<h3>記憶のかけら</h3>
私はたまに、昔のことを思い出す…。
病室で、男の人が横になってる。
私はそのそばにいて「お父さん…」と言う。
その男の人は、小さな声で呟いていた。
私にかけた言葉じゃなかった…。
だけど、その人が言っていたこと、しっかり覚えてる。
私はそこで意識が戻った。
こうよは背中に手をやって、支えてくれていた。
「せらさん、大丈夫?」
「うん。ありがとう。」
私は微笑む。
ところで、こうよと私には秘密がある。
秘密と言っても、人に言っても誰も信じないと思うから…。
でも、これのおかげで私は…
とても大事なものなんだっ。
「こうよ、昔で、思い出すことって何かあるかな?」
「昔?」
「うん!さっきは昔のことを思ってぼーっとしてて。」
こうよは優しい笑顔で私の方を見てた。
「こうよはどんなことをよく思い出すのかなって!」
少し天井を見ると言った。
「みんなの笑顔かな!」
「こうよらしいね!」
私は自然と笑顔になる。
「そういえば、昔、小学生の時、二人で遊園地に行ったね!」
「そうだったね。」
「懐かしいな…」
私はあのときのことを思い出す。
私は色々な乗り物が周りに沢山あって、キラキラして見えました。
「こうよくん、どれにのる?」
「せらさんが好きなのに乗りたいな!」
私は乗り物を見て、どうしようか迷います。
キョロキョロと、その方を見ていると…。
「良ければ僕が選ぶよ!」
そして、私が迷っていた乗り物の一つに、連れていってくれました。
その後も、悩んでたところ全部を選んでくれました。
あの頃も、ずっとよく人に気をつかって見ててくれる…。
私は「ありがとう!」と微笑みました。
「こちらこそ、いつもありがとう。」
「またいつか、一緒に遊園地行きたいね!」
「うん。またいつか。」
記憶のかけらが一つ、地面に落ちた。
一人の女の子が、どこかの家の玄関に立つ。
そして、その家のお母さんがその子と同じ年齢くらいの男の子を連れてくる。
女の子は言った。
「よろしくね。」
「うん!これからよろしくね!」
男の子の元気な笑顔に、女の子は嬉しくなる。
そこで、かけらは地面にぶつかり、多くのきれいなキラキラ輝く星になってわれた
───────
<h3>勝負事</h3>
僕にはスポーツ、勉強などについての考えがある。
大人たちが言うなら、勝負の哲学となるのかも。
僕は色々な人に、この考えを伝えた。
ある日もまた、一人見つけて、この考えを教える。
「ほとんど何も人に勝てなくて、僕には才能がないのかな…って。」
「君に必要なのは勝つ経験だと思うよ。」
それからいつものように続きを言った。
他の人に行って、今度は、伸び悩んでる人が来る。
そのときは、「それはプラトー効果だよ。」と言った。
「プラトー効果?」
「一時的な停滞期のことを言う。それをあければ強くなっていく。」
「そうなのかな…。」
「うん。時間の差はあれども、続けていけばきっとね。」
「僕はよくカテナリー曲線でこれの説明をする。」
「カテナリー曲線って?」
「ロープとかをたらした時にできる曲線のことだよ。」
「そうなんだ。」
「うん。それで、僕はカテナリー曲線のことを、勝てない曲線と読んでる。」
「これは最初は勝ちを経験してた方が良くて、段々勝てなくなっていく。」
「それで、停滞期が出るけど、最終的には勝ち続けられるようになる。」
「うん。」
彼は頷いた。
「停滞期があるってことは、じっと待ってれば、これから強くなっていくと思うんだ。」
「ありがとう。」
その人は去っていった。
今日も色々な人に教える。
この勝てない曲線が、僕の考え。
これを思いついたのは、昔の出来事からだった。
僕がとても困っている時、一人の男と出会う。
その人に何の気まぐれか、この悩みについて相談した。
その人は言った。
「プラトー効果だね。」
それから、それについて聞く。
けれども、完全な解決にはならなかった。
「その用語、どこで知ったの?」
「メモ帳に書いてあったんだ。」
僕はその男に、それを少しかしてほしいと頼んだ。
彼は「いいよ。」と頷く。
ばーっと見たが、求めているものは見つからなかった。
「ない…。」
僕はそうつぶやくと、男に返した。
そして、別れてから、少しメモ帳の中の言葉を考える。
一つだけ、何故かひっかかっていた言葉があって、それが勝てない曲線に繋がった。
これからも、僕自身、この考えを心に於いて続けていく。
