなが楽しめる世界を作りたい。
もう一度、立ち上がるんだ。
その時、持っていたメモ帳に、新しく思いついたことなどを書いていった。
───────
母国に到着し、少し休んでから友達の元にいった。
彼は「うん。いいと思う。」と微笑んだ。
それから、二人で、創作学を広めることにする。
最近は創作も、学問らしくなって、本来の創作の良さが薄くなっていた。
間違いに対して厳しい取り締まりがある。
事実に則ったことを書かなければ、その人は、数日間物語を書くのを禁じられる。
昔は好きだった人でも、離れていくものも多かった。
僕は人の集まるところに立って言った。
「これから、創作学について話す!」
僕の後ろに数人がついてくる。
友達は言った。
「君なら、きっと成し遂げられるよ。」
「ありがとう。」
「僕はこれから、この心に湧く情熱が消えない時まで話したいと思う。」
それから、昔に失敗した人たちにも、僕は自信を持って話した。
「創作学を作りたい。」
今回も“自由”について聞かれる。
「創作は自由だ。考えてもみて欲しい。」
「ミステリーものでは、何人も人が亡くなってる。悪い考えであるはずなのに、共存しているんだよ。」
すると、言った。
「ルールを作るんでしょ。自由じゃない。」
「僕はそうだった、もしかしたら君たちも“自由”について誤解している。」
「誤解‥?自由って何してもいいんじゃないの?」
「同時存在の許容。それこそが自由の本質だ。」
僕は続けて言う。
「正義と悪、それが同時にあることで本当の自由が出来上がる。」
「どちらかをかかない、一方に囚われない、それこそが自由だと僕は思うんだ!」
<h3>シソウの歴史⑤</h3>
僕の心の中にあつい何かを感じた。
「悪だけにそまらず、正義にもそまる。」
「正義はそのままでも、黒いものがうまれる。」
すると、一人が言った。
「犯罪はいいのか?」
「例えばで言おう。物語の中で人が亡くなった。しかし、それは創作者が決めてること。」
「何人もが亡くなったとして、誰が罰せられるか?」
「確かにそうだけど、じゃあ、ずっとそれをし続けていいってこと?」
「何か一つに囚われなくていいんだよ。時には楽しいことや、嬉しいことに目を向けてもさ。」
「現実逃避か。」
「あぁ。現実逃避だ!しかし、人間は現実逃避しかできないと思ってる。」
「目の前のしなければいけない課題、そして、自らの死という現実。」
「その2つを同時に何かできるだろうか?ほぼ必ず、何かの問題と向き合うとき、一方は現実逃避せざるを得ないのだ。」
彼らは頷く。
「君は何がしたいの?」
「僕は‥一人一人が心躍る道を進めるようにしたい。」
「楽しくて優しい世界を作るんだ!」
創作学に於いて、大事な要素である、すべてのものには平等に価値がある考え。
全員ではないが、多くの人が賛同してくれた。
特に規制によって苦しんでいた創作する側の人から、支持を得た。
僕は心の中で強く思う。
これから、理想の世界を作ると‥。
創作学のルールは前と変わった。
今あるルールはこの通り。
・人との関わりの中以外は完全なる想像の自由。
・同時存在の許容。
・創作学という共通認識が必要。理解のない嘘は創作学とは言えない。
・間違いは存在していいし、広い視野で見れば全ては正解になる。
・否定ではなく、自らの肯定によるものに。
・このルールは守る必要はなく、ただ、認識しておくこと。
・どんな夢でも叶う。
これもまた、現状では完成してると言えるが、これから外したり追加したりしていく。
僕は人を集め、ともに行動し、国の重鎮であるリアルの父に話し合いを求めた。
だが、中々、会えなかった。
心に一つあった思い‥理想の未来、そして、後押ししてくれる過去が先に進ませる。
学問も、創作も同じ世界を目指してる‥。
<h3>シソウの歴史⑥</h3>
それから、長い間続けていたことが功を奏し、リアルの父と話せることになった。
だが‥
それによって、僕は自信を喪失した。
リアルの父は、僕の話をちゃんと聞き、いいところもちゃんと見た上で、それは無理だと言う。
自分の今ある、気持ちは全部出し切った。
しかし、届かなかったのだ。
これからどうすればいいんだろう‥。
信頼できる友達に話したが、時を待つしかないかも‥と。
というのも、僕と友達との間の共通認識として、広がっていくのは年上よりかは年下という考えから。
ただ、もどかしさがあった。
思いがあったとしても、変わらないのでは‥。
そうして、ぼくはいつの間にか、例の島に行っていた。
もう得られることはないだろうに‥。
彼らはあくまで、自分の進む方向に進んでいる。
僕と進んでる方向が違うし、全く無関係の人達だ。
これ以上、僕は何を求める‥。
その時、誰かが話しかける。
「お兄さん、元気ないね。何かあったの?」
心の中で思った。小さい子にまで心配かけるなんて‥。
「なんでもないよ。」
すると、男の子は笑って言う。
「周りには見えない世界がある。」
「見えない世界‥。それはなんだい?」
「妖精とか。」
「妖精‥?」
「うん、そう。」
「ここは不老不死とか、妖精とかが居る世界!」
少年は純粋に笑って言った。
「悩んだり、悲しんだりばっかりじゃなく、楽しく生きてもいいじゃん!」
そのまま去っていく。
君は何者なのか‥?
