思想学部35

<h3>過去物語9</h3>

ある日から私の周りは変わった。

みんなはどう考えてるんだろう…。仲良くしたら…また。

そうはなりたくない。

昔、教えてくれた言葉が、私の中にあった。

そこから私の行動が始まったんだ。

「なうちゃん、遊ぼー。」

「ちょっとまって!先生のところに出さないと。」

「あの!」

「どうしたの?」

「私がかわりに先生に出します!」

「えー。いいの?ありがとう。」

そして、その子は「もう遊べるよ!」と友達の元へ、走っていく。

相手が喜ぶこと、それがきっと優しさ!

他の子が喜んでるところを見て、心の中で嬉しかった。

だけど…


「用があるから、かわりにしてくれる?」

そう言って、頼む人達…。

毎日、忙しくなった。

心が苦しくなる…。これが優しさなのかな…?

その時、ふと思い出す。

昔からメモをつけてたこと。

久しぶりに見てみると、そこには、友達の言葉が書いてあった。

…ずっと友達でいられる。

私はまだ…。

他のところに行くと、悲しかった時のことも書いてある。

そういえば、知らない人に優しくなりたいって言ってたんだった。

いつの間にか、なんで自分がそうなりたいのか忘れてた…。

そうだったな…。

やさしくなるためのこと。

みえないところから、そーっとひとのためになることをする。

そう書かれてた。

振り返ってみると私は…。

ちょっと優しさを変えてみようかな…。

それから、私は色々試してみた。

上手くいったこともあったけど、寂しさは増していった。

そして、上級生になった頃のこと。

私はよく座って、人を観察するようになってた。

みんなが見えて、困ってる人には助けるために必要なことが。

友達同士が話してるところは、楽しそうな雰囲気に私も混じってる感覚になれる。

でも、たまに…。

心の中で寂しいな…って気持ちになる。

休み時間のそんな時、座ってる人を見てみると、私と…もう1人だけ居た。

夢中になって何かを書いてる。

思えば休み時間はいつもそう。

私は心の中で話しかけた。

もしかして、あなたも1人なの?