<h3>無関心</h3>
「無関心なやつって駄目だよな。」
「うん。どんなことでも、関心もつの大事だよね。」
そこに一人の男が現れる。
「無関心は最高だよ。」
「なんだと!」
その男が、言った男を見ると、全くあったこともない人だった。
「面識ないのに、急に否定してくるなんて非常識なやつだ。」
「ほら。無関心じゃないと、こうして嫌なことがあっても目をそらすことはできない。」
「そして、僕は否定してない。」
男はとてもいらいらしていた。
「僕はそのことに関心があるって言ってる訳じゃないんだ。」
「勉強とかいろいろなことだよ。」
「じゃあ、何故、僕の考えを否定したんですか?」
言葉につまってしまう。
「終わりですか。さようなら。」
そう言って去っていった。
そして、心の中で思う。
無関心だと、こうして一人でいられる。
関心は、今、自分がするべきことだけでいい。
それから、歩いてると、少し暗そうな男が向こうから来た。
「こんにちは。良ければ話しませんか?」
「はい。いいですよ。」
「明るいことこそ、いいことだ。」
「そうなんですか‥。」
彼はそう言って目をそらす。
そして、また目を男の方に戻した。
「あなたはせとうくんと友達なんですか?」
「せとう‥?」
「彼も似たような事を言ってるんです。せとうこうよ、知りませんか?」
こうよ‥あの男のことだろうか。
「多分、知ってるでしょう。しかし、もし、その男だったとしても友達ではありません。」
「そうだったんですか‥。急にすみません‥。」
「いえ、いいんですよ。しかし、そのこうよさんと言う方のこと、知ってるんですか?」
「はい。一応、長く一緒にいましたから。」
「そうでしたか。僕の名前はにせいといいます。」
「良ければ、こうよさんの裏の部分とか教えてもらえませんか?」
「裏の部分?」
「はい、悪いところですよ。」
「せとうくんにそんなところはないです。」
そして、そのこうよの友達は怒って行ってしまった。
あの男と、友達、どういう関係なのか。
それには関心はないが、結局、知ることはできなかったか。
にせいはそのまま帰っていった。
<h3>私はアイドル!</h3>
昼休みの校庭でのこと‥。
台の上にのり、マイクを片手に持つ女の子が一人。
「みんなー!今日は来てくれてありがとー!」
しかし、その周りには、数人の女の子が居るだけだった。
「みんなのおかげで、私はこうしてアイドルとしていられます‥。」
そして、最後に聞こえないくらいの声でつぶやく。
「お姫様‥待ってます。」
私は昼休み、窓の外から、その子を見ていた。
あの子の名前は、姫々野度流(ききのどる)さん。
同い年でクラスは違う。いつからか、晴れの日はよくアイドルのようなことをしてる。
欠かさず続けてるの。みんなに見られてるかもしれないし、逆かもしれない。
だけど、ききのさんは続けてるの。
心の中で思った。
私には真似出来ない。凄いな‥。
また休みの時間が来て、私はクラスを出た。
すると、偶然、隣のクラスの前で壁にもたれかかるどるさんが‥。
いつものように「お姫様‥」と言ってました。
私は少し立ち止まって見てました。
そこへ、一人やってきます。
「どるさん!」
昼休みにいつもどるさんのところにいた‥
「どるさん、サインを貰えませんか!」
「いいですよ。」
そして、その子が持ってきた紙にプリンセスと書きました。
「ありがとうございます!」
「あなたも、いつも来てくれてありがとね。」
「好きですから!」
書いてもらった紙をあげて、嬉しそうに見てます。
そして、どるさんは小さな声で言いました。
「あの‥おひめ‥」
言いかける前に、その子は行ってしまったのでした。
そのまま見ていると、彼女の視線は真っ直ぐに‥。
私は夢中になっててハッとしました。
「もしかして、あなたは私の運命の人‥?」
「私のことですか?」
「はい‥!目と目があって‥。」
「あいましたね!」
「私と‥お姫様になりませんか‥?」
「どういうことですか?」
「二人でお話をしたり、お城で暮らすんです。たまに舞踏会をひらきましょう。」
「いいですよ!」
どるさんはとても嬉しそうに笑いました。
その直後、チャイムが鳴って、休み時間が終わったのです‥。
<h3>復讐</h3>
学校に行く途中、嫌なことを思い出した。
少し前に、多分違う学校の、生徒が話しかけてきた。
そこで、よくそばに居た同級生のことを悪く言われる。
