思想学部33

<h3>試合Ⅰ①</h3>

今日は試合がある。

去年は優勝だった。
しかし、はじまってほとんどしないためか、シードとかはないようだ。

だから、前回同様、1回戦から決勝まである。

そして、今回はどこまでいけるだろうか?

今日は2回戦するらしい。

1回戦の相手は料悠(りょうゆう)高校。

すすむくんは言った。

「自分のペースで頑張ろう」

「そうだね。それがいいと思う!」

そして、早速、試合が始まった。

最初に出るのはしゅごくん。

相手の人と向かい合った。

僕はすすむくんに聞く。

「そういえば、料悠高校って前も出てたらしいよね。1回戦で敗退したらしいけど。」

「そうだったんだ。」

「うん。相手は僕らが準決勝であたった相手とだよ。」

「なるほど。」

「うん。だから、実力は未知数なんだ。」

一方、相手の学校の人は、出てる女の子にエールをおくった。

「僕たちならできる!」

「うん。味素くんありがとう!」


「早速はじめよう。」

「うん、分かった。私、あまく頑張るよ!」

「僕の思想から話す。」

「はい!」

「僕の考えは大切な人を守ること。」

「とてもあまくいいですね。」

「次は君の番だよ。」

「はい!私はあまいものとかあまい世界です!」

「じゃあ、お互い、自分の考えを説明しよう。」

「大丈夫です!」

「どういうこと?」

「あなたの考え、あまくいい考えだと思ったので私の負けです!」

「そうなんだ。」

「はい。ありがとうございました。」 

そう言って、相手の人は自分の学校のメンバーの方へと戻って行った。

「しょっぱい結果だ。」

「ごめんね、塩野(えんの)くん。」

「これから取り返せば大丈夫!」

「瀬宇(せう)ちゃん、ありがとう!」

「でも、今日頑張ったら、ご褒美として、はじめての醤油風呂になるかも。」

「醤油風呂!?砂糖もいれて甘くしなきゃ!」

そんなこんなで、次の試合に。

相手の方は決まっていたようだが、こっちはまだ決まってなかった。

「誰か行きたい人は?」

そうすすむくんがたずねると、誰も行きたそうにない。

「じゃあ、僕が!」

そう言いかけた時、「私が行きます!」と後ろから誰かが言った。

振り返ると、みおさんが居た。

「え!?どうして、みおちゃん!」

ふらさんがたずねる。

「ふらちゃん!実はね!」

みおさんが語った。

それに少し驚いたが、彼女なりに何か意味を見出しているのだろう。

心の中で納得した。

「みおさん、分かった!応援してるね!」

「はい!ありがとうございます!」


それから、試合が始まった。

「さっきはしょっぱい結果だったけど、今度は勝ってみせる。」

「はい!お互い頑張りましょう!」

「俺の考えは、しょっぱいこと。世界も味も全部しょっぱいぜ!」

「なるほど!そんな考え方もあるんですね!」

みおさんはメモ帳を取り出しかきかきする。

「私は可愛いものしか勝たんってことです!世界中は可愛いもので溢れてる!」

みおさんがそう言った瞬間、相手の人が、苦しそうに膝をついた。

「しょっぱい、しょっぱすぎるぜ…。」

「どういうことですか?」

みおさんがたずねると「俺の口癖だから、意味はない」と言った。

塩野の頭の中に、1人の女性の姿が浮かぶ。

何故だろう…。全く正反対の考えである、あまい世界…。

そのはずなのに、とても魅力的に感じているんだ。

佐藤さんの考え…。今、分かった気がする。

彼女の考えが好きなんだ…。


それから、理由は分からず、みおさんの勝ちになった。

すすむくんは「おめでとう!」と言った。

「ありがとうございます!やっぱりいいですね、色々な人の考えが知れるって!」

「確かにいいよね!」

「はい!見てるだけじゃなく、実際に聞いてみるのもいいって思いました!」

「なるほど!」 

すすむくんは少し考え、うんうんと頷く。

次は僕が行きたい!と言う。

他の人が居なさそうなので、そのまますすむくんが行くことになった。

相手の方は、少し困っている。

「どうする…?」

「今回も、0勝3敗で負けるかも…。」

「あまあまにごめんなさい…。」

「おれもしょっぱい結果になってしまった。」

「大丈夫。ここからうまうまに挽回できるかも。」

「味素くん!あまあまに優しい。」

「次は誰が行くの?」

味素は悩んだ。

「最初に決めた順番通りだと…。」

座りながら1人で、水筒に入った飲み物を飲む男に目を向ける。

「酢田(すだ)くんになるんじゃないかな…?」

酢田は、すっぱいすっぱい…と呟く。