そのまま見てると、その男の子は、筆箱を下に落とした。

でも、気付かずに、ノートに夢中になってる。

私はそっとその子に近付いた。

そして、邪魔にならないよう、そっと筆箱を机の上に置いた。

心の中で呟く。

ありがとう。

それから、私は高校生になった。

いつも通りで、変わらない。

だけど、その中にも…。

「思想学部に入って欲しいんだ!」

あなただったんだ…。久しぶり。

心の中でありがとう。と言った。

「はい。いいですよ。」

ちょっとした再会や…ちょっとした嬉しいことがある。

────────

それからまた時が経った。

昔に会った人達は、今、何をしてるんだろう。

優しさについて教えてくれた人…。

優しい風が吹いた。


1人の男が呟いた。

「自分のできることはした。これからどうするか…。」

「しかし、中学校の頃か…懐かしいな。

あの男の上の名前、なんだったかな…。」


どんな風に過ごしてるのか分からない…。

だけど、楽しく平和に暮らしてたらいいな。

「みちかちゃん…?」

「あゆみちゃん、なんでもないよ!」

「ふふ。良かった!」

「またお話しよ!」

「うん。沢山しよー!」

私の周りはあれから少し変わった。

私の終わりと始まり。

───────

<h3>試合前の休息</h3>

これは、夏休みのある日のこと。

弟の様子がいつもとおかしかった。

「お姉ちゃん。」

「どうしたの?」

「話があるんだよ。」

「話って?いつものカッコイイとか。」

「ううん。そうじゃなくて真剣な。」

「何か…。前もそうだった気がするけど。」  

真剣にみつめる弟に、私は「何…?」と聞いた。

「最近何かあった?」

「え…?最近。特に何も無いけど…。」

「それならいいんだけど。何かあったら言って。」

「うん。ありがとう。」

私はふと思い出す。

「そういえば、試合どうだった?」

「決勝まで行ったよ。」

「そうなんだ。じゃあ、最後あたるね。」

「うん。」

「しゅごもでるの?」

「僕の役目はここまでだから。」

「あぁ…。前に言ったことしてるんだ。」

「昔、言わなかったかな。」

「そうね…。」

弟の言葉にドキリとする。

「もう一度、言いたいんだ。」

「え…?」

「困ったことがあったら助けるよ。家族だからとかじゃなく、僕自身が、家族のことが好きだから。」

そう言って、弟はその場を離れた。

「あなたはそうだったね…。」

頭の中に過去のことが浮かんでくる。

「お姉ちゃん!」そう言って笑顔でかけてきた。

そういえば、私が虐められてた時も…自分をカッコイイって言わなかったな…。

もしかしてあなたは…。

そう思うと、部長のことが浮かんでくる。

ちゃんと向き合わないとね…。


「お兄ちゃんどうしたの…?」

そう言った弟は僕を見て焦っていた。

それも、仕方ない。僕は前の試合から向き合うことを決めたのだ。

自分の大切な考えと…。

そして、今、ストーブと扇風機を同時に使ってる。

「でも、これはおかしいかも。」

2つとも消した。

「どうしようかな…。」

色々試してみるのがきっと近道!

