<h3>純粋な心</h3>
女の子が一人、草木茂る道をスキップしていた。
そして、呟いた。
「これからもずっと、一緒に居られるね!」
でも‥
少女の膝の上に倒れる少女が。
そして、か細い声でつぶやく。
「ねぇねぇ‥嫌だよ‥。そらちゃん。」
「もちちゃん‥ごめんね‥。」
「一緒に二人で行こうって‥」
「もちちゃん‥。この先は一人で行って‥。」
「それじゃ、意味ない‥。二人じゃなきゃ‥。」
「私は信じてるよ‥。また会えること‥。」
「でも‥でもっ‥。」
「約束‥しない‥?」
「え‥?」
「今度会うとき、ずっと一緒に居るって‥。二人で永遠を一緒に過ごすの。」
「でも‥」
「ごめんね‥」
「謝ってばっかり‥。」
もちは首を左右にふる。
「そらちゃん、分かったよ。約束‥しよう。次にあった時はずっと‥一緒に‥。」
「もちちゃん、ありがとう。」
二人は指切りをした。
そして、それから少しして、そらは眠りについた。
もちはそらを抱いてなみだをこぼす
────────
とある町でのこと。
騒がしく男の子が走り回っていた。
「おーい!みんな!」
「ゆうくんどうしたの?」
そこに居たみんなは囲むようにゆうくんを見る。
「実はさ!」
とても嬉しそうに語る。
「え‥?伝説とか‥この町にそんなものあったんだ。」
みんなはとても驚いてた。私もびっくりしすぎて、口を開けてた。
私はくちに右手を覆う。
「これから行こうと思ってる!」
「いいね。僕も行ってみたい。」
みんなも行ってみたいと声がとぶ。
「私も行く‥!」
その直後、一人の女の子が「そんなのダメ!」とみんなに言った。
「せわ‥。どうして?楽しそうじゃん。」
「危ないよ。お母さんも絶対ダメって言う。」
ゆうくんは笑って言った。
「だけど、この時しかできないと思うんだ。楽しい冒険が待ってる。」
「私はゆるしません!」
ぷくーっと頬を膨らませて、行ってしまった。
「どうする?」
男の子はゆうくんに聞く。
「行くよ!絶対楽しいから。」
この日から、ゆうくんとわたしたちの冒険の日々が‥始まったのかもしれない
─────────
<h3>謎の家</h3>
男の子は一人で周りに木が沢山ある道を、歩きながら呟いた。
「みんな来ないのか!絶対楽しいのにな‥」
「まぁ、いいや!
一人で楽しもう。」
「まずはあの人の家に行く」
そしてどんどん進んでいく。
その後ろを、一人の女の子が木のかげからこっそりついていった。
「ゆうくん‥」
それは少し前のこと。
「もう、今日、行こうと思うんだ!」
周りに居た、男の子、女の子は「え?」と。
みんなダメと言った。
その中で、私は思い切って、行く‥!と言おうとしたけど、ゆうくんが‥。
「もういいや!一人で行く。」
って。
そして、今。
ゆうくんはどんどん進んで、深い森の奥に‥。
ここはどこなんだろう‥?
私はとても戸惑っていた。
だけど、ゆうくんを見失わないようにしっかりとついていった。
すると、ある時、木がない場所が見えてくる。
進んでいくと、その真ん中ら辺に、一つ小さな家が建っていた。
ゆうくんはその家に入っていく。
私はその家の前で立っていた。
そうしてると、知らない子と、ゆうくんの声が聞こえてくる。
私は家のドアの反対側の面の方へそっと向かった。
そこには小さな窓があって、中が見えるようだった。
そこをそっとのぞくと、立って何かを話すゆうくん。
そしてその前に、女の子が椅子に座ってる。
「前に言ってた、伝説について教えてほしいんだ。」
「あなた1人でいいの?」
「うん!」
「分かった。」
「伝説って沢山あるけど、前に言ったことの中で、必要なのは限られてる。」
「そこに全部いけたらいいんだよね!」
「えぇ。」
「どこなの?教えて!」
「言うわ。」
ゆうくんは「分かった!ありがとう。」と言って、そのままその家を出て行ってしまった。
行っちゃった‥
そう思いつつも、追いかけず、そのまま家の中を見てる。
すると、女の子は立ち上がった。
そして、近くにあった棚の上のぬいぐるみをとり、片腕で優しく抱きしめる。
それから、テーブルにおいてあったコップを口元へ持っていく。
「美味しい!
