<h3>試合Ⅲ⑦</h3>
「どういうことだ。」
「前のお祭りのときのこと、覚えてる?」
「あぁ、会ったな。」
「仲間のこと、思いすぎてるんじゃないかって‥。」
「仲間を大事にするのはいいことだろ。」
「うん。確かにそう。だけど、それによって自分が苦しかったら、その仲間も苦しいんじゃない?」
「敵だからといって、誰かを無理に嫌いになる必要ないと思うの。」
「仲良くしたいってことか?」
「ううん。無理に仲良くしなくてもいいと思う。
だけど、私はすいぞうくん仲間だと思ってるから。」
「急になんだよ‥。」
「学校は離れても、一緒に過ごした日々は嘘じゃないでしょ。」
「こうして、会いたいと思ってたのは、あなたの話を聞きたいと思ってたし‥」
「最後が悪いのはなんか嫌だから。お互い気持ちよくさよならを言いたいじゃない。」
「怒ってたところもあるけどね。」
「わかったよ‥。」
「さよなら。」
すいぞうはそれ以上何も言わず、戻っていった。
「さよなら。いい未来をおくってね。」
そして、にわのは、戻って最初にみおのところへ向かう。
「お疲れ様です!」
「みおさんこそ、お疲れ様。」
「あなたに伝えたいことがあってきた。」
「なんですか?」
みおは笑顔で首をかしげる。
「ありがとう。」
「ふふっ!こちらこそっ!」
4戦目、にわのさんの勝ちになった。
色々あったが、5戦目までいった。
僕はすすむくんの元へ。
「次に勝ったら、6戦目することになるね。」
「そうだね。」
「すすむくん、もし、そうなったら‥君に任せていいかな?」
「うん、ぶんたくん。いいよ。」
「分かった。次は僕が行くよ。」
「君に任せる!」
次の対戦、多分、相手は部長が出てくるだろう。
ただ、僕はそっと相手が来るのを待っていた。
ただ、何かいつもと違う空気を感じながら。
「部長、すみません‥。」
「いや、いいんだ。」
「ありがとうございます。」
すると、副部長が部長の近くへ。
「最後、どうするんですか‥?」
「相手は‥すすむじゃないやつか。まぁ、どっちでもいいが。」
そして、一人の前に行って「任せていいか?」と聞いた。
「はい。大丈夫です。」
「部長、いいんですか‥?」
「あぁ。今から、親の元へ行ってくる。これからのこと話すんだ。」
「わかりました‥お気を付けて‥。」
そして、部長は行ってしまう。
しかし、その前に、副部長の弟が現れる。
「どうした?」
部長がたずねる。
───────
「君は‥?」
リベシンに新しく入ってきた部員だろうか‥。
はじめてみた。
しかし、部長の彼じゃないのか。
勝ちがみえてきた気がした。
「僕はせいじ。」
彼が話した瞬間、外野から宗教家達が沢山現れた。
「せいじくん、よろしく。」
「こちらこそよろしく。」
なんだろう‥彼の雰囲気‥。
そして、2回戦で見たことがある人たちが‥。
「早速、はじめよう。」
真剣な目にやられた。
「わ、わかったよ‥」
「少し話し方を変えましょう。考えとそれについての説明をあわせて話す。
それでいいですか?」
「うん。いいよ。」
「あなたからお願いします。」
「はい、いいですけど‥。」
「言いますね。僕の考えは普通。」
「普通?」
「はい。何よりも凄い人は、全体として偏らない人だと思ってて。」
「なるほど。もしかしたら、これは何かのさだめだったのかもしれませんね。」
「さだめ?」
「はい。」
「続きはありますか?」
「ある意味でこれが全てですから話は終わりです。」
「そうですか。では、僕の話をしましょう。」
遠くで一人の男がふと考えていた。