「やってみよう。」

そう呟いた。

「よく分からないけど、応援してる!」

「ありがとう。」


それから数日、同じ時間に、違う学校で2人の男女が待ち合わせをしていた。

「久しぶり!」

「あぁ。来てくれてありがとう。」


「すすむくん!」

「おとねさん。」


─────────

「ゆめりちゃん。」

「そう呼ぶのは、きせきだけだ。」

「ふふふっ!」

むりはその様子に、何も言わず彼女を見てた。

「どうしたの?」

「なんでもない。今日は最後に会いたくなったんだ。」

「最後…?」

「あぁ。試合前にな…。それが終わったあとはもう会えないかもしれないし。」

「今日、久しぶりに2人で会えた…。また会えるよ!」

「そうだといいな。」

「大丈夫!」

きせきはそっと両手を繋いだ。

「やさしい手。私たちは繋がってる。」

そう微笑む。

「一つお願いしていいか…?」

むりは続けて言った。

「試合が終わったあと、もし、きせきの元へ行くことがあったのなら…。」

「また話さないか?」

「もちろん!話そう!」

「ありがとう。」

─────────

「すすむくん!話って何かな?」

「前に言ってた事なんだけど。」

「?」

「ところで、もうすぐで試合が始まるね。」

「そうだね!みんな色々な考えがあっていいなって思ったんだ。」

「そうだね。」

「試合が終わったら、部活を辞めて、その後また卒業が待ってる。」

「うん…。」

しずくは寂しそうに下を向く。

「僕は少し考えてる事があるんだ。」

しずくはすすむの顔をみる。

「良ければ、卒業後も一緒に、色々なこと考えないかな?」

「色々なことを考えるって…?」

「みんなで、部活みたいなことをする!仲間を集めて!」

「おぉ!」

「他の学校の人だろうと、歳が離れてたって誰でも来たい人は来ていいみたいな!」

「いいね…。」

「良ければ一緒に来ないかな?」

「はい!」

すすむが手を伸ばすと、その手をしずくは握った

───────

そして…色々な人達の気持ちが動きながら、時は近付いていった。

「明日が最後だ。ここまで来れたこと、感謝する。」

「部長…!」

リベシンの部員達は部長を囲む。

しかし、副部長は少し下を向きながら、考え事をしていた。

すいぞうは話す。

「そういえば、あの1年生はどうする?」

「好きにしてもらえばいい。」

「部長がそう言うなら。」

部長はそう言いながら、少し副部長の様子を見ていた。


そして、部活時間が終わり、帰る時のことだった。

一人の女の子が、彼らの元に現れる。

「こんにちはー!」

「あぁ。きせきじゃないか。」

「ゆめりちゃん!」

「何しに来たんだ?」

「懐かしいこと。」

ふふふっと笑って、持っていた袋の中からピアニカを取り出す。

「良かったら、きいて欲しくて!」

「そうか…懐かしいな。」

そして、部長は言った。

「帰りたいものは帰っていい。」

だが、すいぞうたちは「部長がきくなら…」と言って一緒に残る。

副部長は「私も…聴きたい」と影から言った。

そして、はじまる。

懐かしい音…。

ただ、部長にとってはそれが幸せな時間だった。

みみをその音楽の方へよせる。

そして終わった。

きせきは「きいてくれてありがとう」ぺこりと頭を下げる。

すると、むりは「ありがとう」と小さく言ったのだった

────────

<h3>試合Ⅲ①</h3>

3年生、最後の試合の時がやってきた。

思想学部は今日で終わりか…。

少し寂しさがありながら、頑張りたい気持ちがあった。

「全宝高校の思想学部じゃないか。」

そう言い誰かが、笑いながらやってきた。

この声…聞いたことがある。

「まぁ、知ってたんだけどなあ。」

生徒会に居た…すいぞうくん。

「どうしてここに…?」

「俺はリベシン高校の思想学部だからな。」

「お前の名前は確か、あいだぶんただったな。」

「うん。そうだけど…。」

「知ってるぜ。一人一人、調べてんだよな。ノートに書いて。」

「どうしてそれを…?」

「俺の情報網さ。」

「すいぞうくん!」

後ろからにわのさんがそう言った。

「なんでここにいる?」

とても驚いてるようだ。

「あなたが思想学部に入ったって聞いて、私もはいったの。」

「ははは。そうか、そうだったか。」

そう言って、リベシンの元へ戻っていく。

「大丈夫だった?」

そう言い、僕の方を心配そうに見つめる。

「はい!大丈夫です。」

「良かった…。」

彼女は優しい人だ。

しかし…何故か分からないが、今回、僕とすいぞうくん対戦することになりそうだ…。

すいぞうくんには僕のこと沢山知られてるようで、僕の方は逆に知らない。