やっぱり、ココアを飲みながらぬいぐるみさんに癒やされるのは辞められな~い!」
でも、よく見てみると、そのコップには何も入ってないようだった。
「え‥?」
思わず声が出てしまう。
その瞬間、「だれっ?」と女の子は窓に視線をうつした
────────
<h3>家の少女</h3>
足音が段々と近付いてくる。
私は驚いて、動けなくなっていた。
窓のそばにくると、キョロキョロとあたりを見回す。
そして、私の方に気付いて「あれ‥あなた‥?見たことない子ね。」と。
それから、その女の子は家にいれてくれた。
無音な時間が続いて、私は思い切って話す。
「あ‥あの‥。」
「どうしたの、迷った?」
「え‥っと。ゆうくんの後をついていったらここに‥。」
「あぁ。あの子ね。」
私の顔を見る。
「それで、どんな関係なの?」
「え‥っと‥。同い年ってだけだよ!」
「そうなんだ~。」
私はこくこくと、何度も頷いた。
「いいね。」
そう言いながら微笑む女の子を見て、私はなんだか心の中で‥
この人、悪い人じゃないかも‥?と思った。
「それはそうと、さっき何か見たかな?」
「さっき?」
「あの子が居なくなった時とか。」
「あ‥。」
さっきのことかも‥。
私はとても言いづらくて、下を向きながら口を開く。
「ごめんね、見た‥!」
「あ‥そうなんだ。」
「ずっと、今日まで隠してきたんだけどな‥。とうとう見られちゃったか。」
「私は誰にも言わないよ!」
「気にしないで。大丈夫だよ。」
「分かった‥。」
さっきのぬいぐるみを見ると、とても古かった。
でも、ボロボロじゃなく、長い時間とても大切にしてたような‥。
そんな気がした。
「どうしたの?そんなにぬいぐるみを見て。」
「ごめん!なんでもない!」
女の子はそっとぬいぐるみの方により、抱える。
「これはね、私の大切なぬいぐるみなの。」
「うん‥。そうだよね。ぬいぐるみさんを見て思ったの。
大切に思ってるんだって‥」
女の子は私の顔をじーっと見ていた。
「ふふふっ。あなた少し変わってるね。」
「そうかな‥?」
「うん。少なくとも、私が見てきた中ではね。」
「でも、それがいいんだけど。」
私は女の子を見てた。
「ところで、あなた名前なんて言うの?ずっと知らないで話してたけど。」
「わたしは、みなか!」
コクコクと頷く。
「そう、いい名前じゃない。」
「あなたは‥?」
「わたしはさかっていうよ。」
「さかちゃんもいい名前!」
<h3>友達の話</h3>
「ありがとう。」
さかちゃんはそう言って微笑んだ。
「良ければお友達に‥」
「いいよ。私、友達居ないし。」
「え?嬉しい!」
わたしはぴょんぴょんとはねた。
「ふふっ。あなた可愛い。」
それからさかちゃんは少し深刻な顔になった。
「実はね、私のルーティンのことなんだけど。」
「ルーチャン?」
「そう。ルーティン。」
「ココア入ってなかったでしょ。」
「確かに‥。」
「わたしは飲む必要がないから。」
「どうして?美味しいよ!」
「うん。美味しいね。」
「毎日、これができたら幸せかなって思ってて。
実際に毎日楽しくすごせてるんだけど。」
「そうなんだ。」
「えぇ。」
「あの!良ければ、私がココアをさかちゃんに!」
「ううん。大丈夫。今日で会うのは‥‥だろうし‥。」
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない。もうちょっとお話しよっか。」
「いいよ!」
「ありがとう。嬉しい。
みなかちゃんは町の皆とはどうなの?」
「仲良くしてるよ!」
「そう、それは良かった。」
「さかちゃんも一緒に私の村に来る?」
「ううん。わたしはいいかな。」
「こうしてあなたや、あの子みたいに、たまにここへ訪れる人とお話するのが幸せだから。」