結構長いから、彼に裏表がないことは分かってる。
しかし、悪く言われたのが気にくわなかった。
ありえないことなのに、何故か、何度も浮かんでくる。
更には、その生徒の顔が浮かんできて、「占い師と同じように、騙してるんですよ。」と言った。
彼は占い師じゃない。
心の中で否定した。
その時、声をかけられた。
「あなた、もしかして、困り事がありませんか?」
本当に占い師がでてきたか‥。
せっかくならこの人に、せとうくんのこと聞いてみるか。
「あんまり時間とれないので、占って欲しいことがあるんですけど。」
「いいでしょう。」
女性の声だった。そして、よく見てみると、帽子と服が不自然だった。
帽子だけ魔女のような‥
そう思ったが、僕はその人にあったことを簡潔に話した。
「占いました。あなたはその人に騙されてますね。間違いないです!」
「え!」
「私を信じてください!」
占い師はそう言うと、僕の顔を。
「というか、よく見ると、くらやくんじゃないですか!」
帽子を外す。
見ると、同じクラスの女子だった。名前は占絵(せんえ)さん。
「どうして占い師みたいなことを?」
「これですか、縛りプレイです!通りすがった人に一回占おうって思って!」
「今日は何かしたくなったんです。」
「そうなんだ‥。」
「あ、さっきの人って、もしかしてせとうさんの事ですか?」
「うん、そうだよ‥。」
「あの人なら大丈夫ですよ!優しそうですし!」
そんな適当な‥。
「でも、分からない‥。」
「そうですか。私は大丈夫だと思うんですけどね。」
「本人に直接聞いてみてはどうですか?」
僕は深く言わず、頷いた。
結局、そうでしか、分からないだろう‥。
学校に到着して、すぐに彼のところへ行った。
「せとうくん、聞きたいことがあるんだ。」
「どうしたの、くらやくん。」
「君には裏の顔があるの?」
「分からない‥。」
「そうか。」
「だけど、あるかもしれない。君に秘密にしてることあるから。」
「君はそういうやつじゃないもんな。安心したよ。」
心で思った。聞かなくても分かる。
「君のこと、そう言ったやつがいるんだ。復讐しようかと思う。」
「僕は‥いった人と、君が楽しく過ごせてたら嬉しいんだ。」
せとうは変わらなかった────────
<h3>散歩</h3>
こうよはよく、散歩に出かける。
昔、何処へ行くの?って聞いたことがある。
すると、彼は言ったの。
「近くとかかな。」
考え事のためとも聞いた。
私は気になって、彼のあとをついていった。
よく見る背中‥。
だけど、こうしてずっと見ていると、何だか安心するな‥。
そして、近くの公園についた。
今日も、子供が彼のもとにくる。
「お兄ちゃん困ったことがあって‥。」
「どうしたの?」
「少し前に、僕は一番凄いんだって言っちゃってね‥。」
「うん。」
「どうしようかって‥」
「ちなみに、何を凄いって言ったのかな?」
「テスト‥。100点取るって言っちゃったんだ。だけど、僕はとったことないの‥。」
「そうだったんだ‥。」
「お兄ちゃん、どうしたらいいかな‥?」
「分からない‥。だけど、僕は君が望む道に進んで欲しいと思ってるよ。」
「どういうこと‥?」
「君は言った後にどう思ったの?」
「できないって思った‥。なんであんなこと言っちゃったんだろって‥。」
「そっか‥。」
「うん‥。」
悲しそうに男の子は頷く。
「未来はその人が望んだ通りになって、そしてもどかしい結果にもなる。」
「どういうこと‥?」
「可能性はあると思う。完全にはその通りにはならないかもしれない‥。
だけど、未来にはいつだって希望がある。」
「僕はどんな結果になっても、君の望む通りに進んで欲しいんだ。」
「うん‥。ありがとう、お兄ちゃん!」
男の子は元気になっていた。
そう‥こうよは目に見えないものをいつもくれるの‥。
心の中で思った。
こうよは変わらないな‥。
そのまま歩いて行こうとするこうよを、走って追いかけていった。
「こうよ!」
その声に立ち止まった。
「せらさん、こんにちは。」
「こんにちは。」
私は笑顔で、こうよの顔を見つめる。
いつもと変わらない、優しい顔。
「ね!最近、私、隣のクラスの子と!」
私は最近あったことを話した。
こうよは何も言わず、私の方を見ながら頷いた。
変わらない日常。
私の大切な時。
<h3>数字ヒーロー①</h3>
二人の男が話し合っていた。
「数字って最高だよな!」
