<h3>試合Ⅰ①</h3>
今日は試合がある。
去年は優勝だった。
しかし、はじまってほとんどしないためか、シードとかはないようだ。
だから、前回同様、1回戦から決勝まである。
そして、今回はどこまでいけるだろうか?
今日は2回戦するらしい。
1回戦の相手は料悠(りょうゆう)高校。
すすむくんは言った。
「自分のペースで頑張ろう」
「そうだね。それがいいと思う!」
そして、早速、試合が始まった。
最初に出るのはしゅごくん。
相手の人と向かい合った。
僕はすすむくんに聞く。
「そういえば、料悠高校って前も出てたらしいよね。1回戦で敗退したらしいけど。」
「そうだったんだ。」
「うん。相手は僕らが準決勝であたった相手とだよ。」
「なるほど。」
「うん。だから、実力は未知数なんだ。」
一方、相手の学校の人は、出てる女の子にエールをおくった。
「僕たちならできる!」
「うん。味素くんありがとう!」
「早速はじめよう。」
「うん、分かった。私、あまく頑張るよ!」
「僕の思想から話す。」
「はい!」
「僕の考えは大切な人を守ること。」
「とてもあまくいいですね。」
「次は君の番だよ。」
「はい!私はあまいものとかあまい世界です!」
「じゃあ、お互い、自分の考えを説明しよう。」
「大丈夫です!」
「どういうこと?」
「あなたの考え、あまくいい考えだと思ったので私の負けです!」
「そうなんだ。」
「はい。ありがとうございました。」
そう言って、相手の人は自分の学校のメンバーの方へと戻って行った。
「しょっぱい結果だ。」
「ごめんね、塩野(えんの)くん。」
「これから取り返せば大丈夫!」
「瀬宇(せう)ちゃん、ありがとう!」
「でも、今日頑張ったら、ご褒美として、はじめての醤油風呂になるかも。」
「醤油風呂!?砂糖もいれて甘くしなきゃ!」
そんなこんなで、次の試合に。
相手の方は決まっていたようだが、こっちはまだ決まってなかった。
「誰か行きたい人は?」
そうすすむくんがたずねると、誰も行きたそうにない。
「じゃあ、僕が!」
そう言いかけた時、「私が行きます!」と後ろから誰かが言った。
振り返ると、みおさんが居た。
「え!?どうして、みおちゃん!」
ふらさんがたずねる。
「ふらちゃん!実はね!」
みおさんが語った。
それに少し驚いたが、彼女なりに何か意味を見出しているのだろう。
心の中で納得した。
「みおさん、分かった!応援してるね!」
「はい!ありがとうございます!」
それから、試合が始まった。
「さっきはしょっぱい結果だったけど、今度は勝ってみせる。」
「はい!お互い頑張りましょう!」
「俺の考えは、しょっぱいこと。世界も味も全部しょっぱいぜ!」
「なるほど!そんな考え方もあるんですね!」
みおさんはメモ帳を取り出しかきかきする。
「私は可愛いものしか勝たんってことです!世界中は可愛いもので溢れてる!」
みおさんがそう言った瞬間、相手の人が、苦しそうに膝をついた。
「しょっぱい、しょっぱすぎるぜ…。」
「どういうことですか?」
みおさんがたずねると「俺の口癖だから、意味はない」と言った。
塩野の頭の中に、1人の女性の姿が浮かぶ。
何故だろう…。全く正反対の考えである、あまい世界…。
そのはずなのに、とても魅力的に感じているんだ。
佐藤さんの考え…。今、分かった気がする。
彼女の考えが好きなんだ…。
それから、理由は分からず、みおさんの勝ちになった。
すすむくんは「おめでとう!」と言った。
「ありがとうございます!やっぱりいいですね、色々な人の考えが知れるって!」
「確かにいいよね!」
「はい!見てるだけじゃなく、実際に聞いてみるのもいいって思いました!」
「なるほど!」
すすむくんは少し考え、うんうんと頷く。
次は僕が行きたい!と言う。
他の人が居なさそうなので、そのまますすむくんが行くことになった。
相手の方は、少し困っている。
「どうする…?」
「今回も、0勝3敗で負けるかも…。」
「あまあまにごめんなさい…。」
「おれもしょっぱい結果になってしまった。」
「大丈夫。ここからうまうまに挽回できるかも。」
「味素くん!あまあまに優しい。」
「次は誰が行くの?」
味素は悩んだ。
「最初に決めた順番通りだと…。」
座りながら1人で、水筒に入った飲み物を飲む男に目を向ける。
「酢田(すだ)くんになるんじゃないかな…?」
酢田は、すっぱいすっぱい…と呟く。
