思想学部21

<h3>体育祭</h3>

修学旅行が終わって、体育祭の時期になった。

少し前に、修学旅行あったけど…先輩に聞いた通り、違う場所だった。

近くでって、それって修学旅行と言えるの?って言ってたな…

体育祭は何も練習や、競技も何をするのか分かってない。

忙しい学校。

私は心の中で思った。

前回は暑い中、見てるだけだったけど、今回は生徒会に所属してるから特に大きなことする必要ない。

みんなが頑張ってるところ、心の中で応援しようかな。


それから、体育祭が始まった。

今回は何をするのだろう。

場にいたみんなが思ったことだろう。練習していないから、上手くいくかも分かっていない。

先生が今日、何をするのかみんなの前で言った。

「今回の体育祭は、それぞれの部活が1つのチームとなって行います。」

その後、先生がいったことに僕は驚かされた。

それは、トーナメント戦で、部活でやっていることをお互い披露しあい、より良い方が上へと上がれる。

負けたところは、部活するか、そのまま帰ってもいいと言う。

そして、思想学部のみんなが1箇所に集まる。

すすむくんは元気に「とっても楽しみだ!」と笑った。

最初は比喩部と、植物観察部の1戦。

比喩部は今日の体育祭のことを例えた。

植物観察部は、今まで観察してきた植物について発表する。

どちらが勝つか分からない勝負。

勝敗の決定は、規定の時間にどちらかが負けを言うか、数人の先生、他の部活の生徒が決める。

夢中で様子見てると、すすむくんが言った。

「良ければこの時間練習しない?」

みんなはいいよと言った。

僕も参加しなければ…。

心の中で思って聞いた。

「ところで、練習って何するの?」

「特に決めてないけど。いつも通りでいいんじゃない?」

話し合い、考えを肯定しあった。

いつも通り。だけど、これがいいんだ。

誰かが傷付く必要なく、みんなが笑顔でいられる…。きっと…。

トーナメント戦は進み、思想学部の番になった。

相手は、ボウリング部。

見てみると、何だかザワザワしていた。

「どうする…。ボウリング部、何にも出来ることがないぞ…。」

「ボールだけでなく、ピンすらないからな。」

すると、「大丈夫!」と誰かが言った。

「君は!?」

「まじめじゃないか!」

「幽霊部員だけど、本当に大丈夫なのか?」

「うん。大丈夫。僕に考えがあるんだよ。」

まじめはごにょごにょと、部員に何かを伝える。

「それがダメだったらどうするんだ…?」

「他にも考えはあるから。

これを見て。」

そこには、ボウリングの衣装、ボールの衣装などがあった。

これで頑張るんだ。

「分かった。その時は恥ずかしいけど、やるよ。」

「優勝すれば、もしかしたら、ボウリング場を学校に作ってくれるかもしれないしな。」

まじめは笑顔で頷いた。

「ありがとう。」


そして、始まったのである。

すすむくんは、特にみんなでできるようなものじゃないからということで、1人で向かった。

みんなは彼の様子を見ることに。

練習した意味は特になかったかも…!?と思いつつも、彼の後を目で追った。

「最初に言おう。僕は君たちを肯定する」

いつも通りの彼の姿。何も変わっていない。

「ボウリング部の皆さんから先にやって欲しい。」

ボウリングの1人が「分かりました」と言って出てきた。

「ボウリングの凄いところ、それは、すると楽しいだけじゃありません。」

「他に何が楽しいのか?それについて今から話そうと思います。」

すすむくんは頷いた。

「ボウリングには色々用語があります。その中には、チーズケーキや、クリスマスツリーと言った面白いものまで。」

「確かにそれは面白い。色々な用語があるんだね。」

相手は拍子抜けしたように「はい。」と言う。

「他にも色々あって。インザダークという用語。それは、暗闇にいるお化けというところから取られてて。」

「そういうのもあるんだ。面白いね」