とても不利…。


「すいぞう。話してきたのか?」

「はい。一応、1年と半年通って学校でしたから。」

部長は小さく頷く。

「今日も3勝0敗で終わりましょう。」

「勝とう。」


「最初なんだけど、誰が行きたいかな?」

「はい!私が行きたいです。」

そういったのは、ゆめさんだった。

前回、初対戦で、悪い状況から彼女のおかげで勝った。

「分かった。」

「ありがとうございます!」

ゆめの頭の中に、前日のことが浮かぶ。

─────────

「遂に、明日だね。」

「ですね!お姉ちゃん!」

「ふふっ。そう言われると、本当の妹のように感じるよー。」

「大好きな人がお姉ちゃん。嬉しいです。」

「ありがとう。」

そう2人は、お互い体を預けあった。

「明日、でるの?」

「分かりません。」

「私は出ないと決めてる…。でも、もし、ゆめちゃんが出るのなら…。」

「はい…。」

「あなたは…あなたの道を頑張って…。」

「はい!」

「ふふふっ!」

「ふふっ!」

「あなたならきっと大丈夫!」

────────

頑張るよ、お姉ちゃん。

そう心の中で思いながら、ふらの方をみる。

ふらも心の中で応援しながら、彼女の方を見ていた。


リベシンでは、すいぞうと部長が話していた。

「あの1年、最後対戦してたって言ってたな。」

「そうでしたね。中々厄介相手かもしれません。ここは俺がいきましょうか?」

すると、後ろから弱い声で「あの…。私が行きたいです」と。

2人は後ろを向いた。

そこには、副部長が。

「最初に出るって言ってたな。出るか?」

「はい…。出させてください…。」

「分かった。」

「え?待ってくださいよ。」

すいぞうは部長に抗議した。

「最近の副部長じゃ、きっと、勝てない。話し合いもできないじゃないか。」

「本当か?」

副部長の方を見て聞いた。

「いいえ…。勝ちます。」

そう言って、相変わらず、元気なさそうにゆめのいる試合場へ。

「よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします…。」

副部長の頭の中には、部長の姿がずっとあった。

なんでだろう…。ひていの話なんて、信じてないのに…。

そうだったらどうしようって思ってるんだ…。

人なんて信じられないって、少し思ったことがあるからかな…。

部長は優しかった。
だけど、あの人が何を思ってるのか…。

それは分からない。

少し前に、きせきさんの姿があった。

私は諦めようとしてるの…?私と彼は絶対一緒になれない。

「大丈夫ですか?」

その声にハッとした。

副部長の目の前には、ゆめが居て、とても心配そうに見てる。

「ボーッとしてた…ごめんね。」

「大丈夫なら良かったです。」

濁りのない笑顔…。きっとこの子は、今が充実してるんだろうな…。

「私から話しますね。」

「分かった…。」

「私の考えは、感情論。

次はあなたのこと、教えてください!」

副部長はそっと微笑んだ。

「あなたの考えは知ってたよ。今から言うこと、あなたと似てるかもね。」

「楽しみです!」

「私の考えは好きな人へのおもい…。それはとても強いの。」

「わぁ!なんか、ロマンチックですね。」

「ありがとう…。」

「これから、一緒に話すのが楽しみです。」

「うん。話そう…。」

「その前に、説明しますね!」

「相手が喜んでるところを見ると、私も嬉しくなる。」

ゆめの頭の中で、友達の女の子が笑顔で話しかけてくる映像が浮かぶ。

それを聞いた副部長の近くに、部長の姿が現れた。

どこか嬉しそう。

それに副部長は複雑な気持ちだったが、1つの感情があった。

<h3>試合Ⅲ②</h3>

ゆめはそっと、また口を開いた。

「苦しい時は悲しくなる…。」

ゆめのそばに、友達の男の子が現れる。

とても悲しそうで、ゆめも悲しい表情になった。

副部長のもとに現れたのは、部長の姿じゃなかった。

そこにあったのは…自分の姿。

とても苦しくて、悲しくて元気を失った自分。

それをそっと、遠くから見つめる人が居た。

弟だった。

どこか少し悲しそう。

その直後、ゆめは言う。

「そう…。感情は連鎖する…。」

「人の純粋な、心からの嬉しい気持ちは連鎖するの。

人を幸せにして、優しい思いの強さは未来に繋がる…私はそう信じてる。」

「これが私の感情論。」

副部長はそのゆめの真剣な眼の眩しさにやられてしまった。

「次は、あなたのことを教えてください。」

ゆめがそう言うと、小声で「分かった」と。

この子がどれだけ眩しくみえても…私にはおもいがある。
  
気付かないところで、支えてくれた人、そして、部長。