弟は僕の対義語と言う考えを好きでいる。
それが部活に入ったことで、新しいものへと進化をとげた。
せいじよ、君の考えが一番だ。
「話す前に聞こう。苦しみと快楽。
それは同じものだろうか?」
「違うものだと思う。」
「あなたはそう考えるのか。」
「僕は同じものだと考える。快楽は人を堕落させ、苦しみは人に絶望を与える。」
「その2つ、お互いに存在しなければ苦しむものはない。
これこそが皆無主義。」
ドキドキと鼓動が‥。
彼の考え‥なんだろう‥。
「そのものを本当に消したければ、対義語としてあるもう一つのものも消し去ってしまえばいい。」
「僕の皆無主義とはその思想のことを言う。」
「うん‥。分かった。それが君の思想だね。」
「そう。そして、今から、あなたと話す。普通という考えを僕は否定する。」
「君たちの部活は否定が根底にあるからか‥?」
「いいえ。あなたの普通という考え方が、僕の皆無主義と全く違うのものであるから。」
「違う‥?」
「そう、あなたの普通という考えと、僕の皆無主義は結びつかない。」
<h3>試合Ⅲ⑧</h3>
せいじは言った。
「まず、肯定について話しましょう。それは悪いことではありません。」
「僕自身、自分の考えに対して肯定しているからです。」
「そして否定と肯定。この2つは対極にありながら結びついている。否定があるところに、肯定があるし、その逆も然り。」
「これは切り離せない事実。ただ、人の中に肯定が多いか、否定が多いかだけなのである。」
「対義語的なものの見方‥?」
「そう。僕の根底にあるのは対義語から見える世界、そしてその否定。」
「もうちょっと、僕の普通を話すよ。」
「感情的な偏り、例えば寂しいってこと。それなら、逆のあたたかさをあたえて普通を目指すみたいな。」
「無理になくす必要はないと思うんだ。」
「なら、あなたの考えの方が正しいと言うことですか?」
「そうじゃないけど‥」
「人に苦しみを与えるもの。それを取り除いていくことこそ、その人に本当のあるべき姿というものを教えるのです。」
「それなら、取り除かなくていいものも、なくさなきゃいけなくなるんじゃ‥?」
「僕は全てをなくすとは言ってない。明らかに人に害をもたらすか、そうでないかそれを理解し消していくこと。」
「それこそが皆無主義の目指す先。」
「もし、それで何も残らなかったら‥?」
「残らなければ、その時はその時。」
「あなたの普通を目指す、それでは本当に悪いものもそのままになってしまう。」
「例えば、悪いものと悪いものの中間。負の線分はどこをとっても負だ。」
「う‥。」
彼は真剣に自分の考えと向き合ってる‥。何も言い返せなかった。
「他にもある。普通の悪さは。」
彼は自分の考えに真剣。
心のなかで、自分の考えの悪いところに納得してしまってた。
「でも‥。」
僕の一言に言葉を止める
「完全に否定はできないよ‥。僕がこの考えを好きだから。」
「それならそれでもいいでしょう。」
許した‥?僕はその言葉に驚いてた。
「聞きたいことがあるんだ。」
「それは何か?」
「皆無の対義語って‥?」
「この世のすべての肯定です。悪も認めてそのままを望むことだと思っています。」
「だけど‥」
せいじはその一言にどきりとした。
「僕は自分の考えが好きだし、君の考えもいいところがあると思う。」
拍子抜けしたように「そうですか」と頷く。
「すすむくん、ごめん‥。この勝負、君に勝ちを渡すよ‥。」
「分かった。」
「ただ、僕は考えを捨てない。」
「自由に何かを信仰すればいいと思います。僕の考えを否定しようとしない限り。」
