思想学部31

<h3>過去物語4</h3>

それはとても幼い…赤ちゃんくらいの時のこと。

僕の周りに妖精のような何かがとんでいた。

その妖精は僕に言った。

「あなたの夢はなんですか?」

僕は答える。

「全ての人間が平等に幸せなこと。」

それが事実だったか、起こっていないことだったか。

それは分からなかった。

だけど、心の中に真実だと思う強い心があった。

みんな、この世界の全ての人に幸福を…。

そうありたい。うまれた瞬間からの僕の望み。

なんとしてでも…。

ある時、僕はあるものを拾った。

そこから、何かが始まった。

それに助けられたり、色々な学びを得たり…。

しかし、そのあるものは、誰かが落としたもの。

持ち主が戻って見つからなかったから、一時的に僕が持っているだけ。

いつかは返したい。

中を見ると、知らない言葉もあるから、きっと外の世界の人なのだろう。


それから時が経ち、高校生になった。

以前から約束していたこともあり、僕はある男と話し合いをすることに。

「こうよ、来たか。」

「来たよ。」

「じゃあ、さっそくはじめるか。」

「うん。」

話すテーマはどっちが決める?

「そういちくんが決めていいよ。」

「こうよが不利になると思うがそれでいいんだな?」

「うん。ぼくはそれでも構わない。」

「分かった。」

そういちは思った。余裕があるようだな。

しかし、どうするか決まってる。

相手の武器をうちくだく。

「相手に希望を与えること。それはいいことか悪いことか。」

「いいと思うよ。」

そういちは、こうよがまだ余裕があるようでめんをくらった。

「どっちが先に話す。」

「僕はどちらでも大丈夫だよ。」

「じゃあ、先に言う。」

「相手に希望を与えること、それは相手に絶望を与えることと同義だ。」

「相手によって奮い立たされた人間は、多くのことを成し遂げるのが難しい。

何故なら、それは、自分の力ではないからだ。」

「本当に強くあるのは、一人であり、自らに適度な希望を与えるもの。

それは他人から与えられたものではない。」

「なるほど。君の考えもいいと思うよ。」

「それは、自分の考え間違えで、負けを認めるということか?」

「負けを認めてもいいけど、誰かに希望を与えることは辞めない。みんなの幸福を願うものとして。」

「じゃあ、話してみるといい。その、他人に希望を与えるということを。」

「悲しいと思ってる人、叶えたい夢がある人。だけど、自信がない。

そう考えてる人がまわりに沢山居たんだ。自分じゃできないって…。」

「そうして諦めちゃうのは悲しいことだよ。誰かが、本当に叶えたいと思うのなら、その夢はどんなことでも叶うから…」

「僕はみんなに希望を与えたい。」

「なるほどな。悲しいと思ってるもの、本当に希望を与えられるというのか?」

「できる。僕はそう信じてるよ。」

「あいつでもってことか?」

「うん。彼でも。」

そういちは「この討論、こうよの勝ちでいい。」と言って去っていった。

その最中、そういちは考える。しようと思えば、否定もできた。

だが、できなかった。

自分は1人でありながら、誰かに与えたいと思ってるのかもしれないな。

─────────

それから高校を卒業し、少しして僕は大人になった。

時間が経つにつれ、まわりは、付き合ったり結婚したり。

だが、僕には、決心があった。

子供はつくらない。

他の子供より、自分の子供を優先させてしまうから。

世界中のみんなを幸せにする。

それが僕の考えだった。

「お兄さん!」

「ああ。ゆめさん。」

「きょうも、わたしのかんがえてることはなしたくて!」

今の僕は子供たちに希望を与えてる。

君なら叶うって…。

僕にできるのは、前に進むための力。希望を与えること…。

話を聞いているうちに思ったんだ。

みんな、違った夢を持ってる。

純粋な心を一人一人が持ってる。

ぼうけんがしたい、ひとの夢をささえたい、みんなが仲良くしてる未来。

それら全部が、星のように、綺麗に輝いて…

特別なものなんだ。


だが…。

僕にはもう、時間が少ないようだ。

一人、そんな予感がしていた。

いちくんは大丈夫だろうか…。ぼうけんくんは大丈夫だろうか…。

そんな心配が少し浮かんできた。

だけど、きっとみんななら大丈夫…。

今、もし、自分にできることとしたら信じることくらい…。

「そうだ…」

僕は思い出した。

妖精さんは居るかい?」

すると、妖精は姿をあらわす。

「お久しぶりです。」

「久しぶり。君を見れてよかった。」

「どういうことですか?」

「きみのおかげで、僕は今までの人生、自分なりに頑張れた思うんだ。」

段々と視界がうすれてくる。