彼はひたすらに肯定する。

これでは絶対勝てない。僕は先生のところへ行って、自分達の負けだと伝えた。

それに、すすむくんは驚いている。

後で理由を聞かれて、彼らの方が部活の説明をしていたと言った。

すると、なんだか納得しているようだった。

それから、僕らは帰らず、部活の練習をする。

もうそろそろ、大会が始まる。どんな考えを持った人がいるか…少し楽しみなところ。

────────

体育祭はなんとか終わった。

優勝したのは、吹奏楽部みたい。商品はぬいぐるみ。

表彰される人も、部員の誰かかと思ったけど、私がされることになった。

特に何か部活に入ってる訳でもないし、私はその時、やることをしただけなのに…。

みんなに見られてるってことかな。

引き締めないとね。心の中で強く思った──────

<h3>過去物語❼</h3>

名前、1人1つの特別なもの。

お母さんとお父さんは真剣に悩んで考えた。

そして、決める。

「あなたの名前はキセキ。」


幼稚園の時、寂しそうにしている男の子が居た。

1人でぶつぶつ何か言ってる。

私はピアニカその子の前でひいた。

すると、彼はこっちを少し驚いたように見る。

でも、少しすると、真剣に聴いていた。

終わって、彼は「良かった」と笑う。

私はそれが嬉しかった。

「家で練習してるんだ!」

「そうなんだ。」

「うん!」

そこからが彼との始まり。

実は、近所に住んでるって知って驚いた。

しかも、ずっと前から大きいお家だと思ってたところ。

そこから、たまに遊びに来てくれるようになった。

そこでよくお話をする。

今日あったこととか沢山。

でも、時々、暗くなる。

幼稚園の時、夢について悲しいことを言われたって。

だけど、ある日、いい出会いがあったらしくて、明るかった。

私は嬉しかった。

元気そうな彼の姿。それが…

だけど、その時間は長く続かなかった。

また裏切られたって。彼の前からいなくなってしまったの。

親もそうだけど、大人って信じられないって言ってた。

「大人にもいい人が居るよ!」

「嘘ついてるだけだよ。後々、自分の考えを押し付けてくるんだ。」

その言葉に悲しくなった。

だけど、またある日は、近所に住むお兄さんのことを言う。

色々、自分の知らないこと、楽しいことを知ってて尊敬してるって。

そんな人になりたいなって。

ところで、私は、ずっとピアニカを弾いていた。

他の楽器よりも、これがしてたいって。

お母さん達は許してくれた。

それから、よく彼と関わりながら、中学生になった。

グループを作ったらしくて、私もそれに入ることに。

そんなある日、小学校の時の友達が話しかけてきた。

だけど…

誰だか思い出せなかった。

どうしてだろう…?

ふと浮かぶのは、彼のこと。

とても苦しそうにしてる…。

小学校の時からそうだったけど、今はより一層つらそう。

そんな姿、見たくないよ…。

心の中で思った。

それからまた時間が経って、テストにも影響が出てくる。

難しくなったのかな…?

お母さんはそう言って悩んでいた。

─────────

ある日、彼は私に、グループのメンバーを教えてくれた。

皆それぞれ、彼のことが好きみたい。

私はそれが嬉しかった。

特に近くにいる人達には、それぞれ、助けて貰ったり、理由があるらしくてそれもまた嬉しかった。

私も彼のことが好きって思ったの。

だけど…。

相変わらず、暗闇が彼の周りを覆っていた。

私の前でこう言った。

「夢を与えるのは大人だ。それは変えようのない事実。だが、更にその夢を壊すのも大人。」

とても苦しそう。

1人になった時、彼のその表情を見て、涙がこぼれた。

私は周りを見てみると、近くにピアニカがあったので拾い上げる。

そして、昔みたいに、ピアニカを弾いた。

そしたら、昔のように楽しく弾けた。

最近、忘れっぽいけど…

ピアニカは変わらず弾けた。

どうしてなんだろう…?