「うん、最高だよ!ナルシシスト数とか、過剰数とか色々あって面白い。」
「僕はレピュニット数とかが好きかな。」
「全部1のやつか!面白いよね。」
すると、そこに、全身真っ黒に、白で“数字差別団体”と書かれた服を着た男たちがやってきた。
「誰‥?」
「私達は数字肯定の声を聞いてやってきた、この名の通り、数字差別団体だ。」
「君たちは数字を肯定した。数字は悪いものと知らずに。」
「何を言ってるの!数字は悪くないよ!」
「悪いものだ。」
男達は数字の悪い意味をたくさんに二人に聞かせた。
すると、二人は泣いてしまう。
「なんでそんなに悪く‥。」
「数字が悪いものだと、世界に知ってもらうためだ。」
「数字によって騙されて、こうして悲しむ人を減らすため、我らは行動している。」
「そうだったんだ‥。助けてくれてありがとう。騙されるところだった‥。」
男達はふはははと笑い、「これからもこの団体を広げていく。」と言った。
ナンバーγが走り込んできた。
「ナンバーαさん、ナンバーβさん。」
「何があった!」
この三人を、人はナンバーⅢと呼ぶ。
「国中に数字批判の張り紙が‥!」
「なんだって!」
三人は見て回った。
すると、数字差別の張り紙が沢山あった。
それはもう、隙間がない程に。
「これはどういうこと‥?」
ナンバーαは言う。
「現れたようだね。だけど、僕がすることは決まってる!」
「数字には、いい意味もあるとみんなに知ってほしい。」
ナンバーβは頷く。
「そうよね。」
「手分けして探そう!」
二人は頷いた。
ところで、数字を楽しそうに話し合う二人がいた。
「数字って、なんでこんなに楽しいんだろう?」
「うん。いろいろな意味が含まれてて楽しい。」
すると、そこへ、数字差別団体と書かれた服を着る男たちが。
「数字肯定はしてはいけない。」
「だれ‥?」
「私達は数字をにくむもの。」
すると、二人の前に、「まてー!」とナンバーγが現れる。
「数字差別は辞めるんだ!」
男たちは一斉に言う。「何者だ!」
「僕はナンバーⅢの一人だ!」
「ナンバーⅢ‥?例のナンバー肯定集団か。」
「集団という程、人は居ない!今は三人だ!」
「はははっ。そうか、それならこの人数を相手にどうする?」
「う‥。どうしよう‥。」
ナンバーγ、来たはいいが、絶体絶命だ!
ナンバーⅢの命運は‥?
<h3>消しゴム</h3>
男達は笑って言う。
「宗多のやつ、見たか?」
「あぁ。間違ってるもの信じるから、あぁなるんだよ。」
「俺たちだけが正しいんだ。」
「そうだとも。間違ってるやつらは不幸になるさだめ。」
すると、その男達にむけて一人の男が言った。
「宗多の父、そして、彼自身が入信してる宗教は正しい。」
彼らは一斉にその男を見る。
「またお前か、にせい。無関係のやつが口出すなよ。」
「そうだ。あいつに関わると不幸になるぞ。」
「僕は君らの否定はしてない。そして、僕が誰と関わろうと自由だろう。」
「俺らが信じる神の定めたルールに従って、許されてること以外はしてはいけない。」
「にせいよ、これは当たり前のことだ。」
「僕はそのルールを知らない。」
「そうだ。信じないものは、知らぬ知らぬの間に罪をおかすしかない。」
「宗多達のようにな。」
「そうか。矢張り、僕はどうしても、君らの宗教が嫌いだ。」
「なんだと?」
「正しくないものには何をしてもいいんだろう。」
「あぁ。正しい道に引き込むためならな。それらは許される。」
「僕は犯罪を沢山やぶってるからだ。」
「犯罪者だったか。」
「いいや、許される罪だ。」
「そんなものあるはずがない。」
「なら、例えば紙に、人を殺害したことがあると書いたとしよう。」
「それを実際にしたことがなくても、その紙の中では事実になる。」
「何が言いたい?」
「紙に書けば、それは事実でなくても、その中では真実になるということだ。」
「ただ、それを消せば、その事実はなくなる。」
「意味がわからないな。」
「わからないか。それもいいだろう。」
「僕は紙に鉛筆で書かれた文字を、消しゴムで消す。それだけだ。」
「よく分からないが、俺達の宗教の邪魔にならなければ、勝手にやってればいいさ。」
「その消しゴム遊びをな。」
男達はそのまま、笑いながら去っていった。
にせいはポケットにあったメモ帳を取り出す。
そこには一つの宗教の名前があった。
そして、さらにペンを取り出し何かを書いていく。
終わると、にせいもその場から去っていった。
