<h3>体育祭</h3>
修学旅行が終わって、体育祭の時期になった。
少し前に、修学旅行あったけど…先輩に聞いた通り、違う場所だった。
近くでって、それって修学旅行と言えるの?って言ってたな…
体育祭は何も練習や、競技も何をするのか分かってない。
忙しい学校。
私は心の中で思った。
前回は暑い中、見てるだけだったけど、今回は生徒会に所属してるから特に大きなことする必要ない。
みんなが頑張ってるところ、心の中で応援しようかな。
それから、体育祭が始まった。
今回は何をするのだろう。
場にいたみんなが思ったことだろう。練習していないから、上手くいくかも分かっていない。
先生が今日、何をするのかみんなの前で言った。
「今回の体育祭は、それぞれの部活が1つのチームとなって行います。」
その後、先生がいったことに僕は驚かされた。
それは、トーナメント戦で、部活でやっていることをお互い披露しあい、より良い方が上へと上がれる。
負けたところは、部活するか、そのまま帰ってもいいと言う。
そして、思想学部のみんなが1箇所に集まる。
すすむくんは元気に「とっても楽しみだ!」と笑った。
最初は比喩部と、植物観察部の1戦。
比喩部は今日の体育祭のことを例えた。
植物観察部は、今まで観察してきた植物について発表する。
どちらが勝つか分からない勝負。
勝敗の決定は、規定の時間にどちらかが負けを言うか、数人の先生、他の部活の生徒が決める。
夢中で様子見てると、すすむくんが言った。
「良ければこの時間練習しない?」
みんなはいいよと言った。
僕も参加しなければ…。
心の中で思って聞いた。
「ところで、練習って何するの?」
「特に決めてないけど。いつも通りでいいんじゃない?」
話し合い、考えを肯定しあった。
いつも通り。だけど、これがいいんだ。
誰かが傷付く必要なく、みんなが笑顔でいられる…。きっと…。
トーナメント戦は進み、思想学部の番になった。
相手は、ボウリング部。
見てみると、何だかザワザワしていた。
「どうする…。ボウリング部、何にも出来ることがないぞ…。」
「ボールだけでなく、ピンすらないからな。」
すると、「大丈夫!」と誰かが言った。
「君は!?」
「まじめじゃないか!」
「幽霊部員だけど、本当に大丈夫なのか?」
「うん。大丈夫。僕に考えがあるんだよ。」
まじめはごにょごにょと、部員に何かを伝える。
「それがダメだったらどうするんだ…?」
「他にも考えはあるから。
これを見て。」
そこには、ボウリングの衣装、ボールの衣装などがあった。
これで頑張るんだ。
「分かった。その時は恥ずかしいけど、やるよ。」
「優勝すれば、もしかしたら、ボウリング場を学校に作ってくれるかもしれないしな。」
まじめは笑顔で頷いた。
「ありがとう。」
そして、始まったのである。
すすむくんは、特にみんなでできるようなものじゃないからということで、1人で向かった。
みんなは彼の様子を見ることに。
練習した意味は特になかったかも…!?と思いつつも、彼の後を目で追った。
「最初に言おう。僕は君たちを肯定する」
いつも通りの彼の姿。何も変わっていない。
「ボウリング部の皆さんから先にやって欲しい。」
ボウリングの1人が「分かりました」と言って出てきた。
「ボウリングの凄いところ、それは、すると楽しいだけじゃありません。」
「他に何が楽しいのか?それについて今から話そうと思います。」
すすむくんは頷いた。
「ボウリングには色々用語があります。その中には、チーズケーキや、クリスマスツリーと言った面白いものまで。」
「確かにそれは面白い。色々な用語があるんだね。」
相手は拍子抜けしたように「はい。」と言う。
「他にも色々あって。インザダークという用語。それは、暗闇にいるお化けというところから取られてて。」
「そういうのもあるんだ。面白いね」