「大丈夫…大丈夫だよ。未来は明るいから。」

男が眠りについた時、妖精は言った。

「それがあなたの最後の願いですね。」

────────

<h3>思い出</h3>

これはある男の子の家でのこと。

「すすむ、最近、学校はどうだ?」

「楽しいよ!」

「そうか、変わらないな。」

「うん!」

「今年も試合があるのか?」

「うん、あるよ!」

「そうか…。部活の試合。懐かしいな。」

「父さんの過去の話、聞いてくれるか?」

「いいよ!」

「実はな。父さんが高校生の時にも、今の思想学部のような部活があったんだ。」

「知ってるよ。名前は分からないけど。」

「討論部って言うんだ。すすむの思想学部のように、大きな試合は無かったけどな。」

「討論部…?どんなことをしてたの?」

「あるテーマについて話し合うんだ。それが正しいか、正しくないか、もしくは、どちらが正しい方か。」

「すすむが通ってる思想学部と似てる。」

「そうなんだ。」

「父さんは友達と、その部活に入ってたんだ。」

────────

「やあ!部活入ってる?」

「入ってないよ。」

「そうか。良ければ、一緒に討論部に入らない?」

「ごめん…。僕はしたいことがあるんだ。」

「そうなのか…。人気者だもんな。」

落ち込む彼を見て、男は言った。

「幽霊部員になっちゃうかもしれないけど、それでいいなら僕も入りたいよ。」

「うん。それでいいよ。」

「ありがとう。ちなみに、討論部ってどんな部活なの?」

「2つのテーマを持ってきて、お互いに正しい方を話し合うんだ。」

「自分の方が正しいと決まったら自分の勝ち、その逆は相手の勝ちだ。」

「例えば、海で泳ぐのが楽しい人、空を飛ぶのが楽しい人がいたとする。」

「2人で話し合って、どっちの方が楽しいかって決めるんだ。その話し合いで決まった楽しい方が勝ちになる。」

「詳しくありがとう。なんとなくだけど、分かったよ。」

「良かった。早速、討論部へ行こうよ。」

行ってみて僕は驚いた。

「久しぶりだな。」

中学校の時の因縁の男、にせいが居たんだ。

「久しぶり。」

僕は小さな声で彼に聞く。

「大丈夫なのか…?」

「うん。彼はいい人だよ。」

「本当に…?中学校の時のこと、覚えてないのか?」

「覚えてるさ。だからこそ、彼はいい人だと思うんだ。」

信じられない。僕は心の中で思った。

しかし、僕はにせいのことをよく知らない。

彼は適当なことは言わないから、もしかしたら、いいところもあるのかもしれない。

心の中にしまっておいた。

だが、にせいは、「せっかく、討論部に入ったんだ。良ければ、僕と話し合いましょう。」と彼に言った。

「僕はしてもいいよ。」

彼はそう言ったが、僕が止めてその時はしないことになる。

「あいつ、なんで君に対戦しようって持ちかけるんだ?」

「分からない。でも、彼が求めるなら…してもいいと思ってるよ。」

「ダメだ。君のような人が、あいつと関わっちゃいけない。」

「彼のこと、少し言い過ぎだと思う。」

「ごめん…」

────────

ただ、数日して、討論はする事になったらしい。

幽霊部員と言えども、一応部活の一員だ。

それから、彼は、僕には何も言わず、あの男の元へいった。

場所は聞いていたから、すぐに向かったよ。

だが…。

あの男とどうしてもさせたくなかった。

中学校の頃から、にせいがどんなやつかは分かってたから…。

彼に悲しんで欲しくない…

くらい所は見たくなかったんだ…。

だが…。

彼の元へ行こうとする、にせいを妨げ、怪我をさせてしまった。

怪我は大きくは無かったが、もうそろそろ、運動会がある。

この怪我では出られないだろう…。

罪悪感で一杯になった。

悪いやつとはいえ、怪我をおわせてしまうのはいけない。

ただ、彼は、僕とにせいに優しく関わった。

学校の保健室へと連れていき、処置をしてもらう。

いつも助けられてばっかりだ…。

申し訳なさから、彼とはほとんど関わらなくなった。

気をつかってくれているのか、彼からも、僕には何も言わなかったよ。

ただ、彼は小さな子供や、歳の近い人、時には年上だって希望を与えようとすることを忘れなかった。

凄いやつだったよ。

───────

「話は終わりだ。」

「いくつか質問があるんだけど。」

「何がある?」

「何故、その話をしようと思ったの。」

「なんでだろうな。いつかは別れてしまう。

希望はもたない方がいいって、伝えようと思ったんだけどな。」

「未来はいっぱいの希望でできてる!」

すすむは目をキラキラさせる。

すすむの父は思った。すすむらしいな。

「他に何か質問があるか?」

「なんで名前を言わないの?彼って言ってた人の名前が知りたい。」