そう言う間もなかった。
ただ、彼が去ったあとも、僕の中に残り続けた。
彼の言っていた見えない世界とは何だろう‥。
そして、妖精と、不老不死‥?
まるで、物語の中の話みたいだ。
僕はそれ以上、深くは考えず、みんなのいる場所へ戻った。
彼らは相変わらず、優しくあたたかく迎えてくれる。
そして、いつものようにそれぞれ考えを話す。
一人が言った。
「プラスとマイナスそれが合わさることで普通になる。」
「知り合いの考えから、悪い組み合わせのそれらは無くして、より良いプラスとマイナスを作ること。」
「それが僕の今の考え。」
僕はただ、話を頷いて聞いていた。
<h3>シソウの歴史⑦</h3>
次は女性が言った。
「私は一人一人が大切だと言うこと‥。その人が歩んできた道は、他の人には絶対に歩めない‥。」
「どんな人だって、どんな生き物だって大切に思います。」
そして、微笑みながら「これは、私が、ずっと思ってきた大切なもの。」と。
次はまた女性が言った。
「私もずっと変わってません。その人の思いは誰かに届く‥。」
「優しさや、純粋な嬉しい気持ちは連鎖するのだと思います。」
また別の女性が言った。
「みんな可愛いものを持ってる!世界は可愛い!」
そして、最後にあの人が‥。
「僕は肯定する!」と笑った。
改めて言った、いつも通りのこと‥。
だけど、今日はなんだか、普段とは違う気持ちがあった。
そして‥。
気付いたことがある。
僕はいつの間にか、みんなを一緒に連れていたのかもしれない。
彼らは自分の考えを持ちながら、時には違うことも考えたりする。
しかし、本当に大事にしてるものは忘れたりしない‥。
一緒に連れていって、時にこうして向き合ったりするんだろう‥。
忘れていたこともあった。
純粋な気持ち。湧き上がってくる好奇心。
人の見え方もそれぞれ違う。
いいと思う人もいるし、悪いと思うひともいる。
帰る前、僕はみんなに言った。
「創作にとって大事なこと!それは子供の頃の、好奇心を忘れないこと。」
僕は帰って、決めた。
諦めない。
話し合って、どうしてなのかをしっかり知りたい。
そして、お互いに共存し、進んでいける未来を‥
僕はメモ帳に向き合って、今までのことをまとめて書いていった。
途中までだったが、これから続きを書こうと思う。
じっくりと‥。
ここまでがメモ帳と歴史をあわせたシソウの過去。
メモ帳は白紙が続いて、何も書かれていない中、最後の1ページ。
そこには一つ言葉が書かれていた。
“許す”
どういう意味なのか‥よくは分からない。
歴史の話を続けると、リアルに彼の父が位を譲った。
そして、シソウはもう一度と、話す機会をうかがっていたが、今度はリアルと話し合うことを目指した。
リアルの行き先を聞き、その場所に向かう。
そここそ、初終島。
今、僕が居るこの島だった。
<h3>歩んできた道の途中で③</h3>
僕は言った。
「シソウは‥。いろんな考えの人と出会ってきた。」
「彼自身は素晴らしい人間とは言えないかもしれない。だけど、彼が信じた創作学‥」
「僕は理想だと思うし、人を救うのはやっぱり‥。」
「うまく言えないけど、僕は創作学が好きなんだ。」
自分の過去、シソウと触れ合った時間、そして未来の創作性あふれるそれらが‥
僕を‥
「それが理由?」
「うん。」
男の子は笑った。
「君なら進めると思うよ。」
「ありがとう。」
「最後に一つだけ。」
「何かな‥?」
僕にあることを教える。
その後、視界が段々暗くなった。
目を開けると‥
日がのぼってる。
朝になっていた。
さっきのは夢だったのか‥?