彼はひたすらに肯定する。
これでは絶対勝てない。僕は先生のところへ行って、自分達の負けだと伝えた。
それに、すすむくんは驚いている。
後で理由を聞かれて、彼らの方が部活の説明をしていたと言った。
すると、なんだか納得しているようだった。
それから、僕らは帰らず、部活の練習をする。
もうそろそろ、大会が始まる。どんな考えを持った人がいるか…少し楽しみなところ。
────────
体育祭はなんとか終わった。
優勝したのは、吹奏楽部みたい。商品はぬいぐるみ。
表彰される人も、部員の誰かかと思ったけど、私がされることになった。
特に何か部活に入ってる訳でもないし、私はその時、やることをしただけなのに…。
みんなに見られてるってことかな。
引き締めないとね。心の中で強く思った──────
<h3>過去物語❼</h3>
名前、1人1つの特別なもの。
お母さんとお父さんは真剣に悩んで考えた。
そして、決める。
「あなたの名前はキセキ。」
幼稚園の時、寂しそうにしている男の子が居た。
1人でぶつぶつ何か言ってる。
私はピアニカその子の前でひいた。
すると、彼はこっちを少し驚いたように見る。
でも、少しすると、真剣に聴いていた。
終わって、彼は「良かった」と笑う。
私はそれが嬉しかった。
「家で練習してるんだ!」
「そうなんだ。」
「うん!」
そこからが彼との始まり。
実は、近所に住んでるって知って驚いた。
しかも、ずっと前から大きいお家だと思ってたところ。
そこから、たまに遊びに来てくれるようになった。
そこでよくお話をする。
今日あったこととか沢山。
でも、時々、暗くなる。
幼稚園の時、夢について悲しいことを言われたって。
だけど、ある日、いい出会いがあったらしくて、明るかった。
私は嬉しかった。
元気そうな彼の姿。それが…
だけど、その時間は長く続かなかった。
また裏切られたって。彼の前からいなくなってしまったの。
親もそうだけど、大人って信じられないって言ってた。
「大人にもいい人が居るよ!」
「嘘ついてるだけだよ。後々、自分の考えを押し付けてくるんだ。」
その言葉に悲しくなった。
だけど、またある日は、近所に住むお兄さんのことを言う。
色々、自分の知らないこと、楽しいことを知ってて尊敬してるって。
そんな人になりたいなって。
ところで、私は、ずっとピアニカを弾いていた。
他の楽器よりも、これがしてたいって。
お母さん達は許してくれた。
それから、よく彼と関わりながら、中学生になった。
グループを作ったらしくて、私もそれに入ることに。
そんなある日、小学校の時の友達が話しかけてきた。
だけど…
誰だか思い出せなかった。
どうしてだろう…?
ふと浮かぶのは、彼のこと。
とても苦しそうにしてる…。
小学校の時からそうだったけど、今はより一層つらそう。
そんな姿、見たくないよ…。
心の中で思った。
それからまた時間が経って、テストにも影響が出てくる。
難しくなったのかな…?
お母さんはそう言って悩んでいた。
─────────
ある日、彼は私に、グループのメンバーを教えてくれた。
皆それぞれ、彼のことが好きみたい。
私はそれが嬉しかった。
特に近くにいる人達には、それぞれ、助けて貰ったり、理由があるらしくてそれもまた嬉しかった。
私も彼のことが好きって思ったの。
だけど…。
相変わらず、暗闇が彼の周りを覆っていた。
私の前でこう言った。
「夢を与えるのは大人だ。それは変えようのない事実。だが、更にその夢を壊すのも大人。」
とても苦しそう。
1人になった時、彼のその表情を見て、涙がこぼれた。
私は周りを見てみると、近くにピアニカがあったので拾い上げる。
そして、昔みたいに、ピアニカを弾いた。
そしたら、昔のように楽しく弾けた。
最近、忘れっぽいけど…
ピアニカは変わらず弾けた。
どうしてなんだろう…?