「ありがとう。」
もうこれ以上、否定されるのが怖かった‥。
自分とは関係ないとはいえ、僕の大切なものだから‥。
すぐにすすむくんの元へ行った。
「負けちゃったよ、ごめん‥」
「大丈夫。頑張ったね。」
「ありがとう。」
僕の心のなかで、一つの決意がうまれた
──────
「部長、帰ってきましたか」
副部長は嬉しそうに前へ。
「あぁ。試合はどうなった?」
「優勝しました。」
「そうか、みんな頑張ったな。」
そして、部長はせいじの元に。
「最後、ありがとう。」
「こちらこそ。色々な人のあり方にふれられた。」
「もし、続けるなら、部活任せた。」
「部長‥。ところで、部長のお父さんのことは‥?」
「あぁ、なえさん。一緒に言おうと思ってた。」
「父は言った。未来のことは、自分で決めるんだと。」
「俺は冒険に出る。」
副部長は寂しそうに「ぼうけん‥。」と。
「あぁ。俺は仲間と、ぼうけんにでかける。ついてきたいものはついてきてくれ。」
副部長は嬉しそうに部長を見つめる。
「私もいきたいです。いろんな場所へ旅にでかけましょう!」
「もちろんだ。」
「嬉しいです‥。」
すると、そこへ誰かがやってくる。
「お姉ちゃん。」
「しゅご!どうしてここに?」
近くにはひていも一緒に居た。
「こいつを連れてきたんだ。」
「連れてきたんじゃない。俺が自分から来たんだ。」
「むりよぉ。裏切られてるんじゃないか?」
「そうか?なえさん、すいぞう、えりさんは一緒に行くと言っていた。」
「でもまだ、はみが居る‥」
「名前はうみですよ~。
ゆめりくんのとは部活だけの関係なので、裏切るもないです。」
「そうらしい。」
「う‥。」
「ひてい、どうする?」
「分かった‥。俺はあんたの‥」
「いや、ならなくていい。」
「え?」
「ただ、お願いがあるんだ。」
「お願いって何だ。」
「君の後輩、悪いことしたな。そばにいてやって欲しいんだ。」
「どうして俺が。」
「慕ってたようだし、ひていなら、大丈夫だと信じてるから。」
「まぁ、いいや‥。やるよ。」
「あと、もし、俺とぼうけんに行きたかったら言ってくれ。」
「絶対行くかよ。」
───────
<h3>最後の日‥?</h3>
試合が終わった。
僕たちの思想学部は最後の最後で負けてしまった。
だけど、みんなは悔しくなさそうで未来に向けてのことを考えてる。
それは僕もだけど。
「今日で最後ね‥。」
先生は寂しそうに話す。
「ですね。でも逆にそれは始まりとも考えられるかも!」
相変わらず、すすむくんは元気だった。
「すすむくん!」
「みんなありがとう。僕が本当にしたかったことできた。」
「楽しかった!」
しずくさんが一番最初に言った。
「うん。そうだね。色々な出会いがあったし‥。」
みちかさんは涙を浮かべる。
「離れ離れになるのは悲しいけどね‥」
僕がそう言うとすすむくんは元気に笑いながら。
「離れ離れになる必要なんてないさ。」
「え‥?」
「すすむくん、どういうことなの?」
先生は首を傾げる。
「僕には夢がある!一緒にまた思想学部みたいなことをしないかな!」
「サークルでってこと‥?」
「ううん。専用の場所とか作ってさ!」
「僕はいいかな‥。」
そうつぶやくと
「それなら、仕方ない。
もし、来たい人が居たら是非!」
「私、行きたいです!」
みちかさんは微笑んだ。
「ありがとう。是非来てほしい。」
「私もお姉ちゃんとたまに来たい!」
案外、行きたいと言った人は多かった。
「先生も‥邪魔にならなければ行きたいかも。」
先生まで!?