「前の試合頃から、元気無くしてるみたいだけど…。大丈夫かな…?」

味素は「じゃあ、僕がかわりに…!」と言うと酢田はその場を立って試合の場所へと向かった

───────

<h3>試合Ⅰ②</h3>

「酢田くん大丈夫なの?」

相手の部活の人が彼に聞いた。

「大丈夫だよ。順番でしょ。」

「でも…君…!」

「じゃあ、かわりに、味素くんが出る?僕はそれでもいいんだけど。」

「そういえば、前回も負けちゃったから、味素くんだけ出てないよね。」

「もし、酢田くんが出たいのなら…僕は君に譲るよ。」

「じゃあ、出たい訳じゃないけど出るよ。」

酢田という人がそういった事で、出るのはそのままになった。

「待たせて悪かったね。」

「ぼくは大丈夫。好きなだけ時間を使って欲しい。」

「そうかい。じゃあ、早速はじめよう。」

「うん、分かった!」

すすむくんは頷く。

それから、酢田さんが言った。

「僕の考えはすっぱいものが素晴らしいこと。人生も同じでね。」

「なるほど。」

「うん。次は君の考えを聞かせて欲しい。」

「僕は…。君の考えを肯定したい。」

「肯定する?」

「うん。とりあえず、すっぱいものについて説明して欲しい。その後話すから。」

「分かった。」

「すっぱいものって言うのは素晴らしい。」

そう酢田語っていく。しかし、頭の中に、昔の出来事が浮かんでいた。

そう、あれは去年の1回戦。

佐藤さんが休んで、6人目が5番目に加わり、僕は2番目に出ることになった。

最初に出た塩野くんは言う。

「強かった…。しょっぱい結果になったよ。」

「次は僕が頑張るから!」

そう言って、いつも通り、飲み物を飲んで準備万端で行った…

しかし…。

相手のとらという男。自分の考えに、強い自信を持っている。

僕は劣勢にたたされた。

このままじゃ、僕も負けと言うしかなくなる…。

そう思って最終手段、自分のすっぱいものへの愛を伝えることにした。

「僕はすっぱいものを愛している。」

「だから、水筒の中には、自分でレモンを絞ったものだけを使ったジュースが入ってる!」

「レモン?

君は酢が好きだったんじゃないのか。何故、レモンなんだ?」

その言葉に戦意喪失した。

「僕の負けです…。」

本当はレモンでなく、酢を水筒にいれて飲みたいと思ってる…。

だけど、親にとめられるんだ…。

そこから、僕は悲しい気持ちで過ごしてた。

今日、この日まで


すすむは言った

「君の考え、いいと思うよ。」

「?」

「僕の考えを言う。人の考えをできる限り肯定すること。」

「何故、そんなことを?」

「僕がしたいと思うからだよ。」

「君の考え、そのことについて深く思ってるんだって…少し伝わった気がするから…。

僕は君の考えを肯定したい」

「誰でもいいんでしょ。」

「そうかもしれない。だけど、君の考えを、肯定したいと思ったんだ。」

「じゃあ、すっぱいものが好きだから…レモンの飲み物を水筒にいれてるとかは?」

「いいと思うよ。それだけ自分の考えや、すっぱいものに対して気持ちがあるってことだと思うから。」

「酢じゃない…。大好きって言っておきながら、違うものを飲んでるんだ。」

「それでもいいじゃないか。」

彼は付和雷同なのか…?

心の中でそう思う。しかし、彼は僕の話をちゃんと聞いて、更に答えてくれた────────


「1回戦目勝った!」

僕はすすむくんをむかえる。

「そうだね。色々な考えの人が居て…やっぱりこういうのがあっていいなって思った」

「確かに、人がみる世界はそれぞれ違うんだって改めて思う。」


料悠高校では、酢田が暗くみんなの元へ戻った。

「ごめん。また負けちゃった。」

「しょっぱいこと言うなよ。俺も負けたんだ。」

「私も負けてしまいました…。」

瀬宇は言った。

「そんなに落ち込まないで…。私の水筒の醤油飲む?」

味素は驚く。

「凄いものいれてるね。」

「本当は麦茶だけど。」

「あはは。まぁ、色々あると思うけど、みんな頑張ったと思うんだ。」

「一緒に試合に出てくれてありがとう。みんなの考え、僕好きなんだ。」

「ありがとう。」

「君たちと出られて良かったと思ってる。」

───────

「次の試合、どことだろう?」

僕はトーナメント表をみた。

すると、次に当たりそうなのは、どちらも知らない学校。

また新しい考え方が知れるかもしれない。

心の中でそう思った。

そういえば、トーナメントでは、やっぱりリベシン高校とは決勝まであたらないようになってる。

彼らはどうしてるんだろう?