「そうなんだ‥。」
「仲良くしてるって聞いて、ちょっと安心したな。」
「さかちゃんって、大人の人みたい。」
「そう見える?」
「うん。」
「そっか。」
「あの‥一つだけ、話しておきたいことがあるんだ。」
「え、なになに?」
「昔ばなし。」
「えーっ!?わたしが昔ばなし好きなの、知ってるの?」
「そうだったんだ。でも、求めてるようなものじゃないかも‥。」
「大丈夫だよ!」
さかちゃんはうっすら笑顔に。
「分かった。話すね!」
一人の女の子が道に迷ってないていました。
森の中、一人きり‥。
どうすればいいか分からなくて、そのまま真っ直ぐ歩いてて。
ようやく、森を抜けた‥
そう思ったら、家は一つしかなかったの。
女の子はその家に、コンコン「誰か居ませんか‥」とふるえる声で言いました。
すると、一人の女の子が出てきました
────────
<h3>貰い物</h3>
出てきた女の子は言うの。
「何かあったの?」って
「うん‥迷った。おうちかえりたい‥。」
「そうなんだ‥。」
家の女の子は「分かった!私があなたの住んでるところまでおくる!」って。
そのまま、泣きかけてた女の子は、家の女の子の後をついていって‥
すると、そこで、みなかが「もしかして!」と言った。
「どうしたの?」
「ごめんなさい、関係ないことだけど‥」
「もしかして、気付いた‥?」
「そう!」
「言いにくいけど、家の女の子って、私のことだったんだ。」
「え!?そうだったの!」
「うん。もしかして、違った?」
「女の子はみんなの元に、帰れたのかなって思って‥!」
「そうだけど。」
「やっぱりそうだったんだ!
でも、家の女の子ってさかちゃんだったんだ。びっくり!」
「うん。そうなの。
まだお話は続くよ。」
「聞かせて!」
それから、私はいつものように家に居たんだ。
でも、持ってたぬいぐるみがもう見る影もなくて‥。
少し気付いてはいたんだけど‥。
大事だったから‥そのままそばにおいてた。
「さかちゃんはいますか?」
その声は迷子の女の子のものだった。
「いますよ!」
その女の子は、ぬいぐるみを持ってる。
「それは?」
「これね、さかちゃんにあげようと思って!」
「ありがとう。」
私はとても嬉しかった。
「他にも、紹介したい人とか、沢山お話したいことあるの!」
それを話すと、さかは「ふふふっ!」と笑った。
「さかちゃんどうしたの?」
「懐かしくて‥嬉しいなって‥。」
「私も会いたいな、その友達に。」
「残念だけど、それは‥。」
「ん?」
「できるかもね。きっと会えるよ!」
「会えたら嬉しいな!」
「ね!」
「私、そろそろ帰ろうかな。」
「分かった。来た道を真っ直ぐ行ったら帰れるよ。」
「ありがとう!また遊ぼうね。」
「こちらこそ。でも、ちょっと待って。」
「なに?」
「私のぬいぐるみ、良ければ持ってて欲しいんだ。」
そう言って、さかちゃんは私にぬいぐるみを手渡す。
それから、目をそらして、「ごめんなさい。要らないよね‥。古いし‥。」と。
「ううん。嬉しいよ!」
私はそのぬいぐるみを貰って、帰っていきました。
<h3>誰かの声</h3>
家の中で一人‥。
女の子は子供のときの自分の姿を浮かべた。
「わたし、ずっとココアを飲みながらぬいぐるみさんと一緒に暮らせたら幸せっ!」
ふわーっとしてたあのとき‥。
そして、悲しいとき‥。
相談してきた人の姿が浮かぶ。
「友達を助けたい!」
いろいろなことがあったな‥。
最後に友達ができたよ‥。
そうつぶやくと、女の子は家を出て暗い森の中へと進んでいった。
手には、小さな人形が優しく握られている
───────
私は森の中、真っ直ぐ進んでいった。
でも、歩いても歩いても、何もなくて悲しくなってた。