そう思ったけど、弾くのに夢中で考えるのを辞めた。

私はこの時間が好き

────────

彼は言った。

何のためにこのグループを作ったか。

大人のする仕打ちから多くを守るためだ。

固まっていれば、手出し出来にくくなる。

そして、俺たちは、否定によって世界をより良い方向へと導く。

どんなことでも否定すれば、裏切られたり悲しむことはない。

それが彼の考えだった。

でも───

3年生になった時、私は引っ越すことになった。

そんなに遠くじゃないから、また彼と会うことはできる。

だけど、記憶が無くなってる。

一緒に学校に通おうといった。離れてても、また何度も…。

だけど、私の今の状態じゃ、彼と一緒には居られない。

彼は、それなら、俺が一緒に居ると言った。


それから時間が経って、高校生になった。

何事もなく日常が過ぎていく。

私は高校に馴染んで行った。

そんなある日、誰かから電話が来る。

お母さんが「むりくんから電話よ」と言った。

「多分、知らない人…」

その電話には出なかった

───────


<h3>前日</h3>

「明日、遂に大会ですね!」

言ったのは、みおさんだった。

今日は特に何かをする訳でもなく、自由に会話している。
 
ところで…。 

2年生になってから、何かしたって実感はないな…。

1年生の時、アイディアが浮かんでから、それ以上新しいことはかんがえてない。

このままでいいのかなとも思っていた。

ところで、みんなは、大会からいつの間にか運動会や、体育祭の話になっていた。

「2年生の体育祭どうでしたか?」

みおさんは楽しそうに聞く。

「あのね!部活のみんなと一緒にできた!」

しずくさんが答える。

「わぁ!それは楽しそうですね!」

すると、あさかさんが言った。

「この学校、3年生はないんだよね。そういえば、1年生、2年生表彰は誰が貰うの?」

「えっと…2年生は庭野さんだって噂で聞いたよ!」

僕は心の中で、生徒会の人かと思った。

「去年、あいだくんが貰ってたらしいから、今回もそうだと思ったのだけど違うのね。」

「えー!先輩そうだったんですね!」

みおさんが目をキラキラさせて見る。

あの時を思い出して、僕は恥ずかしくなった。

あの時は凄いことやったな…。

「ところで、1年生は?」

すると、誰も答える様子はない。

知らないって事かな…?

ふらさんが前に出てきた。

「みおちゃんが貰うよ!やっぱり凄いな、みおちゃんは!」

「ふふふ。」

笑顔で続けます。

「おじいちゃんの学校で嬉しい!」

その一言で、その場に居たみんなの頭に、はてなが浮かぶ。

「おじいちゃん?」

しずくさんがたずねる

「うん!実は、この学校でね、私のおじいちゃんが校長してるの!」

このタイミングで、驚きの事実が…。

「私のおじいちゃんはね、お人形や、ぬいぐるみ沢山くれるんだ!」

そう言って笑った。

名前もどこかで聞いたことがある気がしてた…。

色々あったが、本題に戻る。

明日の大会について、すすむくんが説明した。

こういうことは先生がしそうだが、すすむくんはこの大会がどうしてもしたかったため、沢山調べていたらしい。

最近、先生ともほとんどあってない。それだけすすむくんのことを信頼してるのかな…。

心の中で納得する。

そして、ルール説明に。

まず、大会はトーナメントで行われる。

5人vs5人で、1人ずつ対戦していく。先に3勝した方が勝利。

5人以下の部活は参加出来ないのだが、欠席者が出て片方が4人以下の場合、勝ち抜き戦になる。

最後まで残っていたチームが勝ち。

だけど、僕の所属する思想学部にはあまり関係ないこと。

勝敗は、どちらかが負けを認めるまで終わらない。味方の人が言うのも同じ。

大体は前聞いていた通りのこと。はじめてだと言うこともあり、1日2回戦までで、次は準決勝までする。

そして、最後が決勝だけ行われる。

全く未知。はじめてなので調べることもできない。

どうなるんだろう。僕は心の中で思った。

他にも気になることがいくつかある。

1日目が終わったあとには、生徒会選挙がある。次は誰がなるのだろうか…?

ふと、すいぞうくんの顔が浮かんだ。

そして、今、リベシン高校はどうしているのだろう…?