「分かった。彼の名前は世等(せとう)。」

「え!?それって…」

「どういうことなのか、それはすすむの考えに任せる。」

すすむの父はそう言って、去っていった

───────

<h3>過去物語5</h3>

僕は昔、自分の名前が嫌いだった。

ぶんた、その名前は2つわけるみたいに見えて、自分の考えにはんしてたから。

極端な考えはよくないと思ってた。

だけど…。

ある人とあって、ともに過ごしていくうちに、自分の考えが変わった。
 
あくまで普通であるのはそのままで、もし、偏ってしまった時…。

逆の要素をとりいれる。それが普通であるために大事なこと。

もし、外部から、欲や、苦しみがやってきてもその反対を作り出せば自分はどんな時でも普通で居られる。

この考えは、どんな人でも普通で居られるし、誰かを君は無理だと突き返すことはしない。

これで僕は、自分の中にあった偏りを、認められるようになったんだ。

ところで、最近は色々なことで新しく発見した普通をともに考えてみたりする。

自分の考えてることと、他のことが合致するとなんだか嬉しい。

ただ、不安なこともある。

それはこれからのこと。

この考えだけ持っていても、どうしようもない。

自分は何をしたいのか…?

それを考えなきゃいけない。

でも、考えると、未来のことだからな…。と思う。

今考えても、未来はどうなるか分からない。

ただ、期限が分からない別れがおこること。

それは事実だろう…。

僕は少しナイーブになりながら歩いていた。

すると、その様子をみかねたのか、20代、30代くらいの知らない男の人が僕に話しかけてくる。

「やぁ。」

「こんにちは。」

「いきなりごめんね。君を見て思ったんだ。」

「なんですか?」

「きみのまわりで、これから、大きな出来事がおこる。」

「なんですか…?」

「それは分からない。だけど、君を見て思ったんだ。」

「そうなんですね。」

「うん。僕の予感は10回に2回くらい当たるから。」

そんな確率の低い…。心の中で思いながら聞いた。

「それで、その出来事って悪いことですか、いいことですか?」

「それは君によると思う。メリーバッドエンドという言葉が相応しいかもしれない。」

「深く悩む必要は無い。なすようにまかせろという言葉があるからね。」

「それで、あなたの名前は…?」

「僕は振出あがる。名前は覚えなくてもいい。多分、君とは会うことはないと思うから。」

「そうですか…。」

「この偶然の出会いに感謝。」

男の人はそう言って僕の前から居なくなった。


そのまま、散歩する最中、心の中で思う。

オクシモロンみたいな名前の人だったな…。

変わった人、案外一杯居るのかもしれないな。

しかし、出来事。

何が起こるって言うんだろう。まぁ、信じては居ないけど。

また考えはじめた。

卒業すれば、部活の人達と別れなきゃいけない。

みんなそれぞれいいところがあった。

考えを認めてくれた。優しい人たち。

そう思うと、少し寂しいな。


それから少し経って、すすむくんと話した。

「卒業したら、離れ離れになるね…。きみは寂しくないの?」

「寂しくないよ。別れる必要ないんだ。」

「どういうこと?」

けれど、教えてくれない。

彼はただ、明るかった。


いつも変わらない。だけど、それが続く訳じゃない。

時には変わることも必要になってくる。

ただ、寂しかった。

自分の考えで言うのなら、この寂しさも、何か他のことでまぎらわす必要がある。

普通を目指すということは多分、そういうことなんだろう。

もし、本当にそうなら、少し人の気持ちを考えてないって思う。

その時の自分には、この考えに対する揺れるおもいがあった。


それから長い時が経つ。

僕はある人と和解した。

その最中、色々なことを思いついたし、プラトー効果みたいに停滞したこともあった。

出会いもあり、孤独も…。

色々成長して…考えも深まったから久しぶりに会ってみようかな。

和解によって、新しい友達もできたから彼に紹介したい。


懐かしい場所…。

僕はそっとドアを開けた。

すると、成長はしたが、あの時とは変わらない彼や、みんなの姿があった。

「久しぶり。」

そこに居たかれはそっと「久しぶり」と笑顔で迎える。

そこから、たくさんのことを話した。

とても懐かしくて、楽しい時間。

結局、自分の考えが原点に戻っていたという、恥ずかしいこともあったけど

明るく迎える彼が…みんなが僕はとても幸せだった。

最後に彼と一言ずつかわした。

「これからもよろしくね」

「こちらこそ、よろしく!」

─────────

<h3>中の自分と、外の自分</h3>

みんなは、お話の中のこと、考えたことあるかな?