「好きな人へのおもい。それは裏切らない。」

ゆめはそっと頷いた。

「悲しませようなんて思わない、自分中心にもならない。
ただ、あの人とそばにいられること。」

「それがとても幸せなの。」

「他の人になんて悪く言われても、私はあの人を見てきたから…。

ずっと…。」

「嫌いになれない。心から好きだって思うから…。悲しくても、この気持ちには嘘はつけないんだ…。」

今日は弟はこの場に居ない。

しかし、副部長のそばに、彼女を見て嬉しそうにしている姿が彼女の頭に浮かんでいた。

「ありがとう。私、変わるから。もう大丈夫だよ。」

副部長がゆめの方を見ると涙を流していた。

「どうしたの…?」

「あなたの感情…全部は分からないですけど、伝わった気がして…。」

「それだけ、その人に強いおもいを持ってるんですね。」

「ふふ。あなたって凄いね…。」

心の中で、この子には勝てないと思ったの…。

自分の考えに真剣。

ごめんなさい。部長。頑張ろうと思ってたけど…。

「あなたの勝ちです。」

「え…?」

「あなたの考え、とてもいいと思ったから。」

ゆめさんはそう微笑んだ。

「あなたの方が良かったよ…。どうして…」

「たとえ、そうだったとしても、私はあなたが勝って欲しいと思ったの。

部活の人には申し訳ないけど…私の気持ちで。」

「本当に感動したんだ…あなたの、大切な人への…思い。」

ゆめの頭の中に、ふらや、友達の姿が浮かぶ。

「最後まで凄いな…。」

「ありがとうございます。良ければ名前を…教えて貰えませんか?」

「私は3年生の、なえ。あなたのこと知ってるけど、改めて聞こうかな。

名前はなんて言うの?」

「ゆめです。」

「そう…。」

「さっきは夢中で、敬語忘れてごめんなさい。」

「ううん。いいの…。あなたの話、とても良かったよ。」

「こちらこそ。なえ先輩のお話、とても感動しました。」

「ありがとう…。またね。」

お互い、自分の部活へと戻っていく。


「頑張ったな。」

部長はそう言って、副部長を迎えた。

「ありがとうございます…。部長に謝らないといけないことがあります。」

「なんだ?」

「私は…少し、あなたを疑ってしまった。」

「いいんだ。それは、俺に至らないところがあったってだけだ。」

「いいえ…部長には、そんなところありません…。」

すると、すいぞうがやってくる。

「一戦目、勝てたようですね。この調子で、全部勝ちましょう。」

「あぁ。そうだな。
なえは休んでていい。」

「はい…ありがとうございます。」


「次は誰が行きますか?俺が行ってもいいですよ。」

「私が…いきます。」

「あぁ。恵流(えり)さんか。」

「さっきの試合を見て、出たくなりました。」

「分かった。すいぞうはどうする?」

「あぁ…。もちろん、えりは仲間だから、先に出ていいと思います。」

「ありがとうございます。」


「ごめんなさい。」

みんなの前でゆめさんは謝った。

すすむくんは「気にすることはないよ!」と笑顔。

「ふらお姉ちゃんもごめんなさい。」

「ううん。私はいいの…。あなたの思う通りに頑張って欲しかったから。」

「ありがとうございます…。」

すすむくんはうんうんと頷いた。

そして、ゆめさんとすれ違いで、れんかさんがやってくる。

れんかは心の中で思った。

さっきの見てたら…私も…。

「先輩達…。次、私でてもいいですか?」

「うん。いいよ!他に出たい人が居なければ。」

「ありがとうございます。」

それから、続けて言った。

「あの…最近出てなくてごめんなさい。」

「ううん。いいんだ。こうして、来てくれただけでも嬉しい。」

それから、出たい人はいなそうだったので、れんかさんが次に出ることになった。

<h3>あの孤独な日のこと</h3>

どうして…どうして…?

私はずっとそう思ってた。

童話を読んでた時のこと、大好きなキャラクターが居て、次のページを開くのが嬉しかった。

だけど…ページをめくり終えると、そのキャラクターは綺麗に居なくなってしまう。

ただ、寂しさが残った。

人形を買っても、いつの日にかボロボロになって私の前から居なくなる。

動物もそう。いつも私の元を離れてどこかへ離れていってしまう。

寂しい…寂しい…。わたしは一人ぼっちなんだ…。

ただ、苦しくてしかたなかった。

学校へ行くと、友達ができる。

うれしいな…そう思っていた。

だけど…転校したり、クラスが変わったり友達はどんどん私の前から離れていった。

私はただ、寂しくて仕方ない。

いつも、どこかへいってしまう。

わりきろうとしたけどできない。できたときでも、その少しした後に、私の前から何かが居なくなってしまう。

どうして…どうして…?