そう思ったけど、弾くのに夢中で考えるのを辞めた。
私はこの時間が好き
────────
彼は言った。
何のためにこのグループを作ったか。
大人のする仕打ちから多くを守るためだ。
固まっていれば、手出し出来にくくなる。
そして、俺たちは、否定によって世界をより良い方向へと導く。
どんなことでも否定すれば、裏切られたり悲しむことはない。
それが彼の考えだった。
でも───
3年生になった時、私は引っ越すことになった。
そんなに遠くじゃないから、また彼と会うことはできる。
だけど、記憶が無くなってる。
一緒に学校に通おうといった。離れてても、また何度も…。
だけど、私の今の状態じゃ、彼と一緒には居られない。
彼は、それなら、俺が一緒に居ると言った。
それから時間が経って、高校生になった。
何事もなく日常が過ぎていく。
私は高校に馴染んで行った。
そんなある日、誰かから電話が来る。
お母さんが「むりくんから電話よ」と言った。
「多分、知らない人…」
その電話には出なかった
───────
<h3>前日</h3>
「明日、遂に大会ですね!」
言ったのは、みおさんだった。
今日は特に何かをする訳でもなく、自由に会話している。
ところで…。
2年生になってから、何かしたって実感はないな…。
1年生の時、アイディアが浮かんでから、それ以上新しいことはかんがえてない。
このままでいいのかなとも思っていた。
ところで、みんなは、大会からいつの間にか運動会や、体育祭の話になっていた。
「2年生の体育祭どうでしたか?」
みおさんは楽しそうに聞く。
「あのね!部活のみんなと一緒にできた!」
しずくさんが答える。
「わぁ!それは楽しそうですね!」
すると、あさかさんが言った。
「この学校、3年生はないんだよね。そういえば、1年生、2年生表彰は誰が貰うの?」
「えっと…2年生は庭野さんだって噂で聞いたよ!」
僕は心の中で、生徒会の人かと思った。
「去年、あいだくんが貰ってたらしいから、今回もそうだと思ったのだけど違うのね。」
「えー!先輩そうだったんですね!」
みおさんが目をキラキラさせて見る。
あの時を思い出して、僕は恥ずかしくなった。
あの時は凄いことやったな…。
「ところで、1年生は?」
すると、誰も答える様子はない。
知らないって事かな…?
ふらさんが前に出てきた。
「みおちゃんが貰うよ!やっぱり凄いな、みおちゃんは!」
「ふふふ。」
笑顔で続けます。
「おじいちゃんの学校で嬉しい!」
その一言で、その場に居たみんなの頭に、はてなが浮かぶ。
「おじいちゃん?」
しずくさんがたずねる
「うん!実は、この学校でね、私のおじいちゃんが校長してるの!」
このタイミングで、驚きの事実が…。
「私のおじいちゃんはね、お人形や、ぬいぐるみ沢山くれるんだ!」
そう言って笑った。
名前もどこかで聞いたことがある気がしてた…。
色々あったが、本題に戻る。
明日の大会について、すすむくんが説明した。
こういうことは先生がしそうだが、すすむくんはこの大会がどうしてもしたかったため、沢山調べていたらしい。
最近、先生ともほとんどあってない。それだけすすむくんのことを信頼してるのかな…。
心の中で納得する。
そして、ルール説明に。
まず、大会はトーナメントで行われる。
5人vs5人で、1人ずつ対戦していく。先に3勝した方が勝利。
5人以下の部活は参加出来ないのだが、欠席者が出て片方が4人以下の場合、勝ち抜き戦になる。
最後まで残っていたチームが勝ち。
だけど、僕の所属する思想学部にはあまり関係ないこと。
勝敗は、どちらかが負けを認めるまで終わらない。味方の人が言うのも同じ。
大体は前聞いていた通りのこと。はじめてだと言うこともあり、1日2回戦までで、次は準決勝までする。
そして、最後が決勝だけ行われる。
全く未知。はじめてなので調べることもできない。
どうなるんだろう。僕は心の中で思った。
他にも気になることがいくつかある。
1日目が終わったあとには、生徒会選挙がある。次は誰がなるのだろうか…?
ふと、すいぞうくんの顔が浮かんだ。
そして、今、リベシン高校はどうしているのだろう…?