<h3>数字ヒーロー②</h3>
ナンバーⅢは数字差別団体の男たちに囲まれていた。
ナンバーγは思う。
ナンバーさん達にいれてもらったのに、自分は‥。
すると、そこへ二人の男女が現れた。
「見つけた!ナンバーγ大丈夫?」
「ナンバーαさん‥ナンバーβさん‥ごめんなさい。役に立てなかった。」
「いいんだ。君は数字を好きでいた。その気持ちだけでじゅうぶんだよ。」
数字差別団体のメンバーは言う。
「なんだ、お前たちは。」
「僕はナンバーⅢだ!数字差別を止めにきた。」
「はっはっはっ。噂には聞いていたぞ、ナンバーⅢ。
我らの団体も、洗脳するつもりか?」
「僕はそのつもりはないよ。」
「ただ、数字にはいい意味もあるって‥。」
「悪い意味だけ知ること。それだけを考えることも自由だろう。ナンバーⅢ。」
「いい意味を言うことは、その者たちの自由を奪っているんだ。」
ナンバーγは言う。
「それは君たちも同じじゃないか。」
「なんだと?」
「君たちも沢山数字のことを悪く書いて、自由を奪ってるじゃないか‥。」
「それがどうした!なら、自由だからこそ、こうして自由に数字に悪い意味があると教えているんだ!」
「私達のやってることは正しいことだ。」
ナンバーαは言った。
「ありがとう、ナンバーγ。あとは僕が‥。」
「分かった。ありがとう‥。」
「君たちはどうして数字を嫌っているの?」
男達は口をとじた。
そして、言う。
「理由なんてない。」
「俺達が辞めても、こうして広まった数字差別は止められない。」
「そうかな?」
その時、団体と話していた二人の男が現れる。手にはたくさんの張り紙があった。
「ゆっくり考えて思ったんだ。悪く言われても、数字への思いは変わらないって。」
「こんなに酷いことはしないで欲しいんだ。」
男達は地面に膝をつく。
「なんだって‥。無駄だったなら、なんのためにやっていたんだ‥。」
ナンバーⅢは全員で言う。
「悪い意味だけじゃなく、いい意味もある。」
「それを知るきっかけになるんじゃないかな」
ナンバーⅢ達は彼らにいい意味について教えた。
こうして、男達は悪い意味だけでなく、いい意味もあるということを知ったのだった───────
<h3>占います!</h3>
ある休み時間のこと、机でぼーっと座っていると…。
「こんにちはー。今日は占いデーです!」
「良ければ占わせてください!」
「せんえさん。いいですよ!」
その子は帽子を被り、小さいビー玉を私の机の上におきます。
そして、そのビー玉に手をかざしました。
「見えました!」
「何が見えたんですか?」
顔を赤くする。
「せらさんが私のこと好きって…!」
「え?」
私はびっくりしたけれど、続けて言いました。
「はい、私はせんえさんのこと好きですよ。」
「やった!当たっちゃった!」
「いつも星座占い見てて良かった!」
「そうだったんですね。」
「うん、そうなの!私にも占いの才能ないかなって、帽子と色付きの球を買ったんだ!」
「そうだったんですね…!あの…!」
「はい。」
「私だけに占って欲しいなって思ったんです…!」
「せらさんそんなに好きなんですか?」
「はい…!」
「いいですよ!」
「ありがとうございます!」
せんえさんはとても喜んでいた。
私はホッとする。
すると、そこへ、男の子がやってきます。
「せんえさんまたやってる…。」
「くらやくんじゃないですか!そういえば、せとうくんのこと、どうでしたか?」
「せとうくんは相変わらずだったよ。それよりも。」
「それよりも?」
「バーナム効果って知ってる?」
「知らないです!」
「誰でも当てはまること言って、信じさせようとする占い師が使うテクニック。」
「そんなものがあるんですね!勉強になります。次からせらさんに使ってみます!」
「そうじゃなくて…。占いって何の勉強した?」
「星座占いです!毎日チェックしてました!」
くらやくんは顔に手をあてます。
私はせんえさんを抱きしめました。
「わっ、せらさん?」
「私はせんえさんが好き…!その力を、いいことに使って欲しいんだ。」
「う…うん、もちろん!私はそう使うよ!」
くらやくんは言いました。
「せらさんがそういうなら…。」
私は思います。やっぱり、くらやくんも優しいな…。
それから、二人になって、せんえさんと色々話してました。
「せらさん、話したことなかったけれど、優しいです!」
「ありがとうございます!」
私は笑顔になります
───────