「誰か‥。」
その時、「おーい!」と声が聞こえてくる。
「ゆうくんの声だ!」
私はその声が聞こえた方に進んでいった。
「あ。みなか!」
「何してるの?」
「迷って。」
「そうなの?みんなのところで言ってたところには行けた?」
「行ったけど、特に何もなかった!変な文字みたいなのは書いてあったけど。」
「そうだったんだ‥。」
「もう一度、さかにきいてみる!」
「私も行きたい!」
「迷ってたからいっしょにいこう。」
私も迷ってたけど‥。そう思ったけど、進んできた道を二人で戻っていく。
すると、自然と、あの家に到着した。
「ありがとう!助かった!」
ゆうくんはそう言って、家の中に入っていく。
だけど、結局、そこには誰も居なかったらしいの‥。
二人で今日は帰ることにした。
うつむくゆうくん。
私は心のなかで思った。あんなに楽しみにしてたから‥
「あの!ゆうくん。」
「何?」
「帰れるかな?」
「帰れるよ、家の場所からなら行けるんだ。」
「よかった。
でも、他にもあって‥」
ゆうくんは首をかしげる。
「さかちゃん、どうして居なかったんだろう‥?」
「分からない。だけど、他の日に行ったら居るかも。」
「そうだよね!安心した!」
私はうっかりする。私が安心してた‥。
そして、そのまま、無言で歩いてる最中のこと‥。
「誰か居ませんか‥?」
どこからか、女の子の声が聞こえてきた。
ゆうくんは「知らない声だ。」とその方向を見る。
「わたしとゆうくんみたいに迷った子かな‥?」
「とりあえず、行ってみよう!」
<h3>女の子の話</h3>
声の先に向かうと、そこに居たのは一人の少女。
「何かあった?」
ゆうくんがそう言うと、その子は呟く。
「誰‥?」
「僕はゆう!」
続けて私も言った。
「私はみなか!」
「君はなんていうの?」
「私は‥真森望。まもりって呼んでほしい‥。」
「分かった。まもり、なんでここに居たの?」
「迷って‥。」
「私達も迷ってたんだ‥。」
「そう‥。」
「一緒に帰ろう。」
「うん‥。」
そして、私達はまもりさんと一緒に家の方へ帰っていった。
その途中のこと。
「まもりちゃんは近くで見ないけど、家はどこなの?」
「えっと‥。家はないんだ‥。」
「どういうこと?」
「捨て子みたいなものだと思って欲しいな。」
「そうなんだ‥。」
私はとても胸が締め付けられるように苦しくなった。
「あの‥良ければ私の家に‥。」
「ううん。大丈夫‥。」
「どうして‥?」
「一人は慣れてるから。あ、今、一緒に居るのはちょっと気になったことがあってね。」
「そうなんだ。」
まもりはみなかの手を見た。
「そういえばゆうくん、伝説のこと、これからどうするの?」
「もう1回さかに聞いてまた行ってみる。」
すると、まもりがつぶやいた。
「へぇ~。ゆうくんって、伝説信じてるんだ。」
「信じちゃ悪い?」
がおーと両手をくまのてのようにして上にあげる。
「あ、ごめん。そういうつもりじゃなかったんだけど‥」
「そうなんだ。じゃあ、大丈夫!」
「ところで、みなかちゃん‥?」
「うん!みなか!」
「ずっと居ていいならあなたの家にいきたい。」
「わかった!帰ったら、お父さんお母さんに聞いてみるね!」
「ありがとう。」
「でも、一つ聞いていいかな?」
「いいよ!」
「迷子になる前ってどうしてたの?」
「あぁ‥。実はね‥。」
「友達と一緒に居たけど、はぐれちゃったんだ。」
「わ!そうだったの?」
「うん‥。でもね、約束したんだ。」
「はぐれる前にね、また会おうって‥。」
「そうだったんだ。会えるといいねっ!」
「ありがとう!」
そうして話してるうちに、町が見えてきた。
そして、思った。
今日は二人も新しい友達ができたかも!