最近は、ペルソナさんが来たくらいで、特に関わりはない。
───────
ひていは笑って言った。
「明日は楽勝かな。」
「ですね。ひてい先輩。」
「まぁ、むり達が足引っ張らなきゃいいけどな。どうせ、名前の通り無理なんだろうけどよ。」
すると、うみが言った。
「頑張ります!」
「相変わらず、空気読めないよな。やっぱ、名前の通り、はみ出しものか。」
副部長は部長の方を向く。
「本当にいいんですか…?」
「確かに、あいつの最近の態度は目にあまるものがある。」
「後輩ができてから一層…。」
「俺の事で我慢させて悪かったな。」
「いえ、部長のためなら…!」
「俺に考えがあるんだ。」
「なんでしょう…?」
部長は小さな声で伝えた。
「分かりました。」
「少しは大人しくなるだろう。」
────────
それから、表彰された。
最初は2年生の庭野さん、次に1年生のみおさん。
去年のように、何か起こることもなく進んでいった。
心の中で思う。
そうだよな…。毎回毎回、あんなこと起こる訳がない。
今回は、競技で活躍したと言うよりか、人助けをした人が選ばれた。
狙うのであればとても読めないし難しい。
もしかしたら、なりたいと思う人を選ぶのではなく、普段から気をつけてる人を選ぼうとしてるのかもしれないね。
ところで…。
2年生の彼女の方をみて思った。
あの人も生徒会長を目指してるのだろうか…?
────────
<h3>試合①</h3>
試合会場に到着した。
特に何か必要なものもないため、置いてあるものもない。
トーナメントの決定は、主催者側が決めるようだ。
トーナメントの高校の名前がざーっと書かれた紙を見る。
そこには、リベシンの名前と、ぜんほう高校の名前があった。
決勝であたるようにくまれてる。
なるべくはやくは当たりたくないから良かった。
心の中で僕は思った。
しかし、問題は、一回戦の相手…。
名前は想自(そうじ)高校。
全く聞いた事がない。知り合いも、多分、居ないだろう…。
そもそも、ほとんどが知らない学校だけど…。
リベシンのトーナメントを見てみると、前に偵察に行った高校、練習試合した高校の名前があった。
向こうも一筋縄ではいかないだろうな…。
ところで、すすむくんは対戦に出る人を決めていた。
自由に出たい人をたずねると、すぐに根男くん、シソウくんがでてくる。
あとは3人…。
僕は思い切って言った。
「良ければ出たい」
すすむくんは「おっけー!あとは2人!」と周りを見る。
すると、ふらふらと女の子がやってきて、すすむくんにぶつかった。
「私、出たいです!」
ふらさんで4人、あと1人は…?
すると、すぐに、キセキさんが「私が出ます!」と言った。
しかし、それを遮るように、がとくんが「イケメンの僕が出るよ」と言う。
「私も出たい!」
すると、彼が言った。
「女性を守るのは、イケメンで紳士な僕の役目だから!」と言った。
キセキさんは「じゃあ…分かった!」と頷く。
何故、彼が…?