僕は心のなかで驚いた。
「あの‥。すすむくん。」
「どうしたの、あいだくん」
「僕も、自分の用が済んだら、君のところ行きたいな。また思想学部がやりたい。」
「もちろん!是非しよう!色々考えて楽しもうよ!」
ありがとう。僕はいつもその笑顔に救われてるんだ。
────────
「先輩来てくれてありがとうございます‥。」
「いいんだ。」
「もう一度俺たちが一番をとりましょう。失う恐怖なんてもう大丈夫です。」
「ありがとう。」
「今日はなんか、変ですよ。」
「割に合わねえんだ。ただの否定って。」
「え?」
「相手を否定するとよ、罪悪感きてさ、でも、ムカつくやつにためてるより否定するとスカッとするけどさ。」
「結局、罪悪感が残るんだよ。」
「言うなれば‥被害者と加害者みたいな。」
「そうかもしれませんね。」
「あぁ。悪いけど、俺はこれから変わろうと思う。」
「ついていきますよ。」
「ありがとうよ。名前も一気に変えてさ。」
「おぉ。いいですね。」
「ゆるしとかどうだ?」
「雰囲気変わりました!」
「だろう?」
「はい。」
「逆に人助けしようかなと思ってて。」
「全く逆のことするんですね。そういえば、病院に‥」
─────────
「ゆめりちゃん。」
「来たか。ありがとう。」
「いえいえ。こちらこそありがとう。」
「早速だが、俺と世界中冒険に出かけないか?」
きせきは涙を流す。
「どうした?」
「ううん。こうしてまた一緒にいられるのが嬉しくて‥」
「そうか。」
「さっきの答えだけど‥。
もちろん!行こう、みんなで。」
「あぁ。」
それを遠くでなえは見ていた。
やっぱり、部長は‥。
でも、それでもいいんだ‥。
またおそばに居られる‥。
少し前のこと。
「お姉ちゃん、聞いたよ。」
「うん。行くんだ。」
「そうなんだ。」
「止めないの?」
「あぁ。お姉ちゃんの好きな人、話してみて分かったんだ。」
「あの人なら大丈夫って。なんでだろうな。」
「そう。」
「それにさ、好きな人が、その人のこと本気で好きなら、僕には止められないでしょ。」
「いってらっしゃい。」
しゅごったら‥。
これから毎日、思い出を書いていこうって思うんだ。
すいぞうくんや、えりさん前より一段元気になってる。
このメンバーでの、旅ってとても楽しくなりそうって思うんだ。
─────────
いなし先生は嬉しそうに家に帰った。
「みんな、未来があっていいな。」
うっとりと家で座り込む。
「きっと、あの子達なら、楽しい未来が待ってるだろうな‥」
少し寂しくなった。
すると、一つの紙が彼女の前に現れる。
“案外、これからかもよ。”
と書かれている。
しかし、いなし先生の前からパッと消えてしまった。
「ふふふっ。」
────────
<h3>親と子&友達</h3>
「すすむ。」
「どうしたの?」
「元気だな。良かった。」
「ありがとう。」
「すすむは変わったな。」
「そうかな?」
「いいや、もしかしたら、変わってないのかもしれない。ずっと、すすむはすすむのままで。」
「どうしたの?」
「悪い‥。すすむに伝えたいことがあってな。」
「なんでも言って。」
「父さんには、大切な人が居た。その人はもう亡くなってしまった。」
「とても大事な人だった。」
ポロポロと涙を流す。
「そうなんだ‥大事な人が。」
「その人はお父さんの中に、まだ残ってるの?」
「あぁ。」
「もしかしたら、その人も一緒に居たいのかもね。」
すすむの父の頭の中に、過ごした記憶が浮かんでくる。
もし、そう思っててくれたなら‥。それほど嬉しいことはないだろう‥。
「ありがとう。」
「こちらこそありがとう。」
「すすむに渡したいものがある。」
「何?」
「あいつが持ってたメモ帳だ。とてもとても大事にしていた‥。」
「いいの?」
「誰かもわからないノートだ。ほしくないかもしれないが‥。」