しかし‥。
「ゆうくんはどこへ行ったんだろう‥?」
僕はとりあえず、家に戻ることにした。
「あ!エビ、おかえりなさい。」
「ただいま。ベーアさん」
「長かったね。一日経っちゃってたよ。探そうか話してたんだ。」
やっぱり、僕は一日中寝てたようだ。
「でも、ねのさんが理由があるらしくてね。」
「そうなんだ。」
ねのさんが近付く。
「おかえりなさい、エビさん。妖精さんから何か聞きましたか?」
「えっと‥それなんですけど、よく覚えてなくて‥」
「そうだったんですか。」
「でも、彼が言った、次にいく場所は覚えてて。」
ねのさんは微笑んだ。
「思ったんですけど、妖精って‥。」
それと同時にねのさんは言う。
「やっぱり、あの子は妖精さんですね‥。」
「え‥?」
「届けてくれるんです。あの子は幸せを!」
僕は頷いて言った。
「そうかもしれませんね。」
それから、ベーアさん、エーテさんを連れて外に出る。
家の前で少しはなしていた。
「ありがとうございます。沢山親切にして頂いて。」
ベーアさんに続いてエーテさんも。
「私も助けていただいてありがとうございます。」
「大丈夫ですよ。こちらこそ、楽しい時間をありがとうございます。」
「エビさん。」
「はい。」
「あなたなら‥きっと大丈夫ですよ。」
「ありがとうございます!」
僕らは、夢の中で男の子が言った、その場所に向かった
<h3>選別</h3>
男が一人、座っていた。
そして呟く。
「しかし、リアル派の人間もどうしようもないものだ。」
「こうして、重要な場を残し行ってしまうのだからな。」
男は思った。
ここを通すのは‥。
──────
「エビ、本当なの?」
「分からない‥。だけど、分かってることがそれだけだから‥。」
「かけてみるのもいいかなって。」
「おとぎ話の世界みたい。なんの根拠もないのに、そう思えるのって創作的ね。」
「相変わらずで、少し安心しました。」
「エーテさんごめんね。」
「大丈夫です!お二人と一緒にこうしていられるだけでも嬉しいです。」
彼女は創作者だが、肝心の創作学はしていない。
リアル派に行くのは僕らよりも簡単だろう。
何故、居てくれるのだろうか‥?
「どうしましたか?」
「なんでもない。」
そうして歩いていくと、建物が見えてくる。
ゴーストタウン‥?
心の中にそれが浮かんだ。
だけど、この中に、現在リアル派の中心となる人が‥。
中に入っていくと相変わらず、誰も住んでいなさそうな‥。
しかし、進んでいくと、一人座っている男が居た。
僕らを見ると近付いてくる。
「君たちは何者だ?」
「僕らはリアル派の人にあいたくて。」
「なるほど。例の‥。」
「例の?」
「こっちの話だ。ここがどこか知っているのか?」
「探してる人が居る場所じゃあ‥。もしかしてあなたが‥?」
「そうか。知らないのか。俺は多分、君が探している人物じゃない。」
「じゃあ、あなたは‥?」
「その前に1つ言おう。ここはリアルとシソウが話し合い、消息をたった場所。」
「え‥?」
僕は驚いて、少し声が出なくなっていた。
「つまり、リアル派の終わりであり、シソウ派が始まった場所でもある。」
ベーアさんが言った。
「それじゃあ、例の人は居ないってこと‥?」
「いいや、そうとも言えない。」
「これから、真実を知る。俺の仲間がな。」
「多分、君らが探しているのもその男だろう。」
「誰なんですか‥?」
「それは言えない。ただ、俺と話し合い理解させることだ。」
「真実を知るのに相応しいか。確かめる。」
僕は小さな声で言う。
「はい‥。」
「これからするのは選別だ。」