疑問で一杯になる。
更に、「僕が1番最初に行くよ。イケメンだから」と言った。
理由が意味分からなかった。
しかし、何はともあれ、やる気になってくれて嬉しさもある。
順番も大体決まる。
2番目がねおくん、3番目はふらさん、4番目はシソウくん、そして5番目が…。
重要そうな位置に戸惑っている。でも、回ってこない可能性もあるから。
僕は気楽に捉えた。
早速、想自高校の生徒が来て、試合メンバーが揃う。
相手の1人が、楽勝なんじゃないか?と笑った。
僕は、ムッとしていたねおくんを宥める。
それから、少しして、がとくんと相手が規定の場所に。
試合が始まった
まず、最初に口を開いたのは相手から。
「興味無いけど、君の思想は何?」
「僕の思想か…。それは、僕がカッコよすぎること。」
相手は、それを聞いて笑った。
「まじで言ってんのかよ。」
すると、がとくんは続けて言う
「僕のかっこよさは、人を笑顔にするんだな。」
僕は彼のメンタルの強さに凄いと思った。
相手は「まあ、いっか」とこぼす。
「で、僕の思想は…」
言おうとした瞬間、「言わなくても分かってる。僕がかっこよすぎることについてだろう?」と。
「全然違う。僕の思想は、自分の考えが正しいことだ。」
「自分の考えが正しい?」
「あぁ、そうだ。他人の考えなんて全部間違ってる。」
「どうしてそう思う?」
「人の考えに興味無さそうなのにな。まぁ、いいや。」
彼は続けて言った。
「君のようなやつ、あやまちを繰り返すやつとか色々いるだろ。」
「この世の90%のものは間違ってるって言葉がある。90%とか中途半端なこと言わず、全員間違ってるでいい。」
がとは思った。自分のするべきことが分からない。
もし、ここで勝てば足を引っ張ることになるし、負ければ、悲しませることになるかもしれない。
それに、相手の考え。それを肯定してしまえば間違いになってしまう…。
がとくんは言った。
「どんなことが間違いであっても、変わらず正しいことはある。」
「なんだよ、それ。」
「僕がかっこいいってことだ。」
「は?」
「僕の負けにしておくよ。」
そして、一回戦は、がとくんの負けで1敗になった。
理由はよく分からない。
ただ、一回戦が終わったあと、相手の人が仲間に言っていた。
「あれが思想だったの?」
「そんな訳。こんな部活、真面目にやる訳ないだろ。」
そう言って笑っていた。
すると、部長らしき人が、「部員がすみません。」と僕に謝ってくる。
返答に困ったが、「大丈夫です」と一言返す。
それから、彼の前に行って、「部活来てくれて…参加してくれてありがとう」と伝えた。
彼は「気分が向いたので」と言っていた───────
2回戦目は、ねおくんがする。
相手はどんな人だろうか。
見ていると、女の子が出てきた。
ねおくんを見て、少しおびえている。
ねおくんはそれを見ても、特に何も思っていない様子。
僕は思った。
大丈夫だろうか…。と。
そもそも、試合になるのかどうかも分からない。
今はただ、見守ることしか出来なかった───────
<h3>試合②</h3>
まず、最初に口を開いたのは、ねおくんだった。
「僕の思想は、根性。これがないやつはダメだ。」
相手の女の子は相変わらずおびえている様子。
ねおくんは言った。
「君、根性無さそうだし、さっさと負けって言った方がいいよ。」
すると女の子は「いいえ!貴方のような人がいるから…私は負けは言いません。」と足が震えている。
ねおくんはその様子に少し驚くが、「君の思想を言って。」と続ける。
「私の思想は…みんなに優しい…。そんな人!」
「優しさ?それがあっても、相手に勝てないじゃないか。」
「勝つ必要なんてない!優しくて仲良くするのが大事だから…。」
「それに…!根性だけじゃ、人はついてこないよ!」
ねおくんはそれにドキッとした。
根性が大事だと言って、みんなは離れていった。
あの時、何で孤立したのか…。
もしかしたら、彼女の言ってる通りなのか…?