「前の試合頃から、元気無くしてるみたいだけど…。大丈夫かな…?」
味素は「じゃあ、僕がかわりに…!」と言うと酢田はその場を立って試合の場所へと向かった
───────
<h3>試合Ⅰ②</h3>
「酢田くん大丈夫なの?」
相手の部活の人が彼に聞いた。
「大丈夫だよ。順番でしょ。」
「でも…君…!」
「じゃあ、かわりに、味素くんが出る?僕はそれでもいいんだけど。」
「そういえば、前回も負けちゃったから、味素くんだけ出てないよね。」
「もし、酢田くんが出たいのなら…僕は君に譲るよ。」
「じゃあ、出たい訳じゃないけど出るよ。」
酢田という人がそういった事で、出るのはそのままになった。
「待たせて悪かったね。」
「ぼくは大丈夫。好きなだけ時間を使って欲しい。」
「そうかい。じゃあ、早速はじめよう。」
「うん、分かった!」
すすむくんは頷く。
それから、酢田さんが言った。
「僕の考えはすっぱいものが素晴らしいこと。人生も同じでね。」
「なるほど。」
「うん。次は君の考えを聞かせて欲しい。」
「僕は…。君の考えを肯定したい。」
「肯定する?」
「うん。とりあえず、すっぱいものについて説明して欲しい。その後話すから。」
「分かった。」
「すっぱいものって言うのは素晴らしい。」
そう酢田語っていく。しかし、頭の中に、昔の出来事が浮かんでいた。
そう、あれは去年の1回戦。
佐藤さんが休んで、6人目が5番目に加わり、僕は2番目に出ることになった。
最初に出た塩野くんは言う。
「強かった…。しょっぱい結果になったよ。」
「次は僕が頑張るから!」
そう言って、いつも通り、飲み物を飲んで準備万端で行った…
しかし…。
相手のとらという男。自分の考えに、強い自信を持っている。
僕は劣勢にたたされた。
このままじゃ、僕も負けと言うしかなくなる…。
そう思って最終手段、自分のすっぱいものへの愛を伝えることにした。
「僕はすっぱいものを愛している。」
「だから、水筒の中には、自分でレモンを絞ったものだけを使ったジュースが入ってる!」
「レモン?
君は酢が好きだったんじゃないのか。何故、レモンなんだ?」
その言葉に戦意喪失した。
「僕の負けです…。」
本当はレモンでなく、酢を水筒にいれて飲みたいと思ってる…。
だけど、親にとめられるんだ…。
そこから、僕は悲しい気持ちで過ごしてた。
今日、この日まで
すすむは言った
「君の考え、いいと思うよ。」
「?」
「僕の考えを言う。人の考えをできる限り肯定すること。」
「何故、そんなことを?」
「僕がしたいと思うからだよ。」
「君の考え、そのことについて深く思ってるんだって…少し伝わった気がするから…。
僕は君の考えを肯定したい」
「誰でもいいんでしょ。」
「そうかもしれない。だけど、君の考えを、肯定したいと思ったんだ。」
「じゃあ、すっぱいものが好きだから…レモンの飲み物を水筒にいれてるとかは?」
「いいと思うよ。それだけ自分の考えや、すっぱいものに対して気持ちがあるってことだと思うから。」
「酢じゃない…。大好きって言っておきながら、違うものを飲んでるんだ。」
「それでもいいじゃないか。」
彼は付和雷同なのか…?
心の中でそう思う。しかし、彼は僕の話をちゃんと聞いて、更に答えてくれた────────
「1回戦目勝った!」
僕はすすむくんをむかえる。
「そうだね。色々な考えの人が居て…やっぱりこういうのがあっていいなって思った」
「確かに、人がみる世界はそれぞれ違うんだって改めて思う。」
料悠高校では、酢田が暗くみんなの元へ戻った。
「ごめん。また負けちゃった。」
「しょっぱいこと言うなよ。俺も負けたんだ。」
「私も負けてしまいました…。」
瀬宇は言った。
「そんなに落ち込まないで…。私の水筒の醤油飲む?」
味素は驚く。
「凄いものいれてるね。」
「本当は麦茶だけど。」
「あはは。まぁ、色々あると思うけど、みんな頑張ったと思うんだ。」
「一緒に試合に出てくれてありがとう。みんなの考え、僕好きなんだ。」
「ありがとう。」
「君たちと出られて良かったと思ってる。」
───────
「次の試合、どことだろう?」
僕はトーナメント表をみた。
すると、次に当たりそうなのは、どちらも知らない学校。
また新しい考え方が知れるかもしれない。
心の中でそう思った。
そういえば、トーナメントでは、やっぱりリベシン高校とは決勝まであたらないようになってる。
彼らはどうしてるんだろう?