部長は言った。

「いいスタートをきれたな。」

「これなら、3-0で全部勝てるんじゃないですか?」

すいぞうは笑いながら言う。

「確かにここにいる全員、信頼してる。しかし、油断は禁物だ。」

そして、部長は元気の無さそうな副部長の顔を見る。

「大丈夫か?」

「あ…!はい!」

「ごめんなさい、順番後にして欲しいって言って…」

「いや、大丈夫だ。無理な時は仕方ない。」

「部長…優しいです。」

「ありがとう。」

そして、部長はみんなの方を向く。

「次の試合に行こう。」

───────

<h3>試合Ⅰ③</h3>

2試合目。

すすむくんは「頑張ろう!」と言って変わらず楽しそうにしてた。

最初はみおさん、次にふらさんが出る。

2人とも相手に優しく、そして、自分の考えにもとても前向きで勝ちになった。

次勝てば今日の試合は終わり。

すすむくんに言った。

「僕が出てもいいかな?」

「もちろん。応援してるね」

「すすむくん、ありがとう。」

ただ、少し違和感があった。

相手の雰囲気がおかしい。

ずっと感じていた。今回は何か起こる気がしてる。

「よろしくお願いします。」

相手の人はそう言って握手をもとめる。

僕はそれに受け入れ、手を差し出した。

それから対戦がはじまる。

「僕の思想から話すよ。」

すると相手は言った。

「必要ありません。」

「え…?」

「これから行われるのは、私の入信する宗教に入ること。」

僕の部活と、相手の部活以外を見てみる。

すると、どこかの宗教に入ってるような格好の人達が沢山集まっている。

「どういうこと…?」

「唯一無二の神、あの方がつくられた宗教。誰をも自らに引き寄せ、巨大になっていく。」

「彼こそが神であるから。多くを許し、大きく異端とされるものには処罰をあたえる。」

「よく分からないよ。」

「入信すれば分かることです。あなたの考えであろうと神は許してくださいますよ。」

「僕はいいよ。」

「なんだと?」

「ごめん。自分の考えを認めないと許してくれないなら、僕は誰であろうと手を差し伸べてくれる友達を信じたい。」

「なるほど。あなたは絶対に入らないと言うのですね?」

「これからのことは分からないけど…。今の自分の気持ちは入りたくないって言ってる。」

「そうですか…。」

「試合をしようよ。もしかしたら、気分が変わるかもしれない。」

「思想というものですか?」

「うん。」

「いいでしょう。私はあの方の思想に触れていたことがある。」

「あの方?」

「それも、入信すれば分かることです。」

「そっか。」

「早速、始めよう!」

「はい。」

「僕の思想は普通について。」

「そうですか。私は苦しみのない世界。」

「なるほど。説明をしようか。」

「分かりました。」

「僕の考える普通とは…」

そうして、説明してると、彼が少し不機嫌になってるような気がした。

それから全部話終えると彼は言う。

「入信の話、無しにさせてください。」

「どうして?」

「あなたの考えを聞いて分かったのです。

もし、入信すれば、内部分裂が起こるかもしれない。」

「試合はどうするの?」

「私の負けでいいです。そこには興味がないので。」

疑問が沢山浮かぶ。

思想の説明がなかったし、僕の考えでそう思わせた、その人の考えって…?