ねおの心の中に寂しさが広がって行った。
彼女は続ける。
「私はあなたのように人の気持ちを考えない人を許さない。」
そして、小さく弱音を言った。
「本当は怖いけど…。他にも私のように悲しんでる人がいるかもしれないから…。
私はたたかうの。」
ねおは頷く。
「なるほど、分かった。」
相手の女の子は「え?」と驚いたようにいった。
「根性を他人に強いるのは間違ってると認めよう。」
彼の言葉に僕も驚いていた。
「じゃあ、私の勝ちでいいってこと?」
すると、ねおくんは首をふる。
「いいや、人に強いる根性を辞めたとしても、僕は根性という考え方を捨てない。」
「根性が今もいい考え方だと思ってるから。これから、話し合って、より良い方向へと進んでいく。」
「だからこそ、これからが勝負。」
女の子はきょとんとしていた。
「続けよう」
ねおくんがそう言った直後、彼女が
「いいえ、もう私にはあなたと対戦する理由はありません。」と。
「何故?」
彼女には、最初のようなおびえはなかった。
そして、自分の部活のメンバーの元へ帰っていく。
ねおの頭の中に、すすむが現れた。
そして、ただ、君を肯定すると一言だけ。
結局、何が正しいのか分からないよ。
──────
次はシソウくんの番だった。
とてもうずうずしている。
相手の人がやって来て、2試合目がはじまった。
最初に言ったのは、相手から。
「僕の思想は、絶対的なものは存在しないということ。」
次はシソウくんが言うことになった。
「僕の思想は創作。」
「創作?」
「はい。」と頷いて、説明をはじめた。
「創作は色々なことでできます。道端に落ちている石、昔あった出来事など。」
シソウは続ける。
「これから、実際に創作して説明します。僕の国の歴史では…」
自信があった、自分の国の歴史からの物語を言った。
しかし、シソウは、相手の顔、周りの雰囲気を見て思った。
思ったものとは違う。
もしかして、国が違うから…
自分の国であったことでは、共感を得られないのかもしれない…。
────────
会場に居た、高校の1つが、試合時間を待っていた。
「何も部活してないけど、やってもやらなくても変わらないでしょ。」
「そうだよな。」
「最初の相手、この大会作った人だって。」
「多分、めっちゃ練習してる。そんなやつらに勝てたら凄いんじゃね」
「いいな、それ。」
────────
シソウくんが負けを言って、次はふらさんが行くことになったのだが…。
僕は最初、自信は無かった。一回戦でもう敗退なのか…。と思っていた。
すすむくんは今回とても楽しみにしていたから、1回もできないのは、悲しいことだろう。
しかし、彼女は、相手の前に立った直後、何かきらきらと輝くものを放っているようだった。
そう感じていたのは、相手も同じだろう。
「え…なんて…?」
相手の人はたずねると、彼女は答えた。
「あなたの考えいいと思います。」
「まだ俺は考えしか言ってない。」
「私はあなたのことを肯定したい。」
「もし、それが不利益だとしたらどうする?」
「私はただ、あなたのいいところを見てそれを、肯定したい。」
僕は思った。すすむくんと同じ考えを持ってる。
影響を受けたのかどうか分からないが、とりあえず、2人の思想が揃った。
相手の人は、考えは、止まることでストップして、歩き出すことで動き出す。
彼女は相手の考えを肯定すること。
直後、相手は、自分の負けだと言った。
何があったのかは分からないが、とりあえず、2勝2敗。
次で勝者が決まる。
そして、次は、僕の番だ。
4戦目もとても大事だったが、最後は更に大事になる。
自分で大丈夫だろうか…。
不安があったが、大丈夫!と心の中で納得した。
相手の部長と対戦する。否定が酷そうな人でないのは安心だが、どんな思想を持ってるだろうか?
まずは、相手の部長が言った。
「僕の思想から話そう。」
「普通とは違うものこそとてもいいものであり、逆に普通のものは拒絶すべきもの。」
「そうなんですか…」
そう言いつつも、心の中では突然のことで、とても驚いている。
自分の思想と全く逆の人とすることになるなんて…。
ただ、ここで言わない訳には行かない。
「僕の思想は普通がいいものって事です。」
ギロりと睨まれる。
「そうか、君とは考えあわないようだ。」
僕はすぐに言った
「とりあえず、あなたの思想について教えてください」
「分かった。普通が何故悪いか。それについて説明すれば、君も分かるだろう。」
「普通の人間とは、何の能力もなくて、優れた点もない。何かを管理する側でもない」
「特に優れたこともないから、愚痴ばかり零す。管理される側にすぎないからな。」
「そんなものになりたいと言うものの気が知れない。」
僕の頭に、普通でないものの悪いところが浮かんで、反論したくなった。だが、ひっしにこらえる。
自分の、今、することは、相手の悪いところを言ったり、批判することじゃない…。
すすむくんは、相手のことを肯定した。だからこそ…。
きっと、これは、1年生の時のように、何か変わる時なんだ…。
昔の自分と今の自分。
僕は言った。
「君の考えを肯定する。」
「それはつまり、自分の考えを否定するということか?」
「いいや、同時に自分の考えも肯定する。」
これからが勝負だ。
────────