部長は言った。
「いいスタートをきれたな。」
「これなら、3-0で全部勝てるんじゃないですか?」
すいぞうは笑いながら言う。
「確かにここにいる全員、信頼してる。しかし、油断は禁物だ。」
そして、部長は元気の無さそうな副部長の顔を見る。
「大丈夫か?」
「あ…!はい!」
「ごめんなさい、順番後にして欲しいって言って…」
「いや、大丈夫だ。無理な時は仕方ない。」
「部長…優しいです。」
「ありがとう。」
そして、部長はみんなの方を向く。
「次の試合に行こう。」
───────
<h3>試合Ⅰ③</h3>
2試合目。
すすむくんは「頑張ろう!」と言って変わらず楽しそうにしてた。
最初はみおさん、次にふらさんが出る。
2人とも相手に優しく、そして、自分の考えにもとても前向きで勝ちになった。
次勝てば今日の試合は終わり。
すすむくんに言った。
「僕が出てもいいかな?」
「もちろん。応援してるね」
「すすむくん、ありがとう。」
ただ、少し違和感があった。
相手の雰囲気がおかしい。
ずっと感じていた。今回は何か起こる気がしてる。
「よろしくお願いします。」
相手の人はそう言って握手をもとめる。
僕はそれに受け入れ、手を差し出した。
それから対戦がはじまる。
「僕の思想から話すよ。」
すると相手は言った。
「必要ありません。」
「え…?」
「これから行われるのは、私の入信する宗教に入ること。」
僕の部活と、相手の部活以外を見てみる。
すると、どこかの宗教に入ってるような格好の人達が沢山集まっている。
「どういうこと…?」
「唯一無二の神、あの方がつくられた宗教。誰をも自らに引き寄せ、巨大になっていく。」
「彼こそが神であるから。多くを許し、大きく異端とされるものには処罰をあたえる。」
「よく分からないよ。」
「入信すれば分かることです。あなたの考えであろうと神は許してくださいますよ。」
「僕はいいよ。」
「なんだと?」
「ごめん。自分の考えを認めないと許してくれないなら、僕は誰であろうと手を差し伸べてくれる友達を信じたい。」
「なるほど。あなたは絶対に入らないと言うのですね?」
「これからのことは分からないけど…。今の自分の気持ちは入りたくないって言ってる。」
「そうですか…。」
「試合をしようよ。もしかしたら、気分が変わるかもしれない。」
「思想というものですか?」
「うん。」
「いいでしょう。私はあの方の思想に触れていたことがある。」
「あの方?」
「それも、入信すれば分かることです。」
「そっか。」
「早速、始めよう!」
「はい。」
「僕の思想は普通について。」
「そうですか。私は苦しみのない世界。」
「なるほど。説明をしようか。」
「分かりました。」
「僕の考える普通とは…」
そうして、説明してると、彼が少し不機嫌になってるような気がした。
それから全部話終えると彼は言う。
「入信の話、無しにさせてください。」
「どうして?」
「あなたの考えを聞いて分かったのです。
もし、入信すれば、内部分裂が起こるかもしれない。」
「試合はどうするの?」
「私の負けでいいです。そこには興味がないので。」
疑問が沢山浮かぶ。
思想の説明がなかったし、僕の考えでそう思わせた、その人の考えって…?