分からないことだらけだ。

少しだけ前々思ってた。やっぱり、今年、何かがあるって。

すすむくん達が僕の周りにやってきた。

「大丈夫だった?」

「うん。大丈夫だったよ。」

「宗教の話って…。よく分からないから怖いな…。」

そうかもしれない…。この初終島には、色々な宗教がある。

いいものも、悪いものも。印象が良くないので言えば一統教。

他宗教を悪者としたり、自分の宗教に無理にいれさせようとする。

多くの宗教が、この宗教によって、改宗されたり、自らが宗教は嘘だと認めさせられたと言う。

それだけでなく犯罪もしているとか…。

「あいだくん?」

とても心配そうに、しずくさんが見つめていた。

「あ…。ごめん。考え事してた。」

「何でもないんだね、良かった…!」

「心配してくれてありがとう。」

それから僕はすすむくんの方をみた。

「とりあえず!今日、なんとか全部勝てたね。」

「確かに。出だしは、とても調子いいね!」

「うん。また次回も、色々な人の考え聞けると思ったら楽しみだよ!」

すすむくんはそう言い微笑んだ。

「だね!」


トーナメント表では、一足先に、リベシン高校が3-0、3-0と勝利していたのだった

────────

<h3>それぞれの出来事</h3>

それから時が経って、生徒会長選挙も過ぎた。

にわのさんが言う。

「驚きましたね。」

「はい…まさか、みおちゃんが生徒会長になって…。学校がこうなるなんて…」

ふらさんがまわりをみると、あたりにぬいぐるみが沢山おいてある。

「とてもメルヘンチックな童話の世界みたい。」

「ですね。メルヘンチックスクール略してメルスクに名前変わるんじゃ…。」

「おぉ!いいネーミングですね!」

「ありがとう。」

「ところで、にわのさん、どうして思想学部に入ったんですか?」

「することがあるんです…。やり残したこと。」

「そうなんですか…」

「はい。試合が終わるまで思想学部に居させてもらいます。

ふらさんも何かしたいことはあったりしますか?」

「私ですか…?」

少し考えて、笑顔で答えた。

「私は毎日叶ってますよ!」

「なるほど…。それもいいですね。」

「はい!」

みおさんは頑張って、なるべく、みんなが幸せになるように考えて動いた。

そして、それを後押しする気持ちの強さが…みんなに届いたのかもね…。


「れんかさん!」

「あぁ…。ゆめちゃん、どうしたの?」

「部活、あんまり参加しないですね。何かあったんですか?」

「特に何も無いけど…。」

「そうですか。安心しました!」

「話はそれだけかな?」

「試合のことなんです!皆さん勝ちましたよ!」

「そうなんだ。前に優勝したって聞いたし、強いみたいだね。」

「はい!皆さんの話聞いててなんだか、仲間が沢山居るみたいで嬉しかったです!」

「仲間?」

「あぁ…。私には変わった考えがあって…。私のまわりにはそういう人ってあんまり居なかったんです。」

「小さい頃は居たんですけど…ね。

でも、私の事を支えてくれる人は沢山居て。今までずっと優しくしてくれて…」

「そうなんだ。」

「話しすぎてごめんなさい。」

「ううん。大丈夫だよ。

支えてくれる人…ね。」

ふと、男の子の顔が浮かんだ。

私がここまで居られたのは、あの人が居たからかも…。

「ありがとうございます。また話しましょうね!」

そう言って去ろうとした時、れんかは言う。

「あの!」

「はい、なんでしょう?」

「私も…次回は練習試合、行こうかな。」

「えぇ!?いいんですか?」

「いいよ!」

「更に楽しみになりました!」

ゆめはふふっと笑顔で微笑む。


───────

「よぉ。久しぶりだな。」

ひていはリベシン部長に歩み寄る。

「あぁ。ひていか。部活には来ないのか?」

「自分でやったこと忘れたのかよ。俺は騙されたんだ。」

「そうか、悪かったな。」

「本当に謝ってんのかよ…」そうボソリと言うと続けた。

「まぁ、いいや。俺はあんたとしたいことがあるんだ。」

「なんだ?」

「かけだよ。正しい方に屈服する。それをかけるんだ。」

「まずは内容を聞こうか。」

「準決勝はいけるだろう、しかし、決勝の最中、リベシンから裏切り者が出る。それもあんたが信頼してるやつからな。」

「なるほど。いいだろう。」

「はははっ。言ったな。むり、お前は俺の下につくんだ。」

「どうなるだろうな?」

「人なんて信用出来ねえ。すぐに自分が間違ってたって分かるだろうな。」

「試合が終わったあと、全員かけることなく居られれば俺の勝ちでいいな?」

「あぁ。1人でもかければ俺の勝ちだ。」

ひていにはとても強い自信があった。


「きせきちゃん、きせきちゃん!」

しずくは彼女の肩をたたく。

「あ…!しずくちゃん。ごめん、ボーッとしてた。」

「最近、どうしたの…?あんまり喋らなくなっちゃったけど…。」

「記憶を失う前はずっとそうだったよ…。吹奏楽部も、楽器ひけないから静かに浮かないようにしてた」

「え!?そうだったんだ。」

「うん。たまにバレたりしてたけどね…!私、ピアニカしかひけないんだ。」