<h3>変わってる‥?</h3>
「とても久しぶりに帰って来た気がする!」
私は嬉しくてぴょんぴょんととびはねた。
沢山の家が並ぶ町。
「やっぱり‥」
「まもりちゃん、どうしたの?」
「あ‥。私の住んでたところとはやっぱり違うなって‥」
「まもりちゃんが住んでたところ?」
「気になる!どんなところだったの?」
「畑が一杯で、家はそんなに密集してなかったかな。」
まもりは思う。
その中に一つだけ大きな家があってね‥。
「そうなんだー!まもりちゃんの住んでたところにも行ってみたいな!」
まもりちゃんは「ふふふっ!」と笑う。
そのまま歩いてると、反対側から、一人の男の子がやってきた。
「あ、ゆう帰って来た。伝説ってどうだった?」
ゆうくんは黙って進んでいく。
「その様子だと、なかったとか。」
「ある!」
ゆうくんの声は小さかった。
そして、そのまま行ってしまう。
「みなかも居たんだ。」
「うん、着多(きた)くん。」
「やっぱりなかったの?少し楽しみだったんだけど。」
とても残念そうにしていた。
「ところで、その人は?」
「あ!この子はね‥。」
「まもりです。」
「そう、まもりちゃん。」
「迷子になっちゃったらしくて、私の家に来ないって誘ったの!」
「そうなんだ。よろしく!」
「うん。これからよろしく!」
──────
それから、まもりちゃんと一緒に、私の家に行きました。
お父さん、お母さんに話したら、居ていいと許可を貰います。
ただ少しだけ、まもりちゃんとお母さんが話してました。
まもりちゃんを連れて、私の部屋に招待します。
私は一人っ子で、双子に憧れてて、とても嬉しかったのです。
夜のこと。
ご飯の時間になったのですが、まもりちゃんは食べないと言ってました。
「お腹空いてないの?」
「うん‥お腹すかないんだ。」
少ししんみりしてしまいました。
でも、一週間に1回、お父さんがやってるおとぎ話の時間になります。
いつも色々な話で、楽しい時間。
まもりちゃんと一緒にききました。
楽しくてずーっと見てる最中、隣を見ました。
すると、まもりちゃんはとても楽しそうにしてます。
そして、呟きました。
「ふふふっ、変わってる。」
<h3>知ってるよ</h3>
次の日、外に遊びに行きました。
私はまもりちゃんの手をひっぱります。
「みなかちゃん、どこへ行くの?」
「みんなのところ!よく集まってるんだ!」
今日も、一杯いました。
またゆうくんを囲んでいます。
私はその中に、そっと混ざりました。
「昨日、見つからなかったんだろ?」
一人の男の子が言うと、ゆうくんは「きっと見つかる‥!今日も行ってくる!」って。
さかちゃん居るのかな‥。
私もついていこうと思ったら、まもりちゃんのことを忘れてました。
「みなかちゃん、ゆうくんの後を行かない?」
「え!いいの?」
「気になることがあるんだ‥」
「行こっか!」
「ありがとう!」
二人でゆうくんのあとを追いかけていきました。
昨日の森の道をずっと行って、前と同じあの家が見えてきます。
まもりちゃんは立ち止まって呟きます。
「やっぱり‥。」
ゆうくんはドアを開けて、中に入っていきました。
私はまもりちゃんのそばによります。