人それぞれ、色々なラストをえがく。

ハッピーエンド、バッドエンド、メリーバッドエンド…。

どんな終わらせ方がいいか…そもそも、永遠と続けるのか?

理想のそれを描けるのであれば、僕はずっと続けていたいと思う。

だけど…。

この真理を知ってしまったから、プレッシャーも感じている。

それは…。

僕がお話の中の世界をつくることによって、外の世界にも影響があるってことだ。

自分の考え方次第で、全てが変わってしまう。

大勢の喜ぶ人や、大勢の苦しむ人をうんだりする。

慎重に書かねばならないだろう。

ただ、同時にそれは、この外の世界をどうにもできるということだ。

自分を慕う人を大勢つくりだし、毎日賞賛されるような毎日を過ごせる。

だが、僕はそれ以上の想像ができない。

それは、最初だけで、退屈な毎日になってしまう可能性をはらんでいる。

賞賛はむなしいだけだ。一時的なもので、永遠ではない。

少しすれば、人はその人の元から離れていく。

それが事実じゃないとしても、その想像がある以上、僕には価値のあるものではない。

それに、人形遊びのような関係では、満足はできない。

僕には、仲のいい人が数人居る。

それは、お話の力を借りたのではなく、自分が気を使って一緒に長い時間を過ごしてきたから。

お話をつかえば、意地悪なことをしても、うちの反動形成がすみません。とふざけた謝り方をしても許してもらえそうだが、現実はそうはいかないだろう…。

また逆に、これを使うことで、離れていってしまう可能性もあらわれてくる。

それは、その人が、その世界を好んでいない、もしくはマッチしていない時だ。

段々と僕から離れていってしまうだろう。

一緒に居ることはできるが、心のない操り人形では、彼はそこに居ないのと変わらない。

しかし、こうして、孤独な時には自分の心を癒すかけがえのないものだった。


僕は思った。

創作はこの世界をつくってはいないものの、自分には大きな影響をあたえるもの。

幸せな気持ちを与えてくれたり、悲しい気持ちにさせたり…。

本当に心から幸せにしようとするならば、きっと、その人は幸福になれるだろうし。

逆に、壊そうと思えば、壊せてしまう。

そんな世界だと、僕は思うんだ。

ただ、創作の中の世界が、本当に存在しないとはどうしても思えない。

たまに悪い想像で、創作の中の世界をどんどん悪くダメにしてしまうと、いずれ、何かこの世界にも影響を与えるのではないかと…。

そう考えてしまうのだ。

───────

「創作は無敵の学問だ!」

トモさんは驚いていた。

「シソウ、急にどうしたの?」

「昔、すすむさんが言ってたらしいんだ。」

「そうだったんだ。すすむさん変わってるね。」

「うん。僕はその言葉が好きなんだ。」

「とても肯定感があって、自分の考えにそれだけ自信がある。」

「そっか。」

ところで、すすむさんは、思想学って言ってたらしい。

そんな学問、存在するのかな?

もし、僕も同じことを言うとしたら創作学とか…?

創作と、学問…対極にありそうなものが一緒になってる。

おかしいな…。

だけど…。もし、わかりあえるとしたら…。

今は考えるのを辞めておこう。

この時は、誰かとわかりあえる楽しい時間を…。

「トモさん、僕は行き過ぎない限りなら…。」

「自分の辛い経験や、悲しい出来事は、とても物語に向いていると思うんだ。」

「そうなんだ。」

「今は私にも、分からないけど…。シソウが進んでいくうちにわかると思うんだ。」

「きっとあなたなら大丈夫。」

その言葉に驚きがあった。ただ、求めてなかったことも、時に、現実では落ちてくる。

その言葉が嬉しかった…。

心の中の、考えを肯定してくれてるようで…。

─────────

何か犯罪をする人は、行動力がある。

そう聞いたことはないだろうか。

絶対にしてはいけないことであるはずなのに、行動してしまう。

その方向がもし、人や、不幸にさせることでなければどうだったであろうか?

人を幸福にさせる。大きな力を持って、逆に人々に貢献してしまう。

方向性を変えれば、その人は何にでもなれる。強い行動力を持った人。

自信を失い、無気力にならない限り無敵。

力の使い方を間違えない限りは永遠とプラスの方向へと進んでいける。

行き過ぎそうになった時、思い出して欲しい。

自分は行動力がある。

その行動力を、こんなことで使ってもいいのか…?