「なるほど…。リベシン高校の人が関係あるのかと思ってた!」

「ゆめりちゃんのこと…?」

「そうそう。その人とは、最近どうなの?」

「会ってないよ…。」

「そうだったんだ…。」

「うん…。会う機会がないんだ。でも、元気で過ごしてたらいいなって思うんだ。」

しずくは悲しそうにきせきを見つめる。

「そうだ!」

そして、隣で、話を静かに聞いていたみちかの方を見る。

「みちかちゃんもその高校に知り合いがいるよね。」

「うん、いるよ。あゆみちゃん。」

「最近、どうしてるかって分かるかな…?」

「あゆみちゃんとは会うけど…。部活は辞めちゃったみたいだから分からないって。」

「そっか…。」

「大丈夫だよ!」

きせきはおだやかに笑顔をつくる。

その後、みちかは言った。

「でも、結束力がとても強くなってるって風の噂で聞いたって…あゆみちゃんが。」

「そうなんだね…。ゆめりちゃんいい人たちに囲まれてるんだ。」

少し安心したように上を向いた───────

<h3>過去物語8</h3>

高校生になった。

最近、あの人のところに行くことも少なくなってる。

みんな学校もバラバラだし、今更、何をしようって考えないだろうし…。

それに!

私は今もあの人と繋がってる。

会うのは少ないけど、こうして想像の中でいつも…。

普通にあうときより、刺激は少ない…だけどいつも優しいの。

きぼうくん…。

部活中も、家に帰ってからもずっと考えてる。

今度はいつ会えるかな…?


「教祖。」

「何かありましたか?」

「はい。問題が2つできました。」

「それは何か?」

「1つ目はあの宗教が、1人の男によって…」

「あの宗教か…。聞きましたよ。」

「どうするんですか?」

「変わらずです。もう感情はありません。こうしてこの宗教も大きくなった。」

「しかし、その男、教祖の宗教も壊してしまうかもしれまん。」

「その時は然るべき対応をします。」

「まだ問題が…。」

「えおたさん。あなたは少し考えすぎです。宗教のことを思うのは嬉しいですが。」

「僕もあの宗教に壊された。そんな時にあなたは手を差し伸べてくれた。」

「そうですか。私も信用してますよ。あなたのこと。」

「ありがとうございます。」

「一応、さっきの問題も聞いておきましょう。」

「はい。宗教内部にいる、堀多兄弟のことです。」

「あぁ。その2人がどうしたんですか?」

「特に弟の方。最近、内部で、勢力をのばしてきてる。」

「どこからか新しい考えを取り入れ、合体させたそうですね。」

「はい、その考えが支持されている。このままいけば、この宗教乗っ取られる危険があります。」

「そうですか。しかし、彼の考えがこうして大きくなれた1つの要因です。」

「今は見送ってもいいでしょう。それに、彼はしない男だと信用してます。」

「しかし、もしもがあったら…!」

「その時は然るべき対応をします。今は考える必要はありませんよ。」

「分かりました…。」


家であの人のことを考えながら、物語をメモってると誰かがやってきた。

誰だろう…?

そう思って向かってみると、ゆういちくんだった。

「高校生になっても、あなたは変わらないね。」

「この世界は間違いのない世界だから!」

「そればっかりなんだから。」

「今日も勝負を…!」

ゆういちがそういいかけた時、私は考え事をしていた。

そうだ!せっかくだから、彼の話を聞いてもらおう。

「ゆういちくん、話を聞いて!」

「分かった!」

何かいいかけてたみたいだけど…。多分、いつもの勝負だろうし、いっか。

そう思って、家の中に彼を連れてった。

「話っていうのは、きぼうくんのこと!」

「あぁ。」

「きぼうくんかっこいい!いつも人のこと考えてて優しいし!」

「誘ったら、よくお話に付き合ってくれるの!」

ゆういちは頷く。

「ダイバースショーの時はもう…。今でも浮かぶの…。アイドルになったみたいって」

考えるのに夢中になってて、私はハッとした。

「ごめん。」

「謝る必要は無い!間違いはないから!」

「まだそれ好きなの?」

「あぁ!」

「変わった考えといったら、私も部活入ったんだ。」

「部活って?」

「思想学部って言うの。なんか、怪しい名前だけど。」

「いいと思う。」

「ありがと。実際に悪い人居ないみたいだし、休んでも大丈夫そうでゆるゆるだから居るんだけど。」

「そうか。どんな部活?」

「変わったことを言い合うみたいな…。ゆういちくんにあってるかも。」

───────

だけど、私にはあわない部活。そう思ってる。

こうして、きぼうくんのこと考えたり、時々、会ったり…。

ずっと、そうできれば私は満足。


そして今日!

きぼうくんに会えた。

「来てくれてありがとう!」

「こちらこそ、誘ってくれてありがと。」

公園に行ったり、色んな場所に行って話した。

幸せな時間。

あぁ、この時間が永遠に続いたらいいな

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