最近は、ペルソナさんが来たくらいで、特に関わりはない。

───────

ひていは笑って言った。

「明日は楽勝かな。」

「ですね。ひてい先輩。」

「まぁ、むり達が足引っ張らなきゃいいけどな。どうせ、名前の通り無理なんだろうけどよ。」

すると、うみが言った。

「頑張ります!」

「相変わらず、空気読めないよな。やっぱ、名前の通り、はみ出しものか。」


副部長は部長の方を向く。

「本当にいいんですか…?」

「確かに、あいつの最近の態度は目にあまるものがある。」

「後輩ができてから一層…。」

「俺の事で我慢させて悪かったな。」

「いえ、部長のためなら…!」

「俺に考えがあるんだ。」

「なんでしょう…?」

部長は小さな声で伝えた。

「分かりました。」

「少しは大人しくなるだろう。」

────────

それから、表彰された。

最初は2年生の庭野さん、次に1年生のみおさん。

去年のように、何か起こることもなく進んでいった。

心の中で思う。

そうだよな…。毎回毎回、あんなこと起こる訳がない。

今回は、競技で活躍したと言うよりか、人助けをした人が選ばれた。

狙うのであればとても読めないし難しい。

もしかしたら、なりたいと思う人を選ぶのではなく、普段から気をつけてる人を選ぼうとしてるのかもしれないね。

ところで…。

2年生の彼女の方をみて思った。

あの人も生徒会長を目指してるのだろうか…?

────────

<h3>試合①</h3>

試合会場に到着した。

特に何か必要なものもないため、置いてあるものもない。

トーナメントの決定は、主催者側が決めるようだ。

トーナメントの高校の名前がざーっと書かれた紙を見る。

そこには、リベシンの名前と、ぜんほう高校の名前があった。

決勝であたるようにくまれてる。

なるべくはやくは当たりたくないから良かった。

心の中で僕は思った。

しかし、問題は、一回戦の相手…。

名前は想自(そうじ)高校。

全く聞いた事がない。知り合いも、多分、居ないだろう…。

そもそも、ほとんどが知らない学校だけど…。

リベシンのトーナメントを見てみると、前に偵察に行った高校、練習試合した高校の名前があった。

向こうも一筋縄ではいかないだろうな…。


ところで、すすむくんは対戦に出る人を決めていた。

自由に出たい人をたずねると、すぐに根男くん、シソウくんがでてくる。

あとは3人…。

僕は思い切って言った。

「良ければ出たい」

すすむくんは「おっけー!あとは2人!」と周りを見る。

すると、ふらふらと女の子がやってきて、すすむくんにぶつかった。

「私、出たいです!」

ふらさんで4人、あと1人は…?

すると、すぐに、キセキさんが「私が出ます!」と言った。

しかし、それを遮るように、がとくんが「イケメンの僕が出るよ」と言う。

「私も出たい!」

すると、彼が言った。

「女性を守るのは、イケメンで紳士な僕の役目だから!」と言った。

キセキさんは「じゃあ…分かった!」と頷く。

何故、彼が…?