「ううん。その人が知らない人だって、大切にしてるものをわけられたら嬉しいよ。」
「そうか‥。」
「ありがとう。大事にする。」
すすむの父は母の元へ行く。
「母さん‥。」
「どうしたの?」
「すすむ、よく育ったな‥。」
「ですね。」
嬉しそうに微笑む。
「あいつは大事なものを残してくれたんだ。」
「そうですね。」
「この名前にしてよかったよ。」
「はい。」
─────────
リアルは昔のことを思い出した。
「リアルよ。学校はどうだ?」
「勉強が楽しいです。」
「そうか、良かった。」
「はい。」
「ところで、勉強はしすぎるなよ。」
「どうしてですか‥?」
「学ぶ内容がなくなってしまうからだ。学べるものは限られている。」
その時、お父さんの顔は少し悲しそうだった。
「それについて、いつか、教えるときが来るかもしれないな。」
─────────
今日は4人で遊ぶことになりました。
みおは嬉しそうに、友達の家に向かいます。
そして、チャイムをならしました。
「みおちゃん、いらっしゃい!」
「うみちゃんお邪魔します!」
「試合ぶりだねー!」
「うんうん。また会える時が来るの、とっても楽しみにしてた!」
「私もだよー。来てくれてありがとう。」
「二人は来てないけれど、お姉ちゃんに話したいことがあって!」
「え、何かな?」
「卒業した後、すすむさんの集まりのところ一緒に行かない?」
「集まり??」
「まだわかってないの!でも、思想学部みたいなことするんだって!」
「えー!いいねっ。楽しそう。」
「色々な私になれるかもっ。」
「お姉ちゃんかわいい!かわいいものしか勝たん!」
すると、うみも一緒になって「かわいいものしか勝たん」と言った。
「可愛いものしか勝たん!あははっ!」
「ふふふっ!」
「ありがとう。もう一度出会えて良かったよっ。」
「私の方こそ、みおちゃんありがとう。」
それから、二人がやってくる。
「みちかさんとあゆみちゃん!」
「わーい!」
「仲直りペアだよ~!」
「でも、私とお姉ちゃんってずっと友達じゃなかったっけ?」
「確かに‥。それっぽくなってただけでずっと友達だったかも。」
「ふたりとも仲いいんだ。」
「うんっ。仲良いよ!」
うみが直後「みおちゃんしか勝たん。可愛い友達!」と何度も言う。
「わぁ!お姉ちゃん。私もうみお姉ちゃん好きっ!」
「勝たんって言うのは嘘になっちゃったかも。でも、一番好きな友達はあなただよ。」
二人はてをとりあい見つめ合う。
「中学校の時、私のところに来てくれてありがとう。」
「お姉ちゃんも友達になってくれてありがとう。」
少しあせをかきながらあゆみは言った。
「ふたりとも関係深すぎじゃない?」
「普段は普通に話してるよ!」
笑顔であゆみの方を見る。
「うん!こんな時はあんまりないかも。でも、あらためて考えてみると嬉しくて!」
「ありがとう、うみお姉ちゃん。」
「私の方こそありがとう、みおちゃん。」
「二人は長続きしそうだね。」
「そうだね、あゆみちゃん。私達も長く続くかな‥?」
「続けましょ。少なくとも私は続けたいな。」
「うんっ。あゆみちゃん。」
それから4人は話したり、勉強したり、遊んだりして楽しい一日をおくった。
「また機会があったら遊んだりしようね。」
あゆみとみちかは先に帰っていく。
「うん!またね!」
みおとうみは手を降ってみおくる。
「みおちゃんは帰らないの?」
「うん、もう少しだけお姉ちゃんといたくて!」
うみは思う。
生徒会長になったって言ってたからかな‥。
「うんっ!話そっ!」
「それでね、5人みんな学校やめて、他の国に行っちゃったんだって」
「わーすごいね!」
「うんうん。したいことがあるときはしたいって、みんなあわせて一人の人みたいって‥。
凄いなって思うんだ。」
二人はその日、色々な話をして時間を過ごした