無限に広がる可能性をおじゃんにしてしまっていいのか…?

人の可能性は創造の数だけ、無限大だ

────────

<h3>自由な考え</h3>

ある日のこと。

僕はいつものように、トモさんと会話をしていた。

その最中に、「突然だけど!」と切り出す。

「え!?どうしたの、シソウ。」

「創作について語りたいことがあるんだ。」

「いいよー。今日は何?」

「創作は現実を目指し、現実は創作を目指していると思うんだ。」

「どういうこと?」

「例えば、創作は創造が必要だけど、内容はどうしようかって考えなきゃいけない。」

「うん。何を書くかって題材必要だよね。」

「その題材って言うのは、現実がとられることが多い。」

「そして、逆に現実というのは困ったこと、不便だと思うことも少なくない。」

「まぁ…。そうなのかもしれないけど…。」

「そんな時はこんなのがあったらいいな、便利だなって考える。」

「それが最初に言った現実は創作を、創作は現実を目指してるってことだよ。」

トモさんは考えながら言う。

「でも、創作って、異世界とか違う世界のことも書くよね?」

「確かにそうだね。」

シソウは考えていた。

そして、言った。

異世界とかでも、非現実的過ぎるなら受けられないと思うよ。」

「共感性がないと、どんな物語でも受け入れる人は少ない。」

「そうなの?」

「僕の創作だけど。」

「分からないんだ。」

「うん。」

───────

彼女が帰ったあと、一人で考え事をした。

疑問を教えてくれる人は大切だ。他の人によって、それに新しい見え方ができる。

逆に悪い見え方も誰かから与えられることがある。

ところで、世の中には理不尽なことがある。

その存在が、1つの固定された人物像をもち、この人はこういう人間だ。

これをする、もしくは、できない人間はこういう人間だ。

と一定の価値観を押し付ける。

時に、それが多く広まってしまうと、誰かが苦渋を強いられる結果になる。

逆に、自分の得意なこと、優れているところでも、こんなところはよくはない。

これだけじゃあ、たりないと新しい何かを求める。

今まで持っていたものを無かったもののように捉え、新しい何かを得ようとするのだ。

自分の考えてることが事実か、そうではないかそれが分からないのに相手や、自分のそれを軽んじていいのだろうか?

僕はそうは思わない。

創作…それを深く容認すれば、きっと誰もを認められる世界が作られる。

確かに少しは考えの制約が必要かもしれないが…。


今日の創作にうつろう。

喧嘩についてあなたはどう思うだろうか?

それをすると悪い関係になってしまう、仲を深めるために必要なこと。

様々考えがあるかもしれない。

しかし、喧嘩についても、様々な種類がある。

仲を深める喧嘩、そうでない喧嘩様々ある。

しかし、後者の悪い関係になってしまう喧嘩。それを喧嘩とよんでいいのだろうか?

なるべくお互いが、平和で安全な喧嘩があることをのぞもう。

─────────

ただ、こう考えはすれども、自由な発想を語るのであれば制限の元の自由でしかない。

考えれば考えるほど、問題はあらわれてくる。

これこそが正しい考えであると…そう言えることがひとつも見当たらない…。

だが、それでも、素晴らしい埋もれてしまう考えがあるのであれば…。

様々な考えを受け入れてくれる創作というものの力を…。


それからまた数日経って、トモさんが家にやってくる。

「今日思いついたことがあるんだ!」

「それは?」

「創作を認めたいなら、勉強を頑張って偉くなるのはどうかなって!」

「ごめん。それは厳しいよ」

「そう…こちらこそごめんね…余計なお世話だったよね。」

「いや、大丈夫。トモさんの考えが知れて嬉しいよ。」

「ただ、僕は、未来の自分を信用してないんだ。」

「え、どうして…?」

「今、ハマってることが、未来もずっとハマってるか。そんな事は分からないし。」

「その時にハマってることをやって欲しいと思うから。」

僕は心の中で思う。

ただひとつ、これだけは守って欲しいってことを願いながら…。

「そうなんだ。確かに、いくら昔から続けてる事だって、未来ではどうなってるか分からないもんね…。」

「私もずっとこの国に居て、他の国には行かないと思ってた。」

「確かに。僕もそうだよ。行けるとは思ってなかった。」

「ふふっ、そうなんだ。意外。」

「うん。」


自由な考え、それをするには、相手の考えを認めること…。

それが1番大事だ。

勿論、認められないことはあるが、自分だけが認められないことはなるべく、認めてあげたいものである

───────