最後におとずれたのは、おばあちゃんの死だった。

心の中で、何も感情がわいてこなかった…。

悲しくて…驚いて…。私の周りに居た人達は居なくなってしまう。

私は一人ぼっち。

これから、誰かと出会っても、いつか今みたいに一人ぼっちに戻ってしまう。

いや…いや…。

どうして私の前から居なくなってしまうの…?

そこから、人と関わるのが怖くなった。


誰かは私を見て言う。

「とても暗くて怖い…。関わりたくない。」って。

あははっ。それでいいの。

私と関わらなければ、ずっといられるんだよ。

ただ、孤独だった。

誰かと関わって、相手に悪いことをしてしまうのが嫌だった。

そのうち、私の周りから、ものがなくなっていく。

寂しい…。

そう思って外を歩いた…。

ある日の冬のこと。

あたりは一面、雪が降り積もっていた。

いずれ、この雪たちも、居なくなってしまう。

寒さではない震え、悲しさが湧いてくる。

「居なくならないで…。」

そう呟いた時、彼が私の前に現れた。

「何かあったか?」

「いいえ…何も無いです…。」

「それなら良かった。」

「あの…。」

「どうかしたのか?」

「私は怖いですか…?」

「いいや。もし、そうだったら、俺は君と話さないだろう。」

「そうですか…。」

彼は少し立ち止まっていた。

「あの…。」

「どうした?」

「どうしてそこにいるんですか…?」

「気になったからだ。俺が居ると、邪魔か?」

「いいえ。でも…」

「でも?」

「私に周りに居る人は…みんな居なくなってしまう…。

人だけじゃなく、ものも、生き物も。」

「そうか。」

「あなたもきっと居なくなる…。私の前から…。」

「じゃあ、こう言っておこう。俺は居なくならない。」

彼はそう断言する。ビックリしたけど…。

嘘のように感じていた。

「それを証明する。」

彼はそう言って、その日は帰って行った。


春になって、出かける。

やっぱり、雪はどこにもなくなっていた。

こんなに花が咲いているのに、どうして寂しいって思うのだろう。

そして、いつの間にか、私は前に彼とあった場所についていた。

あたりをみると、ベンチがあって、誰かが座っている。

何か勉強しながら…。

そして、私の方を見ると、立ち上がって言う。

「久しぶりだな。」

「あなたは冬の時の…。」

「あぁ。そうだよ。俺は居なくならない。」

それから、彼は、いつも同じ時間にそのベンチに座って勉強していた。

私は嬉しかった。いつも、私の傍からみんな居なくなってしまうから…。

その日から、彼と話すようになった。色々な話を聞いてくれた。

ただ、嬉しかったの…。寂しかった日々は嘘のよう…。

でも…。

学校は彼と違うところに行くことになった。

寂しい…だけど、彼は居なくならないって言った。

だから…きっと…。

高校生になってからも、彼と時々会う。

学校では一人ぼっちだったけど、その会う時間がとても嬉しかった。

ある日、彼は、部活を作ることを言う。

思想学部っていう部活を…。

段々、他の学校でもそれができて、この学校でも、集まってきた。

私はその部活に入った。

ただ、そこで、私は浮く。

暗すぎるって理由でさけられ、活動には来なくていいって。

あぁ…やっぱり、私の周りから離れていくんだって。

自分はひとりぼっちなんだって…。

それに手を伸ばして助けてくれるように、彼は私の前に現れた。

そして、一つお願いをする。

私の通ってる学校にいる、大切な親戚のこと、頼むって…。

私のことを思ってくれてるようで嬉しかった…。あなたなら、大切なものを任せられるって言われてるようで…

私は遠くから見守っていた。

ただ、時におとずれる寂しさがこう言うの。

どうして…どうして…って。