疑問で一杯になる。

更に、「僕が1番最初に行くよ。イケメンだから」と言った。

理由が意味分からなかった。

しかし、何はともあれ、やる気になってくれて嬉しさもある。

順番も大体決まる。

2番目がねおくん、3番目はふらさん、4番目はシソウくん、そして5番目が…。

重要そうな位置に戸惑っている。でも、回ってこない可能性もあるから。

僕は気楽に捉えた。

早速、想自高校の生徒が来て、試合メンバーが揃う。

相手の1人が、楽勝なんじゃないか?と笑った。

僕は、ムッとしていたねおくんを宥める。

それから、少しして、がとくんと相手が規定の場所に。

試合が始まった

まず、最初に口を開いたのは相手から。

「興味無いけど、君の思想は何?」

「僕の思想か…。それは、僕がカッコよすぎること。」

相手は、それを聞いて笑った。

「まじで言ってんのかよ。」

すると、がとくんは続けて言う

「僕のかっこよさは、人を笑顔にするんだな。」

僕は彼のメンタルの強さに凄いと思った。

相手は「まあ、いっか」とこぼす。

「で、僕の思想は…」

言おうとした瞬間、「言わなくても分かってる。僕がかっこよすぎることについてだろう?」と。

「全然違う。僕の思想は、自分の考えが正しいことだ。」

「自分の考えが正しい?」

「あぁ、そうだ。他人の考えなんて全部間違ってる。」

「どうしてそう思う?」

「人の考えに興味無さそうなのにな。まぁ、いいや。」

彼は続けて言った。

「君のようなやつ、あやまちを繰り返すやつとか色々いるだろ。」

「この世の90%のものは間違ってるって言葉がある。90%とか中途半端なこと言わず、全員間違ってるでいい。」

がとは思った。自分のするべきことが分からない。

もし、ここで勝てば足を引っ張ることになるし、負ければ、悲しませることになるかもしれない。

それに、相手の考え。それを肯定してしまえば間違いになってしまう…。

がとくんは言った。

「どんなことが間違いであっても、変わらず正しいことはある。」

「なんだよ、それ。」

「僕がかっこいいってことだ。」

「は?」

「僕の負けにしておくよ。」

そして、一回戦は、がとくんの負けで1敗になった。

理由はよく分からない。

ただ、一回戦が終わったあと、相手の人が仲間に言っていた。

「あれが思想だったの?」

「そんな訳。こんな部活、真面目にやる訳ないだろ。」

そう言って笑っていた。

すると、部長らしき人が、「部員がすみません。」と僕に謝ってくる。

返答に困ったが、「大丈夫です」と一言返す。

それから、彼の前に行って、「部活来てくれて…参加してくれてありがとう」と伝えた。

彼は「気分が向いたので」と言っていた───────

2回戦目は、ねおくんがする。

相手はどんな人だろうか。

見ていると、女の子が出てきた。

ねおくんを見て、少しおびえている。

ねおくんはそれを見ても、特に何も思っていない様子。

僕は思った。

大丈夫だろうか…。と。

そもそも、試合になるのかどうかも分からない。

今はただ、見守ることしか出来なかった───────

<h3>試合②</h3>

まず、最初に口を開いたのは、ねおくんだった。

「僕の思想は、根性。これがないやつはダメだ。」

相手の女の子は相変わらずおびえている様子。

ねおくんは言った。

「君、根性無さそうだし、さっさと負けって言った方がいいよ。」

すると女の子は「いいえ!貴方のような人がいるから…私は負けは言いません。」と足が震えている。

ねおくんはその様子に少し驚くが、「君の思想を言って。」と続ける。

「私の思想は…みんなに優しい…。そんな人!」

「優しさ?それがあっても、相手に勝てないじゃないか。」

「勝つ必要なんてない!優しくて仲良くするのが大事だから…。」

「それに…!根性だけじゃ、人はついてこないよ!」

ねおくんはそれにドキッとした。

根性が大事だと言って、みんなは離れていった。

あの時、何で孤立したのか…。

もしかしたら、彼女の言ってる通りなのか…?