分からないことだらけだ。
少しだけ前々思ってた。やっぱり、今年、何かがあるって。
すすむくん達が僕の周りにやってきた。
「大丈夫だった?」
「うん。大丈夫だったよ。」
「宗教の話って…。よく分からないから怖いな…。」
そうかもしれない…。この初終島には、色々な宗教がある。
いいものも、悪いものも。印象が良くないので言えば一統教。
他宗教を悪者としたり、自分の宗教に無理にいれさせようとする。
多くの宗教が、この宗教によって、改宗されたり、自らが宗教は嘘だと認めさせられたと言う。
それだけでなく犯罪もしているとか…。
「あいだくん?」
とても心配そうに、しずくさんが見つめていた。
「あ…。ごめん。考え事してた。」
「何でもないんだね、良かった…!」
「心配してくれてありがとう。」
それから僕はすすむくんの方をみた。
「とりあえず!今日、なんとか全部勝てたね。」
「確かに。出だしは、とても調子いいね!」
「うん。また次回も、色々な人の考え聞けると思ったら楽しみだよ!」
すすむくんはそう言い微笑んだ。
「だね!」
トーナメント表では、一足先に、リベシン高校が3-0、3-0と勝利していたのだった
────────
<h3>それぞれの出来事</h3>
それから時が経って、生徒会長選挙も過ぎた。
にわのさんが言う。
「驚きましたね。」
「はい…まさか、みおちゃんが生徒会長になって…。学校がこうなるなんて…」
ふらさんがまわりをみると、あたりにぬいぐるみが沢山おいてある。
「とてもメルヘンチックな童話の世界みたい。」
「ですね。メルヘンチックスクール略してメルスクに名前変わるんじゃ…。」
「おぉ!いいネーミングですね!」
「ありがとう。」
「ところで、にわのさん、どうして思想学部に入ったんですか?」
「することがあるんです…。やり残したこと。」
「そうなんですか…」
「はい。試合が終わるまで思想学部に居させてもらいます。
ふらさんも何かしたいことはあったりしますか?」
「私ですか…?」
少し考えて、笑顔で答えた。
「私は毎日叶ってますよ!」
「なるほど…。それもいいですね。」
「はい!」
みおさんは頑張って、なるべく、みんなが幸せになるように考えて動いた。
そして、それを後押しする気持ちの強さが…みんなに届いたのかもね…。
「れんかさん!」
「あぁ…。ゆめちゃん、どうしたの?」
「部活、あんまり参加しないですね。何かあったんですか?」
「特に何も無いけど…。」
「そうですか。安心しました!」
「話はそれだけかな?」
「試合のことなんです!皆さん勝ちましたよ!」
「そうなんだ。前に優勝したって聞いたし、強いみたいだね。」
「はい!皆さんの話聞いててなんだか、仲間が沢山居るみたいで嬉しかったです!」
「仲間?」
「あぁ…。私には変わった考えがあって…。私のまわりにはそういう人ってあんまり居なかったんです。」
「小さい頃は居たんですけど…ね。
でも、私の事を支えてくれる人は沢山居て。今までずっと優しくしてくれて…」
「そうなんだ。」
「話しすぎてごめんなさい。」
「ううん。大丈夫だよ。
支えてくれる人…ね。」
ふと、男の子の顔が浮かんだ。
私がここまで居られたのは、あの人が居たからかも…。
「ありがとうございます。また話しましょうね!」
そう言って去ろうとした時、れんかは言う。
「あの!」
「はい、なんでしょう?」
「私も…次回は練習試合、行こうかな。」
「えぇ!?いいんですか?」
「いいよ!」
「更に楽しみになりました!」
ゆめはふふっと笑顔で微笑む。
───────
「よぉ。久しぶりだな。」
ひていはリベシン部長に歩み寄る。
「あぁ。ひていか。部活には来ないのか?」
「自分でやったこと忘れたのかよ。俺は騙されたんだ。」
「そうか、悪かったな。」
「本当に謝ってんのかよ…」そうボソリと言うと続けた。
「まぁ、いいや。俺はあんたとしたいことがあるんだ。」
「なんだ?」
「かけだよ。正しい方に屈服する。それをかけるんだ。」
「まずは内容を聞こうか。」
「準決勝はいけるだろう、しかし、決勝の最中、リベシンから裏切り者が出る。それもあんたが信頼してるやつからな。」
「なるほど。いいだろう。」
「はははっ。言ったな。むり、お前は俺の下につくんだ。」
「どうなるだろうな?」
「人なんて信用出来ねえ。すぐに自分が間違ってたって分かるだろうな。」
「試合が終わったあと、全員かけることなく居られれば俺の勝ちでいいな?」
「あぁ。1人でもかければ俺の勝ちだ。」
ひていにはとても強い自信があった。
「きせきちゃん、きせきちゃん!」
しずくは彼女の肩をたたく。
「あ…!しずくちゃん。ごめん、ボーッとしてた。」
「最近、どうしたの…?あんまり喋らなくなっちゃったけど…。」
「記憶を失う前はずっとそうだったよ…。吹奏楽部も、楽器ひけないから静かに浮かないようにしてた」
「え!?そうだったんだ。」
「うん。たまにバレたりしてたけどね…!私、ピアニカしかひけないんだ。」
「なるほど…。リベシン高校の人が関係あるのかと思ってた!」
「ゆめりちゃんのこと…?」
「そうそう。その人とは、最近どうなの?」
「会ってないよ…。」
「そうだったんだ…。」
「うん…。会う機会がないんだ。でも、元気で過ごしてたらいいなって思うんだ。」
しずくは悲しそうにきせきを見つめる。
「そうだ!」
そして、隣で、話を静かに聞いていたみちかの方を見る。
「みちかちゃんもその高校に知り合いがいるよね。」
「うん、いるよ。あゆみちゃん。」
「最近、どうしてるかって分かるかな…?」
「あゆみちゃんとは会うけど…。部活は辞めちゃったみたいだから分からないって。」
「そっか…。」
「大丈夫だよ!」
きせきはおだやかに笑顔をつくる。
その後、みちかは言った。
「でも、結束力がとても強くなってるって風の噂で聞いたって…あゆみちゃんが。」
「そうなんだね…。ゆめりちゃんいい人たちに囲まれてるんだ。」
少し安心したように上を向いた───────
<h3>過去物語8</h3>
高校生になった。
最近、あの人のところに行くことも少なくなってる。
みんな学校もバラバラだし、今更、何をしようって考えないだろうし…。
それに!