────────
<h3>緩和された世界</h3>
規制が軽減された世界。
それが現在。
少し前、物語への規制がどんどん厳しくなり、一緒に過ごす人達にも変化があった。
勉強をつまらなそうにうちこむ人、遊びをつまらないものとの認識。
多くの人はそれにより、想像性を失ってしまったのだ。
だが、もうそれは過去のこと。
ただ、僕は立ち上がった。
次にいつまた同じような規制が始まるか分からない。
ただ一人、この世界を変えるため、巨大な勢力へと立ち向かっていったのだった。
「シソウ‥」
「トモさん。」
「そんなキャラだったっけ?」
「自由なんだって思うと嬉しくて。」
「確かにゆるくなったよね。こうして話せるまで‥」
「うん。」
「そういえば、シソウが昔どんな人だったか知らなかったな。もしかしたら、いつもこんな感じだったり‥」
「それはないよ。」
歴史小説など勉強系の小説が再びできるようになってから、外でも物語を考えたりつくったりしていいと。
あまりに過干渉だったということでの緩和。
それがとても嬉しかった。
「ところで、さっき言ってたように、まだ何かしたいと思ってるの?」
「うん。やらないといけないと思ってる。」
「本当に大丈夫なの‥?」
「大丈夫じゃないかもしれない‥。」
「そう‥」
「ただ、これは僕の創作の中での話なんだけどね。」
「いたずら‥?」
「そんなつもりはないけど‥。ただ‥」
その先は言えなかった。
たとえ自分が言うことが事実でも、事実じゃなくても‥。
これ以上個人的なことで、誰かを巻きこんだりしてはいけない。
「やあ。」
昔、友達だと思ってた男が来た。
「前はごめん。酷いこと言ったな。」
「ううん。いいんだ。僕が君の立場だったら同じこと言ってたと思う。」
「ありがと。また機会があったら、昔みたいに物語聞かせて欲しいな。」
「分かった。関係ないことだけど、一つだけ聞かせて欲しい。」
「なんでも言ってくれ。」
「君は勉強に対してどう思う?」
「なんでやってんのか意味分かんないよ。」
「そうなんだ。」
「やらなくていいなら、やってないんだけどな。」
「だよね。僕は好きなことをしてたと思う。」
「そうだよな。まぁ、頑張ろうぜ。もうすぐで卒業だ。」
「うん。そうだね。」
ただ、その後、ユルムくんに聞いたら勉強は楽しいと言ってた。
規制前も規制後もそこは変わらない。
楽しいと思う人、楽しくないと思う人がいる‥。
ただ、何故かそれに苦しくなった。
どうしてだろう‥
それから、僕は家に帰って、またトモさんとあった。
「勉強、好き?それとも嫌い?」
「私は普通かな。」
「やっぱり、感じ方はそれぞれみたいだね。」
「シソウは?」
「好きでも、嫌いでもあるかな。」
「私と同じ?」
「そうとも言える。」
「それよりさ‥。また行くんだよね?
いつ行くの?」
「卒業して少ししたら行こうかなって‥。まぁ、行けないかもしれないけど。」
「きっと行けるよ。」
その言葉にドキッとする。
「あ‥ありがとう。」
「正直に言うけど、もう一度行く理由。物語についてなんだ。」
「そう‥。前に言ってたこと、本当だったんだ。」
「うん。」
「シソウがしたいことなの‥?」
「したいことだよ。」
「私は何もできないかもしれないけど、シソウのこと応援してる。」
「トモさん‥。」
「シソウ、どうしたの?」
「いや、なんでもないけど。ありがとう。」
お願いしたいことができてしまった。
いつか頼みたいな‥。
物語へ、何故、そんなにも規制しようとするのか‥。
その本心はわからない。
ただ、いつか、その人たちと話し合って物語は悪いものじゃないって知ってほしい。
そして、彼らから理由を聞きたい。
きっと、分かり会える。僕はそう信じてる。
今はただ、理想の未来へと‥
そのために、僕の目の前にある、何もないこの道を歩こう
───────