ねおの心の中に寂しさが広がって行った。

彼女は続ける。

「私はあなたのように人の気持ちを考えない人を許さない。」

そして、小さく弱音を言った。

「本当は怖いけど…。他にも私のように悲しんでる人がいるかもしれないから…。

私はたたかうの。」

ねおは頷く。

「なるほど、分かった。」

相手の女の子は「え?」と驚いたようにいった。

「根性を他人に強いるのは間違ってると認めよう。」

彼の言葉に僕も驚いていた。

「じゃあ、私の勝ちでいいってこと?」

すると、ねおくんは首をふる。

「いいや、人に強いる根性を辞めたとしても、僕は根性という考え方を捨てない。」

「根性が今もいい考え方だと思ってるから。これから、話し合って、より良い方向へと進んでいく。」

「だからこそ、これからが勝負。」

女の子はきょとんとしていた。

「続けよう」

ねおくんがそう言った直後、彼女が

「いいえ、もう私にはあなたと対戦する理由はありません。」と。

「何故?」

彼女には、最初のようなおびえはなかった。

そして、自分の部活のメンバーの元へ帰っていく。

ねおの頭の中に、すすむが現れた。

そして、ただ、君を肯定すると一言だけ。

結局、何が正しいのか分からないよ。

──────

次はシソウくんの番だった。

とてもうずうずしている。

相手の人がやって来て、2試合目がはじまった。

最初に言ったのは、相手から。

「僕の思想は、絶対的なものは存在しないということ。」

次はシソウくんが言うことになった。

「僕の思想は創作。」

「創作?」

「はい。」と頷いて、説明をはじめた。

「創作は色々なことでできます。道端に落ちている石、昔あった出来事など。」

シソウは続ける。

「これから、実際に創作して説明します。僕の国の歴史では…」

自信があった、自分の国の歴史からの物語を言った。

しかし、シソウは、相手の顔、周りの雰囲気を見て思った。

思ったものとは違う。

もしかして、国が違うから…

自分の国であったことでは、共感を得られないのかもしれない…。

────────

会場に居た、高校の1つが、試合時間を待っていた。

「何も部活してないけど、やってもやらなくても変わらないでしょ。」

「そうだよな。」

「最初の相手、この大会作った人だって。」

「多分、めっちゃ練習してる。そんなやつらに勝てたら凄いんじゃね」

「いいな、それ。」

────────

シソウくんが負けを言って、次はふらさんが行くことになったのだが…。

僕は最初、自信は無かった。一回戦でもう敗退なのか…。と思っていた。

すすむくんは今回とても楽しみにしていたから、1回もできないのは、悲しいことだろう。

しかし、彼女は、相手の前に立った直後、何かきらきらと輝くものを放っているようだった。

そう感じていたのは、相手も同じだろう。

「え…なんて…?」

相手の人はたずねると、彼女は答えた。

「あなたの考えいいと思います。」

「まだ俺は考えしか言ってない。」

「私はあなたのことを肯定したい。」

「もし、それが不利益だとしたらどうする?」

「私はただ、あなたのいいところを見てそれを、肯定したい。」

僕は思った。すすむくんと同じ考えを持ってる。

影響を受けたのかどうか分からないが、とりあえず、2人の思想が揃った。

相手の人は、考えは、止まることでストップして、歩き出すことで動き出す。

彼女は相手の考えを肯定すること。

直後、相手は、自分の負けだと言った。

何があったのかは分からないが、とりあえず、2勝2敗。

次で勝者が決まる。

そして、次は、僕の番だ。

4戦目もとても大事だったが、最後は更に大事になる。

自分で大丈夫だろうか…。

不安があったが、大丈夫!と心の中で納得した。

相手の部長と対戦する。否定が酷そうな人でないのは安心だが、どんな思想を持ってるだろうか?

まずは、相手の部長が言った。

「僕の思想から話そう。」

「普通とは違うものこそとてもいいものであり、逆に普通のものは拒絶すべきもの。」

「そうなんですか…」

そう言いつつも、心の中では突然のことで、とても驚いている。

自分の思想と全く逆の人とすることになるなんて…。

ただ、ここで言わない訳には行かない。

「僕の思想は普通がいいものって事です。」

ギロりと睨まれる。

「そうか、君とは考えあわないようだ。」

僕はすぐに言った

「とりあえず、あなたの思想について教えてください」

「分かった。普通が何故悪いか。それについて説明すれば、君も分かるだろう。」

「普通の人間とは、何の能力もなくて、優れた点もない。何かを管理する側でもない」

「特に優れたこともないから、愚痴ばかり零す。管理される側にすぎないからな。」

「そんなものになりたいと言うものの気が知れない。」

僕の頭に、普通でないものの悪いところが浮かんで、反論したくなった。だが、ひっしにこらえる。

自分の、今、することは、相手の悪いところを言ったり、批判することじゃない…。

すすむくんは、相手のことを肯定した。だからこそ…。

きっと、これは、1年生の時のように、何か変わる時なんだ…。

昔の自分と今の自分。

僕は言った。

「君の考えを肯定する。」

「それはつまり、自分の考えを否定するということか?」

「いいや、同時に自分の考えも肯定する。」

これからが勝負だ。

────────