「まもりちゃん‥?」
「あ‥ごめん。」
「何かあった?」
「こんな森の中に家があって‥驚いちゃったんだ。」
「私も昨日、とってもびっくりした!」
「わー!って!」
まもりちゃんは微笑みます。
「びっくりしちゃうよね。」
「うんっ。」
そうしてると、ゆうくんが家から出てきました。
少し元気がなさそう‥。
私は「ゆうくん!」といってかけよります。
「みなか‥。」
「さかちゃんは?」
「居なかった‥。」
「え⁉」
私は寂しい気持ちになりました。
「やっぱり、伝説なんて嘘なのかな‥。」
ゆうくんは下を向いてとても悲しそう‥。
私がそばに行こうとしたとき、まもりちゃんが言いました。
「伝説って何‥?」
「全部見ると、ずっと生きられるって‥。」
「え!そうだったの?」
私はとても驚く。
「うん。行ってなかったけど、さかはそう言ってたんだ。」
「ずっと生きられるってすごい!」
「うん。すごい!
たのしみだったんだけど‥。」
まもりちゃんは言いました。
「その話、知ってるよ。」
「え!?どういうこと。」
ゆうくんはまもりちゃんを見ました。
<h3>決めた!</h3>
「その話も、どこへ行けばいいのかも知ってるよ。」
「え!教えて!」
私もゆうくんが元気になって嬉しくて、続けて言いました。
「まもりちゃん凄い!私も一緒に行きたいな!」
「うん、いいよ。その前に少し町に帰らない?」
「どうして?すぐに行きたいんだけど。」
「ここからじゃ、遠回りになっちゃうから。」
「そうだったんだ。じゃあ、すぐに町に帰ろう!
それで、せっかく帰るなら、誰か誘いたい!」
「あ‥。別にしてもいいけれど、私のことは、みんなの前では言わないでね‥。」
「分かった!」
それから、私達は町に帰りました。
その途中に、まもりちゃんは行き方を教えてくれます。
それから、町に到着するといつもの場所に行きます。
帰った人も多かったけど、何人か残ってました。
ゆうくんはみんなの前に立ちました。
「これから行こうと思うんだ!」
「前に行ってた伝説?」
「うん。」
「でも、いたくんが、結局なかったみたいって言ってたよ。」
そういった男の子が、囲多(いた)くんの方をみます。
「うん。昨日の感じだと、ないみたいだった。」
「でも、結局あったの!」
「そっか。じゃあ、僕も、今日はついていってみたい。」
それから、ゆうくんは最後まで、まもりちゃんのことはいわなかったのでした。
そして、いたくん含めて、3人一緒についてきてくれました。
「どんなところなの?」
向かってる最中、留歩(るほ)ちゃんが首をかしげてそうききます。
「わからない‥。だけど、カブトムシとか沢山居るんだと思う!」
「それって伝説なの‥?」
いたくんが言います。
「まぁ、楽しみにしてるよ。」
そして、一緒にきたもう一人の男の子、家己(かき)くんが言いました。
「こうしてみんなで歩いてると、前にあったお兄ちゃんのことを思い出すね。」
「確かに。ちょっと楽しみになったかも。」
いたくんはゆうくんのかたをたたきます。
一人の女の子が思った。
こうして歩いてると‥昔のことを思い出すな‥。
それから少しして、ゆうくんは立ち止まった。
「ついたよ。」