私は今もあの人と繋がってる。
会うのは少ないけど、こうして想像の中でいつも…。
普通にあうときより、刺激は少ない…だけどいつも優しいの。
きぼうくん…。
部活中も、家に帰ってからもずっと考えてる。
今度はいつ会えるかな…?
「教祖。」
「何かありましたか?」
「はい。問題が2つできました。」
「それは何か?」
「1つ目はあの宗教が、1人の男によって…」
「あの宗教か…。聞きましたよ。」
「どうするんですか?」
「変わらずです。もう感情はありません。こうしてこの宗教も大きくなった。」
「しかし、その男、教祖の宗教も壊してしまうかもしれまん。」
「その時は然るべき対応をします。」
「まだ問題が…。」
「えおたさん。あなたは少し考えすぎです。宗教のことを思うのは嬉しいですが。」
「僕もあの宗教に壊された。そんな時にあなたは手を差し伸べてくれた。」
「そうですか。私も信用してますよ。あなたのこと。」
「ありがとうございます。」
「一応、さっきの問題も聞いておきましょう。」
「はい。宗教内部にいる、堀多兄弟のことです。」
「あぁ。その2人がどうしたんですか?」
「特に弟の方。最近、内部で、勢力をのばしてきてる。」
「どこからか新しい考えを取り入れ、合体させたそうですね。」
「はい、その考えが支持されている。このままいけば、この宗教乗っ取られる危険があります。」
「そうですか。しかし、彼の考えがこうして大きくなれた1つの要因です。」
「今は見送ってもいいでしょう。それに、彼はしない男だと信用してます。」
「しかし、もしもがあったら…!」
「その時は然るべき対応をします。今は考える必要はありませんよ。」
「分かりました…。」
家であの人のことを考えながら、物語をメモってると誰かがやってきた。
誰だろう…?
そう思って向かってみると、ゆういちくんだった。
「高校生になっても、あなたは変わらないね。」
「この世界は間違いのない世界だから!」
「そればっかりなんだから。」
「今日も勝負を…!」
ゆういちがそういいかけた時、私は考え事をしていた。
そうだ!せっかくだから、彼の話を聞いてもらおう。
「ゆういちくん、話を聞いて!」
「分かった!」
何かいいかけてたみたいだけど…。多分、いつもの勝負だろうし、いっか。
そう思って、家の中に彼を連れてった。
「話っていうのは、きぼうくんのこと!」
「あぁ。」
「きぼうくんかっこいい!いつも人のこと考えてて優しいし!」
「誘ったら、よくお話に付き合ってくれるの!」
ゆういちは頷く。
「ダイバースショーの時はもう…。今でも浮かぶの…。アイドルになったみたいって」
考えるのに夢中になってて、私はハッとした。
「ごめん。」
「謝る必要は無い!間違いはないから!」
「まだそれ好きなの?」
「あぁ!」
「変わった考えといったら、私も部活入ったんだ。」
「部活って?」
「思想学部って言うの。なんか、怪しい名前だけど。」
「いいと思う。」
「ありがと。実際に悪い人居ないみたいだし、休んでも大丈夫そうでゆるゆるだから居るんだけど。」
「そうか。どんな部活?」
「変わったことを言い合うみたいな…。ゆういちくんにあってるかも。」
───────
だけど、私にはあわない部活。そう思ってる。
こうして、きぼうくんのこと考えたり、時々、会ったり…。
ずっと、そうできれば私は満足。
そして今日!
きぼうくんに会えた。
「来てくれてありがとう!」
「こちらこそ、誘ってくれてありがと。」
公園に行ったり、色んな場所に行って話した。
幸せな時間。
あぁ、この時間が永遠に続いたらいいな
────────